花餅屋廼徒然書附帖

歌舞伎の世界に魅入られた男の、余りにも刺激的でグダグダ過ぎる日々…

短縮なのか上方版なのか…『浪花花形歌舞伎』

2005年04月24日 01時52分03秒 | 徒然に歌舞伎噺なと…
久方振りの歌舞伎観賞です。
大阪松竹座には今年初めてのお出かけです…。
大阪に住んでいて…あな、情けなやぁ~ぁ。
一月の国立劇場以来、三月ぶりの歌舞伎観賞なので…(汗)
禁断症状が出てきていたり…(汗)

で、今月は『浪花花形歌舞伎』と銘打っての興行です。
幹部役者が揃う大歌舞伎ではなく、若手の花形役者が主体の興行となっています。
去年の『第一回』は諸般の理由で観に行けませんでしたが、第二回目となる今回は満を持してのお出かけです。
もぅ…待ちに待った此のお芝居、まして今日は千秋楽っ!
存分に楽しんでいきましょうか…。
今回のコンセプトは…?
歌舞伎の三大名作を一挙公演!
と言うのです。
此の歌舞伎の三大名作とは『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』『仮名手本忠臣蔵』のことである。
三作とも義太夫狂言です。
元々は人形浄瑠璃から歌舞伎に転化された演目のことで、発祥は皆大坂なんですよね。
此の演目は、どれも人気狂言で幾度も演じられている内に、其の演出方法が幾多にも派生した…。
今回はどの演目も上方の演出方法で上演されるそうです。
今のご時勢…歌舞伎も東京の演出がメジャーとなってしまっており、こういった機会で丸本(義太夫)を大切にする上方の演出を再発見と言うことでしょうか…。

今回は三部構成で、其々の演目からよく演じられる演目を二場面見立ています。
だから、難しく考えなくてもいいのですが、チト…物足りないのも事実だったりと…。

で、私は『第一部』と『第二部』とを連続して観て参りました。
『第一部』は『菅原伝授手習鑑』の内から、『車引』『寺子屋』です。
先ずは翫雀さんによる解説です。
ラジオのパーソナリティもされているくらいですから、結構と面白く分かりやすく説明されていました…。
ただ、『牛車』を『ぎゅうしゃ』と読んだのは…内緒にしておこうか…(大汗)
続いて始まった『車引』…幕が引かれると、のどかな風景…。
いや…?!
今までとは違うぞ!
だいたいは吉田神社の参道に続く朱の垣の前で梅王丸と桜丸とが、はち合わすのだが…。
此れが上方の演出かな?
深く被った傘を取る二人。
其処には、おぉ…扇千景(違)…いや扇雀さんだ(汗)
むきみの隈を取っていない。
此れが本来の桜丸の顔らしい…。
桜丸って結構と女形が演じることが多いのでね…。
亀鶴さん演じる梅王丸は力一杯ですね…いいくらいなんですが、何かチトりきみ過ぎって感じが…荒事にはいいものですが、どうも対となる桜丸が、おとなし過ぎるので…。
あとは楽しめましたね…。
薪車さんも襲名狂言として杉王丸で出演…頑張っていって欲しいですね。
愛之助さんの松王丸は、まぁまぁと言うか…難無しでしょうか…いい具合ですよ。
ただ、残念なのは時平公の進之介さん…。
いいのですが、やはり若さが邪魔してるって感じがするんですよね。
時平の実年齢からすると無理は言えませんが…高貴な中にふてぶてさが欲しかった。
公家悪の隈からは、敵として梅王、桜丸を睨み付ける威容さを出すと言うより、どうも化け物が口を開いているって感じになってしまって…。
やはり本人も言っているように難しいお役なんでしょうね…。
今後に頑張ってもらいたいです。

休憩を挟んで、『寺子屋』の段…。
此れを観るのは実は私は初めてです。
有名なのに、観る機会が今まで無かった…(汗)
さて、亀鶴さん…今回は先程とは打って変わって女形の戸浪。
甲斐甲斐しくて…いいのですが、着物の裾が白粉で汚れてしまっていたのか…?
チト、キツイです…。
どうも其処にばっかりに目が行ってしまって…お芝居はよかったと思います。

翫雀さんも、いつも通りで…←其れだけかいっ!
結構と笑わすところもあり、重苦しいばかりの内容ではなかったみたいです。
愛之助さんの松王ですが、パッと見ぃは仁左衛門さんみたいに見えた…。
台詞廻しと言い風貌と云い…そりゃぁ…おそらく今回に当たって指導を受けておられるでしょうから…でも、よく似ている…松嶋屋の伝統か?
抹香を焚く場面もあり、いやぁ…結構と薫って来るんですよね、此れがまた。
此れで『第一部』が終了して、一旦は劇場の外に出ました。

ウロウロして、本屋に行ったり…ぐるっと回って再び劇場内へ。

今度は『第二部』です。『義経千本桜』の内から、『道行初音旅』『川連法眼館』です。
今度は、愛之助さんが解説です。
歌舞伎の効果音についての解説で、観客も舞台に上がって実演。
最後にお土産を貰っていた…あぁ…ワシも欲しいぞっ!
続いて始まった『道行初音旅』は今まで幾度も観ていますが…今回のは初めてです。
鴈治郎さんの静御前も幾度か観ているんですけれど…。
定式幕が引かれると浅黄の幕が下がっていまして、其れが引かれると舞台の真ん中に静御前が立っている…。
今までのは、花道を歩いて来て七三でいったん止まって一踊り、其の後本舞台へ移動して…って具合でしたが?
今回は丸本に忠実ということで、竹本が唸っていました。
今は清元が多いらしいです…。
唄が違うから導入部分が違うのか?わからん…(汗)
調べることが増えた。
忠信はお決まりのスッポンからの登場で、楽しく…。
ドロドロドロ~。
此れは舞踊なので、あまり難はないのですが…何か盛り上がりに欠けましたね。
早見藤太も出て来ないし…。
結構あれ好きなんですよね。
花四天とのバカバカしい問答と、立ち廻り。
そういったのも、何にもなく舞台の中央でお二人さんポーズを取って、幕です…。
ハイ…。
何か物足りな過ぎるぞ~!
上方式がこうなのか、単に短縮バージョンなのか?
うぅ~ぅむ。
やはり…短縮バージョンでしょうね(汗)

静御前の衣装も常盤衣でなく、赤の振袖でした。
此のまま次の『川連法眼』に流れるからでしょうか?
こういった演出もあるそうですが、今まで観たのと違って、物凄く違和感がありましたね…。

今回、私が観る最後の演目の、『川連法眼館』ですが…此れは、猿之助歌舞伎でしか観たことがないので、ある意味チャレンジです。
菊五郎型というのもあるそうですが、今回はどちらとも違うようです。
舞台も猿之助型とは違っています。
先ず、今回の進之介さんはよかったです。
忠信に静御前のことを先ず問い尋ねたときの顔がなんとも言えずよかったです。
気品が程よく出ていたと思います。
翫雀さんは、少し声の調子が悪かったのかな?そう思えた…。
しかし、お父さんそっくり…(ご本人も言ってらしたが)。
扇雀さん演じる忠信は真贋ともに熱演でしたね。
亀鶴さんも先程とは打って変わって水を得た魚のようで…好演。
愛之助さんは落ち着いて…いい味です。
忠信のケレンですが、まだ少し慣れていないと言うか…まぁこういった役自体、上方の人には無縁みたいですから…今まで。
最後の狐忠信の六法も…宙吊りは無かったです。
よかったか、どうだかは分からないが、こういったのが本来ならば、それを上方らしく心で演じたのでいいのでは?とも思ったり…。

取り合えず、久しぶりの歌舞伎、四演目を観て参りました。
観賞記録はまた後ほどに…近いうちに書き上げるつもりで頑張りますが、楽しかったですよ。
ホンマに♪
でも…なんか、いつもと違って何でしょう?
物凄く感じが違う。
華やいだものが少し欲しかったって感じ…。
お客さんも若い人が多く、着物姿の人も多くていいのですが…どうも殺風景って感じが…。
舞台にしても何にしても…本興行じゃないからかなぁ?
まぁ…。
取り敢えず、もっと上方歌舞伎について、演出方法もそうですが、勉強しなくてはと頻りに思った今日の歌舞伎観賞でした。

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