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日常・民話など

むかしっこ うばっ皮の嫁

2023-03-25 18:13:13 | 昔っこ・民話

昔々 あるところさ とど(父)と、3人の娘こがおったと。 とどな上方さお参りに出かけることに

なったど。    にぎりまま🍙いっぱい握ってもらい それをしょって(背負い)出かけたと。

したばよ、とど(父)山さ さしかかったらよ、蛇が大きなカエルを飲みこもうとしていた。

上方にお参りに行くとどは、だまって飲み込まれるのを、みていられない・

なんとかして助けてやりたいと、思ったと。「蛇・へび そのビッキを助けてやってけれ。

おらとこに娘こ3人いるから、一人嫁こにけるがらよ。」

とどは、そう言ったと。それを聞いたヘビは喜んで「ほんとだべな」そう言ってカエルをはなして

山に入って行った。とど、そのまま上方さお参りして、家さ戻って来たら、なんと@@ 立派な男が

嫁こもらいに来ていた。これは蛇に違いない。蛇はなんにでも化けるから きっと蛇だ。

 

困ったことになってしまった。とどは 3人の娘を呼んで、初めに1番上の娘に願ってみたど。

したども「蛇の嫁こなの えがねんし(行かない)」あっさり断ったど。2番目の娘もだめだったと。

3番目の娘は、「とどが病気になったらいけないので、おら えぐんし(行きます」

それを聞いたとど、「おめえの好きなもの なんでも買ってやるから 言ってみれ」

「おらぁ、蛇の嫁になるから 何もえらねんし」3番目の娘はしばらく考えて

「んだば、ふくべ(瓢箪)千個と、針千本買ってけれ」といったと。

 

ヘビは立派な男に化けて 嫁こ迎えに来たと。それで、男さついて行ったら 山の方さどんどんえったど。

大きな沼があって そこで男は止まったど。「ここは俺の住んでいるところだ。中さ入れ」

男はそう言って、自分から沼さ入っていった。

「とでも、オラ水の中だば 入れねぇがら このふくべ沈めてけれ。それが出来たら この針千本

 水の上さ浮かべてけれ。」娘は 水の中さいる蛇に頼んだと。

「よし・よし それだばじょさね(簡単だ)ちょっと待ってれ」

そう言って 沼の底さ くぐって行って 小さい蛇をみんな集めてきたと。

 

千のふくべ沈めるとて どんなにがんばっても沈まらない。針千本も浮かばない。

ヘビはすっかり くたびれてみんな沼の底さ逃げて行ったと。娘は蛇の嫁こに ならずに済んだが

暗くなったし、道はわからないし、なんとしたらええか考えているうちに

ずっと向こうさ ぽつんと一つ明かりが見えた。 「道 迷ってしまったから、何とか一晩

泊めてもらえねんすべか。」

「ああ、泊まってええよ。実はオレはな。おめえのととに 助けてもらったことある ビッキでな

おめえを助けてやっから おれのいうことを聞けよ。わがったか」

娘は蛇の嫁っこになるよりは、ましだと思って 「ええんし(いいです)」と答えたと。

 

ばあさまは、「湯沢さ、大きい酒屋があるから、おめぇは そこで使ってもらえ。んだども、

そこまで行く途中に 人食い鬼が出るかもしれねぇ。おめえのような めんこい娘っこだば

たちまち食われてしまうから、この、うばっ皮(婆さんの皮)着ていけ」

そうゆってばあさまは、茶色のうばっ皮を渡したど。 娘は言われた通りに着てみたら

たちまちええ年した ばあさんになってしまったど。

娘は山を下って行ったら、人食い鬼が出てきたど。んだども一目見て

「なんだ!こんな年寄ばあさんを食っても、うめぐねえからやめた」そうゆってどっかさ行ったと。

           無料イラストよりお借りしました

ばあさまの言う通り。湯沢に大きい酒屋があったと。娘はそこに行って「なんとか、おらどこ使って

もらえねんすか。ありったけ働ぐから」 そうゆって願ったら、そこの親方はしばらく考えていたが

「ばあさん、歳いって大変だべども、火たきぐれぇだば出来るかもな」

と言って使ってもらうことになったと。酒屋の人たちから 火たきばあさんと言われて

働いてから、何日かたった ある日酒屋の一人息子が 晩遅くにもどったら、火たき婆さんの

いる部屋だけ明かりがついていた。なんだべと 思ってそろそろと行ってみたら、若いきれいな娘が

ろうそくの火で縫物をしていた。息子はどでんして(びっくり)してしまった。

 

また次の晩にこっそり行ってみたら、やっぱり若い娘が縫物をしている。

あまり、その娘がきれいなもんで、息子はすっかり惚れて、ついには病気になってしまったと。

息子が、何日も寝たきりで起きないもんで、酒屋の親方は、あっちこっちの医者どこよばったと。

なして、病気になったか分からねぇから、薬の飲ませようもない。

親方は家の前さ 大きな立札を立てた。

「おらえの息子、得体の知れねぇ病気さ かかってしまった。助けてくれた人さ 千両箱をやる」

と書いてあった。ある行者がその立札を見て 酒屋さ入っていったと。その行者は

「立札を見れば、わけの分からねぇ病気だそうだが、いっぺん、はっけを(占い)おいてみよう。

そうすれば、病気になったわけもハッキリするだろう」と言って

八卦おいたと。そして行者は厳かに言い渡した。

 

「一人残らず、娘っ子たちを集めて、その娘っこたちに 水を汲ませて持っていかせろ。

そして息子の飲んだ水を汲んでいった 娘っ子を嫁にしろ。そうすれば、息子の病気はすぐ治る」

親方は、行者の言った通り、娘っこたちをたちをみんな集め 代わる代わる水を運ばせた。

したけど、息子はみんな首をふって断ってしまう。

「火たき婆さん、おまえじゃだめに決まってるども、まずもっていってみれ」

そう言われて、火たき婆さんは、途中でうばっ皮を脱いで ええ娘になって水運んでいったと。

   

       (無料イラストよりお借りしました)

そしたば、息子はにこっと笑って水飲んでしまった。 とたんに息子の体はシャキッとなった。

そこで、その娘が息子の嫁に決まった。嫁子は、よく働くし気がつくし、息子は、

気に入った 嫁こだから大事にして 湯沢のその酒屋は代々ずっと栄えていったど。

 とっぴんぱらりのぷう

「秋田県国語教育研究会 県学校図書館協議会編」より

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