康煕奉『こんなに凄いのか!韓国の徴兵制』
(スリーエーネットワーク 2000年)
いい本でした。
著者は在日コリアンの方。朝鮮戦争についての言及もあり、日本人が鈍感になりがちなことを考えさせてくれました。
日本の戦後復興に、朝鮮半島の苦しみの上にあぐらをかいた面があるのは否めませんから。
韓国で兵役中の若者たち。
兵役は陸軍が多いそうですが、そこで学ぶのは戦闘のスキルです。
もっといえば、愛する故郷を守るために人を殺す技術、と言い切っても間違いではないでしょう。
そして、戦闘の相手として想定するのが北朝鮮だとすれば、血で血を洗う同族争い。
そういう苦悩の中で、韓国の男性の多くは、多感な20代の2割にあたる2年間を過ごすわけですね……。
韓国の軍隊は、その起点に旧日本帝国軍があるので、その病弊をそのまま受け継いでしまったという不幸もありました。
いじめ・しごき。
自分より立場の弱いものへの暴力の連鎖。
貧困や虐待もそうだけど、これらは伝染する病気なのだと思います。
罪というより、やはり病気なのだと。
いじめやしごきは、先輩から後輩へと。
貧困や虐待が、親から子へと、受け継がれてしまうように。
韓国軍も今ではずいぶん改善されたそうですが、旧日本軍の病気が、韓国で残っていたなんてね。
慄然とします。
おそらくは、北朝鮮にも、その病気は残っているでしょう。
北朝鮮は韓国よりもさらに兵役期間が長く、国民の負担は察するに余りあります。
この本には、兵役逃れの問題や、兵役の代替として社会奉仕活動が選べるようにするなどの社会制度改革への提言もありました。
そういえば、サッカー選手が肩を故意に脱臼して兵役逃れを図った、と社会問題になったことがありましたっけ。
(今年のワールドカップで韓国は決勝トーナメントに残れたから、胸を張って兵役免除を受けられるんですよね…。)
軍事境界線で、ぷっつりと断ち切られた線路の写真にも、胸を衝かれました。
かつて南北をつないでいた鉄道です。
看板には「鉄馬は走りたい」と漢字+ハングルの混合表記で書いてありました。
近い将来に、南北統一が成り、再び列車が走る日が来ることを。
南北の若者たちが、厳しい警戒任務から解き放たれ、自由に南北を往還する日が来ることを、心から祈ります。
(スリーエーネットワーク 2000年)
いい本でした。
著者は在日コリアンの方。朝鮮戦争についての言及もあり、日本人が鈍感になりがちなことを考えさせてくれました。
日本の戦後復興に、朝鮮半島の苦しみの上にあぐらをかいた面があるのは否めませんから。
韓国で兵役中の若者たち。
兵役は陸軍が多いそうですが、そこで学ぶのは戦闘のスキルです。
もっといえば、愛する故郷を守るために人を殺す技術、と言い切っても間違いではないでしょう。
そして、戦闘の相手として想定するのが北朝鮮だとすれば、血で血を洗う同族争い。
そういう苦悩の中で、韓国の男性の多くは、多感な20代の2割にあたる2年間を過ごすわけですね……。
韓国の軍隊は、その起点に旧日本帝国軍があるので、その病弊をそのまま受け継いでしまったという不幸もありました。
いじめ・しごき。
自分より立場の弱いものへの暴力の連鎖。
貧困や虐待もそうだけど、これらは伝染する病気なのだと思います。
罪というより、やはり病気なのだと。
いじめやしごきは、先輩から後輩へと。
貧困や虐待が、親から子へと、受け継がれてしまうように。
韓国軍も今ではずいぶん改善されたそうですが、旧日本軍の病気が、韓国で残っていたなんてね。
慄然とします。
おそらくは、北朝鮮にも、その病気は残っているでしょう。
北朝鮮は韓国よりもさらに兵役期間が長く、国民の負担は察するに余りあります。
この本には、兵役逃れの問題や、兵役の代替として社会奉仕活動が選べるようにするなどの社会制度改革への提言もありました。
そういえば、サッカー選手が肩を故意に脱臼して兵役逃れを図った、と社会問題になったことがありましたっけ。
(今年のワールドカップで韓国は決勝トーナメントに残れたから、胸を張って兵役免除を受けられるんですよね…。)
軍事境界線で、ぷっつりと断ち切られた線路の写真にも、胸を衝かれました。
かつて南北をつないでいた鉄道です。
看板には「鉄馬は走りたい」と漢字+ハングルの混合表記で書いてありました。
近い将来に、南北統一が成り、再び列車が走る日が来ることを。
南北の若者たちが、厳しい警戒任務から解き放たれ、自由に南北を往還する日が来ることを、心から祈ります。
「近い将来に、南北統一が成り、再び列車が走る日が来ることを。
南北の若者たちが、厳しい警戒任務から解き放たれ、自由に南北を往還する日が来ることを、心から祈ります。」
いつも良い本を紹介してくださって有難うございます^^
歴史がちょっと変われば、今分断されているのが日本だったかもしれないわけですし、日本の歴史の教え方、もうちょっと汎アジア視点になればなあと思います~。