ハイナンNETの日常

メンバーが気になってること、メンバーの日常、そして「イアンフ」問題関連情報を書いていきます☆

ハイナンNET外務省進出!?

2007-08-10 09:29:44 | 活動報告
梁英聖です。みなさん、おつかれさまです。ネットラジオ(8月2日)以降、何だかばたばたしていて更新が遅れてしまいました。ごめんなさいm(_ _)m

実はこの間、色々な動きがありました。

8月5日 海南島近現代史研究会
  7日 外務省での意見交換会
  8日 内閣府への要請行動&新宿西口アピール

5日の海南島研究会は一旦木綿さんが報告してくれたので、補足はそちらに加筆致します。残り二つをこれから報告します。

7日に外務省で行われたのは、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約・第3回政府報告作成」に関する市民・NGOとの意見交換会でした。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/event/iken_0707.html

日本は国際人権規約を結んでいます。その締約国は国連の規約委員会に当該国の人権状況や政府の取り組みなどにたいする政府報告を義務づけられています。
今回の意見交換会は社会権規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)について外務省が初めて市民・NGOとの意見交換を行おうとしたものです。(知人の話ではこんなこと他の「先進国」では前からやっているとのこと。実は日本政府は政府報告書を1年以上も出せないでいるんです!)

(以下、報告)

暑い夏の午後16時半、ぎりぎりで外務省に到着。入り口には警備&受付が15人ぐらい! 入るには身分証と裁判所に入るときのような金属探知による荷物検査。

会場までぴったりと役人がついてきた。勝手に動き回らないようにだろう。

「いやに厳重警備で、みなさんも大変ですねー」と聞くと「まあ(笑)。数年前からです」という。

会場に着くともう始まっている。結婚式ができそうなぐらい広い空間だ。前には政府側の官僚が30名程(文科、国土交通、法務、厚生労働、総務、財務、外務の各省だけ)が机二列で並んでいる。それに向かい合うように参加者が机10列ぐらいで70名が座る格好。           

5列目辺りに座って様子をうかがったが、議事進行のまずさに辟易した。70名の参加者に1人ずつマイクを持たせ、話したいだけ話させ、一列終わるごとに政府側が答弁する。2時間の予定だから、平均1人あたり1,2分になる。全くひどい設定で、当然時間は不足し1時間半も延長された。地方からこの機をのがすまいと必死できてる人もいるのに、あんまりだ。

しかも政府の答弁は「調査してお答えします」「改善してまいりたい」という官僚答弁。これでは答える気がないと思われて仕方ないだろう。

一気にやる気が失せたが、自分の番が来るのを辛抱強く待った。

・・・

ところで「慰安婦」問題と社会権規約が何の関係?といぶかしく思う方もいるだろう。簡単に説明したい。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/kenkai.html

国連の社会権規約委員会が2001年に出した日本政府への勧告に、女性差別の問題として「慰安婦」問題について述べられている。

26. 委員会は、主として民間の財源から資金が調達されている、アジア女性基金により「従軍慰安婦」へ提供された補償が、当該慰安婦によって受け入れられる措置とはみなされてきていないことに懸念を表明する。

53. 委員会は、遅きに失する前に、「慰安婦」の期待に添うような方法で犠牲者に対して補償を行うための手段に関し、締約国が「慰安婦」を代表する組織と協議し、適切な調整方法を見い出すことを強く勧告する。

これに対し、政府は2002年以下の反論をした。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/ksb_kenri.html
(4) パラ26、53に関し、既に審査においても繰り返し説明しているとおり、アジア女性基金は、フィリピン、韓国、台湾の政府・当局若しくはそれらの委託を受けた関係団体により元慰安婦として認定された方々を対象に、これまで285名の元慰安婦の方々に日本国民及び日本政府の真摯な気持ちの表れである「償い事業」をお届けしている他、インドネシア及びオランダにおいてもそれぞれ本件問題に関連した事業を実施しており、事業を受け取られた元慰安婦の方々からは感謝の声も寄せられている。よって「当該慰安婦によって受け入れられる措置とはみなされてきていない」との指摘は当たらない。
 また、国民の募金を原資とする「償い金」以外のアジア女性基金の事業資金及び運営資金については、その全額を政府が負担しており、「主として民間の財源から資金が調達されている」との指摘は正しくない。
 日本政府としては、本問題を含め、先の大戦に関わる賠償、財産及び請求権の問題については、サン・フランシスコ平和条約及びその他関連条約などに従って誠実に対応してきたところである。しかしながら、いわゆる従軍慰安婦問題は、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であるとの認識の下、今後とも、本問題に対する国民及び日本政府の真摯な気持ちの表れであるアジア女性基金が所期の目的を十分に達成できるよう、最大限の協力を行っていく考えである。

これは答えになっていない。まずアジア女性基金はあくまで政府による賠償を回避するためのものであるし、政府による賠償でないかぎり受け取りを拒否している被害者がいる(もっとも被害者は受けとる自由を持つが)。それに海南島の被害者からしてみれば、アジア女性基金は中国・北朝鮮では活動していないので、全く関係がない。

次に、後半部の財源についての議論だが、政府が言っているとおり「償い金」は政府は一円たりとも支出していない。賠償を拒否するためだ。アジア女性基金の運営に政府は35億円をかけていると言われており、被害者に賠償金が出せないわけではない(ちなみに近年米国へ「慰安婦」決議が通らないようロビー活動をするため5億円以上つかったといわれる)。

長くなったが、ということで、「全然説明になってません!」ということを言うために来たのだった。

・・・それにしても長い。5列目に来るまで結局終了時間の18時半を回ってしまった。

私は、次の五点を質問し、三点の要請を行った(要約)。

質問
①河野談話以降これまで政府は「慰安婦」問題について何をして来たのか。
②「強制性を示す証拠はない」と言うが、政府自ら「慰安婦」問題について調査をしたのか? していないのならば、なぜしていないのか?
③アジア女性国民基金で解決という。しかし中国、北朝鮮には何もしていない。海南島は中国だが、どうするつもりか?
④河野談話継承という。具体的にどう実施しているか? 例えば歴史教育を行うと談話にあるが、中学の教科書から「慰安婦」という語は消えている。
⑤先の米下院決議を受けてどうするつもりか? 

要請
政府が社会権規約委へ提出する報告書へ以下のことを盛り込むべきと要請した。
①安倍首相が今年三月に「狭義の強制連行はなかった」と発言したこと。
②「強制性を示す資料はなかった」と閣議決定したこと。
③他の政治家、石原慎太郎や下村副官房長官などが「強制連行はなかった」と発言したこと。

それに対して政府側は次のように答えた。答えたのは外務省の官僚のみ。内容は

①基本的にサンフランシスコ講和条約・2国間条約で誠実に対応済み。
②政府は河野談話を継承。
③政府としては賠償できないので、国民的な議論をした結果、アジア女性基金を設立
④同基金は関係国・地域・団体と協力して事業を展開し
⑤政府はそれに最大限の協力をした

95年以降ずっと繰り返された答弁。まさか教科書通りの答えが返ってくるとは。

思わず「それで解決していないから、国際的に問題になっている。それにアジア女性基金が中国で実施されていないのはどう考える?」という声が口をついて出た。一緒に行った「慰安婦」問題行動ネットの二人も口をそろえた。しかし政府側は全く応じなかった。

ちなみに他の、例えば環境問題や労働問題などでは、担当省庁の官僚が、基本的には不誠実であるが、形だけでも柔軟に応答しようとする姿勢をみせていた(つまり原稿棒読みでなかったということ)。しかし「慰安婦」問題だけは、外務省がまってましたとばかりに用意した原稿を慎重に棒読みするだけで、関係省庁は全く答えなかった。官僚の緊張からなんとか言質を取られまいとする姿勢が透けて見えた。政府は身動きがとれなくなっており、そうとう追いつめられているなと思った。

私はその後用事があったので、途中で退席した。

はじめて外務省に来てみたが、正直かなり失望した。政府は全く市民・NGOの意見を聞く姿勢を持っていない。本当に対話する気があれば、もっと頻繁に小規模で会を開くべきだし、地方でも行うべきだろう。またあの会合で話されたことが、報告書にどう反映されるのか全く不明瞭で、かれらもハッキリといわない。

あれはガス抜きでしかないだろう。たぶん、あの場で何を言っても通じない(もしこれを見ている人で官僚を目指している人がいれば、辞めておいたほうがよいと強く言いたい)。

使い道があるとすれば、政府の態度を公開し宣伝することだ。ハッキリいって外務省はじめ政府の態度は最悪だったのだが、それをハイナンネットとして社会に広めていくということ。

たぶんこのままでは国連へ提出される政府報告書は従来通り、言い訳で埋められてしまう。しかしハイナンNETをはじめ日本の市民が政府に要請行動を行ったのに、それが一切報告書には反映されていない、という事実は、何とか社会に広めたい。それに国連の社会権規約委へも伝えれば、もっと強い調子の勧告を出すことができるかもしれない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 海南島近現代史研究会、創立... | トップ | ハイナンNET、内閣府へ進... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

活動報告」カテゴリの最新記事