竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

イラク増派と党議拘束

2007年02月18日 | Weblog

アメリカでは、ブッシュ大統領のイラク派兵増強という方針をめぐって上下両院で反対決議案が議論されている。下院では16日に可決されたが、上院では昨日再上程されたが「採決実施が否決」された。獲得した票数は90人中56票ではるかに過半数を超えているのだが・・。

これはアメリカ独特の民主主義である。採決すれば明らかに反対決議案は成立する。しかし、重要政策を簡単にひっくり返されたりしないように、反対決議のような動議を採決するには議席の3分の2以上の賛成が必要という関所を設けているのだ。

上院で必要な数は60票で、56票はあと4票にまで迫ったということである。しかし、アメリカでは先の中間選挙で民主党が勝利したとはいえ、共和党との勢力は伯仲している。とくに上院は民主党が過半数を制しているわけではないのに、票数ではすでに過半数をはるかに超えている。今回の投票でも、新たに共和党議員7人が賛成に加わり、肉薄を演出している。

日本では民主党の提案に自民党議員が賛成したりすることはまずない。その場合は党を出る覚悟で、強い決意が必要であることを昨年の郵政民営化問題が示している。郵政民営化選挙と呼ばれた昨年の衆院選で、造反議員たちは無所属で立候補し自民党公認候補と闘うことになった。

同じようなことは、他の法案でも、自民党だけでなく民主党でも、社民党でも共産党ですらある。それを「党議拘束」と呼び、日本ではそれが当たり前と思われている。自分が所属している政党(組織)の方針に従うのは当然・・と。

ところがアメリカでブッシュ政権を追い詰めているイラク増派反対決議には民主党だけでなく与党である共和党の議員も続々賛成し、それによって首を切られることはない。「党議拘束」がないのである。一人ひとりの議員が自分の頭で考え、判断し、決定することが尊重されている。

アメリカは変な国だが、民主主義のルールでは非常に先進的である。そういう良い部分こそ、日本は真似をすべきだが、「党議拘束」については、何度も議論に上りながらこれをなくそうという方向にはなっていない。

日本国憲法の第12条は以下のように定めている。

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また国民は、これを濫用してはならず、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

「党議拘束」はこれに違反しているのではないか・・。

しっかりと国会で議論されるべき問題だが、自民党から共産党まで、おそらく党議拘束の禁止ということには反対するだろう。本当の意味での政策論議ができないのは、こういうところにも原因があるのだと思う。

それにしても、アメリカではブッシュ政権のイラク増派が猛烈な反対にあっているのに、日本では、一度は撤退が決められたはずの自衛隊イラク派遣が、さしたる反対もなくまたずるずると「延長」されようとしている。アメリカは撤兵、日本だけが増派ということにならなければよいが・・。



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