竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

共謀罪と市民の力

2006年06月03日 | Weblog

5月19日のブログで本日強行採決か・・と書いた凶暴罪こと共謀罪法案が、紆余曲折の末、継続審議となり、今国会での成立はなくなりました。


今日のテーマは共謀罪と市民の力です。


19日に河野洋平衆議院議長の裁定で強行採決はしないということとなり、今国会の成立が困難になった法案を、昨日与党側は民主党の対案を丸呑みするという奇策で成立をはかろうとしました。


急転直下の成立か・・と日本中でメールが飛び交い、自民党・民主党議員への思いとどまって慎重審議をというアピールがたくさん送られました。


さすがに民主党もこんな奇策には乗らず、早々に午前中には成立断念の方向性が出ていたようです。しかし、抗議や要請のメールを送り続け、国会周辺に集まり、マスコミに働きかけ・・という市民のエネルギーが今回の成立を阻んだことは間違いないでしょう。


ただし次の国会にはまた出てきます。これまでも、悪法をいったんは継続審議や廃案に追い込みながら、結局は次の国会、またその次の国会で成立させられた事例はいくつもあります。


そういう意味でも、今回の法案成立を阻んだ背景に何があり、どんなファクターがあったのか、ちゃんと点検しておくことが重要ではないでしょうか。


今回の成立阻止の背景には、小沢民主党の自民党との対決姿勢、会期延長は絶対しないという小泉総理の姿勢、国会周辺での取り組みを含む市民の動きなどがあったのだろうと思います。


しかし同じような市民の動きは盗聴法、国旗国歌法、周辺事態法、自衛隊のイラク派遣、有事法制=緊急事態法・・など、ずっとあったのではなかったかと・・。今回は長野にいて、国会周辺の様子がわからないのですが、これらの動きを超えるような盛り上がりが果たしてあったかどうか・・。


そうすると要因は民主党の対決姿勢にかなりの比重があるということでしょうか?


これまでの民主党は上のすべての法案で、ひどいときは賛成にまわり、そうでなくとも国会運営において短時間審議や採決日程の協議に応じて、事実上、自民党の別働隊のような動きをしていました。


手は反対に挙げるが、そこまでのお膳立てには協力する・・という。今回、そんな国会対策方針が根本的に変わったのであれば、今後の日本の政治の行方に大いに期待が持てるところだろうと思います。


会期延長を求めなかった小泉総理というのも不思議です。まだ教育基本法改悪案や憲法改正のための国民投票法案など重要法案が目白押しです。これらを成立させる気があるなら、会期延長は必至だっただろうと思います。


もともと面倒くさいことは嫌い・・という体質なので、自分の任期の最後に、そんなことでごたごたして終わりたくないという美学みたいなものがあるのかもしれません。政治家というより芸術家(国会劇場の演出家)ですから・・。自分のあとの政治には、何の意欲もないのかもしれません。


こんな総理はもう出ませんし、基本的には法案の処理は総理の意向というよりは省庁の意向で通すか通さないかが決まります。省庁の意向を踏みにじってでも・・というカリスマ性を発揮できるのは、もうこの人しかいません。


この二つの不思議な状況があいまって、共謀罪法案の成立が阻止されたとすれば、次の国会ではどういうことになるでしょう。総理大臣が安倍であっても福田であっても、国際条約批准案件であるこの法案を成立させるように動くことは間違いないでしょう。そのときは、民主党の法案にかなり擦り寄っても、今回のような奇異性はなく、法案成立のためには、いくらでも妥協するという「柔軟性」を見せるかもしれません。


今回の「丸呑み」提案も、ある意味で民主党のスタンスを確かめる観測気球という見方もできます。民主党は突っ張りすぎると、自身の対案はなんだったのかと問われることになり、また安易に対決姿勢を崩すと、来年の参議院選へむけて政権交代への大きなうねりを作りそこなう恐れがあります。


とても難しい舵取りが小沢代表に託されることになるわけで、共謀罪を廃案に追い込む市民側の取り組みにとって、このことは「何をすればよいか」の大きな指針になるのではないかと思います。


盗聴法や国旗国歌法で一般市民の内心の自由に踏み込み、有事法制=緊急事態法や国民保護法で一般市民を合法的に縛り強制するタガをはめ、共謀罪で反対するものたちを一網打尽に取り締まる・・。窒息しそうな国家の形は、すでに出来上がりつつあります。


それを前提としての日米軍事協力の再編、米国の支援のためには世界中のどこへでも戦争協力・・という「形」が整えられています。


政権交代というのであれば、この「形」にノンという政権を作り出すこと。これが市民側のスタンスとして明確に示されることが、共謀罪廃案、新しい国の形へと小沢さんはじめ民主党を動かすカギとなるのではないでしょうか・・。


うーむ、今日も重い!


 


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2 コメント

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民主党のスペクトル (柴田史夫)
2006-06-04 01:01:55
政治の現場近くにいた竹村さんならではの考察,小生のような頭の固いサヨクにはあれこれ考えさせられます。

民主党が一枚岩でないことはだれでも知っていることですが,「核」となる派閥乃至集団・人脈は現存すると思うのですが,それらが何者であるのかをふくめて,どのようにお考えでしょうか。

市民運動で講演をなさることの多い渡辺治氏によれば,9・11総選挙によって労組系の民主党候補のほとんどは落選し,その結果,新自由主義的改革を自民党と競い合う民主党の路線がいよいよ明瞭になってきたとの判断が示されていたように小生は受け取り納得しています。

このあたりの見方について,どうお考えでしょうか。

ついでの一言:国旗国家法ではなく国旗国歌法ですよね。
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民主党のベクトル (竹村英明)
2006-06-04 19:55:11
柴田さん、どうもです。

永田町暮らしを離れて、早くも3年近く。

あの頃より状況は格段に悪くなっていることは間違いありませんが、その間の平和政策塾の取り組みや、平和への結集でのロビー活動を踏まえて言いますと、民主党の平和派もまだまだ捨てたもんではない・・という感じでいます。

在野となっている実力派の復活を含め、次の参議院選挙、衆議院選挙でどうするか・・市民は考えるべきではないかと思います。

もとより選別が必要なわけで、そのデータは積み上げる必要があります。平和への結集サイトで吟味を重ねて公表することになるのでは・・と思います。



国旗国家法⇒国旗国歌法のご指摘ありがとうございました。

需要法案⇒重要法案とともに修正しておきました。



民主党の小沢路線がどうであるかは、ここではスペースがなさ過ぎるので、後日、しっかりとブログに書きたいと思います。



今日の新聞にも小沢代表の写真入で、「候補者求む!」の広告が出ていましたが、タイミング的には非常にうまいという気がします。

民主党による政権交代というベクトルは、社会的には非常に強まってきているのではないか・・と私は感じているのですが。
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