竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

祝島から日本のエネルギー資源と政策を考える

2011年01月23日 | 自然エネルギー
祝島自然エネルギー100%構想
(写真は祝島独特の文化「練塀」)

先週は祝島(いわいしま)自然エネルギー100%プロジェクトがスタートした。28年以上にわたって対岸の上関原発建設に反対をし続けてきた島の大きな挑戦である。
祝島と本土とは上関原発建設の当事者である中国電力と細い送電ケーブル1本でつながれている。4年に一度の神舞(かんまい)のときには、住民500人の島に子供たちや親戚などが集まり2000人を超える。ほぼ毎回「停電」が起こり、「中国電力の嫌がらせじゃ」と語られる。
500人300戸を想定した送電ケーブルの所に2000人が集まって電気を使いはじめると停電は想定されるが中国電力は放置している(ケーブルの強化をしない)。「嫌がらせ」と思われても当然で、電気事業法の供給義務違反の可能性もある。
「原発反対の島だから電気を供給しない」なんてことはあってはならないはずだが、まかり通っている。それなら自給するか・・。これが島の出した答えである。

日本のエネルギー資源は無尽蔵

さて日本には、太陽、風、水、地熱、雪氷、そしてバイオマス(森林と畜産)、さらに波や潮力など、本当に無尽蔵な自然エネルギーがある。それをほとんど使いこなしていないのが現在の日本である。
あるものを使わないで、石油や石炭、そしてウランの輸入に頼っている。下記は日本のエネルギー自給率。一昨日の夜、お話をさせていただいたエネルギー・シフトのページにまとめられている。

エネルギー・シフトのブログ
http://staff.energy-shift.org/2010/04/39

自給率は4%。世界中のどの先進国よりも低い。低いと言われる食物自給率よりもはるかに低い。
もう一つの紹介は環境エネルギー政策研究所の2050年自然エネルギービジョン。環境省や企業側の調査結果をもとに、日本の自然エネルギーの潜在可能性を数字にした。2000年の10,427億kWhから2050年には省エネ努力等で8,366億kWhに総需要が減るという前提で、67%の自給が可能という結論を導き出している。

2050年自然エネルギービジョン
http://www.isep.or.jp/event/080603sympo/2050vision080603.pdf

原発受注へウラン備蓄だって?

我が国政府は、これに対しあくまで輸入依存。ますます輸入燃料、それもウランに頼るつもりのようである。電力会社は、ウランに関しては通常20年先までの買付契約を結んでいる。ウランが原発の燃料である燃料棒集合体に加工されるまでには、鉱石採掘、精錬、転換、濃縮、再転換、成形加工という長い工程が必要で、原発ができてから発注では間に合わない。相当に前から注文し、お金も払う。反対運動でできる可能性のない原発の分まで実は買付けていたりするのかもしれない。

1月16日の日経新聞には「原発受注にウラン備蓄」という呆れた記事が載った。2011年度から国内の濃縮ウラン燃料加工会社の貯蔵施設を使って5年間で120トンを備蓄するという。100万kWの原発の1年分が30トンなので、原発4基分である。海外受注した原発への供給用とあるが怪しい。海外の原発に成形加工した燃料を船で運ぶのはきわめて危険。沈没即臨界事故につながるからだ。海の中は原子炉の中と同じく適度の減速材(海水)がある(注1)。海中で核分裂反応がはじまったら誰も近寄れない。

国内備蓄の意図をよく読むと、どうやら国内原発の低迷で景気の良くない核燃料加工工場へのバラマキが目的のようだ。国内の燃料加工会社に対し計240億円をウラン購入の利子相当分と維持管理費として補助すると書いてある。
国内備蓄は海外からウランの供給が途絶えた場合の急場しのぎ(国内原発の27日分)の意味もある。日本はウランの大半をオーストラリアとカナダから輸入している。これにアフリカのナミビアとニジェールを加え90%以上になる。アフリカは今後の政治情勢いかんでは方針が変わる可能性があるし、オーストラリアやカナダは、核拡散上問題のあるインドでもパキスタンでも原発を売ろうとする日本に対して供給を制限する可能性もある。

上記のエネルギー・シフトのグラフでも、政府は原子力を準国産エネルギーと位置づけ、それを入れると自給率18%になるとしている。備蓄しなければならない「国産エネルギー」などあり得ない。もう、あっちで国産と言い繕い、こっちで備蓄に金をばらまくという「詐欺政策」はやめてほしい。

と、また長くなりそうだからまとめる。
言いたいことはそんなに苦労をして、勝手に税金を投入してウラン備蓄をするより、はるかに簡単にエネルギーを確保する道はあるということ。実はまわりは広大な原っぱ(走り回れる)なのに、足下の細い道だけを睨んで周囲は見ようとしない愚か者に日本政府は見える。

祝島からはじまる「価値観のカクメイ」

これにひきかえ、自身の手でエネルギー自給をめざす祝島の志のなんと高いことか。祝島のプロジェクトは単にエネルギー自給だけではない。ひじきやびわ茶などの拡大生産をめざすフード事業、原発予定地の貴重な自然を守るために多くの人に見てもらい島に宿泊やレストランの需要もつくり出すエコツーリズム事業、高齢化した反対運動の担い手が「死ぬまで」安心して島で暮らせるための介護事業、祝島独自の練塀などの文化と応援団のア-ティストがコラボするアート事業などなど、エネルギーの自立を超えた「離島の自立」という日本の政府が果たせていない課題の実現にも通じる。

注1:日本の原発は軽水炉である。軽水とは普通の水のことで、ウランが核分裂してはじけ飛ぶ速度を水の分子で減速し、ウランの核分裂連鎖反応をコントロールする。燃料棒を水の中に浸けることでうまく核分裂反応を開始するようにできている。したがって海上を長距離運ぶことは危険とされている。


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-01-25 23:22:08
「海外の原発に成形加工した燃料を船で運ぶのはきわめて危険。沈没即臨界事故につながるからだ。」という話を聞いて現実が恐ろしくなりました。でも、調べてみるとそれを否定するような技術資料(ATOMICA)も見つかりました。
ATOMICAを編集している財団法人 高度情報科学技術研究機構は、信頼に足る団体なのでしょうか?



核燃料輸送容器の臨界安全性と遮蔽安全性 (11-02-06-12)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=11-02-06-12

4.輸送容器の臨界安全性
 輸送容器の臨界安全性を確保するためには、燃料を小分けして一定量以下で運搬すること、あるいは原子力発電所から再処理工場へ使用済燃料集合体(集合体)を運搬する輸送容器のように一度に何体もの集合体を運搬する輸送容器では、集合体と集合体の間の間隔を一定の値以上確保して燃料が一箇所に集中しないようにしたり、核分裂反応に寄与する中性子を吸収するボロン(ホウ素)などを含有した材料をその間隙に設置すること、などの技術的対策を施している。このような対策を施すと、移動中に誤って輸送容器が河川に水没したり、複数の輸送容器が隣り合ったりあるいは積み重なっても臨界にはならない。
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Unknown (Unknown)
2011-02-07 23:54:54
竹村英明さま、お返事お待ちしていましたが残念です。
このブログでさも事実のように語っている事、信頼できる
ソースからのものではないのですね。
2ちゃんねるを読んで、あなたの背景がわかりました

これって嘘と誇張で恐怖心を煽り、洗脳された信者に実力で妨害活動を行わせる、職業左翼の祝島工作だったんですね。
ツイッターを読んで、「田ノ浦のカルトミュージシャン」の意味も理解できましたw

テロリズム=「恐怖心を引き起こすことにより特定の政治的目的を達成しようとする組織的暴力の行使、およびそれを容認する主義」ですが、まさに教科書どおりの地域分断工作ですね。恐れ入りました。
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