ぎょうてんの仰天日記

日々起きる仰天するような、ほっとするような出来事のあれこれ。

モイセーエフバレエ団来日公演2

2022-11-04 20:46:55 | コラム

ロシア舞踊の「夏」もメキシコ、ギリシア、スペインの舞踊もどれも素晴らしく、美しさ見事さに夢中になった。YouTubeで数えきれないほど見てきた舞踊の数々が目の前で繰り広げられる。見慣れてどこが見せ場かも覚えているほどなのに、実際に見ると迫力がやはり違うのだった。足音、音の大きさも効果的に響いてくる。自分がその場にいることの嬉しさ興奮。会場からの拍手や手拍子も気分を盛り上げる。2年越しの願いがやっと叶い、その場にいることの喜び。何とも言えない気持ちだった。

 

しかしそんな中でもやはり時局の暗さは影響した。2年前既に発表されていた演目であるけれど「ヤーブロチコ」は少なからず複雑な思いで観た。これは水兵の群舞で踊り手は軍服を着る。とても勢いがあり見事で男性の群舞の良さが表現されている踊りではあるのだけれどウクライナ侵攻中、これはない方が良かったのではないかと思った。私の拍手もとてもとても控えめなものになったし、会場では拍手自体しない人もいた。そうはいっても国立のバレエ団としては公演のラスト定番にもなっているこの演目を敢えて外すわけにもいかなかったのだろう。

 

定番になるほど盛り上がる「ヤーブロチコ」は確かにラストとして効果的で盛り上がった。会場からの大歓声とスタンディングオベーションが起きてこちらの心が痛むほどに。この演目がラストでなく公演の中盤なりであれば、あれほど心は痛まなかったであろうにラストであったのは時局を考慮すると何とも言えず複雑な苦い思いが込み上げてしまう。

 

団員の中にはSNSに「戦争反対」を目立たない形で投稿する人もいたことを私は知っている。(下手に戦争反対を打ち出せば危険な目に遭う。)団員が笑顔で踊り切ったのは当然で観客は、とりわけ戦争反対の人は公演の素晴らしさに拍手したのであって、軍服に象徴されるものへ拍手をしたのではない。それだけは確かだ。素晴らしい踊りと振付だった。イーゴリ・モイセーエフが生み出した芸術に拍手と感謝をしたい。

 

初日公演後にNHKでは日本語とNHKワールド(英語)の二つで同公演を報じた。「理解の一方反発も」と。日本国内のみならず、英語報道があったという事は海外への説明というか釈明なのだろうか。一方、ロシア国営放送(政府系)でもこの日本公演は放送され、興奮気味の特派員セルゲイ氏による「観客でロビーはいっぱい」「近隣のホテルは芸術を愛する人の予約でいっぱい」的な報道がされているようである。奇妙なことにこの報道から帰国便の空港チェックインまで団員によるSNS投稿は一時ほぼ中断していた。それまでは「(観光で)渋谷のスクランブル交差点を渡ったよ!」的な楽しい投稿が見られたのに。バレエ団への脅迫でもあったのだろうか。もしそうなら大変残念なことだ。27年ぶりの公演でもともと日本での知名度がそれほどなかったのに妙な形で脚光を浴びてしまった。これからは別の形で注目されて欲しい。

NHK報道 ロシア国営放送報道

画像出典:モイセーエフバレエ団 2022年日本公演  

(見出し画像は舞踊絵画「サッカー」)

カルムイク人の踊り(カルムイク・ダンス)

メキシコ舞踊組曲「サパテオ」「アヴァリュリコ」

ギリシア舞踊「シルタキ」

ベラルーシ舞踊「ユーロチカ」→あちこちに色目を使い過ぎて結局誰もゲットできなかった男性の話(面白かったw)

 

 



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2 コメント

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Unknown (ビオラ)
2022-11-05 09:40:20
お早うございます〜。

ダンスのクオリティーが、すごく高く、見応えがありますので、これは、直接目にする価値ありますね〜!😊

ダンサー達は、純粋に、踊りを披露なさっていると思いますが、時期的に、心痛めながら、踊っていらっしゃる方も、少なくないかも・・・。

色々な心情の中、自らのできる事を、しっかりと観客に伝える姿勢〜、立派ですね・・・。

国を超えて、世界の、平和を願いながら、踊っていらっしゃる事と感じます〜♪


ティーガーデン
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Unknown (gyoten)
2022-11-05 21:55:30
ティーガーデンさま

こんばんは⭐コメントありがとうございます♪
次回公演時はティーガーデンさまもぜひ!
やはり生の公演は違います。足踏みや掛け声も含めて迫力があります。

ダンサーの一人はインスタのストーリー(24時間で消える)の中に「『戦争反対』が写っている風景写真」を揚げるなど工夫してました。これも命懸けですよね。早く戦争が終わって欲しいです。
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