全国交通ニュースブログ

和歌山市近辺のバス停名変更の背景

和歌山市と隣接する海南市で路線バスを運行する「和歌山バス」は、6月23日のダイヤ改正に合わせてバス停名を変更します。

http://www.wakayamabus.co.jp/news/kaisei20210623/

その背景を解説してみます。

1.公園前→和歌山城前

6月11日付の朝日新聞和歌山版が記事にしている通り、

https://www.asahi.com/articles/ASP6B6T7JP6BPXLB00R.html

和歌山市民にとっては慣れ親しんだ名称ですが、県外からの観光客にとっては「和歌山城の最寄りバス停」であることがわかりにくいのが実情でした。観光関係者にとっては長年の懸案だったようですね。

2.車庫前→高松北

「車庫前」という名称とは裏腹に、ここにはバスの車庫はなく、歴史的にも存在したことはありません。半世紀前に廃止となった路面電車の車庫がここにあり、その前のバス停だったのが由来です。

ちなみに和歌山ラーメンの二大流派のうち1つが「車庫前系」ですが、これは始祖となる店がこのバス停の近くにあったことからきています。しかしその店は他所に移転して久しいです。

3.市民会館前→ 湊本町三丁目

和歌山市民会館は長らく和歌山市内における代表的なホールとして親しまれてきましたが、築40年以上で老朽化しており、今年秋に別の場所に「和歌山城ホール(新市民会館)」として移転オープンします。現在の市民会館はまだ閉館していませんが、閉館時点での名称変更は手間なので、早めに変えておくのでしょう。

4.住金海南正門前→船尾西

現在のバス停名の由来はもちろん「住友金属工業の製鉄所」ですが、2012年10月に新日本製鐵と合併して「新日鐵住金」となり、2019年10月には「日本製鉄」となって名残もなくなりました。1年8か月のタイムラグをもってのバス停名変更となります。ちなみに、事業所自体は現在も操業中(名称=日本製鉄西日本製鉄所和歌山地区(海南))です。

5.発電所前→琴の浦水門

現在のバス停名の由来は「関西電力海南発電所」ですが、1970年代の発電開始で、近年は効率の悪い石油火力のためよほどの繁忙期以外は休止しており、2019年4月1日に正式に廃止されました。

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2019/0301_1j.html

2年4か月のタイムラグをもってのバス停名変更になります。

ちなみに、新しいバス停名の「琴の浦水門」は、発電所と入れ替わる形で2019年4月1日に運用を開始した自動遠隔操作の大型水門で、津波襲来の際に威力を発揮するでしょう。

http://www.pa.kkr.mlit.go.jp/wakayamaport/topics/kaigan190327.pdf

6.わかやま館前→マリーナ口

「和歌山県立わかやま館」は、1994年に和歌山マリーナシティを主会場として開催されたジャパンエキスポ「世界リゾート博覧会」のパビリオンとしてオープンし、「和歌山の海、森、心、技をマジックビジョンやロボットで紹介するミニシアター」として観光客を集めてきましたが、

https://guide.jr-odekake.net/spot/1206

近年は人気が低迷していたのか、2021年3月31日限りで閉館しました。

https://www.taiyo-bm.co.jp//wakayamakan/

こちらのタイムラグは3か月足らずということになります。

コメント一覧

gyakuretz
「車庫前」バス停の最後の日である6/22に、「乗りものニュース」が「車庫前系ラーメン」とからめた記事を書いてくれました。
https://trafficnews.jp/post/108295

やはり今はここに「車庫前系ラーメン」が食べられる店はなく、誤解を解くためにも有効な改名だったのかも。
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