goo blog サービス終了のお知らせ 

全国交通ニュースブログ

日本全国の交通に関する最新ニュースをピックアップして紹介します。
幹線道路、バス、航路、ICカードなどなど・・・

新千歳空港と石狩湾新港を結ぶ「道央圏連絡道路」はいつ全通?

2024-05-10 20:15:19 | 幹線道路(北海道)

「令和6年度北海道開発局事業概要について」の資料によれば、

https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/ki/keikaku/slo5pa000001fcix-att/slo5pa000001fclq.pdf

11ページ目に「新千歳空港と石狩湾新港を結ぶ高規格道路・道央圏連絡道路のうち、中間部の中樹林道路(南幌ランプ~道央自動車道江別東IC付近間)が2024年度内に全通する」旨の記述があります。この区間が開通すると、残るは中樹林道路の南側の長沼南幌道路区間のみとなります。新千歳空港からそれほど離れていない場所にラピダス社の半導体工場が建設中で、道央圏連絡道路が全通すれば重要港湾である石狩湾新港に札幌市の人口稠密地域を通らずに行き来できるようになり、物流のネットワークはさらに向上します。

しかし、2023/12/16付の北海道新聞の記事によれば、

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/954182/

最後の未開通区間である長沼南幌道路14.6km区間のうち1割弱で用地買収を終えておらず、さらに泥炭地で地盤が弱いため工事では盛り土の安定性の確認に時間がかかることもあり、全通のメドは立っていないとのことです・・・

===================

道央圏連絡道路の南側区間は、まず新千歳空港~道東自動車道千歳東IC近く(中央ランプ)間9.2kmが2010/12/18までに順次開通し、次いで泉郷道路(中央ランプ~南長沼ランプ間8.2km)が2020/3/7に開通しています。

中樹林道路区間7.3kmは2009年に事業化され、2013年に工事に着手されました。

2019年度時点の再評価原案準備書説明資料によれば、この時点での事業進捗率は41%となっています。全体事業費は前回2016年度の再評価時点より90億円増加して294億円となっており、その増加分のうち56.7億円分が軟弱地盤対策工の変更によるもので、残る33.5億円分が「軟弱地盤対策工の見直し検討に時間を要するため、当初計画における他事業からの盛土用の土砂受け入れが困難となり、その分を購入せざるを得なくなった」ことによるものです。

そして、2022年度時点の再評価原案準備書説明資料によれば、この時点での事業進捗率は65%となっています。全体事業費は前回2019年度の再評価時点より50億円増加して344億円となっており、その増加分のうち42.2億円が軟弱地盤対策工の見直しによるものです。

残る長沼南幌道路区間14.6kmは2011年に事業化され、2013年に用地買収が開始され、2017年に工事に着手されました。

2023年度時点の再評価原案準備書説明資料によれば、この時点での事業進捗率は41%(用地進捗率は93%)となっています。全体事業費は前回2018年度の再評価時点より140億円増加して380億円となっており、その増加分のうち67億円分が軟弱地盤対策工の変更によるもの、14.4億円が軟弱層対策としての構造物基礎工の見直しによるものです。

ということで、中樹林道路区間は軟弱地盤との戦いに一応勝ったものの、長沼南幌道路区間では戦いはまだまだ序盤~中盤です。


蘭越倶知安道路(ニセコ~倶知安)の令和6年度新規事業化についてなど

2024-04-21 23:05:58 | 幹線道路(北海道)

関連ブログ記事・・・2023/10/31付「世界的スキーリゾートのアクセス「倶知安余市道路」の工事状況について

この倶知安余市道路の西側の続きとなる一般国道5号(北海道横断自動車道)蘭越倶知安道路のうち、東側半分のニセコ~倶知安間が令和6年度に新規事業化されました。

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001729851.pdf

全体事業費は約640億円、計画交通量は約9,100台/日となっています。

資料には北海道新幹線の予定ルートも併せて掲載されていますが、大半の区間で新幹線と接近しています(交差はしません)

最大の整備効果として、国際的観光リゾート「ニセコ」への速達性の確保が挙げられています。ニセコICはJRニセコ駅よりも南側のリゾートエリアから離れた場所に計画されていますが、中間にできる比羅夫ICはかなり接近しています。

そして、大規模災害時にも機能する信頼性の高い道路ネットワークの確保も挙げられています。国道5号は有珠山噴火等の災害時の代替路として位置づけられていますが、現道のうち3.5km区間は洪水浸水想定区域となっているとのこと。

 

さて、倶知安余市道路では、共和IC~仁木南IC間に新たに「共和北IC」が設けられることが2023/3/31付で発表されています。

https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/release/slo5pa000000jyc0-att/slo5pa00000110bn.pdf

同ICでは、2024/3/25に全線開通した道道泊共和線北海道公式YouTubeで紹介されている通り、最大の役割は泊原発の避難路です)と接続することになっています。

https://e-kensin.net/news/157774.html


渡島半島西岸の国道の土砂崩れ復旧:まず工事用道路の整備から

2023-11-22 01:13:38 | 幹線道路(北海道)

2022/12/5付ブログ記事「渡島半島西岸の国道の土砂崩れ:応急短絡路は2022/12/21から雪解けまで全面通行止め」の続きです。

この土砂崩れ区間の復旧は、2022/5/26付ブログ記事で書いたように現場の山側に別線トンネルを掘削することに決まり、「乙部防災」として事業化されました。

北海道開発局函館開発建設部の公式サイト内には「一般国道229号 乙部防災」のページが設けられていますが、事業そのものについての具体的なコンテンツはまだありません。

https://www.hkd.mlit.go.jp/hk/douro/v151sd0000005uz8.html

一方、これとは別の場所に、2023/9/28から現地での工事が始まった旨のアナウンスがありました。

https://www.hkd.mlit.go.jp/hk/release/v151sd000000bnl2-att/v151sd000000cldq.pdf

通行止め区間のうち北側の落石等の発生規模が比較的小さいと考えられる区間を工事用道路として活用しますが、海側車線のみを使用し、山側車線は大型土嚢を設置して通れないようにします。2023年度はまずその安全対策(大型土嚢や落石防止柵の設置)を施工するとのこと。

ちなみに、国道229号に指定されている正式な迂回路とは別に地元のために設けられたより距離の短い「応急短絡路」ですが、2023/6時点の南北入口付近のストリートビューを見た限りでは、現地ではその旨の案内はされていません。大型・大特通行不可&幅2m制限の標識のみが設置されています。

北側入口付近 南側入口付近

 

 

 

 

 

 


世界的スキーリゾートのアクセス「倶知安余市道路」の工事状況について

2023-10-31 12:31:56 | 幹線道路(北海道)

北海道が世界に誇るスキーリゾート「ニセコ」(行政区画でいうと倶知安町がメイン)の近辺には、2023年時点では高規格な交通手段が存在しません。

北海道新幹線札幌延伸の暁には倶知安町の中心部に新幹線の駅ができアクセスが一気に改善するはずですが、2034年の札幌冬季五輪誘致が白紙となり、「五輪に間に合わせる」という大義名分がなくなったので、2031年春頃とされていた開通時期が後ろ倒しになる可能性が濃厚です。

一方、高規格道路のほうは以前から国道5号に並行する北海道横断自動車道(黒松内~倶知安~余市~小樽)の構想があり、まず2018年に余市~小樽間がNEXCO管理の高速自動車道として開通し、2023年段階では倶知安~余市間の「倶知安余市道路」が事業中です。

https://www.hkd.mlit.go.jp/ot/douro_keikaku/a8pgkh0000007aql-att/a8pgkh0000007c0e.pdf

これが全区間開通すれば、札幌や新千歳空港からニセコへのアクセスが大幅に改善(特に冬期間)するのですが・・・

 

倶知安余市道路について、2022年度末に北海道開発局が作成した再評価用の資料が公開されています。

https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/ki/chousei/slo5pa000000vhxm-att/slo5pa000000vi6v.pdf

共和~余市間は2014年度に、倶知安~共和間は2016年度にそれぞれ事業化され、両区間とも2年後に工事着手されました。

2022年度時点の進捗率は、共和~余市間が用地買収ベースで89%・事業費ベースで38%となっており、倶知安~共和間はそれぞれ23%と13%となっています。

この資料が作成された時点では「2024年度に仁木IC(仮称)~余市IC間部分開通予定」となっており、以南の開通予定は未定です。

最大の難関となるのが、仁木南IC~共和IC間の長さ約4kmの新稲穂トンネルです。これが完成すれば現在の国道5号稲穂峠の難所を回避でき安全性が特に向上しますが、上記再評価用資料によれば、新稲穂トンネルがらみだけで前回2018年度の再評価時より事業費が約130億円も増大しているとのこと。

 トンネル掘削パターンの見直しで約36.8億円増

 トンネル掘削補助工法の追加で約64億円増

 濁水処理施設の見直しで約19.5億円増

 トンネル施工に係わる基準類の見直しで 約14.6億円増(仁木トンネル分も含めて)

ちなみに倶知安余市道路は完成2車線ですが、この新稲穂トンネルは上下別線となり、1車線のトンネルが2本並列するという珍しいパターンとなります。上記資料内にL・Rとあるのは、それぞれ左側(Left)と右側(Right)を意味します。

道路構造物ジャーナルのサイトに2022年6月に掲載された北海道開発局小樽開発建設部部長のインタビュー記事によれば、

https://www.kozobutsu-hozen-journal.net/interviews/28676/?spage=2

「計画段階では、分離2車線の大断面トンネル1本で検討を始めましたが、延長と交通量から防災等級AAとなり、避難用トンネルを併設する必要がありました。100㎡を超える大断面の掘削に加え、避難用トンネルも掘削するとなると、工期も長く、コストも高くなります。そこで、上下線を分離した片側1車線の中断面(43.4㎡)トンネルを2本計画することで、コスト縮減と大幅な工期短縮を図りました。」(カギカッコ内引用)とのこと。日本の完成済みまたは現在進行形の高規格道路で、このような例は他にあるのでしょうか?


北海道横断自動車道・陸別町内山間部の工事進捗について

2023-05-19 07:35:23 | 幹線道路(北海道)

関連ブログ記事・・・2021/6/6付「十勝~北見の高速道事業が15年ぶりに再開されます

長らく「当面着工しない区間」扱いされていた北海道横断自動車道の足寄~陸別間ですが、2021/7/30付で正式に事業再開が決まりました。

https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/release/slo5pa00000050th-att/slo5pa000000a3zd.pdf

といっても、まずは用地買収や設計からなので、実際に現地で工事が始まるのはまだ先と思われます。

そして、2014年から事業が進められているその北側の山越え区間の陸別IC~陸別小利別IC間も、未だ開通予定は発表されていません。

2023/4/26付で公表された令和5年度分の国土交通省直轄事業の事業計画(北海道関連分)の資料で、

https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/ki/keikaku/slo5pa000000xe0s-att/slo5pa0000011rx3.pdf

10ページ目に北海道横断自動車道(足寄~北見)のことが掲載されていますが・・・

2023年度予算は国負担分18億円・北海道負担分2.7億円で、事業内容は以下の通りです。

・調査推進:測量設計

・用地買収等推進:陸別地区用地買収、陸別地区物件補償

・工事推進:陸別地区改良工、陸別IC橋下部工

そして、用地進捗率は約73%・事業進捗率は約72%となっていますが、この分母は陸別小利別以北の既開通区間を含む全79km区間を示すものと思われます。

陸別IC~陸別小利別IC間のGoogle航空写真を見ると、現在の国道242号の西側に工事中の道路が延々と続いていることがわかります。特に分線地区から北側は国道と大きく離れています。

南側はこちら

北側はこちら

トンネルはほとんどなく、ここまで目に見える形になっていると開通予定を公表してもよさそうなものですが、やはり日本で最も寒いエリアなだけに冬季間の工事は相当大変なはずで、それ故に慎重を期しているのかも。

「北海道横断自動車道 陸別」で検索すると、各区間の施工会社が発信する工事に関する情報が多数引っ掛かります。その一つを見ると、

https://www.miyasaka-cc.co.jp/post_underconstruct/post_underconstruct-12162/

分線地区の2km区間の「道路本体の道路土工、排水構造物及び機能補償道路の施工」について、2023年度ほぼまるまるかけて工事を行うとのこと。