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シャープ崩壊 名門企業を壊したのは誰か [編]日本経済新聞社

2016年03月27日 | Weblog
■人災による転落、刻々と追う

 2月、シャープが経営再建の相手に選んだのは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業だった。創業百余年、電卓や太陽電池など独創的な商品をつくってきた名門がなぜこんなことになったのか。答えは本書の帯に端的に記されている。
 「この惨劇は人災だ」
 人事抗争に明け暮れた結果、起きた悲劇で読後感も苦い。
 日経新聞の記者陣によって記された本書は、崩壊の端緒となる5代目社長の就任から今年2月まで、常に張りつきながら、シャープの変化を刻々と追っていく。ブランド力で劣る同社が一流電機の仲間入りをするのは、他社に先駆けて取り組んだ液晶テレビで、一時期は「世界の亀山モデル」と売り込んだ。だが、転落のきっかけもその液晶パネル工場で、過剰な投資と高額な原料契約が響いた。
 解決法はあったはずだが、経営陣の態度が問題を複雑にした。社内事情を優先する内向き志向で、人事は情実で采配。コンサルは5社も次々契約で混乱。経営能力に欠けるトップが失敗すると、商売敵との交渉まで進める人も出てくる。
 読んでいくうち、これはダメだという苛立(いらだ)ちばかり募る。技術者たちは当然だろうが、取材する記者の筆にすら無念の思いが滲(にじ)む。経営実務と社風について戒めの書とも言える。
    ◇
 日本経済新聞出版社・1728円


http://book.asahi.com/reviews/column/2016032000017.html?iref=com_fbox_d2_02

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こんな本を買うのは学生か馬鹿な社会人ぐらいなものだろう。
当時のことをしっかり記憶している人間にとって、この本が最も参考に成る点は、
如何にマスコミ連中が自分達の言動を棚に上げて分析するものかという点だ。

そう、発端は世界の亀山モデルというあの巨額投資と言うか投機のツケを払わされただけの話である。
当時、メディアやビジネス界の連中であの亀山モデルというアホな投資を批判したような言論をする人はほとんどいなかった。
そりゃそうだ。メディアの連中もそうなら、コンサル雇ってるんだから、ビジネス誌の論調もこれまた似た様なものになる。

経営コンサルタントはそんなに役に立つものではない。
自分が経営しない点を考えれば分かるというものだろう。
そもそも個人的には大企業向けの経営コンサルタントなんてインチキか何かだとしか思っていない。
何故なら大企業内には優秀な人間も沢山いるわけで、自社内でプロジェクトチームを作った方が、
外野よりも上手くいくに決まっているからだ。
日本社会のような外の人間に過度に警戒するような世界では、コンサルの活躍する余地はほとんどない。
とは言え、コンサル系の本は沢山読んだわけで、別に全否定するつもりもない。
例えば創業時だとか中小企業が中堅企業、或いは中堅企業が大企業へと成長する際に、
組織構造をどうするかとか意思決定のプロセスを明確化させる等、創出したり大変化を促す必要がある場合には有効だ。
だが、それほど変える気がない大企業のコンサル利用は正に無駄である。
そこら辺の貧しい主婦に50万-100万払って、景況感や暮らしぶりを徹底的に話してもらう方が、
需要予測としてはコンサルなんかよりも遥かに当てになるというものだ。

こういう本を読めば、きっと失敗ばかりが目に付く事だろうが、
その一方で、その当時の時代の雰囲気みたいなものを見失う。
シャープに限らず、民生電機業界は尽く苦戦しているのであり、
シャープに限って言えば、マスコミ、日経の責任は相当重いのである。
それを棚に上げて、今度は書籍で儲けようって考えが実に腹立たしい。








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