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通訳案内士のブログ

⭕️⭕️⭕️英語を使い訪日観光客を案内する職業「全国通訳案内士」の日常と英語学習などを綴ります⭕️⭕️⭕️

気の毒な台湾の旅行者

2020-02-20 | 通訳ガイド/everyday life
一昨日の都内ツアーでの出来事。



明治神宮のバス駐車場に東洋人旅行者の団体がいました。総勢40名位。中国語っぽい言葉を話していました。一瞬身構えてしまった自分。



皆、薄い黄色がかった日本では見られない色のマスクを着けていました。そしてよく見るとマスクの右上部分に台湾の国旗のシールが貼られているではありませんか。



「私たちは中国本土から来た旅行者ではないよ」
とアピールしているのかなと微笑ましく(状況的に相応しい表現ではないかもしれせん)思いました。



その後、バス駐車場からいつものように第二鳥居(日本で最大級の木造鳥居)を通り、本殿へ向かう道をお客様を連れてゾロゾロ歩いていた時のこと。前方を歩く十代後半くらいの女の子二人組が背負っていたバックパック。



二人が背負っていた黒のバックパックにはこれまた台湾の国旗と白い厚紙に「私は台湾人です」と日本語で書かれたものがそれぞれ貼ってあったのです。



台湾の国旗はまだしも、これには気の毒に思いました。



彼女達の日本滞在中に差別的な扱いを受けないことを願いたいです。(でもそういう自分も台湾からの団体を見て中国の人だと思いドキっとしたくらいなので偉そうなことは言えません)。



気の毒といえばグアムから来たアメリカ人家族4人組のお客様。



若いご夫婦と中学生くらいの男の子と小学生高学年の女の子という家族構成。



男の子が東京タワーで「記念メダル」を買ったらしいのです。ところがその後明治神宮で買ったばかりの記念メダルを賽銭箱に投げ入れ「奉納」しちゃったそうなんです。



お母さんから賽銭箱に入れてしまった記念メダルを取り戻せないかと相談を受けました。何でも男の子はひどく落ち込んでいるとのこと。



私はハッキリとそれは無理ですと伝えました。仮に明治神宮の人が要望を受け入れてくれたとしてもツアーの運行上、そんなことをしている時間は取れません。可哀想でしたが諦めてもらうしかありませんでした。



ところがランチの時にお母さんより、息子がどうしても諦めきれないみたいで、私に今度東京タワーへ行く時に同じものを買ってグアムの自宅まで郵送してくれないかと頼まれてしまいました。



身長が私なんかより全然高く、大人びた感じの子だったので、そんな子が「そこまでして東京タワーの記念メダルが欲しいんかいっ!?」と思ったものの、その熱意(?)に負けて引き受けることにしました。



でもガイドとして(会社を介して)はできないのであくまで仕事を外れた一個人として今回の件を引き受けたい、と伝え理解して頂きました。



大事なメダルを賽銭箱に投げ入れてしまったおっちょこちょいの男の子には気の毒でしたが、こちらは正真正銘の「微笑ましい」出来事でした。



百日紅(サルスベリ)

2020-02-17 | 通訳ガイド/everyday life
新型コロナウイルスの影響でキャンセル案件が増える中、私は今のところはなんとか食いつないでいます。でも国内で連日新たな感染者が出ている報道を耳にする度に今後はどうなってしまうのかと戦々恐々としています。



観光産業はモロに影響を受けています。中国人向けのインバウンド会社は悲惨でしょう。我々英語圏のお客様を相手にしている会社はまだマシかもしれません。減少しているとはいえ何だかんだ言って連日ツアーを催行できるくらいの人は来ています。



2011年の東日本大震災の直後はもっと酷かったと当時を知る古株の先輩から話を聞きました。



福島の放射能を恐れ東京から文字通り外国人が消えたそうです。新型コロナの今の状況より比べ物にならない位酷かった、それでも数ヶ月も経つと徐々に復活したと。



楽観はできませんが来年の今頃は「そんなこともあったね」くらいになっていてくれることを願うばかりです。




昨日の東御苑、いつものように平川門より入り梅林坂下で梅を見た後、二の丸庭園を歩いていたら「あの金色の木、綺麗ね!何ていう木?」と女性客より質問されました。



Gold trees?何それ?と思い彼女が指差す方へ目を向けると何のことはない、落葉したいつものサルスベリの木でした。



でも言われてみれば雨に濡れたサルスベリの肌は金色に見えなくもないです。



そして不思議なことに見れば見るほどまるでサルスベリの幹や枝がgold leaf(金箔)を貼られたかのように段々と光り輝いて見えてきました。



見慣れた二の丸庭園のサルスベリの木が意識して見たらとても新鮮で美しいものに変化したという昨日の出来事。



その後、この金色のサルスベリの木々を写真におさめようとiPhoneを手にパシャパシャやってたら別のお客様が「まるでここに初めて来たみたいだね」と言って笑っていました。



伝統的な回遊式日本庭園はいろんな角度から違う景色が楽しめることや季節ごとに違った表情を見せてくれることをお客様に説明しています。次回からは天候によっても新たな発見があることを付け加えたいと思いました。



と、ここまで書いていたら東京マラソン一般参加が中止、というニュースが飛び込んできました。今年は通訳ガイド仲間の知人が出場する予定で応援にいこうと思っていただけに残念です。






豚がいた

2020-02-16 | 通訳ガイド/everyday life
昨日は土曜ということもあり一人参加のビジネス客が目立ちました。



デラウエア州から来た中年の男性は原子力関係のアメリカ連邦政府の役人の方で、明日から神奈川県の某私立大学で一週間の特別講座を受け持ち、週末にFukushimaに行くのだそうです。



同じくアメリカ人でシカゴの中年女性はシンガポールでの仕事の後、帰国前に週末を過ごすために初来日。ふくよかな体型の持ち主で後半ハァーハァー言いながら歩いていました。



浅草では疲れ切ってしまったのかベンチにずっと座っていました。たまたま昨日は浅草神社の境内で日光猿軍団のショーをやっていたので誘ってみましたが「猿も象も人生で嫌というほど見てきたから結構!」と言われました。動物関係の仕事なのでしょうか?



その時、浅草神社と浅草寺本堂の間辺りより奇妙な鳴き声が聞こえてきました。



「グゥェー!グヒィー!」
けたたましい野獣のような鳴き声。周りでは人々の歓声のような声も聞こえます。鳴き声の主と周りを囲む人混み私たちがいた方に近づいてきました。



何がいるのか近づいてみたら何と豚。丸々太った美味しそうな豚がリードに繋がれ、飼い主の男性に引かれて境内を散歩していたのです。





猿や象には興味がないと言っていたアメリカ人女性もこの豚には大喜び。バス駐車場の方へ歩いて行ったので一緒についていきました。名札には「とんかつ」。この子の名前でしょうか。イノシシのような牙がでてました。イノブタ?



女性はこの「とんかつ君」をみて元気を取り戻しようで“He made my day!”とはしゃいでいました。



都内の一日ツアーはとにかく歩くので歩き慣れていない人は午前中はよくても午後ランチを終えたくらいから段々と元気がなくなってくる人が多いです。



それでもツアーの後半に訪れる浅草寺仲店の活気のある様子を見ると(元気が)回復する人が多いですが、彼女には仲店通りも浅草寺の豪華な山門、五重塔も回復の起爆剤にならなかったようです。



「とんかつ君」のお陰で沈みかけていた彼女の気持ちも復活してくれました。ありがとう、とんかつ君!



すっかり元気になった彼女はその後、かっぱ橋道具街を通っていた時「ここで質の良いcooking knifeを見つけることができますよ」と私が案内していると「”Ginsu Knife”も売ってるのかしら?」と大きな声で言い一人でウケていました。私も女性の思わぬ一言に大爆笑。



“Ginsu Knife”とはアメリカのテレビショッピングで一時期流行っていた「なんちゃって日本包丁」です。日本人シェフに扮した東洋人が、これまた大袈裟な日本人風英語アクセントで包丁の素晴らしさを熱く語り、Ginsu Knifeの切れ味を証明するため、いろんな食材を試し切りしていた(日本人から見ると)インチキ感満載の包丁がこの「ギンスナイフ」でした。



私も約20年位前、アメリカ滞在時にこのGinsu Knifeのshow(テレビ番組はshowといいます)を何度も目にしたことがありました。彼女の一言で鮮明に記憶が蘇りました。
※追記
私が観たモノとは違いますがYouTubeに90年代前半のCMを見つけました


バスの中ではアメリカ人は全員このギンスナイフを知っていました。事情の知らない国から来た人のために「ギンスナイフの生い立ち」を説明したら皆さんウケてくれました。



そんなことを話して車内が盛り上がっていたら、もう上野の辺りまでバスは来ていました。昨日は「とんかつ君」と「ギンスナイフ」のお陰でツアーは大成功に終わったという話でした。








鎖国

2020-02-14 | 通訳ガイド/everyday life
In the 17th century, the Shogunate government adapted the isolationist foreign policy for over 220 years. The relations and trade between Japan and other countries were severely limited. The government banned nearly all foreign nations from entering Japan and ordinary Japanese people from leaving the country. The policy ended when Commodore Matthew Perry of the United States came to Japan and forced Japan to open. A series of treaties to American trade was concluded in 1853.

概要
17世紀幕府は220年以上の間、鎖国政策をとった。幕府はほぼ全ての外国人の入国と日本の民の出国を禁じた。鎖国政策は開国を要求するため日本にやってきたアメリカのペリー提督によって終わり、1853年に通商条約が締結された



「鎖国」という出来事を英語で簡単に説明できる文章を作ってみました。一部Wikipediaを参考にしました。



何故鎖国が始まったのか、鎖国によってどうなったのか、あと鎖国政策が加速されるきっかけとなった島原の乱、キリスト教の弾圧などといった鎖国に絡む重要な事柄も鎖国を語る上では外せません。それらについては後日また考えてみることにします。



他国の歴史を長々と私のおぼつかない英語で喋っても聞く方は苦行に感じてしまうかもしれません。



難しい話は短くまとめ、興味を持たれそうなトピックで挟んでやるのが良い手法だと気付きました。



鎖国の場合だと「お台場」と「日本におけるキリスト教」なんかを絡ませるのがいいと思います。



チームラボやガンダムなど人気attractionsを擁する観光地としてのお台場、そしてお台場の成り立ちを語ってお客様の興味を引きつけた後に「鎖国」。



その後、江戸時代のキリスト教徒の迫害について。「踏み絵」とか分かりやすい例を出してもよいと思います。隠れキリシタンが拝んでいた聖母マリアに見立てた観音像とかも面白いです。



最後に日本人がクリスチャンでもないのに盛大にクリスマスを祝うことなどについて持っていけば小難しい歴史話(この場合は鎖国)もお客様の記憶に少しは残ってくれるのではと思います。



昨日今日と春のような陽気でした。富士スバルラインは4合目大沢駐車場まで開いています。中国系インバウンドバスがほとんどいないのでいつもは混む大沢駐車場はガラガラです。ツアー運行はスムーズに済みますが、こうもお客さんの数が少ないと。



新型コロナウイルスの感染者拡大の影響でツアーのキャンセルが相次いでいます。特にひどいのが大型クルーズ船で3月4月の桜シーズンに合わせたツアー。キャンセルが多いと聞いています。そもそも船自体が来ない可能性が大いにありそうです。



東京の場合、もうどこにいても感染のリスクはあるのではないでしょうか。満員電車に人混み。狭いバスの車内で外国人のお客様と過ごす我々バスガイドは更に(感染リスクは)高いです。



ただ出来ること限られます。マスクは売ってない。つけても意味ないという報道もある位。小まめに手を洗い、沢山食べて運動し免疫力を高める位しかできません。あとは運のみですね。








大アマゾンの半魚人

2020-02-13 | 通訳ガイド/everyday life
この前、兄弟とも親子ともとれる微妙な年齢関係の中年アメリカ男性二人組(白人)とツアーで出会いました。



一人はこの寒いのに半袖のTシャツ姿でツアーに参加していました。しかもそのTシャツには日本語で「大アマゾンの半魚人」と大きく書かれ、横にB級ホラー映画に出てくるような半魚人の絵がプリントされているインパクトの強いデザインでした。



"Nice tee shirt!"と私が言ったら、彼は「これは"Creature from The Black Lagoon"という50年代の名作で、その日本版ポスターのデザインのレアなTシャツなんだよ!」と教えてくれました。



彼はちょっと癖のある人のようでした。その後、映画「大アマゾンの半魚人(邦題)」について語り続けたので、私の質問の趣旨であった「そんな格好で寒くないの?」という疑問をぶつけることができなくなりました。



一般的に外国人、特にボッチャリ体型の白人の方は暑がりな方が多いです。過去にも真冬の富士山や箱根のツアーで半袖姿の方は何人も見てきています。でもこういった人たちは極端な部類な方でしょう。



同じ日にいたプエルトリコからきた女性親子二人組はこのアメリカ人男性に負けず劣らずのポッチャリ体型でしたが「日本は素晴らしいけど来る季節を間違えた」と言って猛烈に寒がっていました。



なので車内の温度調整はとても難しいものがあります。基本的には年中、暑がりさんに合わせ低めに設定しています。運転手さんの中には寒いと文句を言ってくる人もいます。私も夏も今の季節も正直車内は寒いです。ダウンを着ながら喋ることもあります。一方で上着を完全に脱いで扇子や団扇で顔を仰いでいる人もよくいます。



いずれにしても外国人=暑がり、といのが私の中ではステレオタイプとして根付いています。



あと「外国人は傘をささない人が多い」という事実が私には若干のカルチャーショックでした。



勿論傘を使う人も多いです。観察してきた中、雨でも傘を使わない人は若い白人男性に多く見られます。若い女性もたまにいます。



ツアーの日が一日雨予報だと予備の傘を3本位持っていっています。都内ツアーだと外を歩く時間が多く、雨具を持ってない人にお貸しするためです。



日本人だとその日の天気予報は必ず確認するものですが、外国人の中にはバスに乗る時、ホテルから外に出て初めて「今日が雨だったんなんて聞いてない!」とか言う人もいるくらいです。



そんな中、傘を持たず、ずぶ濡れになっている人に貸そうとして断られることがよくあるのです。そんな時相手は大体若い白人男性です。アメリカ人、イギリス人が多いでしょうか。



これには最初は不思議に思いました。何度か「濡れるの嫌じゃないの?」と聞いたことがあります。



「傘をさすより濡れた方がいい」
「雨には慣れている」
「そのために上着を着ている」
「(傘をさすのは)合理的・実用的ではない」
といった答えを今まで聞いてきました。



「男の美学」にもやや関係するらしいです(私の想像)。傘もそうですが小さいカバンなどを持つことすら白人男性は特に嫌がる傾向があるように思えます(バックパックなど背負う鞄は抵抗ないようです)。



なので最初の頃は「痩せ我慢なんだろう」くらいにしか考えてなかったのですが、最近になって私も真似てみようと思い、多少の雨の時は傘を使わないようにしました。もちろん撥水機能があるフード付きナイロンジャケットは羽織っています。



何度か続けていくうちに彼らの誰かが言っていた「傘を使うのは合理的でない(not practical,reasonable)」というのが分かってきました。



確かに濡れますが、両手が自由になります。傘を持つ労力、面倒も発生しません。駅に着いて傘を畳む手間を省けます。ジャケットはハンカチで払えば短距離ならばそんなに染みてきません。そもそもフード付きのナイロンジャケットはそんな天気のために作られたモノだと気付きました。「濡れてナンボ」のものだとも。



雨の日の景色も広がっていいです。傘をさしていると視線がどうしても下にいきがちですからね。コレは私にとって意外な新しい発見でした。雨の日の外歩きの楽しさを見つけることができたといいますか。



「雨の日に傘をささない」
日々お客様よりいろんなモノを学ばせてもらっている一つの変な例でした。




白人男性が着ていたのはこれと全く同じデザインでした。ポスターのデザインからは想像もつきませんが、結構評価が高い映画のようで今度観てみようと思います