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単純な有機フッ素化合物から、10種以上の有機フッ素化合物の生成に成功

2020-04-23 | 科学・技術
 東京理科大学理工学部先端化学科の荻原陽平講師、坂井教郎教授、大学院理工学研究科先端化学専攻修士課程の穂坂晋太郎(2019年度修了)の研究グループは、単純なフッ化アシルを出発物質として、10種類以上の複雑なフッ化アシルを得ることに成功し、フッ化アシルをフッ素源として利用できることを示した(2020.04.09発表)。本研究をさらに発展させることで、これまでにない新たなフッ素分子の合成方法につながると期待される。
 研究の要旨とポイント
 〇単純なフッ化アシルを出発物質として、10種類以上の複雑なフッ化アシルを得ることに成功し、フッ化アシルをフッ素源として利用できることを示した。
 〇フッ素を含む有機化合物は医薬や農薬などの幅広い機能性材料に活用されているが、現在フッ素源として用いられる化合物は毒性や腐食性が強いため、取り扱いやすく反応性の高いフッ素化剤の開発が待たれている。
 〇本研究で見出した現象に基づいた触媒設計や反応設計を行なうことで、これまでにない新しいフッ素分子の合成方法を提供できる可能性がある。
 フッ素原子は全ての元素の中で最大の電気陰性度を持つことなどから、有機化合物にフッ素原子を導入することで、化学・物理的性質や、生理活性に影響を与える。そのため、フッ素を含む有機化合物は医薬や農薬などの幅広い機能性材料に活用されている。フッ素を含む有機化合物は自然界にはほとんど存在しないため、合成においてはフッ素化が必要となる。しかし、フッ素源として用いられるフッ素ガスやフッ化水素は毒性や腐食性が強いため、取り扱いやすく反応性の高いフッ素化剤の開発が待たれる。
 研究グループはこれまで、RC(=O)Fの化学式で表される「フッ化アシル」という化合物群に着目し、研究開発を進めてきた。今回の研究では、パラジウム触媒によるフッ化アシルの炭素-フッ素結合の可逆的な切断と形成を介して、より複雑で付加価値の高いフッ化アシルを得ることに成功した。
 本成果はフッ化アシルをフッ素源として利用できることを実証したという点で、非常に示唆に富んでいる。将来的には、今回見出した現象に基づいた触媒設計や反応設計を行なうことで、これまでにない新しいフッ素分子の合成方法を提供できる可能性がある。
 研究の背景
 フッ化アシルRC(=O)Fは安定性や反応性などが独特であることから、近年、遷移金属触媒による反応に注目が集まりつつある。フッ化アシルはR+、CO、F-の3つの合成フラグメントに分けることができるが、これまでに、炭素骨格("RC(=O)"あるいは"R")の部分の、有機もしくは有機金属系求核剤(電子密度が低い炭素などの原子に反応し、結合を作る物質)を介したクロスカップリング反応に関する研究が数多く報告されている。
 しかしその一方で、フッ素("F")の部分はフッ化アシルを特徴付ける重要な官能基であるにもかかわらず、フッ素部分の反応についての研究は非常に少ないのが現状である。そのため、これまではフッ素部分は生成物に残すことができず、廃棄物となっていた。
 研究グループは、このフッ素部分を活かした有機合成反応の実現を目指し、研究に取り組んできた。今回の研究では、荻原講師らがこれまでに発見した0価のパラジウム触媒によるフッ化アシルの炭素-フッ素結合の可逆的な切断と形成を基盤として、フッ化アシルのこれまでにない合成方法を開発することを目的とした。
 研究の詳細
 研究グループはまず、フッ化ベンゾイルと無水安息香酸は、フッ化アシルと酸無水物と同様の反応進行を示すという作業仮説に基づき、フッ化ベンゾイルと3,5-ジメチル-無水安息香酸を出発物質として、反応条件の最適化を行った。その結果、二座ホスフィンを配位子(特定の受容体に選択的に結合する物質)とした場合は概ね良好な触媒反応を示したが、反応性や入手容易性などを考慮した結果、DPPBを配位子として用いることにした。反応温度および無水安息香酸の量についても検討し、無水安息香酸をフッ化ベンゾイルの3倍量で80℃という条件で、収率71%を達成した。
 次に、得られた最適化条件の下で、パラジウム触媒によるフッ化アシルの生成という観点から、基質適用範囲の探索を行った。その結果、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)/DPPBを触媒とした際、多様なフッ化アシルが生成された。ベンゼン環の4位には、メトキシ基、チオメチル基、ハロゲン基など、電子供与基と電子求引基の両方があり、これらは触媒条件下でも耐性があり、フッ化アシルを生成した。
 生成されたフッ化アシルのいくつかについては、アシル交換反応についても調べたところ、4-メトキシベンゾイルフルオリドは3,5-ジメチル-無水安息香酸のフッ素化に対する反応性は低く、電子求引基を持つフッ化ベンゾイルおよび2-ナフチルフルオリドでは反応性が高く、43~70%の収率を達成した。
 研究を行った荻原講師は「本反応では、入手することが容易なフッ化アシルを出発物質として、より複雑なフッ化アシルを得ることができるため、フッ化アシルにより一層の価値を付加するものです。また、本成果はフッ化アシルをフッ素源として利用できることを実証したという点で、非常に示唆に富んでいます。今後、本研究で見出した現象に基づいた触媒設計や反応設計を行なうことで、これまでにない新しいフッ素分子の合成方法を提供できる可能性があります。」として、応用への期待を示している。
 ◆アシル基
 アシル基(アシルき、英:Acyl group)は、オキソ酸からヒドロキシル基を取り除いた形の官能基である。有機化学では、「アシル基」と言えばふつう、カルボン酸からOHを抜いた形、すなわちR-CO-というような形の基(IUPAC名はアルカノイル基)を指す。ほとんどの場合、「アシル基」でこれを意味するが、スルホン酸やリン酸といったその他のオキソ酸からでもアシル基を作ることができる。特殊な状況を除いて、アシル基は分子の一部分となっていて、炭素と酸素は二重結合している。
 アシル基を含む化合物として、塩化アセチル (CH3COCl) や塩化ベンゾイル (C6H5COCl)といったハロゲン化アシルが知られている。これらの化合物はアシリウムカチオンを与えるので、他の化合物をアシル化する試薬としても用いられている。 アミド (RC(O)NR2)やエステル (RC(O)OR’)、ケトン (RC(O)R) やアルデヒド (RC(O)H) もアシル基を含んでいる。

 今日の天気は晴れ。10時頃、お日様が出ているが、小雨が降った・直止んだ・・天気雨;狐の嫁入り。
 出たり、降ったりの空、散歩で見つけたイベリス。花は径1cm位の白い4弁花、外側の2枚が大きく、内側の2枚が小さい。この小さい花が、纏まって半円球の様になっており、庭一面に白い絨毯の様に広がっている。
 イベリスは地中海沿岸(南欧・北アフリカ・西アジア)に20~30種が分布すると言う。種には、毎年開花する多年草と花後に枯れる一・二年草がある。
 名(イベリス)の由来は、イベリア(半島)に多く自生していたからと言う。因みに、イベリアはイベリア半島の国、特にスペインの別称である。
 イベリス
 別名:屈曲花(まがりばな)
 別名:キャンディタフト(Candytuft)
 学名:Iberis sempervirens
 アブラナ科イベリス属(マガリバナ属)
 秋まき一年草・多年草
 原産地は地中海沿岸、明治初期に渡来とされる
 開花期は4月から6月
 花は4枚の花弁を持ち、。花は小さいが、この小花が多数集まって大きな花房となっている
 花を咲かせた茎は太陽の方に向いて曲がりやすい性質がある
 花色は白が多く、ピンク・赤・紫などがある


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