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室温で光を照射して粘弾性を可逆的に制御できる易加工性のポリマー材料を開発

2018-12-26 | 科学・技術
 産業技術総合研究所機能化学研究部門バイオベース材料化学グループ伊藤祥太郎研究員とスマート材料グループ秋山陽久主任研究員は、室温下、光を照射するだけで、粘弾性を可逆的に制御できる易加工性のポリマー材料を開発した(11月27日発表)。
 開発した材料は、光応答性部位を持つポリマーで、通常のプラスチックと同様に、加熱成形によりフィルム状などの任意の形態に加工できる。また、紫外光を数分間照射すると柔らかくなり、可視光(緑色光)を数分間照射すると硬くなるという性質を持ち、この軟化と固化のサイクルを繰り返すことができる。材料全体または表面が柔らかい状態では、材料の粘着性(接着性)や摩擦力、材料の衝撃吸収性がより高く、これらの特性を光照射により可逆的に変化させることで、光機能性材料としての応用が期待される。
 開発では、光応答性を示し、加熱成形加工できるポリマーを作製するため、光応答部位を持つポリマーと汎用(はんよう)ポリマーのブロック共重合体化を行った。作製したポリマー材料は常温で固体であるが、120度以上の加熱により成形でき、支持材が不要な自立性のフィルム(膜厚10μm~)に加工することができた。このフィルムに、紫外光(波長365nm)と可視光(波長520nm)をそれぞれ数分間照射すると、光応答部位の構造変化に伴って、加熱せずとも可逆的に液化(軟化)-固化を繰り返すことができた。
 このフィルムの軟化過程では、硬さの目安である貯蔵弾性率が最大で100分の1に低下する。このとき、ポリマー表面は、光照射とほぼ同時に軟化し始め、1分以内に弾性率が大きく低下した。この粘弾性特性を利用すれば、接着力を可逆的に制御でき、繰り返し着脱できるスマート接着剤テープの実現が期待できる。
 ◆粘弾性
 粘性と弾性の両方を合わせた性質。一般に、粘性は液体の性質、弾性は固体の性質を表す。特にプラスチックやゴムなどの材料は、粘性と弾性の両方の性質を併せ持つことが多い。
 ◆ポリマー
 高分子ともいう。大きな質量をもつ有機化合物で、小さな繰り返し単位(モノマー)が多数つながった構造を持つ。
 ◆スマート接着剤
 熱や光、圧力など、外部からの刺激により、材料の持つ何らかの機能を制御することができる材料をスマート材料と呼ぶ。ここでは、通常は変化させることが難しい接着力を、光で可逆的に制御できる接着剤をスマート接着剤と呼んでいる。
 ◆歩留まり
 主に製造業において、生産した製品中の合格品の割合。生産性や効率性の目安となる。
 ◆リワーク性
 接着剤では、貼り付けたり、剥がしたりを繰り返しできる性質。これを利用して、製品中の部品の位置修正や交換が可能。
 ◆軟化点
 固体の物質が温度の上昇によって軟化し始めるときの温度。高分子は明確な融点を持たないことが多いため、軟化点が加工の際の目安となる。
 ◆汎用(はんよう)ポリマー
 価格が安く、工業的に広く用いられているポリマー。ここでは、粘着剤に用いられているポリマーの一種を利用した。
 ◆ブロック共重合体
 異なる2種類以上のポリマーが、1分子内で結合した構造のポリマーの総称。
 ◆貯蔵弾性率、損失弾性率
 動的粘弾性測定から求められる材料の弾性(硬さ)と粘性(柔らかさ)の指標。貯蔵弾性率は弾性成分に相当し、損失弾性率は粘性成分に相当する。貯蔵弾性率>損失弾性率のとき、その物質は固体状であり、貯蔵弾性率<損失弾性率の場合、その物質は液体状である。

 今日の天気は晴れ~曇り。風は弱く、最高気温が10℃ほど。この時期にしては”あたたかい”。でも、今週末からとても寒くなる予報・・。
 この季節には、いつも緑の木々が欲しい。散歩で、出会うのは”マサキ”の街路樹(垣根)だ。
 ”マサキ”に実(朔果:さくか、乾性の子房の発達した果実、熟すと割れて種を撒く)が付いている。花は6・7月頃咲くが小さくて淡緑白色なので目立たない。果実は秋に熟し、裂開して橙赤色の仮種皮におおわれた種子が見える。これがとても可愛い。
 マサキは常緑なので、”マサオキ(真青木)”から”マサキ”となったと言う。刈込みに強く、密生し、大気汚染や潮風にも比較的強いので生垣・庭木などに使われる。
 マサキ(柾、正木)
 ニシキギ科ニシキギ属
 耐寒性の常緑低木
 原産地は極東アジアの日本・朝鮮・中国
 開花時期は6月~7月
 花は径7mm程の4弁花、花色は淡緑白色
 果実は朔果で、径5~8mm程の球形
 熟すると果実は3~4つに割れ、赤橙色の仮種皮に包まれた種子が見える


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