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ホタルの光の遺伝子は遺伝子のコピーミスから

2018-10-25 | 科学・技術
 懐かしく幻想的・・初夏の夕闇に光を放ちながら舞うホタル。
 ホタルの発光は、ルシフェリンを基質としたルシフェラーゼ酵素による、酸素とATPを使った触媒反応により生み出される。この仕組みを使った発光技術はバイオテクノロジーの世界においても広く活用されている。しかし、ホタルがいつどのように「発光」という新規機能を獲得し進化してきたのか、その過程と遺伝基盤は不明だった。今回、日米の共同チームは2種のホタル(ヘイケボタルとフォティヌス・ピラリス)と、その近縁種のヒカリコメツキのゲノムを解読し比較することにより、発光の進化を紐解くことに成功した。
 国際的な共同研究チームは、基礎生物学研究所重信秀治准教授、中部大学大場裕一准教授、別所学博士(現所属:米国モントレー湾水族館研究所)の日本の研究グループと、マサチューセッツ工科大学 (MIT) の Timothy R. Fallon氏や Jing-Ke Weng 准教授らの米国の研究グループ。
 日本の研究グループは、 「ヘイケボタル(学名:Aquatica lateralis)」のゲノムの解読に成功した。米国の研究グループは、北米産ホタル「フォティヌス・ピラリス(学名: Photinus pyralis)」 のゲノムを解読した。ヘイケボタルのゲノムは9億塩基対、フォティヌスのゲノムは4億7千万塩基対のDNAから構成されており、その中にそれぞれ約1万5千個の遺伝子を同定した。
 ヘイケボタルとフォティヌス・ピラリスはともに甲虫の仲間でホタル科に属し、分岐年代は約1億5百万年前と推定されている。共同チームは日米のホタルゲノムを比較することにより、ホタルの発光の進化過程の理解を目指した。
 ホタルの発光は、ルシフェラーゼと呼ばれる酵素がルシフェリンを基質として、酸素とATPを使って光を発生することがすでに明らかになっているが、今回のゲノム解析によりルシフェラーゼ遺伝子がどのように生まれ、どのように変化を遂げてきたか、その過程が明らかになった。
 ルシフェラーゼ遺伝子の起源は、光らない生物でも普遍的に持っているアシルCoA合成酵素と呼ばれる脂肪酸代謝酵素の遺伝子であること、この遺伝子が何度も重複を繰り返しそのひとつが発光活性を持つルシフェラーゼに進化したことが明らかになった。遺伝子重複を繰り返した形跡が、ヘイケボタルとフォティヌスの両方のゲノムに共通に残っていた。さらに、ルシフェラーゼはもう1度遺伝子重複を起こし、ひとつはホタルの成虫の発光器官で、他方は卵と蛹で発光するように進化した。この特徴もヘイケボタルとフォティヌスの両方に共通にみられることから、これら脂肪酸代謝酵素遺伝子の高度な重複とルシフェラーゼ酵素遺伝子の1回の重複のイベントは、ヘイケボタルとフォティヌスの共通祖先で1億5百万年以上前に起こったと解釈することができる。
 また研究チームは、プエルトリコ産ヒカリコメツキの一種(学名:Ignelater luminosus)のゲノムも解読した。ヒカリコメツキはホタル科に近いコメツキムシ科に属し、ホタルとは1億1500万年前に分岐したと推定されているが、発光の進化がホタルとヒカリコメツキの共通祖先で一度起きたのか、それとも独立に進化したのか、専門家の間でも長い間論争になっていた。ホタルとヒカリコメツキのゲノムを比較した結果、ヒカリコメツキのルシフェラーゼも高度に重複したアシルCoA合成酵素を起源としているものの、ホタルとは独立に発光の能力を獲得したことが明らかになった。
 このように、ホタルやヒカリコメツキのルシフェラーゼの発光進化においては、遺伝子の重複が鍵だったと言える。
 ◆ヘイケボタル
 ゲンジボタルと並んで日本を代表するホタル。北海道から九州まで広く分布し、幼虫は水田などの水の中で生活する日本の里山環境によく適応した生態を持っている。近年、開発や里山環境の変化によりその数が減少しつつある。
 今回のゲノム解析に用いたヘイケボタルは、桐蔭学園高校の生物教諭、池谷治義氏から提供を受けた。このヘイケボタルは、池谷氏が1990年に横浜市で採取した個体を30世代以上も近親交配を重ねて確立されたほぼ純系の系統。今回、Ikeya-Y90系統と名付けられ、現在、桐蔭学園高校、基礎生物学研究所、中部大学の3ヶ所で維持されている。
 ◆ヒカリコメツキ
 コメツキムシ科の昆虫には発光する種類がいくつか知られており、一般にヒカリコメツキと呼ばれる。分布は、中米から南米およびメラネシアの一部の島。ホタルとは異なり前胸背側と腹部に発光器がある。
 ◆遺伝子重複と生物進化
 生物進化において、遺伝子の重複が重要な役割を果たしていると考えられている。重複した遺伝子の一方は機能的制約から解放され、突然変異が蓄積する。多くの場合、突然変異が蓄積した遺伝子は、機能が失われ偽遺伝子化し消失するが、新たな機能を獲得したり(neofunctionalization)、機能が特化したり(subfunctionalization)することがある。
 今回のホタルルシフェラーゼの例では、重複したアシルCoA合成酵素から発光という新規機能を獲得したのがneofunctionalization、ルシフェラーゼが2つに重複して、一つは成虫発光器もう一つは卵・蛹で発光するように機能が特化した過程がsubfunctionalizationに相当する。
 ◆RNA-seq
 次世代DNAシーケンシング技術を用いた、網羅的遺伝子発現解析の手法。

 秋晴れの朝だ。風もなく穏やか。
 今年も見えた、丘陵地にある住宅地の道での”マメガキ(豆柿)”。道肩の下が3m程低くなっているので木の中頃が目の高さとなっている。だいぶ落葉したが、まだ葉が残っている。果実が沢山付いている。熟している様に見えるが、まだ渋い・・そんなには甘くなかった。
 昔は”マメガキ(豆柿)”の未熟果で柿渋を採取したと言う。今は柿渋を使わない・・昔話となる。信濃柿(しなのがき)の別名があるが、柿渋を採るために信濃国(現在の長野県)で多く栽培されたからと言う。
 マメガキ(豆柿)
 別名:信濃柿(しなのがき)、葡萄柿(ぶどうがき)
 カキノキ科カキノキ属
 落葉小高木
 雌雄異株
 (ヤマガキの改良で出来た食用の柿は雌雄同株)
 東北アジア原産、古くに中国から渡来
 開花期は6月
 花は長さ約5mmの釣鐘形、上が4裂して反り返る、花色は淡黄白色
 果実は径1.5cm位の液果で、熟すと黄色(柿色)から黒紫色となる

 


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