アルプス氷河から75年ぶりに遺体が発見された。
こんな報道を目にすると冒険家・植村直己(享年43)を思い出す。
今回発見されたのは1942年8月15日に行方不明になったスイスの夫婦。
日本ではガダルカナル、ミッドウエー海戦の太平洋戦争真っ只中。
夫婦は、飼っていた牛の放牧中にクレバスに転落。
当時、夫40歳、夫人37歳。
リュックサック、水筒、本、時計などの遺留品から判明した。
夫妻は7人の子だくさん。
7人のうち娘2人が存命している。
生きていれば夫妻は115歳と112歳。
現場は標高2615メートルのスキーリゾート地。
2人の上をスキー客が歓声を上げ滑っていたのだと、思うと切ない。
凍結状態だったので、保存状態は良好だ、という。
2人の遺体は寄り添うように眠っていた。
助けが来ることを祈って、凍死しないように抱き合っていたのだろう。
アルプス氷河では珍しくない。
2年前の15年、日本人二人の遺体が45年ぶりに発見された。
その時は標高2800メートル付近。
地球温暖化で氷河が後退しているのも、発見される大きな要因。
遺体は凍っているため、いずれも保存状態がいい。
こういうニュースに触れると思い出すのは植村直己。
北米大陸マッキンリーで84年2月、遭難。
未だに遺体は発見されていない。
私の報知在籍10年目だった。
登頂後、植村の通信が途絶えた。
それからというもの約1ヶ月。
深夜2時まで編集局員は待機、待機の毎日。
遺体発見に備えた。
すでに遭難死の紙面は出来上がってもいた。
後は発見時刻や追悼コメントを放り込むだけ。
無事を祈りながらも、裏側で新聞社は…。
因果な商売でもある。
で、マッキンリーの氷河(あるのか?)のクレバスもむき出しにならないか?
植村の遺体発見ともなれば、大大ビッグ仰天ニュースなのだが。
26年前の91年、5300年前の青銅器時代の人類が発見された。
そのミイラは「アイスマン」と名づけられた。
NHKスペシャルで13年に放映され驚かされた。
氷河期を生き抜いてきた人類。
温暖化で、あちこちから顔を出してくれるかもしれない。
人類だけではない。
シベリア凍土ではマンモスが続々。
氷河には生物が凍結保存されている。
アルプスの遺体発見でいろんなことが思い出された。
氷河は、夢とロマンと歴史、そして「命」の宝庫でもある。
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