台湾には分野を問わず,多くの研究者が日本からやってきているようです.
他分野のことはよくわかりませんが,生態学関連については思うところがあるのでちょっと感想を残しておきたいと思います.
台湾はその気候的・地理的条件から日本本土や南西諸島との比較研究をする上ですばらしいフィールドのようです.
あるタイプの研究者は,台湾の研究者の助けも借りずに独力で縦横無尽にサンプリングにでかけているようなので言うことないですが(違法な生物多様性資源の持ち出しで警察や税関につかまらないことを願います),また別のタイプの研究者は当然台湾側に協力者がいるわけです.つまり「共同研究者」ということです.しかし,ほんとうに共同研究と呼べるのか,もしくはもっと打算的だとしてもちゃんとギブアンドテイクになっているのかもう一度考えてみてください.台湾で一般に研究業績や国際的活動として正当に評価されるのはは主に以下のどれかです.
*第一著者か責任著者としての論文(できればSCIジャーナルに)
*台湾(もしくは日本)での正式な(=なんらかのプログラムが用意されている)シンポジウムの連名での企画や招待講演
*日本側の研究計画書になんらかの肩書きで正式に名前が載っていること
*台湾側のPIや学生が日本のサマースクールなどに参加すること,あるいはその逆
*大学間協定,単位交換, 台日合同サマースクールなど
著者が5人も10人もいる論文の真ん中へんに名前をいれて,「共同研究」しているつもりになるのはやめてください.単なる共著論文は,台湾での研究費獲得にはほとんど役に立ちません(シビアに割り引かれます).調査の合間に非公式なセミナーや研究打ち合わせをしても,それも記録には残りません.とりあえずでも記録に残る「プログラム」を用意するのがよいと思います.
多くの場合,単に日本側が鈍感なだけだと思います.しかし鈍感は罪です.そんなつもりはなくても,台湾の自然が持つ生物多様性資源や優秀な教員・RA・学生の貴重な時間や知識を「収奪」(もっと丸い言葉で言えば,「タダ乗り」)していることになっているかもしれません.
台湾側の好意に甘えた状態での「共同研究」は,持続可能な関係とは言えません.短期的には日本の科学者のイメージを損なうことになるかもしれません.
現地採用で日々格闘している教員や博士研究員の足をひっぱるのはやめてください.
ところで直接関係ありませんが,いま台湾で大人気の野球映画の予告編,予告編だけで泣けます.日本では来年公開だそうです.