臺灣と瀬田で數理生態學と妄想

翹首望東天, 神馳奈良邊. 三笠山頂上, 想又皎月圓(阿倍仲麻呂). 明日できることは今日しない

権威の呪縛

2024-10-23 14:15:48 | 研究

私が嫌いなもの(自戒も含めて):

 

・国際学会に参加して有名人に出会い一緒に写真を撮って喜ぶ、あるいは著書にサインしてもらって喜ぶ

そもそもその精神性が分からない(はずかしい)

・有名人の書いた論文で引用数が1,000回を超えているからよくわからないけど引用する

論文読まずに引用とかありえない(あたりまえ).理解できないものを引用する(はずかしい)

・有名人に発表面白かったって褒められて喜ぶ

そりゃうれしい(けど、理由がはずかしい)

・自分の分野とあんまり関係ないけど有名な研究者の発表だからとりあえず聞きに行く

そもそもその精神性が分からない(はずかしい)

・(同分野の研究者が書いた)マニュアル本を盲信する

(自分の分野の研究者なのだから)著者の論文を読んで退屈だったらどうするん? 退屈かどうか「主観的な」判断ができない(はずかしい)

・自分で企画した集会で総合討論のときに偉い人に意見を聞く

はずかしい

 

 

 

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ちゃんと隣国の人権や多様性も尊重してほしい

2024-10-05 20:55:01 | 日常

ある本に明確に言語化されていたので非常に腑に落ちたことがあります。

もうすぐ辛亥革命の日が近づいてくるのでSNSでちらほら見かけることがあるのですが、自国の民主主義・自主独立を守るために、自らの政党が標榜する国内ポリシーとは真逆なようなポリシー(基本的人権軽視、外国人排斥、反多様性、反知性など)を持つ隣国の政党・政治家と仲の良い感じを出すのをやめてほしい(もちろん、基本的人権や憲法重視を掲げる政党・政治家がこの国を実質無視していることの裏返しでもありますが)。それって太平洋の向こう側にある超大国が民主主義・自由主義の維持拡大という建前のもと、冷戦期に独裁制系や軍事政権などをサポートしていたのと同じ薄暗さを感じます。

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研究の誠実さ(research integrity)について

2024-10-04 19:30:53 | 研究

月並みの研究者なので、google scholarの自分のページとかで引用数とかエゴサしてしまうわけです 時々。
それであんまり引用されていない論文が最近でも引用されていると嬉しいわけです。ただ、暇だとどういう風に引用されているかまで気になりますよね。たいていの場合、結構どうでもいい引用のされ方をしているのでちょっとがっかりするわけですが、別にそれだけで感情には波風は立ちません。

 

しかし、マイコループに関する数理モデルに関する論文が以下の二つに引用されたのですが、引用のされ方がとても対照的だった(かつ片方は波風が立つ感じだった)ので思わずこのポストを投稿してしまいました。

引用先は、どちらも応用数理の雑誌です
Mycoloop: Modeling phytoplankton–chytrid–zooplankton interactions in aquatic food webs - ScienceDirect
Phytoplankton-chytrid-zooplankton dynamics via a reaction–diffusion–advection mycoloop model | Journal of Mathematical Biology (springer.com)

一方では、過去のモデリングの枠組みを懇切丁寧に説明する部分で非常に誠実な形で引用されていました(自分が論文を書く時もこうありたいと思いました)。これは、引用元に対する礼儀的なものが配慮されているだけでなく、読者がこの一連のモデルを学ぶのにとても親切なイントロとなっていました。

他方では、ある意味ちゃんと引用してくれているのですが、既存のモデルの紹介の文脈ではなく、マイコループに関する経験的(empirical)事実の根拠と読める方法で引用されていました。厳密には適切な引用方法ではありませんが、モデル研究がそのような引用のされ方をすることは多いので目くじら立てるほどのことではありません。しかし、論文中には、"There exist few mathematical models" という表現があって、この部分には引用がないことに引っかかりました。30年近く前の受験英語では、"few"は否定的ニュアンス、"a few"は肯定的ニュアンスと習ったので、そのまま盲信して自分の論文では使い分けていたんですけど(最終原稿に残る英語かどうかは別にして、苦し紛れに、There are only a few modelsみたいな書き方をすることが多いです)、実際は中立的なニュアンスにもなるんですかね? 私の論文では大部分の結果が数値計算に基づくものなので、"There exist few mathematical analyses"とか"Mathematical analyses remain unexplored"なら100%納得するんですが、これは誠実性が低いなと感じました。

著者たちが意図的にこの表現を使ったのかどうか知る由もありませんが、そもそも、応用数理系の雑誌なのでモデルの新規性よりもどこまで解析的に挙動を理解できるかの方が評価されるはずで、実際、過去の研究と同一ではなく新規な点があるモデルであり、かつ、がっつり定理・証明を提示している論文なんです。したがって、わざわざほかのモデルの存在を隠すメリットが小さいと思うんですよね。

こういうことを自分ではしたくないなと思う一方で、きっと過去の自著をくまなくチェックしたら同じことしていそうで怖いです。あと、今書いている論文、意図的に先行論文の一部の引用の仕方をあいまいにする方向で進めているんです。引用しないわけではないのだけど、自分の論文での中心テーマとその論文での周縁的な内容をガチンコで比較すると批判的な言説を加えないといけないような状況にあります。ただ、それらの論文の内容を直接批判しなくても自分の論文での提案を正当化できるので、そのような批判をしない決断に傾いています。これって、誠実性に欠けているんですかね? ただ、それらの論文の著者を査読者推薦リストに入れる予定なので、著者たちが判断すればいいのかなというところで止まっています。サークル内の人が読めば直接的な表現がなくてもわかるからいいと思う一方で、サークル内に入らないと真意が伝わらないような文脈依存的な論文ではなく、新規参集者に優しい開かれた論文を目指してもいる内容なので、とても難しいです。

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Rではじめよう! 生態学・環境科学のためのデータ分析超入門

2024-06-14 17:40:21 | 研究
RとRStudioをうまいことインストールするためのPC/Macの設定の仕方が分かって、エクセルでのデータの整理整頓の仕方から単純な可視化からt検定・分散分析・一般線形モデルを経て多変量解析ができるまでになる、さらに初学者がやる気を無くすきっかけとなるような頻出エラーへの対処法もばっちり書いてある、そんなデータ分析の教科書があるといいですよね。
しかも最後まで読めばこの先教科書に頼らずとも自分で次から次へと新しい手法が学べる独学スキルまで身につくとしたら(そんなことしたらほかの本が売れなくなる)?
それでは、みなさん買ってください。「Rではじめよう! 生態学・環境科学のためのデータ分析超入門」(6月28日発売)。
さらにさらに、書籍の中で使っているデータとスクリプトファイルはすべてサポートサイト(https://tksmiki.github.io/eco_env_R/)で公開しました。

Rではじめよう! 生態学・環境科学のためのデータ分析超入門 - 共立出版 (kyoritsu-pub.co.jp)
 
 
 
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過去の公募の募集案内の保存場所

2022-05-21 06:52:51 | 研究

昨年度、所属先では生態学に関する二つの公募を出しました。おかげさまで大変多くの方に応募していただきました(応募していただいた方には何人の応募があったか、最終的にお伝えしました)。応募してくださる側の準備の手間が少しでも減るような内容、着任後の業務内容・待遇ができるだけ伝わる内容に努めました(私自身は、2011年ころから2017年ころまで大学教員のポジションを探す側でした)。教育業務や運営業務の多い私立理系学部で要求される能力は研究中心の大学とはだいぶ異なるで多少ややこしい情報の提供を求めていますが、それ以外の部分は他の大学でも参考になるのではないかと自画自賛しています。大学やJRec-inの求人ページは募集期間が終わると消えてしまうので、このブログに残しておきます(一部編集済みです)。「形式自由・Researchmap参照可・メール応募・面接の旅費支給・希望に応じて待遇の詳細提供」を(採用側の)アピールポイントとしました。


1. 求人内容

【募集人員】
准教授または講師 1 名
【専門分野】
****
【担当科目】
***等、生態学に関連する講義・演習科目
【所属】
龍谷大学先端理工学部 環境生態工学課程
【勤務地住所】
***
【着任時期】
***年** 月** 日
【勤務形態】
常勤(講師・准教授の定年は**歳、教授の定年は** 歳)
【募集の詳細】
龍谷大学先端理工学部・環境生態工学課程では、人と自然が共生できる持続可能社会を構築していくために、生態学に立脚した自然の理解と環境工学に基づく課題解決手法を深く学ぶことが可能な教育プログラムを提供しています。当課程では、環境問題にかかわる研究課題について基礎的・基盤的研究にとどまらず、実社会における多様な課題への具体的な解決策の提示までを目標に定め、その成果を学生への教育活動にフィードバックするとともに、社会へ還元する取り組みを行っています。具体的には、琵琶湖や里山(龍谷の森など)等、瀬田キャンパスの立地を活かして地域の生態系・生物多様性・社会を対象にした課題から、気候変動下における生物・生態系の応答予測等、地球規模の課題をも包含する形で多様な研究に取り組んでいます。本公募では、以下のような教育・研究能力を有し、環境生態工学課程および他課程の教職員とともに協働して教育・研究・大学運営活動に意欲的に取り組んでいただける方を募集します。

・(具体的な5項目、省略)

2.応募資格

① 博士の学位を有するか、着任までに学位取得の見込みがあること。
② 日本語による十分なコミュニケーションができること。
③ 本学の建学の精神を尊重するとともに、教育活動を始めとする業務に意欲的に取り組む意思を有すること。
建学の精神
https://www.ryukoku.ac.jp/about/outline/spirit.html
龍谷大学の求める教員像と教員組織の編制方針
https://www.ryukoku.ac.jp/about/outline/organaization/policy.html


3.待遇

環境生態工学課程では、各教員が職階によらず独立して研究室を運営する大講座制となっています。同時に生態学系・環境工学系の研究・教育をカバーする共有機器(共焦点レーザー顕微鏡・電動倒立顕微鏡等の各種顕微鏡、超精密天秤、リアルタイムPCR、ハイスループットシーケンサー、安定同位体比質量分析システム、 各種クロマトグラフィー、大型グロースチャンバー、龍谷の森内の実験室と観測タワー等)を教育・研究活動にご利用いただけるため、着任直後より円滑に教育・研究活動を開始していただけます。研究者としての研鑽と教育活動へのフィードバックのため、短期・長期の研究員制度も活用していただけます。また、教員の待遇・教育活動・研究活動の充実を目指して各種サポートを行っています。以下の項目については、問い合わせをいただければ、これまでの実績をもとに、一括してその詳細をお伝えいたします。


・モデル年齢・職階における基本年収および各種手当、着任時の研究室及び住居の引越費用(国内・国外)、個人研究費、学内競争資金(理工基金・国際学会補助等)
・担当授業数や複数教員による授業分担方法
・教育(講義・実習)環境・研究環境・研究室運営・大学運営業務に関わる支援体制

その他の待遇は、学校法人龍谷大学就業規則およびその他本学諸規程に基づきます。また、各種研究支援制度については以下の龍谷大学研究部のウェブページもご参照ください。
https://www.kenkyubu.ryukoku.ac.jp/guide/


4.応募・選考・結果通知・連絡先

【提出書類】
(1)履歴書・研究業績・教育の経験・研究費獲得実績
(2)アウトリーチ等の参考情報
(3)研究の抱負(A4・1頁以内)
(4)教育の抱負 (A4・1頁以内)
(5)代表論文のリスト(5編以内)
※以上の1~5についての内容をそれぞれについてまとめ、全体で一つのPDF ファイルに保存し、以下の応募書類提出先まで、メールに添付して提出してください。形式は自由です。ただし、1および2の内容について、ウェブ上(例: researchmap, ORCID)で公開している情報がある場合には、情報の公開場所を具体的にPDF 内で明記(例:「研究業績: researchmap (https://researchmap.jp/qecol/ ) 上の『論文』(https://researchmap.jp/qecol/published_papers) および『書籍等出版物』(https://researchmap.jp/qecol/books_etc) 参照、『産業財産権』に関する業績は特に無し」等と明記)していただければ、これらの文書と代替できます。なお、researchmapを1と2の情報として指定する場合には、選考側で参照するのは以下の項目です。顔写真や講演・口頭発表等の情報は必須ではありません。researchmap 上のその他の項目についても上記1~2の内容としてアピールしたいポイントがある場合は、1~2の該当箇所でその項目のURL(例:https://researchmap.jp/qecol/misc)を明記してください。


研究キーワード、研究分野、経歴、学歴、委員歴、受賞、論文、書籍等出版物、担当経験のある科目(授業)、共同研究・競争的資金等の研究課題、産業財産権、学術貢献活動、社会貢献活動、メディア報道

「5.代表論文のリスト」については、代表論文自体はそれぞれのPDF をメールに添付していただくか、ウェブ上で無料ダウンロード可能な場合はそのURL 情報を提供してください。具体的には、論文名および論文提出の方法(メール添付またはURL)をそれぞれの論文について明記して、「5.代表論文のリスト」ページを作成してください。

【応募締切】
20**年** 月** 日  24:00
【選考方法】
書類選考、および二次選考(書類審査通過者のみ)
二次選考は、環境生態工学課程の学生対象の公開セミナーと当課程教員のみが参加する非公開の面接の二部構成となります。セミナーおよび面接については、新型コロナウイルス感染症の流行程度に応じてその実施時期や実施方法を変更する可能性があります。海外から応募された方を二次選考にお呼びする場合も同様です。二次選考を対面で実施する場合の費用(国内旅費)については選考側が負担します。
【応募書類提出先および問い合わせ先】
龍谷大学 先端理工学部 環境生態工学課程
****
E-mail:****
※お問い合わせや応募書類をメールにて送信後、受信確認メールが3日以上たっても来ない場合は、メールの確認漏れ、添付ファイルが過大なための受信漏れ等の可能性があります。お手数ですが添付ファイル無しで再度メールにてご連絡ください。
※代表論文の一部として書籍等を郵送されることはお控えください。
※応募に際してご提出いただいた個人情報は、本学規程にしたがい適切に管理し、選考及び採用の目的以外には使用いたしません。
(一部略)
※龍谷大学は重点施策としてグローバル戦略を掲げており、国際化に資する教育のさらなる充実に取り組んでいます。またSDGs に取り組む大学としてジェンダー平等の実現をめざしています。環境生態工学課程内においてこれらの目標実現に向けて教育・研究を担ってくださる多様な教員を求めています。
以 上

 

 

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K値プレプリント原稿についてのコメント

2020-06-21 00:15:28 | 研究

大阪大学と九州大学の科学者によってCOVID-19の感染状況を示すK値という新指標の論文原稿が以下のようにプレプリントサーバにアップロードされています。

Novel indicator of change in COVID-19 spread status

doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.25.20080200

 

新型コロナウイルスに関する科学論文(原稿)の社会への潜在的インパクトの大きさを考慮してプレプリントサーバには以下のような但し書きがあります。

This article is a preprint and has not been peer-reviewed [what does this mean?]. It reports new medical research that has yet to be evaluated and so should not be used to guide clinical practice. 

DeepL翻訳にかけると以下のようになります。

この論文はプレプリントであり、査読を受けていません。この論文は、まだ評価されていない新しい医学研究を報告しているため、臨床実践の指針とすべきではありません。 

 

上の"what does this mean?"のリンクを開けばもっと詳しくプレプリントがどう扱われるべきか説明があります。関係各所の担当者の方々はこの但し書きの意味をよく考える必要があると思います。

 

しかしながら驚くことに神奈川県の新型コロナウイルス対策サイトにK値は採用されています。

https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/1369/

 

「査読を受けていない原稿に基づいて研究成果を発表したり政策に取り入れることの是非」については私は現時点で判断できません。なぜなら、これを一律に否定すると同時に「査読を受けている原稿なら科学界のお墨付きがある」と判断することは正しいとは思えないからです。現時点での私の立場は、査読ありだろうとなかろうと自分で読んで内容について判断するということです。こうやって書くと当たり前ですが、難しいですね。

そこで、このK値のプレプリント原稿を精読し、雑誌への投稿が仮にあった際の査読コメントという体(てい)でPubPeerというサイトにコメントを投稿しました。ちなみに投稿時には著者のメールアドレスを書き込めば通知メールが送信される仕組みになっており、それを利用しました。

https://pubpeer.com/publications/2D5A3D7BC3C6E9EAF6F7FEF9563C8B

なお、PubPeerも単なる情報共有サイトであり、そのFAQの一つ(以下のリンク)にあるように、PubPeer上に投稿されたコメントについてはその科学的妥当性は精査(review) されていません。ただしコメントを書き込んでから実際に公開されるまでには少し時間がかかり、罵詈雑言等がないかどうか等、PubPeerで想定されているフォーマットを満たしているかチェックされていると推察します。

https://pubpeer.com/static/faq#10

罵詈雑言禁止という意味では、以下のFAQも学ぶところが多いです。

https://pubpeer.com/static/faq#5

 

通常の論文査読課程においては複数の査読者が独立に提出した査読レポートについては、内容の形式、妥当性や重要性を担当編集者が独自に判断します。その結果として査読結果の質が低いと担当編集者が判断すれば、投稿された論文の掲載の可否決定に対する影響力は割り引かれる(ディスカウントされる)ことになります。PubPeerには担当編集者に該当する機能が存在しないため、以下のコメント(およびオリジナルの英語版)はそのような質の評価を受けていません。

以下は、PubPeerに投稿したコメントの日本語訳です(日本語をゼロから考える時間はないのでDeepL翻訳無料版にかけ、おかしなところだけ修正してます)。また※から始まる部分は日本語だけの補足部分です。

 

(※ここから)

私の専門分野は、生態学、数理生物学、環境微生物学である。以下のコメントは、数理生物学の観点からのものである。また、基本的にはPLOS ONE(https://journals.plos.org/plosone/s/criteria-for-publication)の論文掲載基準に沿って、研究の意義や新規性についての主観的な評価は含めていない。

 

全体的なコメント(※論文の査読では一般に、論文の各部分に関する個々のコメントの前に全体的なコメントを書きます)

本研究で中野氏と池田氏は、(※COVID-19の感染拡大状況を評価するための)「K値」という新たな指標を提案すると同時に、COVID-19症例数の時間発展の公開データからそのK値とその背後にある基盤的パラメータkを推定する方法を提案した。その核となる仮定は、感染個体(または感染力のある個体)の比増殖率の自然対数(すなわちln[N(d+1)/N(d)])が、一定の減衰係数kで日ごとに減少するというものである。 著者らは、以下の3つの主張を行っている。

【主張1】K値とその時系列が、COVID-19の蔓延の現状を把握し、その収束に必要な期間を、推定されたパラメータkを通して予測するのに有用である(「収束」はK値が(※数学的に)ゼロに収束していくことを表しているのではないかと推測したが、本文では著者らによって定義されてはいない)。

【主張2】K値が特定の範囲(0.25<K<0.9)では時間とともに線形に変化する。

【主張3】(※実際の日々の新規感染数の時系列データを説明するには)sars-cov-2は複数回の侵入と独立した感染拡大が生じたと推定できる。

主張2は、提案されたk関連過程の数学的な振る舞いとデータセットへの当てはめに関する(※数学的な)議論に過ぎないので、妥当であろう。実際、式1および2の仮定の下でのK値の時間に対する線形性が見られること、およびK値の低い値(<0.25)への時間発展を、線形領域(0.25 < K < 0.9)からの情報によって予測できることは、数学的に興味深いものである。しかし、提案された新しい指標「K」と、COVID-19の拡大状況を評価するための信頼性の高い既存の指標との間には妥当な比較がなされていないため、主張1は著者らの解析によっては全く正当化されていない。言い換えれば、COVID-19の拡大状況の「真の」回答を知らなければ、提案された指標の妥当性を示すことは不可能である。この「真の」回答は、機構論的モデル(例えば、SISモデル)からシミュレーションで生成されたデータセットを用いて作成することができるだろう。あるいは、推定された有効再生産数とその不確実性を 「真の 」答えの代用(※proxy)として使用することもできる。このような比較がなされていないことは、本研究の根本的な論理的欠陥であろう。また、主張3については以下の3点が本文や補足資料(※Supplemental materials)に記載されていないため、著者らの解析によっては正当化されない。すなわち、1)著者らの区画化された「SIモデル」の適切な導出、2)提案された区画化(すなわち、感受性個体数S、感染個体数I, 最終感染個体数Nについて複数の部分集団を考慮すること)の背後にある生物学的な仮定、3) モデルパラメータのデータセットへのフィッティング方法、の3項目が記載されていない。これら 3 つの項目がないため、提案された SI モデルの妥当性を損なわれており、著者らの解析の再現性も保証されない。(※著者らとは別の)少数の研究者が数学的な観点からK値の振る舞いをより深く研究しているが、そうした研究・解析は主張2の妥当性を向上させるものであるが、主張1と3とは全く関係がない。したがって、主張1と3に関連するこれらふたつの欠陥を考えると、著者の結論はその解析とデータに裏付けられているとは言えない。

 

※論文で主張されている結論が、論文中の結果[データ、データ解析、モデル等]から論理的・科学的妥当性を持って導き出せるかどうか、というのは、科学論文全般において重要な審査基準です。

 

個別コメント(※ここから先が論文の各部分に関する質問やコメントになります。投稿論文では多くの場合、原稿に行番号を載せることが要求されますがそれが今回は無いので該当箇所はわかりにくいかもしれません)

[1] 1 ページ目(序論):関連する過去の研究の情報が全くないこの序論は、標準的なジャーナル論文(※の序論)としては受け入れられない。

[2] 2 ページ(COVID-19 拡大の推移を分析する指標 K): N(d)の定義が明確ではない。基準日から d 番目の日までに感染者として検出された人の総数のように読み取れる。補足資料で提案されている筆者の「SIモデル」を確認すると、N(d)はI(d)と定義されているように解釈できる。しかし、著者はモデル式の最終版のみを提示しており、(※この最終版の方程式は)おそらく複数の生物学的過程を明示的に定式化した「元の」モデル式から数学的に単純化してパラメータ数を減らした後に導き出されたものと思われるので、N(d)の定義を(※明快に)判断することは不可能である。

[3] 2 ページ (比増殖率の自然対数 ln[N(d+1)/N(d)]が一定の減衰係数kを持つという仮定) :この仮定の背後にある生物学的合理性を説明すべきである。すべてのモデルの仮定は必ずしも機械論的に導き出される(※べき)とは限らないが、少なくとも生物学的な説明はどのような数理モデルにも必要であり、経験的なデータセットへの適合性の良さはモデルの仮定の妥当性を保証する必要条件でも十分条件でもない。

[4] 2 ページ (COVID-19 の収束とアウトブレイク):「収束」と「アウトブレイク」をそれぞれ明示的に定義し、K値とそれらの関係をより明確に議論する必要がある。

[5] 3 ページ(SI 感染症モデル):この引用文献(参考文献4)では多くのモデルが提示されているため、どのモデルが本研究で提案されているモデルと関連しているのかは不明である。

[6] 3ページ(「データを再現するためには、少なくとも4つの独立した感染源を考慮に入れる必要があることがわかった」):フィッティングの方法が再現性のある方法でうまく記述されていない。同様に、フィッティング結果の統計情報も示されていない。

[7] 4ページ(破局的な状況):著者らは、K値の傾き(K')を感染拡大状況の深刻度に結びつけようとしているが、「破局的(※カタストロフィックな)状況」が明示的に定義されていない。(※そのため、議論の妥当性が判断できない)

[8] 6ページ(「我々は、Kの値とその時間的な傾きK'が、COVID-19の拡大状況を理解するために極めて重要であることを実証した」) :この結論は、本研究で提示されたどの結果によっても、また提案されたモデルによっても正当化されない。なぜなら、本研究では病気の蔓延の重大度を定量化するために、K値と比較可能なすでに確立された信頼できる指標が使用されていないからである。

[9] 6ページ(「K値の直線性は数学的に自明なものではないが、複数の連続した感染拡大によって引き起こされる可能性が高い」):著者らがこれを主張するのであれば、モデルシミュレーションを用いて明示的に証明すべきである。

[10] Page 10 (S = N - I) : この仮定は、総人口規模が一定の標準的な感染症モデルの仮定とも参考文献(4)のモデルの仮定ともと同一ではない。Nは総人口規模であるべきであり、最終的な感染者数は一般的にNよりも少ない(※SI model, SISモデル等の二次元微分方程式モデルが一次元モデルへと縮約できることの基本的仮定を取り違えている可能性がある)。

[11] 10-11ページ(「SIモデルで単一の感染源を考慮に入れた場合、Kは単調に減少する関数である」):これは数学的には自明なことのように思われるが、この記述を検証する結果を示すべきだ。

[12] 11ページ(Eqn.3):総人口を部分集団への区画化(iというインデックスで分けられたIとNへの分離)することを正当化する生物学的仮定が記述されていない。

[13] Page 11 (Eqn.3):式3の記号aは、式1のパラメータaとの混同を避けるため、別の記号に置き換えたほうがよい。

[14] 11 ページ (Eqn.3): COVID-19の異なる(※区画化された異なる)発生源に対して共通のa値を使用するための生物学的な仮定を説明すべきである。感染パラメータ(感染率、回復率、死亡率など)について部分集団間で異なる値を持つSI(またはSIS)モデルの標準的なモデリング定式化から始めると、縮約されたモデル式(Enq.3など)のパラメータaとNの両方が部分集団(i)間で必然的に異なる値になるはずだ。

[15] Page 11 (「我々は二つの国の感染数データを説明する最適な部分集団数は4であることを見出した」) :ここでは、フィッティングの最適性の定義がなされていない。著者らがフィッティングの度合いをパラメータの数で割り引いたのか、例えばAIC(Akaike Information Criteria)で割り引いたのかが不明である。

(※ここまで)

 

 

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公募をめぐる議論に対するいろいろな思い

2020-01-29 21:14:10 | 研究

ツイッター中毒のため、数か月ごとに繰り返される公募に関する議論を見ていてモヤモヤしています。今思っていることを、応募側の主張、採用側の主張に分けて羅列します。自分の具体的な経験も吐露したいです。こういうのを飲み屋の与太話ではなく活字で残すのって怖いのですが、でも酔っ払った勢いで面白おかしく話して終わりというわけにはいかないと思うのでブログに残します。

注意1:応募側から採用側になって意見が変わったものも多くあります。採用側の実状を知ったからという要因と、身分が安定したあとの変節や保身・自己正当化という要因は自分では区別できません。このブログを読んでくれるのはほとんど知り合いだと思いますが、適宜ディスカウントして読んでもらえれば嬉しいです。

注意2:また、基本ネガティブなトーンの文章のため、ほとんど建設的な意見が含まれていません。建設的な文章を書くのがうまい人に読んでもらって、有用なところだけ参考にして、建設的な制度改正の提言などに役立ててもらえると嬉しいです。


自分の経歴と就職活動・採用活動は以下の通り。

フェーズ0:2004年からDC1、2006年3月に学位取得(京都大学)[特に公募に出すこと無し、当然採用側になること無し]

フェーズ1:2006年4月から2008年7月までJSPS特別研究員PD(京都大学)[任期無しの公募に出し続ける、当然採用側になること無し]

フェーズ2:2008年8月から国立台湾大学で助理教授で採用される(3年間は異動しないと口約束)[公募に出すのを中断、だんだん採用側になるが内情がまだわからない]

フェーズ3:2012年くらいから2018年初めまで、順調に昇進する[日本の公募に出し続ける、台湾大学での採用側としてかかわる=投票権がある状態]

フェーズ4:2018年8月から現職(龍谷大学):台湾大学で教授に昇進してこれからどんどん運営業務をすることを期待されている中一年足らずで異動する[異動予定はないので公募に出すのは終了、採用側だが新規採用の機会には出会っていない]


応募側の主張

(1)自分が応募側だった時から採用側に回った現在まで一貫して正当だと思う主張

*応募書類は簡略化すべきだ。郵送しか受け付けないのは不合理だ

*面接の旅費は採用側が出すべきだ

(2)自分が応募する側の時には正当だと思っていたが採用側に回った現在では、誤解または不当だと思う主張

*採用側は業績に対する評価を最優先に採用者を選定すべきだ 

→業績は面接に呼ぶ若干名の選定にしか使いませんし、インタビューに呼ばれた最終候補者のスタートラインは同じになると思ったほうがいいです。

*業績は論文本数や掲載雑誌のIFが大事

→採用する側は、時には「代表論文」を外部審査に回して真剣に中身を審査する場合もあるでしょう。本数が多いとかIFが高い雑誌に載っているとかは決定打にはなりません。ある程度以上そういうわかりやすい業績があるなら、別のベクトルの努力をしたほうが良いと思います。

*採用側は、もっとも”実力”のある応募者を採用すればよい

→実力って何ですか? ”実力”を客観的に判断するのは難しいです。かつ、応募者が「実力」だと思っていることと採用側が「実力」だと思っていることの間には大きなギャップがありえます。すべて「実力」で論文業績を上げてきた、と考えるのは単純すぎで、潜在的にいろいろ存在する「下駄」の中でも外に見えてくるもの(有力な指導教員、共同研究者の存在など)は当然脱がされます。

*業績数が自分より少ない応募者が採用されたのはデキ公募だったのだ 

→業績が最優先ではないので出来公募かどうかは採用者と落選した自分の業績比較では判断不能です。

*デキ公募の最有力候補の当て馬として面接に呼ばれてひどい 

→実際には最有力候補がインタビューを失敗することはよくあるので、チャンスだと思って全力を出すべきです。でも当て馬にも(にこそ)旅費を出してほしい。むしろ、セミナー講演料をもらいたいくらいです。

*個人的に声をかけられて面接に呼ばれた”デキ”公募で落ちることはない

→そういう油断が命取りです。選考側が一枚岩ではなく対抗馬がいるかもしれません。また、声をかけてくれた人だけが投票権を持っているとは限りません。ときどきドラマとかでありますが、廊下やトイレでですれ違うひと全員に投票権があるかもしれない、という緊張感が必要です。全力を出しましょう。

(3)自分が応募する側だったときから現在まで一貫して応募側の誤解または不当だと思う主張

*過去の男性優位の社会で得をしてきたシニア研究者が、その解消を若手男性に押し付けてアファーマティブアクション(女性限定公募)をするのは不当だ

→日本においてヘテロセクシュアルな男性はここ何世代かにわたって社会のマジョリティーであり続け、したがって社会の仕組みはこのマジョリティーが生きやすいようにできています。したがって、意識しようがしまいが現時点で成人している男性で少なくとも博士号をとろうなどという高学歴な層に限って言えば男性としての下駄をはいていると考えざるを得ません。ここでは男性内部での権力構造やマイノリティーの問題には立ち入りません。

→そもそも採用側は世代の離れた「シニア」だけではありません。応募側と同世代の教員すらアファーマティブアクションに賛同する人が少なくないことが何を意味するか考えてほしいです。

→”実力”(って客観的に測れると思いませんが、CVに書かれている内容と仮定)が同一であれば、男性候補者の方に対して、より優秀・独立性が高い等、高い評価を無意識に与える傾向があります(無意識のバイアス)。

→男性がほぼすべてを占める採用側がバイアスなく選考できるはずがなく、その補正のためにはアファーマティブアクションは合理的であると考えます。

→応募者の方も”実力”が同一であれば、男性のほうが女性よりも自己評価や自己肯定感が高く、これも他人への評価に影響するでしょう。研究者個人の自己評価やその外への投射・プレゼン能力とは独立に「研究の質」だけを客観的に評価できるほど、研究者の見る目は肥えていないでしょう。

→採用側としては、「選考の公平性」はたくさんの方に応募してもらうために常に高く保つ必要があります。しかしながら最優先事項ではないのです。採用側は組織にとって有用な候補者を採用したいのであって、百万歩譲って若手男性に不利だとしても、アファーマティブアクションが組織の多様化にとってプラスであれば公平性よりも組織への利益が優先されることには合理性があります。したがって、自分が組織にとってどう有益かを書類や面接でアピールするのが大事です。

 →ツイッター等で躊躇なく女性限定公募や女性限定入試を批判する方がたくさんいます。これは差別の歴史や現状や多様性の重要性について少しでも勉強した上での意見表明ですか? 知識だけでは人の意識は変わらないという現実を思い知ると同時に、情報検索能力に秀でているべき博士課程の学生や博士持ちがそういう発言をしているのを見ると科学者としての能力や品格を疑いたくなります。「大学進学率」「男女平均給与」等でggrks

*業界が腐っていて今更正論を並べられても全く信じられない

→私は強運の持ち主というかそういう業界に所属したことがありませんが、おっしゃるとおりかもしれません。しかし、応募側の立場にいる限り抜本的な改革はできません。安全地帯に早く逃げて生温かく見守るか、外から改革しましょう。本当に若い人たち(学部生や収支学生)は自分がやりたいことを盲信するのではなく、ヤバいシグナルを漏らさないようにしましょう。講義担当の教員が偉そう、学会で口頭発表するのは教員ばかり、研究室の業績リストで著者リストの長い有名雑誌にしか論文掲載がない、等々の観察をすれば、その分野での権力構造や研究における自由度、労働集約度などが何となくわかるはずです。先輩からの噂話も重要な情報元となります。気づくのが早ければ早いほど、他の分野への移動が容易になると思います。腐っているところからは逃げましょう。

これは公募の問題というかアカハラの問題ですね。私はすべての分野あるいは研究室が等しく(もしくはランダムに)腐っているとは思いません。研究費の多寡も一様でもランダムでもありません。そしてこの二つの間に何ら関係がないとも思いません。研究がキラキラしている、研究費がたくさんあるという理由を最優先にした選択は、ランダムな選択に比べても危険性が高いと思います。お金は低賃金長時間労働のような理不尽を解決してくれる素晴らしいものですが、度が過ぎれば個人の欲望の増幅装置として牙を剥くと思います。


 採用側の主張(事情)

(1)自分が応募側の時には不当だと思っていたが採用側に回った現在では正当だと思う主張

*選考委員会の中で個人的に誰も知らない候補者は怖くて採用できない

→大学は研究と全く関係ない業務がたくさんあります。そういう業務を人並みにやらない人はほんとに他の教員や学生に負の影響が大きいです。それは、仮にそうした人が何億も外部資金を持って来てもベクトルが違うので(その資金を教育や業務に回せるわけではないから)、負の影響は全く補完されません。

(2)自分が応募する側だった時から現在まで一貫して正当だと思う主張

*論文リストだけでは応募者を評価することはない

→学会活動等、組織のために働く能力があるかも重要です。学会内の小規模なシンポジウムも開催したことが無い、非常勤講師の経験が無いなどは、マイナス評価から始まります。ただ同時に、シニア側がそういう脅し文句で若手に無償労働や低賃金労働をさせるのには断固反対です。

(3)自分が応募する側だった時から現在まで一貫して不当だと思う主張

*組織が財政難なので面接の旅費や応募書類の印刷費用がない

→少なくとも定年によって空くポジションの応募は何年も前から分かっているのだから、予算を確保しておくべきだと思います。

*業績よりも人物が大事

→「人物が大事」はその通りだが、それをこれまでの個人的関係や面接での言動から、赴任後のふるまいを正確に推定するのは不可能だと思うので、そういう理由で業績が著しく低い応募者を高く評価するのは説得力がありません。

*女性は子育てが大変だから採用後にパフォーマンスが下がったり業務が全うできないんじゃないか

→そういうこと言う人、思っている人、、確実にいます。これもアファーマティブアクションが必要な理由の一つです。かつ、子育てや介護等を邪魔するような時間に会議を開かないようにしましょうよ。弊学部、今年度から私用でも教授会を欠席(退席)できるようになりました。自慢です!

*採用になっても引っ越し費用が出さないのは当然

→出すのが当然ですよ。現職地は出ました。

*4月1日からしか採用しないのは当然

→いや、なんとかしましょうよ。採用側が絶対、みたいな組織は滅べば良いです。

*最初の給与が不明

→引越しにいくらかけていいのか、家賃をどの程度にすればいいのか、新たに買う家具や電化製品にどれだけお金をかけれるのか等の人生設計が全くできません

(4)自分が応募側の時には正当だと思っていたが採用側に回った現在では不当だと思う主張

*採用は業績に基づいて行うべきだ

→応募側にはなんて耳心地のいい言葉でしょうか。しかしこれには二つの問題があります。第一に、応募者側の若手が、研究(だけ)を頑張ればいいのだという誤解をして有効ではないベクトルへの努力を再生産させる危険性があります。第二に、この発言をする教員は暗に自分は業績で選ばれたというアピールが含まれていますよね(自分もこういうアピールしますけど、、、)。本当にそうでしょうか? 自己評価が高すぎませんか? 分野のマッチングは関係ないのですか? コネや偶然は全く関係ないんですか? 


フェーズ3(応募側でありかつ採用側であったとき)で伝聞したこと・体験したこと・感じたこと(ほぼ私怨のため客観性は皆無です)

(1)業績でも人柄でも事務能力でも、どんな基準であれ「よい」応募者に来てもらわないと組織が生き残れないという緊張感の薄い組織が日本には少なくないです。

(2)一方的に採用側が応募側を値踏みしていると思ったら大間違いです。採用側もその一挙手一投足を観察されています。

→応募側は、「この組織と自分はマッチングしているか」、「この組織のパフォーマンスは(他学科等に負けない程度に)高いかどうか」「自分はここで活躍させてもらえるだろうか(=自分の能力を正当に評価してもらえるだろうか)」等の視点から採用側を観察しています。したがって「この組織は何を目指してあるか」を明確に説明可能で(これができない組織は滅びます)かつ実際説明すること、「組織の一員になったら何ができるか(どんな環境を提供できるか)」を説明する事が、よい人にきてもらうためには重要だと思います。そしてこういう期待通りの情報をくれる組織は組織全体のパフォーマンスに心配なく生き残っていける、と安心してもらえると思います。

不当な理由なく不採用にした場合でも、応募者にはいろんなところで悪口を言われるかもしれないし、もうその組織の人間とは一緒に仕事をしてもらえないかもしれない。採用「してあげる」場合でも、逃げられるかもしれない。申し訳ないですがヤバそうな組織とは心中できません。

(3)旅費自腹で面接に赴いたら、開口一番「スカイプでもよかったのに」と言われて脱力。

(4)面接開始時間になっても何か議論していたため別室に(事務職員の方に)案内してもらった後、もう入ってもよいといわれて面接室に入ったのにまだ議論が終わっておらず、「まだに決まってるでしょ」的な乱暴な言葉で追い出される。間に入った事務職員の方に申し訳なかったです。

(5)面接が終わった直後、発表に使ったPCを片付ける間もなく同じ部屋で選考の議論が始まり、早く出ていけと追い出された(その後、事務の方が門のところまで丁寧に見送ってくれました)。事務職員の方に申し訳なかったです。

(6)午前中に面接があり、その後応募先の他の組織の知り合いと昼食のためレストランに入ったところ、声の聞こえる距離の机に選考委員があとからやってきて、「あれじゃないんだよね」というダメ出しの会話が聞こえてきた。これは一方的には非難できず、自分も同じことを将来やりそうで怖いです。

 

 

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臺灣最後の日々

2019-03-09 09:11:42 | 研究


 


 


 


 


 


 


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定量生態学研究室

2019-03-08 02:12:21 | 研究

研究室のウェブページを公開しました。

https://sites.google.com/view/quantitative-ecology-lab/home

 

あと日本生態学会・神戸大会で初日15日17:00から自由集会します。

Idea Paperの実現に向けて3   https://sites.google.com/view/ideapaper3/home

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Idea Paperの実現に向けて2

2018-09-15 05:58:30 | 研究

個体群生態学会・陸水学会と重なってしまいましたが、10月7日(日)に近畿大学東大阪キャンパスで「Idea Paperの実現に向けて2」という集会を開催します。

私たちは生態学分野におけるアイデア共有の場として,Ecological Research誌に新しく「Idea Paper」の論文形式を設けることを提案しています(第一回の集会は3月に行いました[こちら])。今回はこのIdea Paperのフォーマット・査読方法の策定に向けての勉強と議論の場を設けました。

本集会では招待講演者として,科学哲学・科学史の専門家と,すでにアイデア共有のための論文が普及している工学系の専門家をお招きし,アイデア共有を促進する方法を探ります。

集会のタイムテーブルと会場までのアクセス方法は以下のとおりです。事前連絡は不要で,途中入退出も可能ですので,関心のある皆様のご参加をお待ちしております。

企画者:三木健(龍谷大学理工学部)・中村誠宏(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター・和歌山実験林)・松井一彰(近畿大学理工学部)

プログラム
「Idea Paperの実現に向けて2」
開催日時 2018年10月7日(日)
開催場所 近畿大学東大阪キャンパス 31号館-201教室
<近畿大学-東大阪キャンパスへのアクセス>
https://www.kindai.ac.jp/…/campus…/access_higashi-osaka.html
<東大阪キャンパスの校舎配置図>
https://www.kindai.ac.jp/ab…/campus-guide/higashi-osaka.html

タイムテーブル
10:00 開会
10:00-10:30 趣旨説明(三木・中村・松井)
10:30-11:30 溝口元(立正大学社会福祉学部) 「パラダイムとアイデアあるいはアイデアと問題」
11:30-12:30 玉城絵美(早稲田大学理工学術院)「ヒューマンインタフェース分野におけるアイデア共有の枠組み(仮)」
12:30-13:30 昼食休憩
13:30-14:00 アイデアペーパーのフォーマット・査読規定草案提示(三木・中村・松井)
14:00-15:30 アイデアペーパーのフォーマット・査読規定について参加者との議論(コメンテーター 溝口元さん・玉城絵美さん)
15:30から16:00の間に閉会

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