三宅宅子(みやけいえこ)著『東路日記(あずまじのにっき)』。田辺聖子『姥ざかり花の旅笠』(集英社文庫)で紹介された、天保年間の大旅行記録。聖子先生が潤色翻訳されたものでなく、なんとか原典(原文)に触れたいものと、かねて願っていたところ、先日県立図書館へ吉田松陰『東北遊日記』(あまり参考にならなかった)を返しに行ったついでに、紀行文の棚を見ていて偶然見つけました。嬉しかったな、もう。
前田淑編『近世女人の旅日記集』(葦書房)。さすがハードカバー、虫眼鏡を使わなくては読めないような文庫版の文字とちがって、活字が大きいのは大助かり。文章も平易。本居宣長流の、無理して(?)「大和ことば(擬古文)」だけで書かれたんじゃあ叶わないけれど、これは洗練された文語体。170年近く前の文章とはとても思えない。ほとんど違和感が感じられない。
江戸期の散文は、例のみみずがのたくったような文字、まるでアラビア文字(右から左に向って綴るんだとか)のような文字のうえ、誤字当て字嘘字そのほか何でもありの文章で、原典のままではとてものことに手に負えないんだけれど、活字に直して、かつ誤字脱字当て字のたぐいをできるだけ修正してくれてあれば、実は現代文とほとんど変わりない。しかも漢字にはたいていカナを振ってあるので、今どきの文庫本なんぞよりずっと読み易い。つい音読したくなる。
とにかくこの『日記』、中身がとびきり面白い。景色や名物はもちろん、毎日の天候・出発時刻・通った道筋・途中の駅や村々の名前・歩いた距離・食べたもの・宿屋・ひとびととのやりとり・到着時刻などなど、まるで一緒に旅しているような臨場感。我が愛読書、清河八郎『西遊草』に次ぐ面白さですよ。内容が濃くて長いので、まだほんの一部しか読んでありません。図書館の貸し出し期限の2週間をフルに使って楽しむことにしようっと。
前田淑編『近世女人の旅日記集』(葦書房)。さすがハードカバー、虫眼鏡を使わなくては読めないような文庫版の文字とちがって、活字が大きいのは大助かり。文章も平易。本居宣長流の、無理して(?)「大和ことば(擬古文)」だけで書かれたんじゃあ叶わないけれど、これは洗練された文語体。170年近く前の文章とはとても思えない。ほとんど違和感が感じられない。
江戸期の散文は、例のみみずがのたくったような文字、まるでアラビア文字(右から左に向って綴るんだとか)のような文字のうえ、誤字当て字嘘字そのほか何でもありの文章で、原典のままではとてものことに手に負えないんだけれど、活字に直して、かつ誤字脱字当て字のたぐいをできるだけ修正してくれてあれば、実は現代文とほとんど変わりない。しかも漢字にはたいていカナを振ってあるので、今どきの文庫本なんぞよりずっと読み易い。つい音読したくなる。
とにかくこの『日記』、中身がとびきり面白い。景色や名物はもちろん、毎日の天候・出発時刻・通った道筋・途中の駅や村々の名前・歩いた距離・食べたもの・宿屋・ひとびととのやりとり・到着時刻などなど、まるで一緒に旅しているような臨場感。我が愛読書、清河八郎『西遊草』に次ぐ面白さですよ。内容が濃くて長いので、まだほんの一部しか読んでありません。図書館の貸し出し期限の2週間をフルに使って楽しむことにしようっと。