山の恵み里の恵み

キノコ・山菜・野草・野菜の採取記録

エノキタケ

2005-11-29 14:57:52 | 山の恵み(保存版)
 採取場所:長野市里島(さとじま)。 採取日時:2005年11月28日。 見分け方:暗いところに並ぶ瓶の中で栽培された「モヤシ」と違って、天然ものは全体が黄色~茶色で、触れば指にくっつくくらい傘の表面が粘っこい半面、茎はビロード状ですべすべしています。また傘の中心部が一段と濃い色になっていることと、茎の下部が黒いのが見分けのポイントです。同じように株立ちする小型のキノコはほかにも沢山ありますが、エノキは「雪ノ下」の別名もあるように、たいていのキノコが姿を消した冬、雪の舞う頃に見かけられるので、間違えることはあまりありません。
 【英語名:Ⅴelvet-Shank(shank=すね】


 木枯らしが吹き、初霜がおり、初雪が舞いだし、恵比寿講の花火が響くと、長野では「冬きのこ」のシーズンです。ヒラタケとエノキタケがその代表ですが、寒風を冒してまで山林に迷い込むような「酔狂人」は少ない上、特にエノキは知らないひとが多<、見つけ放題・採り放題で、嬉しい限りです。香り、歯ざわり、味とも絶品で、「こんなに旨いキノコはほかに無い」と思っています。株立ちするので一箇所で採れる量も多いし、季節柄虫にもやられていないし、良いことずくめです。味噌汁に仕立てれば、あの泥臭いナメコなんかメじゃないですわ、ほんと。
 ところがこのキノコ、実は町なかにも畑の周りにも、とにかく何処にでもあるのですが、幸いなことに、ひとに採られる心配がほとんどありません。11月から5月にかけて、そのつもりで探せば結構見つかります。道端・公園・学校・寺社・大きなお屋敷など、植え込みの多いところほど良くみつかります。Mウエーブの周りでも結構幾株も採れましたよ。我が家の小さい庭でさえ、何回か採れたことは既に報告しましたっけ。雪が積る前は(水分補給がされる)建物の北側や水辺など湿り気があるところ、雪が降ってからは(融けた雪で水分が補給されるので)日当たりが良いところの、枯れ木や切り株の根元をじーっと見つめると、有るときは有るでしょう。ちょっと見ただけであきらめてはいけません。ここには必ずあるはず、という固い信念のもと、根元を蔽っている枯草や枯葉を取り除けてでも探し出す決意が必要です。
 覚えたての頃は、雪のちらつく中、はるばる飯綱戸隠まで出かけたものですが、何のことはない、ごく身近にいくらでもあると知ってからは、冬になると毎朝わざわざ1時間もかけて歩いて、しかも毎回経路を少しずつ変え、柿や桑や胡桃の枯れ木を探しながら通勤したものです。それがまた、ヒット率が高くてねえ。楽しかったものです。それにくらべマイカー通勤族は...(以下略)
 キノコの中の「お宝」と思っているので、薀蓄を傾けようとすればキリがありません。思いついたたびに順次語っていくことにしませう。

 

ツチスギ

2005-11-15 14:25:05 | 山の恵み(保存版)
 図鑑名:ツチスギタケ。 写真説明:我が家の畑のすぐ横の貸家(現在無住)の玄関先の草むらに先日生えているのを見つけ、参考までに撮影しておきました。食べられるキノコではないため、幸い「盗み採る」には至りませんでした。 

 スギタケ系列(スギタケ属)の代表はナメコですが、そのナメコに文字通り毛が生えたような、けば立たせたような、ぎっしりうろこをかぶせたようなのがスギタケで、黄色の地に細かいささくれ(燐片)が全面についています。良く似たキノコがいくつもあり、例によって図鑑などでは正確に「これは何、これはどれ」と言う(同定と言うそうです)のは極めて難しいのですが、唯一このツチスギだけは、地面から(つまり土から)出るので、すぐ分かります。ひとから鑑定を頼まれた時(たまにはあります)も、どういうところに生えていたか訊ねるだけで分かります。ナメコに似ているし、大量に採れるし、いかにも美味しそうなので、千曲川の河原などからどっさり採ってきたのに、「ツチスギと言って、食べれば消化不良で苦しむことになりますよ」などど宣告されて、がっかりするケースがしばしばあります。
 スギタケ系列では、はなはだしいヌメリがあるもの(ナメコ、ヌメリスギタケなど)とヌメリが無いもの(スギタケ、ツチスギなど)がありますが、いずれも幼菌のとき、小さな燐片の先に無数の露玉がついて、一斉に朝日に輝くさまは、宝石(珠玉)のように美しい光景です。しかしナメコ以外は食べないほうが無難です。昔から言うじゃないですか、「美しいものには棘がある」と。どうやらあのトゲ(ささくれ)がクセモノらしい。
 ちなみに、昨年話題になったスギヒラタケは全然別物です。

 

ハイイロシメジ

2005-11-15 11:48:01 | 山の恵み(保存版)
 採取場所:長野市芋井たたら(鑢)の道路脇。 採取日時:2005年11月7日。 見分け方:図鑑などで見ても、シロシメジとそっくりで、外見上は「ズバリここが違う」という点が分かりません。いつもながら、図鑑類の解説は学者でなく、各地のキノコ名人にでも頼んで、分かり易い言葉で書いてくれないものか、とつくずく思います。そこでズバリ言えば、ポイントは「におい」にあります。シロのほうは「良いにおい」だそうですが、昔一度見たことはあるのですがにおいの記憶がありません。ハイイロのほうは、強烈なにおいがします。このあたりで「ひなくさい」というにおいです。干草のようなにおい、とでも言うところでしょうか。これを「良いにおい」という向きと、「嫌なにおい」という向きと、好き嫌いが分かれるようです。ちなみに、「日本のきのこ」に載っている写真は「我が山」頼朝山で撮影されたものです。
 【英語名:Clouded Funnel-cap funnelはじょうご、cloudedは濁った灰色ぐらいの意味でしょう】


 初雪でも来そうな頃、道路脇の草地や神社の境内や山林に、白くてずんぐりむっくりしたシメジが、時には数十個も群れて生えているのが毎年見られます。茎も太く、傘も厚く、肉質もしっかりしていて、いかにも「シメジシメジした」美味しそうなキノコが、しかも沢山生えているので、つい嬉しくなって採り集め始めるのですが、「どうしてこれほどのシメジが誰にも採られず、人家近くに残っているのか」とふと考え、においを嗅いでみると「例のにおい」がします。ずっと以前、大量に持ち帰って、カレー粉をまぶすやら、胡椒を振り掛けるやら、醤油をきつくするやら、何とかにおいを消そうと奮闘したことがあります。結局、加熱すればするほど、におがきつくなるようで、家じゅう「ひなくさく」なってしまい、あきらめて全部捨ててしまいました。
 どの図鑑にも要注意のマークがついているキノコですが、大量に採れるから値段も安いし、においが気にならない人もいるらしく、八百屋の店頭に並んでいるのを見たこともあります。確かに、においさえ気にしなければ、美味しい意シメジなのでしょう。このにおいに関して、アメリカの図鑑に面白い話が載っていました。ヨーロッパではこのキノコの「芳香(aroma)」が大変人気があり、アメリカでは「悪臭(odor)」が嫌われて食べる人がいない、のだそうです。これよりずっと強烈なにおい(芳香?悪臭?)を発するスッポンタケやアンズタケもフランスでは「超高価」だそうですし、そう言えば物凄いにおいがする何とかチーズを好むのもあちらさんでしたなあ。それにしては、日本人の多く(筆者は除く)が「良いにおい」と感じているらしいマツタケに、ガイジンが顔をしかめるらしい(真偽不明)のはどうしてなんでしょう。

 

カタハ (ムキタケ)

2005-11-12 09:34:34 | 山の恵み(保存版)
 図鑑名:ムキタケ。 採取場所:長野市よこだな(横棚)の道路脇。 採取日時:2005年11月7日。 見分け方:最も多く混同されて、中毒例も多いツキヨタケとの決定的な見分け方は、付け根の部分を毟り取るか、横に切ってみると、カタハは真っ白ですが、ツキヨは芯が黒くなっています。色合いは異なるものの、生え方や形や大きさが似ているヒラタケとは、傘の表面が乾いていたら濡らして、湿っていたらそのまま、ちょっとこすってみると、カタハは薄皮がぺろっと剥けます(だからムキタケ)が、ヒラタケのほうはそんなことはありません。
 【英語名:Olive Oyster いかにも美味しそうな名が付いていますね】


 山林でも沢筋でも畑の周りでも並木道でも町中の庭でも、ちょっと湿り気のあるところなら何処にでもでます。落葉樹なら大抵の木、針葉樹でも落葉松にも、切り株や枯れ木や倒木に株立ちして生えます。大きいものは半径が10センチを超える半円形で、ふつう幾重にも重なって生えていますので、一箇所で大量に採れます。厚さも2センチを超すものがり、食べごたえがあります。10月も半ばを過ぎる頃になると、長野では「カタハ採り」が盛んになり、大型で良質のものを求めて、山奥のブナ林に分け入り、道を失ったり崖から落ちたり、滝から転落したり、やれ死者が出ただの、捜索隊が出動したりの騒ぎがしばしば起きます。 

 とにかく昔から人気があるキノコのひとつで、田舎ソバ(うどんのように太いやつ)やうどんの煮込み鍋、家によっては正月の雑煮に欠かせないところもあるようです。煮てよし焼いてよし揚げてよし、塩漬けもきき冷凍もきき、とこれほど重宝されるキノコはめったにありません。10年ほど前までは、野沢の上のカヤノダイラや妙高の裏の笹ヶ峰、鬼無里の奥の奥裾花などに、グループが鍋と野菜や肉を車に積んで、お花見さながらあっちでもこっちでも賑やかにキノコ鍋を囲んでいる光景が見られたものですが、このごろはどうですかねえ。キノコより人間のほうが多くなって、「鍋にならない」のでは?人が多くなってからは、そっちの方面には足を向けなくなりましたので、最近の様子は知りません。実はそんなに遠くへ行かなくても、町中や家の周りにいくらでもあるんですがね。でもそれじゃあ「有難味が薄れる」のかもね。
 毎年採りに行くきのこですから、カタハに関しては数多くの思い出があります。初心のころ、カタハだと思ってツキヨを沢山採ってきてしまい、お隣りの「名人」に笑われたこと、自分が「天狗」になってからは、初心者の採ってきた「カタハ」をツキヨだと指摘したら、既にご近所知り合いに「お裾分け」した後だとかで、あわてて回収に走らせたことなど。最近は図鑑類が普及したおかげで、中毒例も少なくなったようですが、戦後食糧事情が悪かった頃には、「ツキヨタケを食べて一家5人中毒死」なんて記事がしばしば新聞に(テレビ以前なので)載ったものです。

 

ひらたけ

2005-11-07 07:39:37 | 山の恵み(保存版)
 一昨日、川バス戸隠中社営業所真ん前の道路脇で、ひらたけの見事なカブツを見つけました。中形(半径15cm4段重ね)ではありましたが、さすがは標高千メートル、虫食いもなく、虫の卵が産み付けられてもいず、やや遅れ気味でも全体に固くしまっていて、まさにメッケモノでした。日に何百台もの車が通り、村人もおおぜい通るところにあって、よくぞ今まで誰にも採られなかったものです。こうしたモノを見つけた時こそ、「キノコ天狗」が優越感にひたれる瞬間です。まっとうな人間(つまりクルマに乗らない)にのみ許された特権でしょう。
 本当はナメコを探しに行ったのですが、今年はまだなのか、出るつもりがないのか、とにかく見つからず、代わりにクリタケの大群落にぶつかって、大枚2千円ものバス賃も「モトがとれた」と喜んで帰ってきました。晩秋(初冬)のキノコのうち、ナメコとエノキとシモフリは未採取ですが、今シーズンは全体としてバス賃のモトがとれたことにして、飯縄戸隠はこれが最後になるでしょう。下(地面)ばかり見て歩いていたので、紅葉の記憶がありません。木の葉がなんだか青々していたような感じがしています。

今日もご機嫌

2005-11-04 17:22:34 | 山の恵み(保存版)
 裏山(芋井荒安)へチャナメを探しに行ったら、出たばかりのチャナメが沢山(80本)採れて、今日もご機嫌で帰ってきました。本当はほかにも「お目当て」があったのですが、そちらは見つからなかったので、特に名を秘すことにします。キノコ採りにとって、何が嬉しいと言って、狙ったキノコを狙った時に狙った場所で見つけることほど嬉しいことはありません。詳しい「チャナメ談議」はいずれ暇になったら。明日は遥か戸隠中社に遠征する予定で忙しいため。