深海の青い月

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ジェリー・リー・ルイスの新作はスゴいぞ!!

2006年12月24日 01時45分17秒 | 音楽
ジェリー・リー・ルイス


この名前を聞いてピンとくる人は日本にどれだけいるのだろう?正直全く知らないという人が多いだろうし、漫画化された“NHKへようこそ!”の小説で「ロリコン界の巨人」と称えられたくらいしか知らない人もいるだろうし、中には“底抜けコンビ”のジェリー・ルイスと混同している人もいるかもしれない。


自分のような二十代の人間が主張しても説得力皆無だけれど、あえて声を大にして言うと、まさに彼こそはロック界最後のリヴィング・レジェンド、生きた伝説である。


ロックがいつ・どこで始まったか様々な見解があって、それが一致することは今後ずっとないだろう、とエルヴィスを発掘したサン・レコード社長サン・フィリップスも発言している。


それでも1950年代の音楽革命の中で、メンフィスに存在した小レーベル“サン・レコード”が果たした役目は大きい。なんせ時期が違うとは言え、エルヴィス・プレスリー、ジョニー・キャッシュ、カール・パーキンスといったロックのパイオニアが籍を置いたのだから。そしてジェリー・リー・ルイスもサン・レコードでデビューを果たした最後の大物である。


彼らがいなければ、現在へ続くロック&ロールのリズムは存在しなかったと言っても過言ではないかもしれない。


RCAへ移籍したエルヴィスがたまたまサンを訪れた際に居合わせたジョニー・キャシュ、カール・パーキンス、ジェリー・リーとセッションをして、音源が90年代に発掘されると“ミリオン・ダラー・カルテット”のタイトルでCD化されたりもした。


そんなロック史に大きな影響を与えたアーチスト達だけれど、2006年末現在存命中なのはジェリー・リー・だけとなってしまった。エルヴィスは’77年に死去、カール・パーキンスは90年代末に、ジョニー・キャッシュも’03年に死去してしまった。それがジェリーを私がリヴィング・レジェンドと評する所以。


キャッシュが故人になったときは、「ミリオン・ダラー・カルテットもあと一人か・・・」と一抹の寂しさを覚えたものの、まさか齢71にして新作を発表するとは思わなかったので、リリースの一報を聞いた時の驚きと喜びといったら!!


でも正直不安がないわけじゃなかった。例えば一口にデュエットアルバムと言っても、実際に同じスタジオで歌っているかというとそうでもなく、フランク・シナトラの晩年の「デュエッツⅠ&Ⅱ」は別録りのデジタルデュエットだった。シナトラはゆったりめの曲が多かったから違和感はそう感じなかったけど、ジェリー・リーと言えばやはりロックである。本当のデュエットならともかく、万一別録りデュエットだったら、高いテンションがどれだけ維持されるのかが一番心配だった。


ところがそんなの杞憂だったわけで。


まず一曲目はジミー・ペイジとの“ロック・アンド・ロール”から始まる。何にまず驚いたかって、そのジェリー・リーの50年間ちっとも変わってない歌声。あまりの驚きに100%ロカビリー色を強めたアレンジにはちっとも気づかなかった。最初はあまりの雰囲気の違いに、「ツェッペリンのとは同名異曲なんだなぁ・・・」なんて思ってしまったのは内緒。


このアルバムを通して言える事は、アップテンポの曲もバラード曲もピアノの音が全面的に大きめにされているということ。だからカバー曲もそのアレンジが非常に聴き応えある。

スペースの関係で特に印象に残っているトラックを挙げると、CCRの“トラベリング・バンド”は元々どことなく“のっぽのサリー”に似た曲調のゴキゲンな(死語)ナンバーだったのが、ジェリー・リーとジョン・フォガティハリのあるボーカルにピアノが絡んで非常にスリリングな一曲に仕上がっている。またリンゴ・スターと共演した“スウィート・リトル・シクスティーン”は本当聴いてて楽しい気分にさせてくれる一曲。歌が終わった後も二人の楽しそうなしゃべり声が聞こえてくる構成もそれに拍車をかける。


“ホンキー・トンク・ウィメン”もロカビリー色を強めたアレンジが何ともかっこいいし、バラードの“トワイライト”やキース・リチャーズ参加の“ザット・カインド・オブ・フール”も実に渋い。なおバラードでのベストトラックを挙げるとしたら、ウイリー・ネルソンと共演した“カップル・モア・イヤーズ”か。ウイリーの渋いボーカルが入ってくる瞬間、鳥肌たちました。


こんなレビューでこのアルバムの良さを伝えるなんて少しもできていないかもしれないけれど、関心持って聴いてもらえたら幸い。ただ輸入盤も国内盤と値段が変わらないのがネックですが、2500円払う価値あるアルバムに久しぶりに出会ったと思います。ぶっちゃけ2006年買ったアルバムナンバーワンです。


ところでショッキングだったのが、ライナーノーツに書かれていたこのアルバム制作前のジェリー・リーの近況。これほど偉大なアーチストが“私生活でも仕事でも判断を誤り、自尊心を失いかけ、見つけて欲しいと格段願っていたわけでもなかった”とは!!


断じて言おう、否!ジェリー・リーはまだまだ歌えるし、ピアノもガンガン弾ける!良識ある業界人は一刻も早く彼の初来日公演実現に動くべし!!!


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