関西ミドル 雑記帳
不動産賃貸業 元ゼネコン勤務
 






信義則
(1) 権利の行使と義務の履行:
権利は行使することができ、義務は履行しなければならない。しかし、権利や義務の内容は、あらかじめ、十分に具体的ではない場合がある。
そのような場合に、信義則にもとづいて、権利や義務の内容が、具体化されることがある。

(2) 信義則:
互いに相手方の信頼を裏切ることがないよう、誠実に行動すること(民法1条2項 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。)。


(3) 信義則にもとづいて負う義務:
①契約を締結に至る過程で、さまざまな交渉が行なわれたとき、最終的には、契約を締結するに至らなかった場合にも、一方の交渉中の態度にもとづいて、他方が、契約の締結を予め見込んで、費用をかけて準備することがある。契約が締結されないと、その費用は、損失となるが、原則的には、その損失は、自ら準備した者が負担することになる。しかし、信義則にもとづき、自己の態度が、相手方に不測の損失を生じさせる原因とならないよう行動する義務(注意義務。「契約締結過程における注意義務」という)が課せられる場合があると考えられる。

注意義務違反を認め、損害賠償責任が成立すると判断した最高裁判決(最判昭和59年9月18日判例時報1137号51頁)。

②契約を締結した当事者の関係にはないが、社会的な接触があり、一方が他方の生命身体の安全について、配慮することで、他方の危険を相当程度減少させることができることがある。
そのような場合に、信義則にもとづいて、一方が他方の安全を配慮する義務(安全配慮義務)を負い、その義務に違反し、他方に損害(死亡とか傷害)が生じた場合には、安全配慮義務違反を理由として損害賠償責任を認めることがある。
具体的には、元請業者と契約を締結した下請業者の労働者が、元請業者との間に契約関係はないが、元請業者の管理する設備、工具を使用し、事実上元請業者の指揮監督を受けて、稼働する場合には、元請業者と下請業者の労働者の間には、「特別な社会的接触の関係」があるとし、下請業者の労働者の傷害について、元請業者の安全配慮義務違反を理由とした損害賠償責任を認めた最高裁判決がある(最判平成3年4月11日判例時報1391号3頁)。

山田誠一の民事法務頁 1999年度民法Ⅰ より


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