ゲーム理論
ゲーム理論はフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンによって、 社会科学の基礎となる数学理論を目指して1940年代に始められた比較的若い学問分野です。社会の中で利害が必ずしも一致しない人々がぶつかりあうと、相手の出方を読む必要がでてきますが、相手もまたこちらの出方をうががっているわけで、話しは単純な数学の最適化理論や確率論の応用を越えたもっと深いものになります。こうした状況を分析するのがゲーム理論なのです。
ゲーム理論の歴史は紆余曲折を経ていますが、1980年代になってかなりの一般性を持った統一理論が形成され、これが最近の経済理論の進展の大きな原動力になっています。 経済理論が相手の出方を読む必要の無い完全競争市場の分析に終始してきた時代は終わりをつげて、現在ではミクロ・マクロ理論のみならず、金融・財政・国際経済・比較制度分析・産業組織・労働・経営・経済史などの広い分野でゲーム理論を使った活発な分析がおこなわれ、経済分析の間口を大きく広げています。
ゲーム理論の前提
1)各人は、自己の利益を最大化するように、行動する。
2)その際、各人は、合理的に判断して、自己の戦略を決定する。
3)従って、他者(競争相手)のとる戦略を予想して、自己の戦略を立てる。
ゲームの種類
0)ゲームは、協力型と非協力型のゲームに分けられる。(以下の例は、すべて非協力型)
1)最終的に、賭けマージャンのように、参加者の得る利益を合計するとゼロになる「ゼロサム(Zero-Sum)」ゲームと、そうでない(総和がゲームの前と較べて増加もしくは減少する)「非ゼロサム」ゲームがある。
資本主義社会は、常に富(利益)が増加する、非ゼロサム型の社会だと考えられてきた。
2)プレイヤーが同時に行動する同時進行型のゲームと、そうでない交互進行型のゲームがある。
囲碁や将棋は交互進行型のゲームなので、先手が有利とか、後手が有利という差が生じる。両者が同時に次の手を指すようにすれば、先手と後手のハンデは生じない。
3)参加者に全ての情報がオープンな情報完備ゲームと、各プレイヤーの持つ情報に差がある情報不完備ゲームがある。