マンション工事などで一括下請禁止/建設業法改正案を臨時国会提出へ/国交省
2006/10/24
国土交通省は、一部民間工事でも一括下請を禁止することなどを柱とした建設業法改正案をまとめた。2006年10月24日の閣議で正式決定し、今臨時国会に提出する。耐震強度偽装事件を契機にした制度見直しの一環となる措置。元請責任の徹底策として、一括下請の禁止を分譲マンションのような発注者とエンドユーザーが異なる民間工事にも適用する。技術者の資質向上策や施工に関する記録の保存、建設工事紛争審査会の紛争解決手続きへの時効中断の導入など計4点を同時に改正する。
一括下請は公共工事ですでに全面禁止しているが、民間工事はこれまで発注者が承諾すれば認めていた。マンションの耐震強度偽装事件では大手建設業者が施工業者に名前を連ねていたが、実際には別の業者が施工を行い、安全管理や瑕疵(かし)保証などの責任もその業者が負うような契約になっていた。このため、国交省はマンションのような発注者とエンドユーザーが異なる民間工事は全面的に一括下請を禁止することにした。
技術者の資質向上は、監理技術者が必要な工事に、公共性の高い民間工事を追加する。現行では下請金額が3000万円以上(建築一式の工事は4500万円以上)の工事は、監理技術者(1級施工管理技士や1級建築士など)が必要となる。また、公共性のあるダムや鉄道、学校、病院、共同住宅の建設で2500万円以上(建築一式では5000万円以上)の場合、工事現場ごとに専任の監理技術者を配置しなければならない。
公共工事はこれらに加え、監理技術者の資格者証の保有や講習の受講などが求められている。こうした措置を法改正し、民間工事にも設ける。民間工事を専門に行う技術者は監理技術者の講習が基本的に不要となっていたが、今後5年以内に講習を受講していることが条件となるため、原則5年ごとに講習を受けなければならない。
一方、建設工事紛争審査会の紛争解決手続きへの時効中断の導入は、紛争審査会にあっせん・調停を持ち込みながら不調に終わった場合、時効を理由にその後の提訴が不可能になるケースがあるため、紛争審査会にあっせん・調停を請求した時点で、提訴があったとみなし、時効の進行を止めるのが目的。不調後30日以内の提訴が条件で、消費者保護の一環となる。
| Trackback ( 0 )
|