都市再生緊急整備63地域
建設投資、10年で8兆円
都市再生特別措置法の都市再生緊急整備地域で、今後10年間に、約8兆円の建設投資を見込むことが、内閣官房都市再生本部の有識者検討チームの分析で分かった。
同法が施行された2002年からの10年と比べて1.2倍となり、経済波及効果は10兆円を見込んでいる。
2012/7に施行された改正法では、大規模災害時の安全確保を計画した場合、容積率の特例措置が受けられるといった新たな制度も創設されており、大都市を中心に災害対応の視点から建設投資が伸びる可能性もある。
災害対応見込めば拡大も
分析によると、2011年末時点で把握した今後10年間の建設投資は約8兆2000億円。
これにより10兆円の経済波及効果と132万人の雇用創出を見込む。
都市再生緊急整備地域に指定された63地域では、土地利用規制の緩和や都市計画の提案、事業認可の手続期間の短縮、民間プロジェクトに対する金融支援といった措置を受けられる。これらの支援措置がなければ、建設投資額は2兆5000億円、経済波及効果は3兆1000億円、雇用者数は41万人がそれぞれ減少するという。
7月には同法の一部を改正する法律が施行された。
大規模な地震が発生した際に都市再生緊急整備地域内の滞在者の安全確保に向けて、官民の協議会が建築ストックの再編による備蓄倉庫の整備といった都市再生安全確保計画を作成すれば、建築確認手続きの簡素化や容積率の特例措置などが受けられる。このため、災害対応のための建設投資が膨らむ可能性もある。
02年に都市再生特別措置法が施行されてからの10年を見ると、建設投資額は約7兆円で、経済波及効果は約10兆円。各地域内の建設投資の状況は、「東京駅・有楽町駅」「新橋・赤坂・六本木」「東京臨海」の3地域が1兆円前後と最も大きく、次いで「横浜みなとみらい」「新宿駅」「大阪駅・中之島・御堂筋」などとなる。今回の分析は、今後の都市再生施策のあり方や総合的な成果などを検討するために、都市再生本部に設けた有識者検討チームが進めた。..