「ひさびさにハリボテ飲みするか」「ハリボテ飲み、いいねえ」と話がまとまったので、敏腕編集者Y本くんと三田で一献。
地下鉄の駅を上がってTSUTAYAの横を入っていくと、狭い通りにカラー煉瓦が敷き詰められた、ドラマのハリボテセットみたいなわざとらしい飲み屋街になっている。
学生向けのチェーン系コジャレ居酒屋の進出が大変煩わしいが、ハリボテ通りになる前からあるらしい立ち飲み屋や大衆食堂兼帯の安い飲み屋などが残っていて、仕事帰りにおっさん飲みをするにはなかなかのスポットなのである。
ハリボテ通りはいつにない大繁盛で、人混みをよけているうちにハリボテの外のビル地下の蕎麦屋に入ることになった。
メジマグロの刺身
カキフライ
ナスとピーマンの炒め
を肴に燗酒をくいくいといただく。
「このバリバリカレーってなんだ」
「あ、写真がこっちにあった」
「うひょー、バリバリカレーだ」
さて、バリバリカレーってなんでしょう。
正解は、かた焼きそばのカレーがけ。
蕎麦屋とはいいながら、実にもうなんでもありの大衆食堂なのである。
薄暗い蛍光灯の下、背広のおっさんたちのグループが楽しそうに盛り上がっている。
「若麒麟逮捕」「NECで大規模人員削減」などのニュースが流れると、みんなが一斉にテレビを見上げてどのテーブルでもひとしきりその話題になったりする。
さすがにこの中に混じると、どう見てもわれわれは「にいちゃん」であって「おっさん」ではない。おっさんを名乗るには修行が足りぬ。もりそばでシメ。
今度はごく普通の居酒屋のカウンターに陣取って、大阪の酒「呉春」をごくごくと飲む。
なにしろY本くんは8月誕生の娘にメロメロなのである。
「いやー昼休みになると写真ばっかり見てて」とか言いながら私に6回も写真を見せたりなんかするのである。
「しかし子供のかわゆさというのはなんだろうなこれは」
「そこで思うのはだな。子供をもったことのない人ってのは、そういう気持ちとか感覚がまるで全くわからないわけだろう。想像もつかないわけだろう」
「まあそれはしかたないな」
「『子供が熱を出したから休みます』とか『早退します』とか、さぞ鬱陶しく感じているのであろうな、彼らは」
「しかたないね。他人の子はいくらかわゆくても意味が違うからね」
呉春はさっぱりしてとてもおいしかったのだが、二杯飲んだらちょうどなくなってしまったので、次に滋賀の「琵琶の長寿」の純米というのを初めて飲んだらこれが当たり。
黄金色にうすく濁った様子に迫力がある。甘酒を連想させるさらりとした米の甘みとほのかな酸味が大変深い味わいで、なんか「昔の酒ってこんな感じだったのかも」と思わせる。アテなしで飲める。
家に帰って、酔った勢いでさっそくネット注文してしまった。
地下鉄の駅を上がってTSUTAYAの横を入っていくと、狭い通りにカラー煉瓦が敷き詰められた、ドラマのハリボテセットみたいなわざとらしい飲み屋街になっている。
学生向けのチェーン系コジャレ居酒屋の進出が大変煩わしいが、ハリボテ通りになる前からあるらしい立ち飲み屋や大衆食堂兼帯の安い飲み屋などが残っていて、仕事帰りにおっさん飲みをするにはなかなかのスポットなのである。
ハリボテ通りはいつにない大繁盛で、人混みをよけているうちにハリボテの外のビル地下の蕎麦屋に入ることになった。
メジマグロの刺身
カキフライ
ナスとピーマンの炒め
を肴に燗酒をくいくいといただく。
「このバリバリカレーってなんだ」
「あ、写真がこっちにあった」
「うひょー、バリバリカレーだ」
さて、バリバリカレーってなんでしょう。
正解は、かた焼きそばのカレーがけ。
蕎麦屋とはいいながら、実にもうなんでもありの大衆食堂なのである。
薄暗い蛍光灯の下、背広のおっさんたちのグループが楽しそうに盛り上がっている。
「若麒麟逮捕」「NECで大規模人員削減」などのニュースが流れると、みんなが一斉にテレビを見上げてどのテーブルでもひとしきりその話題になったりする。
さすがにこの中に混じると、どう見てもわれわれは「にいちゃん」であって「おっさん」ではない。おっさんを名乗るには修行が足りぬ。もりそばでシメ。
今度はごく普通の居酒屋のカウンターに陣取って、大阪の酒「呉春」をごくごくと飲む。
なにしろY本くんは8月誕生の娘にメロメロなのである。
「いやー昼休みになると写真ばっかり見てて」とか言いながら私に6回も写真を見せたりなんかするのである。
「しかし子供のかわゆさというのはなんだろうなこれは」
「そこで思うのはだな。子供をもったことのない人ってのは、そういう気持ちとか感覚がまるで全くわからないわけだろう。想像もつかないわけだろう」
「まあそれはしかたないな」
「『子供が熱を出したから休みます』とか『早退します』とか、さぞ鬱陶しく感じているのであろうな、彼らは」
「しかたないね。他人の子はいくらかわゆくても意味が違うからね」
呉春はさっぱりしてとてもおいしかったのだが、二杯飲んだらちょうどなくなってしまったので、次に滋賀の「琵琶の長寿」の純米というのを初めて飲んだらこれが当たり。
黄金色にうすく濁った様子に迫力がある。甘酒を連想させるさらりとした米の甘みとほのかな酸味が大変深い味わいで、なんか「昔の酒ってこんな感じだったのかも」と思わせる。アテなしで飲める。
家に帰って、酔った勢いでさっそくネット注文してしまった。