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バーボングラス片手のロックな毎日

ONE OK ROCKの憂鬱-2 ファンのモラル

2017-01-27 20:16:35 | MUSIC/TV/MOVIE
前回ONE OK ROCKのTakaの発言およびその反響について書いたが、今回はその第二弾。
第一弾はアーティストのプライベート写真撮影について書いたが、今回はバンドのファンについて。

「ライブがはじまれば最前列はいつも同じ景色」

Takaのこの発言から察するに、ワンオクの海外公演では毎回熱烈な日本人ファンが前列を陣取ってるのだろう。
ありがたいことじゃないか、海外まで追っかけてくれる熱烈ファンなら大事にしなきゃ。
そんなことを言う人はちょっと勘違いしてる。

そりゃ、売れない頃にライブハウスで数人の客の前で演奏してた頃に、毎回聴きに来てくれてたファンはありがたいよ。大事にしたいよ。
それが売れてきて、ライブハウスがホールになり、武道館やドームになっても来てくれるのはありがたい。おかげさまって、もちろん感謝もしてる。
でもね、毎回毎回常連がはびこるとね、新規のファンが引いてしまうのよね。

それは、ずっと気になっててた居酒屋に、勇気を出して初めて入ったのに、カウンターは常連が占領してて、アウェー感を感じてしまうようなのと一緒なのよ。
結局、常連のはびこる店は新規客には居心地の悪い店になっちゃうのよ。
これは、ロックバンドでもそうなのよ。危険なのよ。
デビュー(開店)当時からのファン(常連)が、最前列(カウンター)を毎回陣取る。結果、新規の客(新しいファン)は馴染めないまま一見さんで終わっちゃうのよ。

そう、毎回コンサートで前列を陣取ってるような、コアなファンっていうのは、新規ファンや初めてコンサートに来た人から見たら異常なのよ。
本人たちは、「売れない頃から私たちは来てる。彼ら(彼女ら)は自分たちが育ててあげたようなもんだ」くらいな気持ちなんだろうが、結構邪魔なのよ。
浜崎あゆみのコンサート行った時も、周りのファンに「振り付け知らないんだったらコンサートに来るなよ」って感じで見られたのが嫌で、それ以降もう行かない。

(ちなみに俺はサッカーの試合のウェーブでさえしたくない方だ。試合観戦に集中できないからな)

しかもね、海外公演で前列が日本人の常連ファンってね。わざわざ来てくれてありがとう、追っかけしてくれてありがとう。なんてのはないのよ。勘違いしないでね。
そんなコンサートは海外では絶対認められない。なんだぁ、初めての土地で何人集客したとか言ってるが、日本人ばっかりか。ライブでは熱狂的ファンが踊り出すくらい盛り上がったって言ってても、客は日本人かぁってね。

Dreams Come True(以下ドリカム)がアメリカN.Y.でライブをした時の地元の新聞の酷評を知ってるか?
場所はラジオシティだったかカーネーギーだったか忘れたが、来てた客は日本人ばかり。N.Y.に住んでる日本人、日系人と、日本からの追っかけファン。そして一部地元の人(少数)。ドリカムの吉田美和は日本人離れした声量と音域を持つ。だけどね、それくらいのアーティストは向こうにはごまんといるのよ。
日本人だらけのこのコンサートは最低の評価だった。そりゃそうだろ、なんのための海外公演なんだ?

X-JAPANのワールドツアーもそうだ。日本でのライブを前哨戦と名付けたり「MSGで待ってるぜ!」って。ファンサービスなんだろうけどさ。彼らは日本人ファンにわざわざ来てもらわなくても、マジソンスクエアを満員にできるだろうし、音楽性も十分アメリカでも認められる実力とパフォーマンスを持っている。だけど、日本人客が多ければ多いほど、彼らの評価は逆に上がらない。

YELLOW MAGIC ORCHESTRA(以下Y.M.O.)は1979年、1980年に2回ワールドツアーをおこなって成功した。
じゃぁ何故Y.M.O.は海外で認められたのか。
あえて誤解を招くであろう中国人民服を身にまとい、無表情のでコンピューターとシンセサイザーを駆使し、幾重にも折り重なったメロディを奏でる。世界のどこにもない新しいスタイルと、その音楽センスに熱狂・支持されたからだ。
クラフトワーク(独)とならびY.M.O.は今もテクノミュージックの開拓者として、音楽もパフォーマンスも高評価だ。そして多くのアーティストにリスペクトされてる。
これはやっぱり、日本で認められる前にさっさと海外で勝負し、海外ユーザーに認められたからだろう。日本で人気が出たのは、逆輸入された状態からだ。



海外で先に認められ、そして逆輸入されたバンドは他にもいる。
日本のハードロックバンドの先駆者、ROUDNESS(元LAZY)やVOWOWもそうだな。
少年ナイフというガールズパンクバンドもいる。なぜか日本では人気ないけどね、イギリスあたりじゃかなり売れてたんだけどな。

日本で認められた後、海外進出したアーティストも多い。でもほとんど失敗してる。その原因は日本人ファンのために評価されなかった場合も多い。
YAZAWAも失敗した。あの宇多田ヒカルでさえ失敗した。本人が「私とマライアキャリーを比べるのはやめてくれ」と言ったくらいだ。
フラットバッカー(E.Z.O.)を先に出し進出を狙った桑田(サザンオールスターズ)は結局断念した。ホール&オーツと共演までしたのにね。

PUFFYはかなり成功した。向こうでアニメまで作られたくらいだ。なのに海外での成功を評価する日本のメディアは少ない。未だにTVではアジアの純真とかを歌わせる。

オレスカバンドや、最近じゃBABYMETALも認められてるらしい(ごめんこの子らはちょっと苦手でよく知らないの)。日本での評価は低いけどね。

つまりさ、海外進出や海外公演するなら日本人ファンを無視するくらいでいいのよ。海外では日本のファンなんて何の役にも立たないのだからさ。日本人客なんていなくても認められるものは認められるのよ。

なぜそこそこ売れるor集客できる日本ではなく、わざわざファンの少ない(いない)まだ未開の地・海外でコンサートをするのか。
そこをファンならわかっててほしい。

それは勝負をしに行ってるのよ。
日本のミュージックシーンなら、耳障りのいいフレーズ、共感できるような歌詞、聞き覚えのいいメロディ、口ずさみやすいサビ。それで売れるだろう。テレビの主題歌やCMで使われたら、そこそこのセールスは行くだろう。ライブをやればホールでもアリーナでも、いやドームでも満員にできるかもしれない。

だけど、あえて海外で勝負したい。音楽をやるからには、相手は世界マーケットだ。

客は集まるのか。
(ロックの)本場で受け入れられるか。
人種、言葉の壁は破れるのか。
ブーイングかスタンディングオぺレーションか。
勝負だ!。

間違いなくONE OK ROCKは海外・世界で勝負をしてるバンドなんだろう。

最初から海外でライブをやっている。日本でもライブはやるが、テレビには出ない。プロモーションもそんなにしてない。でも、日本でも人気が出た。気がつきゃ、海外公演なのに、最前列はいつもの顔ぶれに何故なってる?

わざわざ追っかけてきてくれたのは嬉しいんだが、これじゃぁ海外で勝負してる意味がなくね?
現地に住んでる日本人集めて、喜んでるどこかのバンドと一緒じゃねぇか。
ライブハウス時代のように、少ない客でもいいのよ。俺たちの音がどこまで通用するか、受け入れてくれるのか、拒絶されるのか知りたいのよ。勝負してるのよ。

逆に考えたらわかるよ。マドンナやローリングストーンズの日本公演で、最前列がグルヴィーに占領されてたら興ざめだろ?ガンズンでもレディガガでも一緒だ。
マイケルジャクソンのブカレストライブなんてすごいぞ。黒人が初めて東欧(ルーマニア)の街でコンサートをやったこともすごいのだが、ほとんどの客はチケット代を払ったら明日からの飯代にも困る人達ばっかりだった。それでも観たいのよ。このコンサートの最前列がもしアメリカ人だらけだったらどうだ?



わざわざ飛行機に乗ってライブに参戦しに行くななどとは言わない。それは好きにしてくれ。
観たいから行くんだろ。それを行くなという方がおかしい。
だけどさ、最前列とかはその国の人たちに回してあげてくれよ。
そうじゃないと、結果的にワンオクの評価を下げてしまうのだよ。

まぁ、俺がとやかく言うことでもないんだろうけどさ。





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