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バーボングラス片手のロックな毎日

danchu焼き鳥ラプソディ

2015-10-07 04:30:14 | BOOK/COMICS
danchu2015年7月号焼き鳥特集。
読むと焼き鳥を食べに行きたくなる事必至の特集号。
色々なグルメを紹介する雑誌は現在数多い。でも、ただ単なる店紹介や、掲載費と称した広告費をとっての提灯記事満載の雑誌が多い。○○ウォーカーとかミー●とかね。フリーペーパーなんかこればかりだ。ネットの食べログとかも信用ならない。関係者が提灯コメント書き込んでる場合多いもんね。
その中でこのdanchuとあまから手帖は実際のレポをはじめ、そのテーマを深く掘り下げてるので購読してる。この本を読んで更に焼き鳥が好きになった。

焼き鳥は気軽に手軽に食べれる。お値段も手頃な店が多い。それでも炭にこだわり、タレにこだわり、焼き方にこだわる店が多い。どの店に入ってもハズレが少ないのが嬉しい。カウンターだけの小さな店もいいけど秋吉や鳥貴族のようなチェーン店でも美味しく食べれる。ただし、ガスで焼いたのと炭で焼いたので雲泥の差がある。炭も和歌山の備長炭をちゃんと使ってるところと輸入ものや黒炭を使ってるところでは、焼き上がりが全然違う。
居酒屋でバイトしてた頃に焼き場を任され、焼き方を仕込まれたのと、友人の焼き鳥屋等のプロデュースをしたせいか、俺は焼き鳥にはちょっとうるさいよ。

日本で鳥を食べる習慣はかなり古くからある。でも、焼き鳥が鶏(にわとり)になったのは明治以降の話だ。
鶏は元来古事記にも登場し、神話にまつわる話に出てくるほど高貴なものだったから食べるなんてとんでもない。奈良時代前には天武天皇が鶏、牛、馬、犬、猿等の肉食禁止令を出してるくらいだから、結構隠れて鶏は喰ってたのかもしれないが・・・。続日本書紀にも鶏を食べた記載がある。

野鳥は結構食べてたみたい。鶉(ウズラ)、雀(スズメ)、鴨(カモ)、雉(キジ)とかね。鶴(ツル)も今じゃ天然記念物で許可無く食べれないけど昔は食べてたみたい。今で言う「ジビエ」だね。

江戸時代、8代将軍吉宗による下級武士の「サムライ養鶏」推奨により、一気に養鶏が盛んになった。これは鶏を食べる目的ではなく卵を得る為だったらしい。卵を産まなくなった鶏を食べだしたのはこの頃からだ。幕末の頃、坂本龍馬も好んで食べてた軍鶏(シャモ)鍋をはじめ、鶏鍋がブームだったらしい。鶏は食べる為の養鶏ではなくて卵を得る為のものだから、食べる鶏や軍鶏の肉質は固かっただろうから、鍋にして煮込むのは理にかなってる。

では、焼き鳥はいつ産まれたか。この頃の鶏鍋に使われなかった部位や野鳥を焼いて売り出したのがルーツみたいだ。当時は牛や豚の端肉や内臓も串に刺して焼けば焼き鳥と呼ばれてたらしい。焼き鳥が鶏で形成されるようになったのは第二次世界大戦後、アメリカからプロイラーという生産技術が導入されてからだ。このプロイラーで、今迄の非効率な放し飼いから、厩舎での生産管理システムに変わった。

卵を産ませる為だけ、肉をとる為だけのまるで工場のようなプロイラーは、賛否両論ある。抗生物質の与え過ぎ、狭い厩舎で日の目を一度もみないままと殺される鶏。でもそのおかげで今、卵も鶏肉も安価で安定供給されてる。ケンタッキーフライドチキンやコンビニの唐揚げブームで一気に鶏食は広まった。炉端や居酒屋で鶏の唐揚げを頼む人も多い。焼き鳥は安くてヘルシーだから、海外でも人気になってる。

その反面『ちょっと高くても美味しい鶏が食べたい」って声もある。それが地鶏ブームに繋がった。名古屋コーチン、比内鶏(比内鶏は天然記念物扱いだから正確には比内地鶏)、薩摩地鶏をはじめ、丹波地鶏や宮崎地頭鶏、土佐ジローなど各地の地鶏が今、ちょっとこだわってる店に行くと手軽に食べれる。ささみの湯引きや肝、砂肝は地鶏や抗生物質を与えないで育てた鶏の方が安全でしかも美味しい。ちょっとくらい高くてもこちらの方を俺は推奨する。

我が家のお雑煮の出汁は鶏のガラと首皮に昆布とカツオだしを混ぜたもので作る。
鶏鍋はモツと皮と手羽先を軽く熱闘で湯引きしたものに昆布と酒で出汁をとる。
モツやガラは専門店や百貨店でも安く買える。粉末の鶏ガラスープよりよっぽど重厚な出汁が取れてしかもお安い。コラーゲンもたっぷり。モモやムネ、ささみや手羽先手羽元と同じように、もっと需要があってもいいと思うんだけどな。まぁ需要が少ないからか安価で手に入れれて俺としてはありがたいが。

鶏は各地によって需要が違う。宮崎ではわざと焼く時に炭の上に脂を落とし、それによって出た炎と煙で燻すように焼く宮崎焼き。秋田では比内地鶏を使ったきりたんぽ鍋、名古屋では手羽焼き、大阪ではモモやハサミも人気だが、セセリやハラミ、セギモ、砂肝の方がポピュラーだ。

ちなみに焼き鳥屋で注文する時、部位によって呼び名があるから解説しておく。
これらを扱っていない店は行かない方がいい。

モモ・・・鶏の総称でカシワとも呼ばれる代表的部位。一番ポピュラーな足の付け根の肉
ムネ・・・読んで字のごとく胸の肉。高タンパク低脂肪でヘルシー
ササミ・・・鶏肉の中でタンパク質がもっとも多く低脂肪な胸肉の一部
手羽先・・・別名「イカダ」。翼(羽)の上部。ゼラチン質や脂肪が豊富。名古屋で有名
手羽元・・・翼(羽)に付け根部分。唐揚げでも美味しい。こちらも名古屋で有名。
フリソデ・・・手羽元と胸肉の間の部位。これを扱ってる店は少ないので、メニューにあれば是非。
ボンジリ・・・別名「さんかく」お尻の部分で濃厚な旨味。すぐ売り切れるので早めに行って注文しないとね。
カワ・・・基本的には首皮の部分。コラーゲンたっぷりで出汁をとったりも出来る。九州ではこの部分をじっくり焼き上げる有名店がある。
ヤゲン・・・胸肉の先端。ヤゲンナンコツは軟骨に観のついた状態でこちらがおすすめ。
セセリ・・・別名「ネック」と呼ばれるように首周りの肉。背側と喉側があるから店で聞いてみて。
ハラミ・・・別名「サガリ」。牛と同じく横隔膜に当たる部分。希少だから人気部位だ。
砂肝・・・別名「スナズリ」正式名称は砂嚢(さのう)。こりこりした食感で俺はこれが一番好き
背肝・・・腎臓の部分。瀬川の骨にくっついてからこう呼ぶらしい。新鮮なものでなければ苦い。店の格がわかる逸品。
肝・・・通称「レバー」。生食がベストだが昨今の牛レバー食中毒事件で生で提供する店は激減。焼きでも美味しいが焼きすぎると美味しくない。
ハツ・・・別名「ハート」「ココロ」。心臓の部位。地鶏のハツは是非食べてみる価値あり。

書いててめっちゃ焼き鳥が喰いたくなった。
友人の焼鳥屋に明日行こう。たらふく焼き鳥を喰おう。焼き肉屋やホルモンは店で喰っても自分で焼くから、いい肉を手に入れれたら家で焼いて食べる方が経済的で美味しかったりするけど、焼き鳥は家で焼いて喰うより、プロが焼く方が絶対美味い。秘伝のタレも家では絶対無理だしね。



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