GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

孤独のグルメ タンメンと豚のすき焼き

2018-04-28 05:53:25 | MUSIC/TV/MOVIE
孤独のグルメが好きだ。
故・谷口ジローさんの描く漫画も良かったのだが、これを実写で見事に再現、っていうより漫画原作を超えちゃった稀有な番組。

知らない人はもういないと思うが一応説明すると(もう何度かこのブログでも書いているのだが)、輸入代理店を個人でしてる主人公・井之頭五郎(独身)がいろんな土地での仕事の合間・終わりに「腹が減った」「よし店を探そう」と街で今日の飯を食うところを探し、「よし、この店だ」と入り「さぁ何を食べるか」とメニューを探り、「今の俺が欲してるのはこれだ」と注文し、食べるだけのドラマ。

このドラマの醍醐味は何と言っても主人公を演じる松重豊さんのいい食べっぷり。ムシャムシャバクバクと見事な食いっぷりだ。このドラマのヤバイのは観てるこちら側が腹がへることだ。深夜飯テロ番組と言われるのもわかるくらい、豪快に食うのだ。しかも「えっ?まだ食べるの」ってくらい注文しひたすら食う。

もちろん井之頭五郎はいちいちスマホで撮影してインスタやSNSにアップするなんてことはしない。ただひたすら真摯に食いまくるだけ。
店を探す時もググったりグルメサイトで探したりなんかはしない。ただ歩き回り己の直感・インスピレーションで「ここは良さげだ」と入る。メニューも「おっ!これだ」とか「すいません、これなんですか?」と店員や店主に聞いたりして選ぶ。
情報誌やぐるなびとか食べログで店やメニューを選んでるうちは一人飯のアマチュアだ。(プロはいないけどさ)ましてやフランスのタイヤメーカーが発行してるガイドやどこの誰かわからない人がつけた星の数を見て行くなんて邪道。その街で長年やってたり、住宅地でもこだわった隠れた名店はいっぱいあるのだ。

同じような番組で一人呑み女子を描くワカコ酒ってのもある。新久千映さんの漫画で、OL(独身)が一人呑みを楽しむ漫画だ。これを読むと(観ると)うまい酒を飲みたくなること必至。



ビール、焼酎、日本酒、ワイン、サワーにハイボールにチューハイ。孤独のグルメの井之頭五朗は酒が飲めない代わりにあれこれ色々次々と頼み食べ尽くすが、ワカコ酒の主人公ワカコはお酒が中心で、アテ(肴)として頼むのは1品かせいぜい2品。これが呑んべえと下戸の違いだね。ワカコ酒はBSジャパンで武田梨奈主演の実写版ドラマになってて、現在Season3が放映中だからぜひ観てくれ。

こうしたドラマや漫画が人気があるのは、今の世の中はボッチメシ、一人飯、ひとり呑みなどが増えたのかな。以前は会社やサークルでの飲み会があったが、アルハラとかセクハラとか面倒臭いとか自分のプライベートを大切にしたいとかでめっきり減ったんだろう。おかげで居酒屋とか小料理屋はどんどん潰れている。気が付いたらミナミもキタも沿線の駅前も大手チェーンの大バコ店ばかり。メニュー全品290円とか、飲み放題付きで2980円とかね。

飲んだり食ったりするのは鍋とかパーティでもない限り一人か少人数に限る。上司・同僚・取引先などと飲んでも落ち着かないし、好きなものも頼めなかったり、会話も説教がましかったりね。
そうはいっても今も中高年のサラリーマンは立ち飲み屋、炉端、居酒屋でワイワイ飲んでるから、ジェネレーションで別れちゃってるのかな。

俺は焼肉でも寿司でも酒を飲むのも一人の方が気楽でいい。
それでも付き合いってのがあるから、たまにツレらと居酒屋や炉端に行くことはある。でも「おいおい、どんだけ注文すんねん」ってくらい揚げ物・刺身・焼き鳥・一品とあれこれ脈絡なしにオーダーされてしまうと辟易する。テーブルに置けないくらいに次々と料理が運ばれてこられても、若いうちは全然気にしなかったんだけど最近はちょっとうんざりしてしまうのよ。ビールに合うもの、日本酒に合うもの、焼酎に合うものってあるだろ?さらに言えば熱いもの熱いうちに食いたいのだがね。井之頭五郎じゃないのでそんなに早いペースでは最近は食えないのよ。

酒はやっぱり気心、ペース、趣向の合う奴と行くか、もしくは一人でお気楽にいくかだな。まぁ一人だと見知らぬ店に初めて入る時は緊張してしまうのだけどね。常連さんのチラリ目線にアウェー感感じたりね。まぁそれもまた良しなのだ。

話がだいぶ横道に逸れてしまったが、この孤独のグルメSeason7、今回が3話目で舞台は群馬県下仁田。
打ち合わせ時間よりだいぶ早く着いてしまった五郎=松重豊が町を探索してると昔懐かしい町の中華料理屋を見つける。店に入り頼んだのはタンメンと餃子。

このタンメンってやつは関西では馴染みがない。おでんの具材・ちくわぶと同じく関西ではほとんど見かけない。上にごちゃごちゃ炒めた野菜が乗ってるのはちゃんぽんくらいで、このちゃんぽんでさえリンガーハットと中央軒以外では食されないくらい関西ではマイナーだ。少なくとも俺は一度も食ったことがない。多分大阪でタンメン食べたいって言うと「えっワンタン麺?」って言われるだろう。エースコックのワンタン麺は出前一丁、サッポロ一番、チキンラーメンと並ぶインスタントラーメン四天王だ。

俺はうどんなら素うどん(かけうどんね)が好きだ。

蕎麦ならざる、ラーメンでさえ「具抜きで」ってオーダーするくらいだからあれこれ乗ってるのは苦手なのよね。(担々麺は別)

でも松重豊さんのタンメンの食べっぷりを見てると、一度は食べてみようかなって気になってしまった。それくらい美味そうに一気すすってた。
でも、今から打ち合わせなのに餃子を食っていいのか?本場中国のようにニンニク抜きなのかな?違うだろうけどテレビドラマだからまぁいいか。

五郎は打ち合わせが終わってさぁ帰ろうと駅に行くが、電車は今出たとこ。次の発車時間は30分後。仕方がないから待合室で座ってると疲れで居眠りをしてしまう。目が覚めた時はまたもや電車が発車した後で、駅員に「3本くらい乗り損ねるくらい寝てたよ」と。開き直った五朗は「もうこうなったらここで晩御飯を食って帰ろう」と店を探す。そういや昼に食った中華料理店の横にすき焼き屋があったなと思い出しそこに行くことにする。

すき焼きしかないこの店は、牛のもあるけど豚のすき焼きをオーダー。
このすき焼きがまた美味そうなのだ。
まずはネギを焼いてそれを食べることを勧められる。下仁田といえば下仁田ネギ。これも関西ではあまり出回らない。白ネギはあるが何と言っても青ネギが主流だからね関西は。関東地方はローム層の関係で白ネギが育ちやすく青ネギは育ちにくいってのを昔聞いたことがある。ちなみに地中で育つのが白ネギ、地上ですだつのが青ネギ。ついでに言えばワケギはネギではなく玉ねぎの仲間だ。



さてその豚のすき焼き。割り下を入れてグツグツ煮てる。
これも関西と関東では流儀が違うね。関西では先に肉を焼いてそれを食べてから具材を入れ、砂糖や醤油や酒(最近はすき焼きのタレなんてのが売ってるが)を入れて煮る。関東は割り下で煮るから俺たちからするとそれは牛鍋だろうって。関西では肉と言えば牛のことだから豚のすき焼きはあまり縁がないなぁ。豚の鍋はしゃぶしゃぶだな。せいぜい具材は白菜やほうれん草などでいい。向田邦子さんの常夜鍋がお手本だな。

とはいえ、煮込んだ豚を溶き卵で食うのは見てて美味しそうだ。ネギ・シラタキ・エノキなんかは絶対に合うもんな。
子供の頃はこの溶き卵をからめて食うってのが苦手だった。今ではパスタを生卵(黄卵のみ3個使用)に絡めて俺流カルボナーラにして食べたり、ざるそばに卵を絡めてツユにつけて食うとかするくらいだが、昔は卵かけ御飯でさえ苦手だったな。

それに具材がいっぱいなのはいいのだが「肉よりも野菜食べなさい」と言われるし(そのおかげで今では肉食う時は野菜など食べない)、シラタキより糸こんにゃくかマロニーの方が好きだったし、ジャガイモは肉じゃがカレーだけでいいと思ってた。焼き豆腐より絹の方が好きだしね。冷奴でも湯豆腐でも木綿より絹。つい最近知ったのだが木綿で濾すから木綿豆腐で、絹コシは絹で濾してるんだと思ってたが違うのね。絹で濾してるわけじゃなくて型に入れて固めてるんだとさ。けど舌触りが滑らかだから絹って名前なのね、知らなかったのよ。それを知ってから「じゃぁ充填豆腐ってのはどうなのさ」って最近はちょっと充填豆腐がお気に入りなのだ。(鍋に入れると型崩れしやすいという欠点がある)

またもや話が脱線してしまったが、その豚のすき焼きを、相変わらず今回も豪快に松重豊さんは食う。
最後はご飯の上に出しのしみた肉やネギ野菜にシラタキを乗せ、すき焼き丼にして食う。そしていつもの「ふう、ごちそうさまでした」が出る、かと思いきや鍋に残ってまだグツグツいってる出汁を見て、追加注文。てっきりうどんを頼んだのかと思ったが、それは以前に一人すき焼きの回でやったね。
今回はご飯(さすがに小盛だった)に新たに卵を溶きかけ、さらにそこに鍋に残った出汁をかけ一気食い。これもうまそうだ、っていうよりこれだけで2−3杯は飯が食えそうだ。言うなれば牛丼のツユだけを卵かけ御飯にかけて食うようなもんだ。吉野家かすき家か松屋、どれかがこれをしてくれたらいいのにな。

今回も美味そうに食ってた。人が食べてるのを見て何が楽しいんだって冷静になってはいけない。そんなこと言ったらどのグルメ紹介番組も見れない。野球中継だってゴルフもマラソンもフィギュアスケートなどスポーツ番組もそうだし、HなAVだって見れないね。いいなぁ、すごいなぁ、美味そうだなぁでいいのよ。

ただちょっと不満なのは、最近は井之頭五朗=松重豊さんがタバコを吸うシーンがなくなった事。
ドラマ開始の頃は一服しながら「よし、店を探そう」とか、タバコ吸いながらメニューを眺めてたり頼んだ物が来るまで待ってたりしてたんだけどなぁ。Season2の中華料理屋では、食ってる最中のインターバル(隣の客のお勧め品を頼んでそれが来るまで)に店の外に出て灰皿持って一服したりしてたんだけどね。
これも今の嫌煙、受動喫煙ナンチャラカンチャラの影響かね。

酒を飲んでる時もなぜかプカプカチェーンスモークしてしまうが、なんといても腹いっぱい飯を食った後の一服ってのはたまらなくうまいんだけどなぁ。
俺は一人飯や一人呑みをする時、店を選ぶ基準は喫煙可かどうかは大事なポイントだ。
ご飯だけ食べて、すぐ違う店に飲みに行く予定の時は気にしないけどね。タバコ吸えないと一人だと間が持たないのよ。
写メとって「インスタ映え〜」とかやらをやるしかないもんな。しないけどさ。



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