相も変わらず聖火リレーをやっている。
世間では全然盛り上がってないのに、いや心の中では「こんな時にまだ走るのか?」って非難されても、馬耳東風。
トボトボ走ってヘラヘラ笑って街道に手を振ってる走者。タレントならまだわかるが一般人なのに手を振ってたりする。地元の代表になった気分になってるのか勘違いしてるのか。
本人が楽しけりゃそれでいいけどさ。
マスコミは「密になってるところも出てる」などと多少の嬉しがりやと、人の言うことを全く聞かない(聞くことのできない)バカを映して、現地では盛り上がってる感を出している。
なんかこのままズルズルと「無観客でなら東京オリンピックやってもよくね?」って雰囲気に持って行こうとしてるのか。
だいたい何なのあのスポンサーの車列は。
マラソンや駅伝みたいに、放送局の車や先導する白バイ、警備する人らの車両が周りを囲み画面に映り込むのは仕方がないとしよう。
しかし日本生命とかトヨタとかコカコーラとか、オリンピックの協賛企業の車列って。聖火ランナーと並走できるからスポンサーになったのか、スポンサーだから並走してるのか、どちらにしてもよくわからんが邪魔。
島根県はあの車両を走らせないなら聖火リレーしてもいいと言い出した。それでも絶対走らせると思うぞ。だってスポンサーなんだもん。金出してんだもんって。
で、愛知県ではそのスポンサーのTOYOTAの社長、豊田章男社長が聖火ランナーとして走った。
TOYOTAといえば世界的な販売網を持つ車のメーカーだ。もちろんオリンピックの公式スポンサー企業である。IOC(国際オリンピック委員会)の最高位スポンサーである。
その社長が聖火を持って走る。愛知といえばTOYOTAと言っても過言ではないから当然のような気がするが、スポンサー企業の社長がトーチを持って走る姿には違和感しかない。
協賛(スポンサー)が傍でビールやドリンクを販売してるとか、社名やロゴの入ったデッカイ宣伝パネルとかを設置してるというのならわかる。スポンサーだものな。音楽フェスとかでは当たり前の光景だ。
しかし、協賛企業のやつが我が物顔でメイン舞台に出てくるなんてありえないだろ?ましてやその社長だぞ。変だと誰も思わないのか。
岐阜県の聖火リレーでは、高橋尚子が走った。
高橋尚子といえばシドニーオリンピックでの激走。日本人で初めてマラソンの金メダルを取った人だ。功績は認める。すごいアスリートだ。
でも彼女は今、組織委員会の理事だ。あの森さんの女性蔑視問題で辞任してからジェンダーがどうとかで登用された。聖火リレーも含め東京五輪そのものを仕切る立場である組織委員会の理事、つまり関係者オブ関係者である。そいつがトーチを持って走るってどうよ。
選ばれたのは「まだ彼女がアスリート委員会の委員長だった時」というのなら100歩くらいゆずるがそうではない。高橋尚子が走ることになったのは彼女が組織委員会の理事に就任してからだ。
そして三重県の聖火リレーでは瀬古俊彦が走った。
瀬古といえば宗兄弟とともに日本男子マラソン界を牽引してきた人だ。功績は素晴らしい。
しかし彼は今、日本陸上連盟マラソン強化戦略プロジェクトリーダーである。日本のマラソン選手を鍛えあげる責任者。そう瀬古も関係者オブ関係者なのだ。
そんな関係者が各地で聖火を持って走る。
裏方が表に出てきてどうする。裏方は裏方に徹しろよ。裏方が表に出る時は事情を説明するとかなんか問題があった時だけだ。筒美京平さんを見習えよ。あの人は決して表に出なかったぞ。阿久悠さんもそうだな。雑誌などのインタビューとかは別だが、メディア露出は避けてた。
いつまで現役(アスリート)時代と同じ感覚でいるのだろう。
こんな人らが分別ないから、そりゃ、街道に見に来る一般大衆も分別ないわな。
スマホ片手に、密になるなと言っても密になり(祖先はミツバチか?)、人を押しのけても前へ前へ。
そんなに芸能人が見たいのかね。またその芸能人はノーギャラで客寄せパンダのようになって平気なのかね。
ましてや元アスリート、今や陸連やそしい委員会の理事などを務めるような人が、はしゃいでどうする。
スポンサーがでしゃばってどうする。
もはやカオスである。
それに「リレー」というからには、次の県まで火をつないでいくべきなのだが、どうもそうじゃない。その県内でランタン(種火)からトーチに火を移して、県内走ってワチャワチャしてゴール。そして次の県へはランタン(種火)を移動。そして次の県でもまたトーチに灯して・・・。
県の最後のランナーは次の県のランナーのトーチに火を移し、それを次の日に持って走り、また最後は次の県のランナーのトーチに火を移す。それならわかるのだが、種火だけ移動って。意味ないやん。
それならばギリシャから運んできた種火を各都道府県分ランタンに移して、各地にそれを運べばいいんじゃね?って思うのだが。いや、いっそのこと直接国立競技場の聖火台に移してくれよ。
そんないい加減な聖火リレーなら、それこそ無観客でもよくね?
火が消えても、ランタンでまた再点火。時間の都合で、スキップして次のスタート地点でランタンから点火したってのもあったよな。スキーで滑って麓まで降りてってのが、次のランナーの列車と重なる絵が撮れないって理由だけで。県内で火をつないでさえいないのだから。
他の県でも船で運んだりしてたりする。女人禁制の伝統がある船を「五輪憲章に合わない」って理由で強引に捻じ曲げ女性を乗せる。で、別にその女性が聖火トーチを持ってるわけでもなんでもないんだ。何がしたかったんだ?
LGBTやジェンダーの考えはとてもデリケートな問題だ。それはまたちゃんと議論しなきゃいけないことだけど、それは場所と時間を改めてゆっくり議論すべきではないか?
「今時」とか「今の時流では」とか「世界的には」とか、勝手にほざくのはいいけど、オリンピックとかにこじつけて、なし崩しに何でもかんでもジェンダーレスとかやってたらそのうち痛い目にあうぞ。
まぁそんなこと言ってるやつは平気で「今日ミスド行こか」とか「私ミスチル好きやねん」とか言ってそうだけどな。
「女優」って呼ばれることに違和感があり、「俳優」と呼んでもらいたいと語るタレントさんが以前所属してたのは女性だけで構成されたアイドルグループなんだが。映画祭や伝統のある賞で「主演女優賞」や「助演女優賞」などにノミネートされても辞退するのかな。
大阪はついに900人越えの感染者になった。
当然、聖火リレーどころではない。
飲食店は時短を強いられ、不要不急の外出を避け、リモートワーク推奨だ。新学期を迎えた学生は講義やゼミもサークルも、新入社員を迎えた会社もコミュニケーション(communication)どころでは無い。
それでも組織委員会は万博公園で無観客でどうたらこうたらと言っている。
そんなに聖火リレーをやりたいのか。「やった」って形を残したいのかね。
そもそも、その聖火だって飛行機で運んできたものだ。
京都のおけら詣りの火種の方がよっぽどありがたい。
先日の名古屋女子マラソンで優勝した選手と、それを囲む歴代アスリートや陸上競技関係者。
この人らが「ソーシャル・ディスタンス」という言葉の意味を全く理解していない(できない)ことが、この一枚でわかる。
裏方が出しゃばるのは、それ以上に「みっともない」。