カトリック情報

katorikku jyohou

カーゼル『秘儀と秘義』 反近代主義時代だったのにピオ12世が承認しちゃって公会議典礼の中核になった近代主義の経典。進化論・宗教学・混交主義をもってカトリック典礼を再解釈・再構築して相対化する邪悪な企て

2019-01-14 | 典礼 ノブスオルド

 オード・カーゼル『秘儀と秘義 ー古代の儀礼とキリスト教の典礼』小柳義夫訳 みすず書房 1975年

教会自体が新約の偉大な秘義であり、使徒パウロ自身が秘義と呼んだかたーキリストーの模範にならうものである。」p246 ←教会を秘跡にしてしまう異端の基礎理論

「キリスト者は、秘義によって天上のことに「今すでに参加している」のである。秘義の内容は、「清め」「更新」「食べることと飲むこと」でもあるし、また「照明」つまりより高い光の知(グノーシス)でもある。おそらく秘義の本質を表わす最も深いことばは「参加」(participatio, consortium)であろう。この概念は、古代の秘儀のみでなく、古代の宗教哲学や神秘観の深さを思い起こさせる。」p249 ←ノブスオルドの核概念であり、かつ、宗教混交主義を神学的に支持してエキュメニズム(宗教的姦淫)を推進する根拠となっている。

「このとき宗教学研究が盛んになったことは、キリスト教神学にとって全く摂理的である。比較宗教学は、近代科学の相対主義に由来するものであったので、当初教会や神学の不信を買ったのも、やむを得ないことであった。宗教学は啓示の事実を、実際的にも、理論的にさえも否定したからである。」 p254 ←宗教学、比較宗教学が近代主義と知りつつ推進する確信犯

上掲書 解説 土屋吉正

「一九四七年十一月に発布されたピオ十二世の回章『メディアトル・デイ』は、カーゼルによって始まった秘義神学を、教会全体の典礼理解のためにとり上げたものと見ることができる。カーゼルはこの回章によって、自分の著作の主旨が教会によって受け入れられたものと考えたが、ノインホイザーが、『典礼学年鑑』(ALW)3/1(1953)104-122.に詳しく述べているように、問題はそれほど簡単ではなかった。しかし根本的な点で回章が秘義神学に承認をあたえることになったのも確かなことである。」p306

「こうして本書は公会議の典礼憲章に大きな影響を与えることになった。」p307

「カーゼルは、今世紀はじめのいわゆるモデルニズム(近代主義)の傾向に対して教会が非常に警戒的であった時代に、初代のキリスト教と他の宗教との相互関係を明らかにし、それによって、両者の、宗教としての一般的類似性を見出したばかりでなく、キリスト教本来の独自性をも再発見することになったが、これが、いわば比較宗教学的な一種の進化論として、警戒の眼で見られたのである。」p307

当時の教会がモデルニズムに対して極端に警戒の眼を向けていたことから、カーゼル同様同時代のカトリック神学者は、学問的な活動においても困難と忍耐を必要としたが、しかしまたそのためにこそ、第二バチカン公会議後におけるカトリック神学の発展にはめざましいものがあったと言えよう。」p307  ←近代主義を警戒するピオ10世系の健全な流れの中で、肩身が狭い禁書候補だったのに、教皇回勅と公会議という権威によって、大手を振ってスターダムにのし上がって教会の本流と化してしまった。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。