アメージング アマデウス

天才少年ウルフィは成長するにつれ、加速度的に能力を開発させて行きました。死後もなお驚異の進化は続いています。

Kozue(胡都江)~Twins of Formosa十Ⅰ

2016-12-02 22:26:31 | 物語
十一 ショートストップ

 次の日の夕方。つまり、西暦千九百七十年、昭和で四十五年目の弥生三月二日の夕方。私はあやの屋に綾香を訪ねた。
 借りていたシャツとトレーナーとウインドブレーカーを返す為だ。だが真の目論見は他にあった。
 小さな庭のある縁側で少し話をした。
「気に入らないわよね、こんな赤い色のジャンパー」
 茶の湯をたてながら綾香が言った。
 とんでもない、赤いから良いのだ、何よりもスーパーマンのマークが私の好みに合った。
「良ければ使って貰おうと思っていたのよ」
「良いんですか?」
「あら、気に入っているの?」 
「ええ、着心地は満点、デザインも最高です」
「だったら進呈するわ。弟のだけど」 
 だけど、のあとに興味が沸いた。
「弟さん、どうしているのですか?」
「ショートだったの。甲子園に出たのよ、一度きりだけど」
 ショート、ショートストップ、遊撃手とも言う。偶然私も遊撃手だった。甲子園は駄目だが、神宮だったら出たことが有る。
「さあどうぞ。作法なんか気にしなくて良いのよ」
 綾香がたてた抹茶に私は怯えた。飲み慣れたお茶とは大分様子が違う、泡立つ濃緑色の抹茶はいかにも苦々しげにも、憎げにも見えている。 
 思い切ってガブリと一息に飲み込んだ。
 意外だ! 少しも苦くない、どころか上品な甘味が口中に拡がって行く。
 そこで初めて茶器に意識が向いた。
 鈍く光る黒い凸凹な茶碗、とても意図的に創ったと思えぬ独創的なその茶碗が、掌に心地よく収まっている。
「オリベっていうのよ」
「オリベ? 古田、・・・織部」 
 茶の湯は初めてでも、そういう知識は私のお手の物だ。
「あらっ、博学なのね」
 古田織部、千利休の弟子で、前田利家の娘の養父としても知られている豊臣大名の一人だ。師の利休は秀吉に切腹させられ、弟子の織部の方は、夏の陣の後豊臣方に内応した詮議で家康に切腹を命じられた。反骨精神の旺盛な古武士、という印象しか持っていなかったが、茶器の作者として高名だとは知らなかった。
 私はその時、軽いカルチャーショックを受けていた。歴とした日本人の、二十代半ばの文化を愛する青年が、茶の湯に驚いている。滑稽と言えばこんなおかしな話は無い。茶道に強烈な興味を覚えていたが、世辞を言って気を惹くと思われると癪なので、懸命に堪えた。
 紅い夕日が創る綾香の影が縁側から室内へと伸びていた。その先の居間の小さな仏壇で線香が薄紫の煙を上げながら微かに灯っていた。
 綾香の頬の影が哀しそうだ。いや、彼女は偲ぶ追憶を愉しんでいる様にも見えた。
「甲子園の直ぐ後、肩を壊してプロを断念したわ。社会人になってから、スーパーマンって草野球のチームを創って愉しんでいたわ」
 そのスーパーマンのウインドブレーカーをなぜ私に呉れるのか、どうして必要なくなったのか解らない。聞くのが恐くもあったので、野球の話はもう止めた。
「金田の出入りしている所、知っていたら教えて呉れませんか?」
「だいたい分かるけど、お止めなさい、ヤクザになんか関わるの」
「ちょっと聞きたい事が有るだけです」
「本当に大丈夫なのね。危ない事に顔なんか突っ込んじゃ駄目よ」
 心とは裏腹にハッキリと頷く私。
 余り気が乗らない風にして、綾香はやっとパチンコ店と雀荘を教えてくれた。
 
 その日の深夜、さっそく雀荘に行った。
 フリー打ちの雀荘で、入ると直ぐメンバーがルールの説明を始めた。
 場が二卓立っており、奥の方の卓に金田がいた。
「よろしければ、すぐ打てますよ」
 手前の卓に雀ボーイが入っているのだ。金田と打たなければ意味が無いので、店に入ってきた男に番を譲った。

 二十分ほど待って奥の卓が割れた。負けていた二人が同時に席を立ったのだ。
 私と、その後に来ていたスキンヘッドのチンピラが卓につこうとすると、
「店のメンバーを一人入れましょうか?」
 恐る恐る店長が金田に聞いた。
「この人さえよければ構わねえよ、メンバーとなんか打ちたくはねえ」
 口ひげの男が言い放った。
「構いません、その代わり、場所決めだけはさせて下さい」
 渋々店長が東南西北を伏せて混ぜた。
 私は、いち早く手を出して、四枚の伏せた牌を人差し指から小指で押さえてほんの少しずらし、ちゃんと東を引き当てた。壁際の席を選ぶ為だ。
 ヒゲが上家、スキンヘッドが下家、従って金田がトイメンだ。ヒゲもスキンヘッドも金田も指輪をしていた。麻雀の他流試合で指輪を見たらイカサマ師と思えばほぼ間違いない、指輪は牌を隠すのにすこぶる便利なのだ。
 私と金田の左角に雀ボーイが貼り付いた。イカサマを封じるためだろう。明らかに組む三人より私の方を警戒したに違いない。触っただけで牌を読む雀士など、熱海にいるわけがないからだ。
 壁際の席を手に入れた以上、私は平気だった。詰め込みもすり替えも自由自在に成功させる自信があった。
 四人とも猛スピードで牌を積んだ。
 私は、積んだ十七列の山を区切らずに少しだけ前にずらし、サイを振る。勿論五だ。もう一度振る。今度は二。
 右から七列十四枚を残して、配牌を取っていった。ドラ表示牌は敢えて開けない、ここがポイントだ。
 配牌を平たく揃えず右隅に置いて行く、最後に二つの同じに見える山が出来上がる。その二つの山をすり替えれば完成だ。
 配牌を開いて、あれこれと牌を揃えながら首をしきりと傾けて見せ、
「うーん、・・・えーと」
 と、なかなか切らない。実は切る気など皆目ないのだ。
 イライラとドラ表示牌をひっくり返すヒゲ。
「いい加減にしろ、早く切れよ!」
 スキンヘッド。
「切る牌が見つからない」
 少し勿体ぶって間を置いた。
「やっぱり有りません。・・・無い」
「無ければ上がりだろう。嘗めた事言うじゃネエ」
「それ、それです、どうやら上がっているみたいです」
 と、手牌を倒した。言うところの天和である。
 私のいきなりの宣戦布告に場が一気に緊張した。なんでも有りのルールだったが、イカサマまで有りのルールを宣言したに等しい。
 誰も文句は付けなかった。イカサマは現場を押さえない限りどうにもならないのだ。だが、次の局から、相手の三人とも遠慮無しにやりたい放題を尽くした。
 南場を待たずに雀ボーイが二人とも卓を離れた。こんなめちゃくちゃなイカサマ合戦に付き合うのがバカバカしくなったのだ。
 ヒゲとスキンヘッドは牌を積む時、左手を山に着けたまま動かさない。賢明に考えながら詰め込もうとしているのだ。ドシロウトが見え見えだ。金田だけはややましに見えたが、こんな連中が三人組んだところで少しも恐くない。
 頭を低くして振り込みだけに気を付ける、殆ど上家に合わせて牌を切るのだ。それでも、三局に一度位の割合であがれた。
 南場の親で又仕組んだ。
「リーチ!」
 大声を出して牌を叩く! 人は誰でも大きな音の方に目を奪われてしまうものだ。その空きに、四枚目の一ピンを拾って来た。イカサマは技術よりも度胸、私の持論である。
 敵は、リーチを掛けてきた私の意図が分からず迷っている。組まれた麻雀でリーチを掛ける馬鹿など誰もいない。迷うだけ迷うが良い。一回りのうちになんとかしなければ私の上がりだ。そう確信していた。
 下家が積もらずに上積に牌を載せた。誰かの当たり牌を置いたのだろう。
 私は、中指で軽く上積牌の右側をチョント押しながら、親指と薬指で私が積もる予定だった牌を巧みに抜いて、盲牌もせずに卓に叩き付けた。
「ツモ! 国士十三面待ち! ここではダブルでしたよね」
 最後まで自由には言わせて貰えなかった。
 ヒゲが牌を私に投げつけ、スキンヘッドに卓の外に引き吊り出された。
「いい加減にしやがれ!」
 雀ボーイも店長も客も見て見ぬ振りをしている。

 作戦は大成功だ。私の計画通りに進み、電話の並んだ事務所に連れ込まれた。
 名誉の為に弁解を言う。私は前にも言ったようにイカサマをやらない人だ。第一イカサマなどやらなくても勝てたのだから、そんな必要など更々無い。行きつけの場でこんな事をやれば忽ち仲間外れだし、命など幾つあっても足りやしない。この時は、金田を怒らせて二人きりになるのが目的だった。
「学生さん、どういう積もりであんな事をしたのかね」
 金田は思いの外ちゃんとした発音で日本語を喋った。
「翡翠の事が聞きたかっただけです」
 金田が顎を癪って二人のチンピラを外に追いやった。
「さあゆっくりと言分を聞かせて貰おうか」
「あの姉妹をどうする積もりですか?」
「知っているのか?」
「だいたいはね」
「偶然見かけただけさ」
「父娘の名乗りをあげる積もりじゃないでしょうね」
「まさか。・・・これでも己を弁えている。胡蝶も娘達もキッパリと諦めているさ」
 この後一時間ほど話し合っただろうか。私も色々話したが、吉之輔のミズエに対する性的悪戯だけは言わなかったのは当然だ。
 金田の話によると、溥儀とは異母兄弟にあたると言い、台湾では満州族である事を未だに隠し続けているという。昭和二十一年の夏に密入国で日本に渡り、間もなく先代の市村胡蝶一座に拾われ、雑用ならなんでもやらされたらしい。座長の娘と恋仲になって生まれたのがミズエとコズエの姉妹だ。
 姉妹が二歳の誕生日を迎える前に警察に捕まった。吉之輔に密告されたのだ。
 台湾に強制送還された後香港に渡り、裏の世界に入ったという。五年前に偽造パスポートで再来日した。

 秦河勝の末裔が清朝最後の皇帝・愛親覚羅溥儀の異母弟と日本で結ばれ、溥儀の弟溥傑の娘愛親覚羅慧生の従姉妹にあたる麗しきフォルモサの娘を産んだのだ。こうやって整理して見ると、ミズエとコズエ姉妹を巡る因縁が、彩なす糸のように絡み合っているのが良く理解出来た。
 この彩糸を巡って、千秋楽までの短い期間に、様々な出来事が私を襲った。
2016年12月3日   Gorou
   

Kozue(胡都江)~Twins of FormosaⅩ

2016-12-02 22:19:22 | 物語
十 二人のミズエ

 いよいよ初日がやって来た。
 こんな地方廻りの芝居などと馬鹿にしてみたものの、現実には私の演劇デビューなのだ。
 昼過ぎからなんとも落ち着かずにホテルの館内をうろついた。
 一座やスタッフもまた、皆緊張を隠せなかったのだが、コズエだけは無邪気にはね回っている。
 どうしてこんなにも無邪気で無垢な娘から、妖しいまでの色香が出てくるのだろうか、毎日のように朝日に呪いをかけているのだろうか、まったく分からない。
 呪いの理由だけはこの日判明した。
 
 最後の通し稽古の最中、どうも吉之輔の様子が妖しい。座長の目を盗んではミズエの側に躙り寄るのだ。
 肩に手を掛けたり、時には尻を触ったりしていた。義理とはいえ、父親なのだからと、うっかりと見落としてしまいがちだが、可成り質が悪い。逃げ回るミズエを追って、どこまでもつけ回すのだ。
 今もコズエが凄い目つきで吉之輔を睨み、呪いの詞を唱えている。
 見るに見かねた私は、ミズエを手招きして、コズエと私の方に呼んだ。
 コズエにミズエを預けた後、吉之輔の側に寄っていった。
「あんな事、止めた方が良い」
「あら、あんな事って何?」と惚ける。
 コズエが私たちの諍いの一部始終を、その大きな眼で見詰めている。かなり離れていたが、やりとりの全てを読み取っているに違いない。
「義理でも娘は娘、嫌らしい真似はもう止めろ!」
「あたしが何をしたって言うの!」
 声を荒げる吉之輔。
 こんな奴は脅すに限る。
「何でもいいからヤメロ!」
「ふん、あんたこそ、大怪我したって知らないわよ」
お釜のお姐言葉の方がどうも凄みがあって、妙にリアリティが有る。公正に見て脅し合いは私の負けだった。
 コズエが上体を仰け反らせ、両手を後ろに回して逆手で拍を打ち、蛇のように真っ赤な口を開いて呪いの詞を吉之輔に吐きつけている。
「せいぜいお気を付けあそばせ」
 と、薄笑いを浮かべる吉之輔。その微かな唇の隙間から、霞となったコズエの呪いが吉之輔の体内に忍び込んで行く。
 私には、確かにそう見えた。
 吉之輔は賭場に良く出入りしていたようだから、チンピラの一人や二人知っているに違いない。私など襲って大怪我させるのに分けが無いのだ。
 座長にそれと無く悟らせるか、私がミズエを保護するしか方法が無い。だが、それも三月一杯までの事で、一座が熱海を離れるその後をどうすべきなのか分からなかった。

 いつのまにか吉之輔が消え、代わりにコズエが佇んでいた。
 コズエは伸び上がるようにして、私の首にペンダントにした翡翠の玉をかけた。
「鬼太郎に上げる」
「こんな大事なもの、貰うわけにはいかない」
「きっと必要になるわ。この玉は一度だけだけど鬼太郎の命を守ってくれるわ」
 コズエは一度言い出したら決して後にはひかない娘だ。
「じゃあ、暫く借りておこう」
 満足してニッコリと笑うコズエ。
 今思うと、この娘には私を取り巻く運命の全てが見えていたのかも知れない。

 どうにも気持ちが収まらないので、街へふらりと散歩に出た。カルガモの子のように、ミズエとコズエが後について来た。どうやらこの姉妹は私を親鴨に見立てて、その保護下に収まろうとしているようだ。更に、健一まで、いつの間にか加わっている。
「準備は終わったの?」
 と、健一に聞くと、
「大丈夫、万全です」
 頼もしくも言い放った。
海岸通を西に歩き、私のアパートを過ぎると直ぐ、綾香が言っていたストリップ小屋があった。
 小屋の前で数人の厚化粧の女達が屯している。
「お兄さん、遊んでかない」
 若い娘を二人も連れているのに、頻りに私と健一を冷やかすのだ。
「四人とも面倒見て上げるからさ、いい勉強になるよ」
 まだ五時を少し過ぎたばかりの時間だった。こんな時間に客などいる分けが無いと思ったが、団体客がぞろぞろと入っていった。どうやら踊りだけを見せる小屋では無いようだ。
 小屋の前を過ぎた岸壁の横に、バラック建ての射的場があったので、健一と二人、遊んでみた。
 なかなかうまくいかない。私はちょっとポップな感じの招き猫に狙いを定めていたが、全然駄目だ。何度当たっても、全く倒れる様子が無い。
 私は次第にムキになっていった。見張りの女の目を盗んで、台の上に素早く上がり込み、遂に倒す事に成功した。
「お兄さん狡しちゃ駄目じゃないの」
 ばれて元々、欲しいのでは無く、倒したいだけだ。私は大げさに両手を広げて、戯けて見せた。そして、悄気た振りをしてホテルの方に歩き出すと、
「特別サービスだよ!」
 女がウインクしながら招き猫を投げてよこした。
 ミズエに渡すと、コズエが素早く取り上げてしまった。熱海という温泉街は、あの頃いつもこんな具合だった。
 
 華やかな琴の合奏、サクラ変奏曲とともに、緞帳が上がり、初日の幕が無事開いた。
 客席はほぼ満席で、所々に芸者を上げている団体もいた。
 市村胡蝶が現れると、
「橘屋!」
 客席の綾香が声を掛けて呉れた。
「待ってました! 胡蝶ーッ!」
 とばかりに、あやの屋の芸子達が黄色い声を張り上げるのだ。
 舞台は驚くほど順調に進み、胡蝶の舞になった時。私の目は舞台に釘付けになった。
 ミズエが二人いるではないか。まるで見分けが付かない、これこそ一卵性の双子だ。初め、コズエがミズエに化けているのかと思ったが、どうやら二人は全く同じ顔を持っていたのだ。見分ける為に、化粧法や髪型、服や衣装を意図的に替えていたのだ。これでは実の母親、市村胡蝶にも見分けられなかったに違いない。他人が二人を見分けるには左項のホクロだけだったのだ。
 踊りが又凄い、美事なまでに息が合っている。対の羽の如くに一体化していたと思うと、睦み合う雌雄の胡蝶となり、雌を争う二羽の雄となって舞う。花となり華を競い、観る者を儚くも美しい夢の中へと誘うのだ。これを見て、私にあるアイデアがわき上がった。
 傍らに座長がいたので、案を話した。
「座長。二人に早変わりをやらせませんか」
「いいですよ、お染なんかどうです?」
 於染久松、大南北の歌舞伎の名作で、お染の七役と言って、七役もの早変わりを見せる代表的な出し物である。
「稽古と準備に一週間ほどあればなんとかなるでしょう」
 実際にはそれほど掛からず、次の木曜日に舞台に掛けることが出来た。
 
 第二部の芝居はまずまず無難な出来で、フィナーレの祭りの場となった。 
 最初は阿波踊りで馬鹿騒ぎ。
 ついで荘厳な青森ねぶた祭り。
 情感豊かな風の盆唄から一気に盛り上げて、勇壮な祇園太鼓へと雪崩れ込む。
 胡蝶の無法松が左右に姉妹を従え、祇園太鼓を乱れ撃つ様は、異様なまでの熱気を舞台と客席に巻き起こした。
 太鼓の音は人の血潮を熱き滾らせ、心を雄々しくも勇ましく鼓舞する。
 攻め太鼓に引き鉦などといい、古来より戦では、太鼓の連打で攻め、鉦の音で退却の合図とした。
 絶妙の呼吸で撃ち続けられる胡蝶母娘の太鼓の音は、私の中の遠い民族の記憶をも呼び起こした。
 私はこの時、東アジアの歴史そのものを頭に描いた。
 東アジアの歴史は、漢民族を巡る、扶余と靺鞨の相克の歴史である。扶余族も靺鞨族も、現中華民国東北地方の北方が民族発祥の地だ。現代にもその名が残っている。吉林省ハルビンと長春の丁度中間辺りのフーユイと、韓国忠清南道錦江川の辺の扶余という所だ。
 扶余と靺鞨を総称してツングース族と言う場合も有る。
 紀元七世紀末まで、扶余が支配者階級で、靺鞨が奴隷である関係が続いたが、扶余と靺鞨が初めて協力して建国された渤海の登場でこの関係は次第に崩れて行く。有る意味では渤海という国はユートピアなのだ。
 扶余も靺鞨も極寒の地から豊かな温暖な地方を目指して南下していった民族だった。ツングースは一種の騎馬民族であり、征服王朝のスペシャリストと呼ばれる。扶余は朝鮮半島で高句麗、新羅、百済王朝を起こし、日本列島に渡って大和朝廷の源となったとされている。対して靺鞨は、中国大陸にあって、金が宋帝国を倒し、清に至っては大明国にとって代わって中華の覇者となったのである。 
 金の皇帝の姓が愛親完顔と言い、清の皇帝の姓を愛親覚羅と言った。金から清初期までの民族名が女真で、清朝になってからは満洲。民族名が地名になった例で、ラストエンペラー愛親覚羅溥儀が帝国日本の傀儡政権満州国に荷担してしまった真相は、案外渤海国の故事などが絡み合い、大和朝廷・扶余と清朝廷・靺鞨が協力して創る渤海国の再建を理想わせたからかも知れない。因みにアイシンは女直語で黄金を意味する。
2016年12月2日    Gorou

レイア、レイ、レイン・・・フォースの覚醒

2016-12-02 19:18:11 | 映画
今更ならず、フォースの覚醒を観てしまいました。ちょっと恥ずかしいのですが、結構愉しめました。特にレイとBB8が可愛らしかったですよね。BB8の言葉は何語なんでしょうか? 宇宙語? ロボット語? 私には日本語に聞こえたんですが、。えっ! 中国語、ですか? ここは私に少し分があるとおもいますよ。。ルーカスは黒澤明の信奉者なんです。三船敏郎にダークベーダ役のオファーが来てたそうです。演じれば良かったのに、彼がやれば、当然スターウォーズのストーリーが少し変わった筈です、マスクも違うデザインになっていたと思われます。
 余談は程々にしましょう。スターウォーズは光と暗黒の話なんです、今回の七作まで一貫して、全くブレません。つまり、アメリカンジャスティスですね。強く正しいアメリカとアメリカ人、純粋なアメリカ人等殆どいませんけどね。トランプが世紀の逆転を果たしたのは、その変を上手く利用としたからですが、実際にトランプ政権がスタートすれば、随分とトーンダウンして温和しく成るかもしれません。アメリカだけが百パーセント善で敵対する国や勢力が百パーセント悪だなんて、あり得ませんよね。
 さて、フォースの覚醒、誰が? もちろんレイとレインです。でもまだ覚醒仕切れていませんよね。次回作はルークに師事したレイと、ダークサイドで修行を積んだレインの激突、言えばレインの逆襲のような話になると思いますよ。
 レイは幼い頃から家族を待ち続けていますよね、家族というから一人では無く、複数です。一人は父親、多分ルーク・スカイウォーカです。もう一人は母親? 違いますね、兄です。つまり宿敵レイン、という事になります。レインには多少兄妹という意識が垣間見えましたが、レイにはまったく見られませんでしたよね、幼い時の記憶が曖昧なんです。繰り返し彼女は夢とも幻覚とも思える映像を感じていました。
 整理をしましょう。レイの父親はルーク、母親はレイア。レインの父親はハン・ソロ?(簡単に信じてはいけません、彼らは平気で人を欺すんです)、ハン・ソロだって死んだかどうか! ハリソンフォードが元気になって、ハードなアクションが可能になったら、復活するかも知れません。
2016年12月2日   Gorou