アメージング アマデウス

天才少年ウルフィは成長するにつれ、加速度的に能力を開発させて行きました。死後もなお驚異の進化は続いています。

変わらなくてはいけない。フランス組曲

2016-12-17 18:30:24 | 映画
 良い映画、面白い映画要素の一つに変わるという事が有ります。
 映画は三つの要素で成り立っています。映画そのもの、観客、観客と作品の橋渡しをするスタッフ。三者の中の誰かが変わらなくてはいけない。と私は思っています。
 ここでは、作品の主人公に絞って話を進めて行きます。
 うーむ、最近の映画(特に日本映画)はあまり観ていないので、はやくも躓いています。
 少し古い作品から始める事をお許し下さい。
 インドシナ。1992年のフランス映画でカトリーヌ・ドヌーブ主演でした。アカデミー外国映画賞をとった先品ですが、あまり評判は良くないようですね。
 幼い安南の王女を引き取ってインドシナ(現ヴェトナム)でゴム園を営んでいる養母(ドヌーブ)の話で、激動の時代背景の中で二人の運命は激しく変わって行きます。
 ドヌーブも変わりますが、娘(リン・ダン・ファン)は恋する乙女から、強い母へ、母から伝説のヒロインへ、更に革命戦士へと変わって行きます。リン・ダン・ファンは素晴らしい女優ですね。見事に変わって行きます。彼女はインドシナの土そのものとなり、ベトナムが誕生します。
 やっと思い出しました。割合最近の日本映画では【最期の忠臣蔵】ですね,ヒロインの大石内蔵助の忘れ形見の可音が結構変わってましたね。
フランス組曲 [DVD]
クリエーター情報なし
KADOKAWA / 角川書店

 最近主人公が変化する映画に出会いました。フランス組曲です。
 ユダヤ人イレーヌ・ネミロフスキーの未完小説“SUITE FRANCAISE”の映画化作品で、第一章Tempête en juin "6月の嵐"―ドイツの進駐を受けて郊外の田舎町に避難するパリの人々の群像劇、第2章Dolce "甘美"―パリ近郊の田舎町でのドイツ中尉とヒロインとの純粋な恋、第3章Captivité "拉致"パリでのレジスタンスの戦い(未完)。
 本作は第二章に絞って創られています。
 ラストでユダヤ人によって書れ,娘が遺稿を出版うんぬんのテロップが流れますが、これは失敗でした。フランス女性とドイツ将校の時代に翻弄された悲恋、と思って観ていた観客を混乱させてしまいます。ここはさらりと原作者と娘をクレジットするだけに止めるのがテクニックです。
 ミッシェル・ウイリアムズのヒロインが良い演技をしていました。もちろん、見事に変わって行きます。ラストは何事かを覚悟して、レジスタンスの男をバリへと届けます。

 特筆すべきは、まず音楽と風景が美しいんです。
 印象的なシーンも鏤められています。
 周りがドイツ軍人だらけになって不安に戦くユダヤ人達。その中に原作者と思われる女性と娘も出て来ますが、決して深入りしません。それから、ドイツ軍をある程度分別のある人々として描いていたのは好感が持てました。最期は本性を現しますがね。
   2016年12月17日   Gorou