鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

2019-10-08 10:42:34 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第一話


西暦2204年・初秋


あの壮大な力と力のぶつかり合いガトランティスとの戦いから半年、地球上空や月軌道上に漂う10.000隻以上ものガトランティス・ガイゼンカン兵器群カラクルム級戦艦。
その九割以上は無人化された艦(ふね)。
艦(ふね)自体がサイボーグのような兵器だった__。

その中で指揮官と思われるガトランティス兵が乗艦している艦(ふね)だけを、回収した。
10.000隻以上もの艦(ふね)を処分しながら、僅かな数人と数隻の回収作業は、半年の時間を必要とした__。

地球連邦科学局は回収された艦(ふね)の解析と指揮官と思われるガトランティス人の解析に分かれ、行われていた。
以前のように生きているガトランティス人とは違い、自爆する事はなかった。
宇宙という冷凍室が、死したガトランティス人の遺体を腐らせる事無く、保存するには最適であった。
最高の保存状態で地球に持ち帰り、解剖、解析を行う事が出来た。

だが、この事が"白銀の残影"と名付けられた事件を引き起こす"引き金"と成った__。


時を同じくして、奇跡と言える事態が発生した。

あのヤマトが、宇宙戦艦ヤマトが帰還したのだ。
そして、"打出の小槌"と言われた時間断層は、宇宙戦艦ヤマトの帰還と引き換えに消滅した__。

確かに消滅した。

だが、時間断層工場の中核とも言えるコスモリバースシステムの"核"だけは、消滅していなかった__。



その為、その核の周りだけは特異点化して今も尚、不思議な異空間が健在していた__。
ただ、時間断層のように超時空間的な空間ではなく、時間の流れは、この地球の時間の流れと同じであった。
違いは、その核(コア)の周りだけ、例えるなら透明な円柱に包まれている感じの空間だ。
元々は海溝だった場所に、あの時間断層が形成された。
本来の深海に戻る事も無く、核(コア)のある半径50Cm直径100Cmの円柱だ。
手を伸ばせば届く距離にそれは存在する。
海面から海底まで約9.780mにもなる。
縦に長い超巨大な円柱空間である。

今現在、その核(コア)に触れた者はいない__。


◆◆◆◆


「これで、ガミラスは救う事が出来る。」
地球連邦科学局の一室で、呟くように口を開くガミラス青年技術将校。
「あとは、このガトランティスクローンを短期間で成長させ、記憶を喋らせるだけだ。」
「これで、ガミラスは救われる。」

「クックックッ。」

古代や真田、地球連邦政府及び科学局そして、ガミラス大使をはじめとするガミラスからの支援者たちの知らない場所で、密かに行われていたガトランティス人の再生。
ガミラス青年技術将校は、そんな彼等から信頼も厚く、大使であるローレン・バレルからの太鼓判という事もあり、科学局内ではあるが、別室での単独でのガトランティス人解析を許可されていた。

48時間後、強化促進剤を投与されたガトランティスの士官のクローン細胞は、成人の身体へと成長した。身体は成人だが、脳を除き、体力等はまだ、幼児並だ。
とは言え、あと10日もすれば、生前と変わらぬ程に回復する。

ガミラス青年技術将校は、そのガトランティス女性士官から記憶を聞き出していた。

「誇り高きガトランティスの士官よ。」
「ゆっくり、休めましたかな?」
球体状の生態保存用カプセルに生まれたままの姿で、強化促進剤を投与されるガトランティスの女士官。

一瞬、朱く光る瞳は直ぐに元の瞳に戻った。

「うぐっ。」と発した。

鋭く青年技術将校を睨む女性士官。

「貴様。わたしに何をした?」
「我れはガトランティスの兵は貴様ごときに屈しない!」

「流石はガトランティスの士官。」
「自分はガミラス技術将校。ガーランド・ルドルフ。」
「誇り高きガトランティスの士官よ。貴女ならこの状況、察しがつくのでは?」

ガーランドを睨み続ける女性士官は一度、ガーランドから眼を反らし、辺りを見回した。
そして、再びガーランドを見めた。

「……私は虜囚か?いや、違うな。」
「虜囚であるが、一度、死んでいる。」
「そうであろう!?」

「ガトランティスでは代々、クローニングにより、引き継がれて来たからな。」
「私は先代からの記憶を持つ新たな私。」

「ご名答。」

「そして、自爆出来ぬよう遺伝子を操作した?」
右に少し、口角を上げた女性士官。

真正面に立つガーランドが再び話はじめる。
「早速だが、あまり時間が無いので、本題に入る。」
「貴女方の長であるズォーダーは名誉の戦死を成し遂げられた。」
「我々、ガミラスとの約束を果たせぬ前に。」
「だが、大帝であるズォーダーより、権力を持つ者が居たはず。」
「その者の居場所を知りたい。」

「……サーベラー様の事か?」

ガーランドは無言で「コクリ。」と頷いた。



「確かにサーベラー様は白銀の巫女と呼ばれ、大帝に助言出来たお方。」

「フッハッハッハッ。」
突然に笑いだす女性士官。

「記憶が、よみがえたよ。ガミラスの将校。」
「残念だが、オリジナルのサーベラー様は、もうこの世には存在しない。」
「二代目様も地球へと赴き、行方はわからん。大帝しか知らない。」

「我々、ガトランティスは造られた命。大帝、自らが死のボタン=ゴレムを押し、我らガトランティスの歴史に終止符を打たれた。」
「残念だが、ガミラスの将校よ。貴様の期待には応えられない。」




「そうですか。しかし、我々も情報として、地球に赴いたサーベラーから得ているのだけどね。」
「確か、もう一人サーベラーを名乗る者がいるはず!」
ガミラス技術将校は、少し強めに言った。

「……そこまで知っていても尚更、我に聞くのか?」
ガーランドはその問に女性士官を見つめるだけで答えなかった。



「まぁ。いいだろう。」
「教えてやろう。」
「貴様の言う通り、確かにもう一人、サーベラー様は存在する。」
「だが、真の目覚めと同時に大帝ズォーダーにより、道連れにされた……。」
「我らガトランティスにとっても大きな損失!」

「……我らガトランティスの民を導く力は姿亡き今も、お有りのようだが。」

「お有りとは?」

「貴様は感応波を感じないのか?」

「残念ながら我々、ガミラス人には感じ取れない。」

再び右の口角を上げた女性士官。

「ガミラスの将校よ。一つ条件を出す。」
「それと引き換えだ。サーベラー様の居場所は。」

「……よかろう。」
少し間を開け、ガーランドは返答した。

「ならば、我が貴様と対等と成った時に教えよ。」
その言葉を残し、ガトランティス女性士官は瞳を閉じ、眠りについた。

「今日のところはここまでと言う事か。」

ガーランドは部屋の灯りを消し、その場を後にした__。


第二話
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

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