鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

宇宙戦艦ヤマトー新たなる旅立ち外伝ーデザリアムの使者

2020-03-23 15:31:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作

ガトランティス戦が終結し半年後、宇宙戦艦ヤマトは"高次元"から帰還した。

この物語りは、その宇宙戦艦ヤマトが帰還した直後の物語り。

時に西暦2203年・秋

地球及び地球圏は復興が始まったばかり。
滅びの方舟ズォーダーの射ち放った破滅の砲により、月面基地は月の大地と共に抉られように消滅した。
抉られ、宇宙空間に飛び散った月の大地の破片は、地球や地球に暮らす者にとって厄介な存在と成っていた。
時折、地球の重力に引き寄せられ、隕石と化し、地上に降り注いでいた。




宇宙戦艦ヤマトー新たなる旅立ち外伝ー
◇デザリアムの使者◇


ー月軌道上デブリ回収作業船fukusimaー


空間作業用アームポッドに乗り込み回収作業にあたる元空間騎兵隊・永倉を隊長とするチームは、復興作業に駆り出されていた。

「チッ。また一欠片、取り逃がした!」

「回収船。連邦政府に連絡を入れてくれ。」
「月の欠片が落ちた。直径約1メートルの欠片だ。落着予想地点は日本近海、太平洋側 硫黄島諸島付近。」3D空間モニタに映し出されたデータと"にらめっこ"しながら永倉は告げた。

「了解。」


太平洋全域に最大で20センチほどの津波が発生したものの、幸い落水した月の欠片による被害報告は上がっていなかった。

だが、この欠片は人工的に造られた偽りの月の欠片だった。
基本的に24時間体制でデブリの回収作業は行われているが、交代に二時間掛かる為、実際には空き時間が存在する。
そう。この偽りの月の欠片は一週間前、宇宙戦艦ヤマトの調査に赴いた暗黒星団帝国デザリアムによって、射ち放たれた人工カプセルである。

一週間前・・・

漆黒の闇に紛れ、何処からともなく火星圏アステロイドベルト宙域に、その姿はあった。
巨大で強大な殻に包まれ、漆黒に塗られたイモムシのような戦闘艦。

「サーダ閣下。しかし何故、ヤマトに拘(こだわ)るのです?」サーダこそが真の暗黒星団帝国デザリアムの君主と崇める部下の一人が口を開いた。

サーダ。
暗黒星団帝国デザリアムの民で、現在NO.2の存在とされる女性タイプのヒューマノイド。
「聖総統」と呼ばれるヒューマノイドタイプの人工生命体を現在(いま)は、君主としている。
だが、君主"聖総統"には子孫繁栄の機能は無い。
記憶(メモリ)としては繁栄させる事は出来るのだが、ヒューマノイドとしての本来的な繁栄は出来ない事から、それが可能なサーダを真の暗黒星団帝国デザリアムの君主と崇める者は多い。

サーダ本人にしても、"目の上のたん瘤"と邪魔に思うところは、あるものの親愛なる民を人質に囚われ、その民たちを滅ぼす事を避ける為に、忠誠を誓うフリをしているに過ぎない。

かつて暗黒星団帝国とデザリアムは地球から40万光年も離れた「二重銀河」と呼ばれる銀河の派生を巡り、対立にあった。
長きに渡りその対立は膠着状態が続き、一時的に休戦を申し入れたデザリアムのサーダ。
そのサーダの案は取り入れられたかと思われたが、実際には暗黒星団帝国側の一方的な反故により、デザリアムは事実上、敗北する形をとらざる得なかった。
だが、暗黒星団帝国の君主"聖総統"はデザリアムの君主サーダを処分する事はせず、生かす事によって双方、円満に、この騒動は解決したと宣言、デザリアムの民を従わせるよう勧告、民の命と引き換えに、サーダを従わせ尚且つ、デザリアムの民の反乱を起こさせない為、わざとNO.2の座を与えたのだ。



「何故、聖総統はヤマトをあれほどまでに恐れるのか?」
「そして、聖総統は何故、ガミラシュームエネルギー又はイスカンダリウムを欲しがるのか?」

「我々、デザリアムにとっても、良いチャンスなのだよ。」
「将来、我がデザリアムに光をもたらすかも知れないヤマト、宇宙戦艦ヤマトを知るチャンスなのだからな。」
サーダはかるく笑みを浮かべ、そう告げた。

ー地球連邦中央都市=メガロポリスー





かなり急ピッチで復興が進んでいるとは言え、未だ大半は避難先である旧地下都市での暮らしを余儀なくされている。

「ふ~ん。これが地球の都市か。」
そう呟くのは、今回の任務によって派遣された麻耶(マヤ)と名乗る一人のデザリアムの少女であった。

「そうね。何処か懐かしい雰囲気も感じるわね。」呟く麻耶に返事を返すもう一人の少女麿露(マロ)。
マロは都市を見上げてながら、歩きはじめた。

麿露(マロ)と麻耶(マヤ)は容姿こそ少女であるが、その中身は機械の身体である。
金属の骨格に生きた細胞で造り出した皮膚で被ったいわゆるサイボーグだ。

かつてデザリアム星は地球によく似た惑星であった。
大気が存在し、海、森、大地と存在した。
海には海洋生物、森や大地には木々や植物が咲き、野鳥、野生動物が生き人間と共存し暮らして来た。
確かに近代化され、都市は幾つも建設されたが、共存共栄は保たれていた。
銀河間戦争が激化するまでは……。




「二重銀河戦争」と呼ばれた二つの銀河の派生を巡り、対立にあった暗黒星団帝国は、黒色銀河、別名黒眼銀河と呼ばれる銀河を制覇した。
単に知的生命体は存在したものの、暗黒星団帝国の科学力と軍事力を有する知的生命体は存在せず、制覇する事が可能だったに過ぎない。

【黒色銀河=黒眼銀河】
※銀河の中心核の手前にはっきりとした暗黒帯を持っているのが、特徴である。
この暗黒帯は銀河の宇宙塵によって光が吸収されるために黒く見えており、暗黒帯が黒目のように見えることからこの名前が付けられている。

長きに渡りその対立は膠着状態が続き、一時的に休戦を申し入れたデザリアムのサーダ。
そのサーダの案は取り入れられたかと思われたが、実際には暗黒星団帝国側の一方的な反故により、デザリアムは事実上、敗北する形をとらざる得なかった。
暗黒星団帝国の主星:人工惑星の内核とされてしまったのだ。
海は蒸発、森は枯れ大地は腐り、取り込まれた内核としてしか星としは成り立たなく成った。
そして、君主であるサーダ以外は人体を改造された記憶(メモリ)を人質に……。

麿露(マロ)も麻耶(マヤ)も、その中の一人に過ぎない……。


旧地下都市では、連邦政府主催の復興感謝祭が行われていた。
麿露(マロ)と麻耶(マヤ)は、賑わう復興感謝祭会場へと足を向けた。
情報も無いまま闇雲に歩き、知らずに立ち入り禁止場所に入れば、容姿は未成年、保護者を呼べと成りかねない。
それとなく溶け込み、情報を入手するには数多くの者と接触する事が近道だ。

会場内は人、人でごった返していた。
子供も大人たちも一般市民以外にも、非番の軍属に所属する者、SP付きだが、政府関係者までが足を運んでいた。

「麿露(マロ)見て、凄い賑わいね。」

「二度に渡り、大戦を経験した民たちとは思えないわね。」

「麿露(マロ)、あれ。」麻耶(マヤ)は数人で右へ左へと、露店をはしごする一団を指さした。

「…軍人さん。かしら?」

「だとしたら少し、頼りないわね。」

「でも、情報は収集しやすそうね。」

麿露(マロ)たちは元気よく彼らの前に駆け寄った。

「あの!水兵さんですか?」

あまりの勢いにひきつり気味に笑顔を覗かせた徳川太助。

「…水兵!?自分たちの事かな?」
「まぁ。宇宙の海の漢ってヤツです。とはいえ、来週からなんだけどね。」頭に手を当て苦笑いする太助たち。

「来週から出撃ですか?」

「…あはは。確かに出撃だけど訓練航海さ。」

「格好いい制服ですね。」

「ああ。これはまだね訓練用なんだけど、配属されるヤマトの制服は本当に格好いいんだよ。」
「今は見せられないのが、残念だけど。」

「え~!ヤマト!あのヤマトの水兵さんなんだ!」

またまた、声の大きさに苦笑いする太助たち。

「やっぱり学校でもヤマトは話題に成るの?」
「女の子にも人気高いんだヤマト。」
「あっ!そうそう。そのヤマトなら今なら、見学が出来るよ。」

「えッ!ヤマトの見学、出来るんですか?」
「何処でヤマトの見学が出来ますか?」二人は場所を教わり、足早に海底ドックを目指した。
二人にとって願ってもいない情報の収穫とチャンスを得た。
警備員も居るし、見学範囲も決まっているけど、ヤマトの内部に入る事が可能である。
見学者でごった返しす普段は入る事が出来ない海底ドック内。
長蛇の列に他の見学者に負けないくらいに眼を輝かせ、麿露(マロ)も麻耶(マヤ)も並んだ。

「麻耶(マヤ)。本番は夜だから、さらっと行くよ。」

「O~K。」


【麿露(マロ)】


【麻耶(マヤ)】


第二話へ
つづく。


~あとがき~

この物語りは、「宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち」の二次創作ではありますが、オリジナルの物語りです。
既存のメカ設定及びキャラクター等の設定は基本的に、そのまま引用しています。
使用している画像は一部を除き、宇宙戦艦ヤマトシリーズ本編等より引用。
画像はイメージです。
※イメージ的に過去に集めた引用画像あり。
一部、私の設定及び解釈が混ざっています。

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