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鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

宇宙戦艦ヤマトー新たなる旅立ちー第十一話

2019-11-25 13:34:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



二次創作
宇宙戦艦ヤマトー新たなる旅立ちー

第十一話


真田は、古代たちの前で白いカーテンを開けた。
そこには地球へ潜入した時と変わらない容姿のイローゼが、拘束された状態で古代たちを見つめ、立っていた。

「真田さん!この人は?」
イローゼを見て、最初に口を開いたのは島だった。
「何故、拘束を?」

「彼女は破壊工作を行った。今、尋問中で俺が預かっている。」

「破壊工作?こんなまだ、幼さの残る顔をした女性が?」
「年格好からしてまだ、18、9と見えるけど。」

「だが島、残念な事に、この娘は人間ではない。アンドロイドなんだ。」

「アンドロイド?」
島に遅れて古代が口を開いた。

「そうだ。アンドロイドだ。しかもイスカンダルから送られて来たアンドロイドだ。」
「なんと云うか。アサシンいや、刺客と云うか、俺からすれば殺戮マシーンだ。」

「殺戮マシーン!?」

「ああ。今は拘束した時に制御チップを埋め込んだので、一時的に大人しいのだが。」

「しかし真田さん!イスカンダルが何故、殺戮マシーン何んかを地球に?」
「しかも、宇宙船も無しに?」

「彼女、イローゼの話によると、潜入時に使用した波動カプセルとやらは、遮蔽膜を張っていて、周りの景色と同化しているらしい。」
「波動カプセルは瞬間物質転送機によって、送られたと。」

「瞬間物質転送機!」
「では、この事態はガミラスも絡んでいるのですか?」
更に古代は問う。

「全く関係ない訳ではないが、どうやらガミラスも抹消の対象らしいのだが。」

「…ガミラスも。」

「まぁ。とにかく古代、このイローゼを預かって要られる時間は、もう僅かしかない。廃棄処分が迫っている。」
「俺が埋め込んだ制御チップの有効時間が、あと72時間しかない。」
「少なくとも、24時間前には連邦防衛軍によって、宇宙に放り出され、処分される。」

「で、何故、わざわざ宇宙なんです?」

「このイローゼには、ハイペノン即ち、重核子微粒子が含まれた"潤滑油"が流れている。」
「ハイペノンとは、簡単には云えば、脳死状態に出来る物質だ。」
「微粒子が空気中に散布されれば、やがて地球人類は死滅する。」

古代も島も言葉を失い、目を丸くした。

「だから、俺は言葉は悪いが、イスカンダルが、この銀河系にワープした事は、不幸中の幸いと捉えている。」
「このイローゼを送り返す為にも、イスカンダルが何故、ワープしたかを含め、調査を理由に出来るからな。」
「スターシャに直接、逢う必要があると、俺は考える。」

「ですが真田さん。イローゼをヤマトに乗せるにしても、この宇宙航路図を観た感じでは、地球から一週間から十日は掛かる距離。」
「イローゼがヤマトで事を起こせば、我々、ヤマトのクルーは助からないではありませんか?」

「それなら大丈夫だ。島。」
「制御チップをもう一つ、作ったのでな。」
「それに、このまま処分してしまうには惜しい代物なんでな。」
「真の姿は正に殺戮マシーンなのだが、武装解除したこのアンドロイドを量産出来れば、医療用にも使う事も可能で、人員不足も今以上に補えると、考えている。」

「なるほど。」

「藤堂長官には俺から話を通す。」
「古代は集められるだけ、旧ヤマトのクルーを集めて欲しい。」
「島は第810宇宙港に停泊しているヤマトの発進準備をお願いしたい。」

「三時間後にヤマトで会おう。」

古代、島の両名は真田の研究室を後にした。

「さて、イローゼ、君をイスカンダルへ送り届ける。」
「君にはヤマトのクルーに成りすましして貰う。」
「スターシャを守り、我々を抹消するのが、任務なのだろう!?」

「真田とやら。急にどうした?」

「俺も同感だからだ。」
真田には考えが、あった_。

「同感!?」

「ああ。今は云えないがスターシャの前で話せる事だ。」
「俺を信じるなら、制御チップをはずしても構わん。」
「君が、裏切りと感じたならば、散布させればいい。」
「どうするかね?」

イローゼは一度、瞳を閉じ、再び開き、真田の提案を呑んだ。


「なぁ。古代、どう思う?」
帰り際、古代のエアカーの中で、島は古代に問いかけた。


「真田さんを信じるしかない。」

「…そうか。古代が、そう云うなら大丈夫かも知れないな。」

第810宇宙港で島と別れた古代は、旧市街地、英雄の丘へ向かった。
そこから緊急通信を使い、旧クルーたちを集める事にした。
英雄の丘から第810宇宙港まで一時間、残り一時間で集められるだけ集め、ヤマトへ向かった。



「・・・と、云う訳だ。」
「藤堂長官には話は通してある。」
「残るかイスカンダルへゆくか。決めて欲しい。」

「俺はゆくよ。…事情が事情だけに複雑だけどな。」
集まった中の一人、元砲雷長の南部が呟くように云った。

「私も行くわ。」

「俺も。俺もだ。」

集まった旧クルーたちは全員、ゆくと決めた。

「て云うか、雪さんは?」

「雪は司令部から直でヤマトに来る事に成っている。」

「そっか。俺はてっきり古代さんの事だから、置いてきぼりなのかと思ったよ。」
元通信長、相原が云った。

「あ、相原。」
顔を赤くした古代。

「アハハハハハ。」
そこに集まった元クルーたちの笑い声が、英雄の丘に拡がった。


ー第810宇宙港ー

停泊中の宇宙戦艦ヤマトに旧クルーたちが乗り込んでゆく_。
どうやら雪は、佐渡先生と先にヤマトに乗艦していたようだ。
藤堂長官の計らいで、旧クルーたち以外にも、新たにクルーが加わった。
元ヤマト機関長の次男、徳川太助もその一人であった。


「北野。航海科に転属し、ヤマトを操縦した経験者が、ボートを転覆させるとは、あり得んぞ。」

「徳川も、亡くなられたお父様がガッカリするぞ。」

「はっ、はい。」

「二人とも、着替えて部署に着け!」
古代は二人に軽く注意を促し、命じた。


第810宇宙港に停泊中の宇宙戦艦ヤマトの補助エンジンに火が入った。

「回転数3000。安定に入りました。」新機関長に就任した山崎が告げてくる。

「コクリ」と頷く操縦桿を握る北野に緊張が走る。

「補助エンジン回転数4700。波動エンジン点火まであと90秒。」

「固定ガントリーロック解除。」
「微速前進、0.5。」ゆっくりと操縦桿を手前に引く北野に合わせるかのように、ガントリーロックから解放された宇宙戦艦ヤマトは一度、僅かに艦が沈み、固定されていた深度、喫水線まで浮き上がる。
北野の額に汗が滲む。

ヤマトの操縦桿を握るのは、今回がはじめてではない。
五年前のイスカンダル航海時にも、航海長である島の代わりに握った経験がある。
とは言うものの、重力下での操艦は今回が初である。

「補助エンジン、回転数上昇、8000へ。」
「更に上昇、12.500へ。」

波しぶきが激しさを増す。
洋上で70.000トンクラスの艦を操艦するのは、シミュレーションとは全くと言っていいほど異なる。
シミュレーションはやり直しが可能だが、"本物"では、そうは行かない。
リセットは出来ないのだ。

「補助エンジン、回転数18.200!」
山崎の報告にも力が入る。

「フライホイール、接続点火!」

操縦桿を目一杯に引き寄せる北野。
その腕が小刻みに震える。
それに合わせるかのようにヤマトも揺れた。

「北野。主翼を展開させるだ。」そっと北野の肩に手を置き、アドバイスを伝える航海長:島。

「ハッ。はい。主翼展開します。」
ヤマトの艦、中央部から競り出るダルレッドカラーに塗られた主翼が展開した。

「緊張し過ぎたよ北野。」
「まぁ。初の離陸にしては上出来だ。」
「あとは俺がやろう。」




こうして、宇宙戦艦ヤマトは宇宙の大海原へと抜錨した_。

イメージ曲Space Battleship Yamato OST - Opening Title (2010 movie) - YouTube


第十二話へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。

宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー第十話

2019-11-24 12:16:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



二次創作
宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー

第十話


大マゼラン銀河サレザー太陽系:第四惑星双子星ガミラスは、消滅した。
奇襲侵攻による惑星内での戦争により、星の寿命を待たずにして、その生涯を閉じた_。

自転軌道上にゆく宛もなく彷徨うように群を連なり、浮遊する流星。
その僅か数十キロ離れた場所に存在するもう一つの双子惑星のイスカンダル。
そのイスカンダルにも、変化が訪れていた_。

双子の惑星の特徴として、お互いの星の重力で引き合いながら自転し、公転軌道を回る。
その一方が突然、消滅した事でバランスが崩れたイスカンダルの自転軌道は、大きくずれてしまったのだ。
その為、異常な程に大気は不安定と成り、また地中内部地殻でも変動が始まっていた。
マグマの大元、マントル膨れ上がり、マグマが溢れ出すのも時間の問題と成った。
身体に感じる地震は、大小合わせて既に百回を超えた。

マントルとは、惑星や衛星などの内部構造で、核(コア)の外側にある層である。

急激な地殻変動、異常気象、イスカンダル星そのものが、狂いはじめた。
休火山や海底火山が一斉に噴火した。
公転軌道上を逆走しはじめるイスカンダル。
その逆走する加速は衰えを知らない。
グングンと加速した。
そんな中、スターシャは女王の間をシェルターモードに切り替え、娘サーシアとイリィを庇うように膝を折り、両腕で包み込んだ。




「タラン参謀。スターシャへホットラインを繋いでくれ。」

「ザーベルク。」

「総統!スターシャ陛下とのホットラインが繋がりません!」
「モニタを見る限り、王都は無事のように見えますが…。」



「…総統!サン・アリアの丘が噴火したようです!!」
「火砕流が発生したと思われます!」




「スターシャとのホットラインはまだ、繋がらないのか!」

「ダメです!!繋がりません!!」

「……タラン参謀!我がデスラーズ以外はイスカンダル星上空に待機、私はスターシャ救出に向かう!」
「デスラーズをイスカンダルに降ろせ!」

「総統!お待ち下さい!」
「イスカンダルの北極側から大量のマグマが爆発、噴出しました!」
「イスカンダルの加速、更に上昇!!」
「今、イスカンダルにも降りるのは危険過ぎます!!」
慌ただしく、エリア監視オペレーターが告げて来る。

「イスカンダルの加速、亜高速に到達!!」
「ジャンプするのも時間の問題です!!」

「ぐっ!」
「タラン参謀!全艦艇に通達!」
「ジャンプ準備だ!」
「エリア監視オペレーター!イスカンダルがジャンプしたら予測転送位置を全艦艇に伝えよ!」

「ザーベルク!!」



「……スターシャ…。」

「イスカンダル!ジャンプしました!」
「転送位置を計測開始!」

イスカンダルは、ワープしてしまう。


ー天の川銀河オクトパス星団宙域ー


イスカンダルが公転軌道を外れ、ワープ。ワープアウト同時に「マゼラニックストーム」に吸い寄せられ、加速、超長距離ワープした。
その超長距離ワープが開けた反動でイスカンダルは一時的に暴走前と変わらぬ静けさを取り戻していた_。




「古代、島、疲れているところすまんな。」
「これを一刻も早く見せたくな。」
「これは十日前、天の川銀河、オクトパス星団宙域で観測されたものなのだが。」

「オクトパス星団?」
島が問う。

「ああ。オクトパス星団だ。
「イスカンダル航海時、日程から云っても、ここを本来は通過するはずだったのだが、リスクが高過ぎると沖田艦長の意見を重視し、迂回した為、今までの航海図からは削除していた宙域だ。」

「このオクトパス星団が、どうしたと云うのですか?」
島に続き、古代も問う。

「問題は、このオクトパス星団そのものではなく、その10光年先のものだ。」
「その部分を拡大したのが、コレだ!」
真田は端末機を「カタカタ」と叩き、拡大映像を観せた。



「……これは、これはイスカンダル星じゃないか!」
思わず、古代は声のトーンを上げてしまう。

「古代もそう見えるか。」
「最初は、自分の目を疑ったよ。」
「でも、これは、この惑星は間違いなくイスカンダルだ。」
「イスカンダルへ赴いた者なら分かる。」

「ど、どういう事です。真田さん。」

「はっきりした事は、イスカンダルはワープして、この宙域にワープアウトしたという事だけだ。」
「古代、俺はこの事をはっきりさせる為、ここへ行くべきだと思うが。」
「それと、今、調査している「あるもの」との関連があると確信している。」

「あるもの?」

「ああ。」
真田は白いカーテンで仕切った奥を指、指した。




【マゼラニックストーム】

マゼラニックストリーム Magellanic Stream は大小マゼラン雲の近くに広がる中性水素(HI)のガスである。
1972年にWamnierとWrixonが発見し、1974年にはMathewsonらがその成因にマゼラン雲との関係を見出した。
これに先立ち1965年には異常な視線速度をもつガス星雲がこの領域に存在することが知られていたが、ガスの位置と広がりは正確に把握できず、マゼラン雲との関係も不明であった。
その後の観測でわかったガスは大変長く(地上観測で100度ほどあるらしい)、その形状は銀河系などと比較するとかなり直線状である。
この領域としては視線速度差が異常に大きく、周辺銀河の視線速度パターンに同期するものではない。
高速度雲(HVC)としては古典的な例である。
※Wikipediaより。


第十一話へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。

宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー第九話

2019-11-23 12:08:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



二次創作
宇宙戦艦ヤマトー新たなる旅立ちー

第九話




「メルダ大尉。貴女なら理解出来るはず。」
「何故、貴女にシュヘラザードを貸さないのか。」

メルダには分かっていた。
ヤマトは、地球人たちはスターシャ陛下との約束を反故にし、波動砲を量産してしまった。
だから、自分を地球へ行かせたくないのだと。
行けば、必ずヤマトをはじめとする波動砲搭載艦艇を連れ戻る事をスターシャ陛下は懸念していると。

「それでも私はガミラスを救いたい。」
「例え、ヤマトが波動砲を使ったとしても、ガミラスが救われるなら…望みをヤマトに託したい。」

スターシャはメルダをじっと見つめるが、首を縦に振る事はなかった。

「メルダ。私は地球人に私と同じ罪を犯して欲しくないのです。」
スターシャは、そう切り出し、話はじめた。



その昔、私が「スターシャ」を襲名、代を即位する以前、イスカンダルは大帝国を築き、その頂点に君臨していました。
私の二代、先代にあたるスターシャは、それを放棄すると宣言なさったのです。
突然の皇帝の座を降り、帝国を解体、富を築き上げた一握りのイスカンダルの民たちの怒りは、時のスターシャに向けられた。
そして、それは暴動へと発展し、内戦へと拡大した。
「スターシャを女王から引きずり下ろせ。」と息巻く反スターシャ派と「スターシャ陛下を御守りせよ。」と掲げるスターシャ派とイスカンダルは二分、内戦へと突入した。
膠着状態がつづく中、私の母が産まれた。
反スターシャ派は、時のスターシャを倒しても、産まれて来た子が、女王の座を取り返すかも知れないと、産まれたばかりの子を暗殺しようと企てたの。
その事を知った二代前のスターシャは、長引く内戦も終わらせ、我が子も全てをイスカンダルそのものを棄てる覚悟を決めた。
そして今でも、この王都イスク・サン・アリアの地下深くに眠る「ハイペノン=重核子ミサイル」を起動させた。
だけど、二代前のスターシャと母は死ぬ事を許されなかった。







「貴女方は罪を償うまで死なせない。」と、女神テレサによって生かされたの。
女神テレサは、こう告げた。

「貴女方に今、死を与える事は褒美を取らせるようなもの。」
「貴女方には罰を与える。」
「イスカンダルの民たちの供養と、この宇宙に存在する救済を求める、知的生命体の救済。」
「これらを成し遂げた時、貴女方を無罪放免とします。」
「私はテレザートのテレサ。」
「無限に拡がる大宇宙の平和を願い、悪きしものが芽吹かぬよう、アクエリアスの神から仰せ使った使者。」

そして、そのテレサから手渡された"波動のエレメント"コスモリバースの元と成るもの。
そこまで話た時だった、五歳に成る娘サーシアが顔を出した。

「あっ。メルダ。」
「また遊びに来たの?」

「サーシア様、お久しゅうございます。」

「サーシア。お客様の前です。」
「ユリーシャは、どうしたのです?」

「私なら此処に居ます。」ユリーシャは円柱の影から姿を表した。



「ユリーシャ、貴女がついていながら…。」
スターシャの話の腰を折るように娘サーシアが割って入った。

「お姉ぇちゃん、遊ぼう。」
メルダの後ろに隠れるように立つ、十歳に成るイリィを見つけ、歩み寄った。
笑顔を見せるイリィ。

「サーシア。イリィのお姉さんとお部屋へ行きなさい。」

「は~い。お母様。」
返信をするとイリィの手を取り、自分の部屋へと歩き出した。



「…お姉様は、もう十二分に罪を償ったではありませんか。」
「いずれ、サーシアも代を継ぐ日が来ます。」
「あのサーシアにも、お姉様が歩まれた路を進ませるのですか?」

「それがイスカンダルを背負う者の運命(さだめ)。」
「あの娘(サーシア)も理解する時が来ます。」
「地球の民に引き継ぐ事は出来ない。」
「これはイスカンダルの王家を継ぐ者に課せられた罪。」
「アベルトが、ねじ曲げた解釈で愚行を行ったように地球の民もまた、その路を歩みはじめた。」
「この事がユリーシャ。貴女ならどういう事か分かりますね?」

「救済を求める知的生命体が存在し続ける…。」
「コスモリバース……負のスパイラル……。」

「サーシアやその子が引き継ぐには、重すぎる…。」



「…非情と罵られても、ガミラスの歴史と地球の歴史を終わらせる。そう決めたのです。」

「これでメルダ。貴女もお分かりね。シュヘラザードをお貸し出来ない理由が。」

「……地球も!?」

「そう。地球もです。」
「地球にも既に刺客を送りました。ハイペノン微粒子を持たせてね。」



「…お姉様……。」
呆然と立ち尽くすユリーシャ。
そのユリーシャを横目にメルダが再び口を開いた。



「スターシャ陛下。以前、こう申されましたね。」
「イスカンダルもガミラスも地球も、元々は一つの民だったと。」
「ならば、我々ガミラスも地球も同じ罪人。」
「罪を償う事もまた、我々に課せられたもの。」
「サーシア様、一人に背負わせてはいけない。」
「この真実を私は総統に伝え、地球へ赴きます。」
「こうしている間にも、多くのガミラスの民たちが苦しんで居ます。」
「ご無礼をお許し下さい。」
メルダは深々と頭を下げた。

と、その時であった王都イスク・サン・アリアが大きく揺れた。
同時に雨のように降り注ぐ隕石群。
何事かと大きな窓の外に目を向けた。
イスカンダルの空に映し出されたガミラス星の崩壊。

「お母様~。」と不安げな顔を覗かせるサーシアがイリィと共に駆け寄って来る。

スターシャ、ユリーシャ、メルダそして、サーシア、イリィたちは、言葉を失い立ち尽くすだけだった_。


第十話へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。

宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー第八話

2019-11-22 21:38:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



二次創作
宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー

第八話


暗黒星団帝国の奇襲によるガミラス星内での戦闘で、大気は汚染、首都バレラスから離れた郊外の街は壊滅、僅かな緑地や山岳部には灰の絨毯が敷き詰められ、首都バレラスさえも今や、死の都と化していた_。



「どうやら間に合ったようだが、通常空間(洋上)は、ど偉い事に成ってるようだ。」
「ハイニ。親父(ディッツ提督)に暗号通信を打て。」

「アイサー。」

「砲雷士。一番から四番、魚雷装填。」
「一番、二番は通常空間魚雷、三番ホーミング魚雷、四番、亜空間魚雷装填急げ!」

「アイサー!」
「一番から四番まで装填完了!」

「うむ。」

「目標。中央の巨大戦艦!」
「一番、二番は推進機を狙え。」
「四番は、あの"大口"を狙え。」

「アイサー!」

「一番、二番、発射!」
「続いて三番ホーミング発射!」





「さぁ。猟をはじめるとしようか。」
推進機を狙う通常空間魚雷を交わすには、逃げるか魚雷を墜すしかない。
だが、エンジン音に喰らいつくホーミングが、つけ狙う。
機関停止で交わせるが、通常空間魚雷に喰われる。

「どう。交わすか見物だな。」
「四番の亜空間魚雷は、目の前に突如、出現する奇襲の魚雷だ。」
「それも特上の栄養剤入りだ。」



「魚雷、二本、後方に急接近!

「何ッ!!」
「交わせ!たかが空間魚雷二本だ!」

「いつの間に、奴ら亜空間潜航艦を…。」

「待って下さい!」
「魚雷、もう一本、前方から来ます!」

「ウググッ。」
「後進だ!!いや、待て全速前進だ!!」

「魚雷!コースターン!喰らい付かれました!!」

デーダーは、歯ぎしりが聞こえる程にいきり立っていた。

「…ホーミングか?」
「オペレーター!機関停止だ!
「後方からの魚雷を墜とせ!!」

「御意!」

だが、ここまでは百戦錬磨のフラーケン大佐にとっては予想済み。
あたふたする様子が目に映るように浮かんでいた。
そして、フラーケンは既に四番の亜空間魚雷を発射していたのだ。
右往左往する巨大戦艦プレアデスの眼前に突如、出現した亜空間魚雷は大きく口を開いたプレアデス艦載機口内に雪崩れ込む。

「前方にもう一本、魚雷!!」
「回避、間に合わない!!」
顔を伏せるプレアデスのクルーたち。

「艦載機発着口に魚雷ッ!!」
「……ふ、不発のようです!!」

「……不発!?」
「時間差で爆発するかも知れん!早急に空間(そと)に放り出せ!」

だが、その魚雷は思いもよらないものに変化した。
デーダーの予想通り時間差で、その魚雷は、爆発というよりは破裂、中から腐食ガス(ガス生命体)出現した。
うねうねと動き、もやもやと大きく成ってゆく。
艦載機発着口内で腐食ガス生命体は、プレアデスを喰らい成長してゆく。



「が…ガスだ!!」
「ガスが生き物のように!!」

「……なんだと、ガスが生き物……。」

「大格納庫、沈黙!!」
「機関に異常発生!!」
「プレアデスの兵装、使用不可!!」

「ガスなどに……。」
「通信オペレーター!残存艦を纏め、儂につづけと伝えよ!」
「我がプレアデスと残存艦を首都にぶち当てる!!」

「…御意!」

ガス生命体に内部から喰い荒らされながらプレアデスは、残存艦を纏め、デスラーズ残存艦隊の砲撃の雨を掻い潜り、首都バレラスへの体当たりを敢行、自爆した。
デスラー総統をはじめ、ガミラス軍高官たちは、予想外の結末を味わう事に成る_。

「…首都バレラスの消滅を確認……。」

「ゆ、誘爆が地下までに拡がっているようです!!」





※【腐食ガス=ガス生命体】
ミルベリア星系で発見された原始的なガス。
過去にデスラーは対ヤマトに使用した。


第九話へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。

宇宙戦艦で2205ー新たなる旅立ちー第七話

2019-11-21 15:53:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



二次創作
宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー

第七話


「もう大丈夫だ。」
「もう怖がらなくても大丈夫だ。」

「……お、お姉ちゃん……。」
「ありがとう。」
ガミラスの少女イリィは間一髪のところ、急行したメルダ大尉に救われた。

「さぁ。私が安全なところまで連れてゆく。」

「あっ。待って…。」
「ヤマト…お兄ちゃんのヤマト……。」

「ヤマト!?」

「ん。お兄ちゃん……形見のヤマト…。」

メルダは壊れたヤマトの模型を拾い、イリィを抱え、愛機、真紅のツヴァルケで脱出した。
「安全なところなどと云ってしまった…。」
「もう、バレラスもこの有り様じゃ……。」
メルダはそう心の中で呟いた。

「クッ。奴らやりたい放題しやがって、母艦を失なっか…。」
「デスラー総統の艦(ふね)に降りるしかないか。」
メルダの帰る場所、第一空母は沈み、本来とは違うが、デスラー総統座乗のデスラーズⅠ世に着艦した。

「メルダ大尉!ブリッジに上がります!」

「うむ。」

コツコツとブーツの踵を奏で、イリィと共にメルダは、デスラーズのブリッジに上がった。



「ご苦労だったな。大尉。」

「…ん!?」
「その少女は、大尉。君の娘(こ)かね!?」

「えっ!!あっ!」
「申し訳ございません。」
「この娘は壊滅したバレラスで救う事が出来た孤児です。」

「……。」
デスラーは少女が大事に両手で持つやヤマトの模型に目を向けた。
「…それはヤマトか?」

「……デスラーのおじ様。ヤマトを知ってるの?」
イリィは、今にも泣き出しそうな顔を笑顔に変え、話はじめた。



「ヤマトを知ってるの?」
「ヤマトは凄く強いんだよ!ガミラスを救ったんだよ!」
「地球の英雄なのよ!」
「わたし、ヤマトに助け貰った事があるだよ!」
満面の笑みを浮かべ、話に夢中に成るイリィだったが、改めて壊れたヤマトを見て、笑みは雲ってしまう。
両手の手の掌に乗せた壊れたヤマトの模型を見つめ、瞳に涙を滲ませた。
その涙は瞳から溢れ、頬を伝わり、溢れ落ちた。

「……お兄ちゃん……。」

「大尉。その娘を連れ、特使としてイスカンダルへ行け。」
「提督とスターシャには、私から話を通しておく。」
「地球へ。ヤマトへゆけ。」

「…ザーベルク。」


イスカンダル星、王都イスク・サン・アリアー女王の間ー




「メルダ。お久しぶりですね。」
スターシャの言葉にメルダは胸の前に右手をを当て、腰から15度に曲げた。

「ルードゥ・イスカンダル。」

「メルダ。話はデスラー総統から聞いています。」
「ですが、イスカンダルの宇宙船(ふね)シュヘラザードは、お貸しする事が出来ません。」

その言葉にメルダは困惑を隠せずにいた。

「…陛下。何故です。」



「今、ガミラスがどんな状況かは、陛下もご存知なはずです。」

「大尉の仰る通り、存じています。」
「ですが、シュヘラザードはお貸しする事は出来ません。」


第八話へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。