昨年の秋、企業に成果主義を導入した結果、人件費は下がったが、労働者のやる気や協働意識は低下した―経済産業省の研究会が、いまの成果主義には「構造的な欠陥」があるとする報告書をまとめています。
こちら 「人材マネジメントに関する研究会」報告書の取りまとめについて
この研究会は「人材マネジメントに関する研究会」(座長=守島基博一橋大学大学院教授)ですが、企業が「短期的成果」ばかり追い求めて、人材育成を軽視していることに警告を発しています。
報告書は「現在の成果主義は導入の契機がコスト削減にあった」とし、人件費の抑制では「効果を上げた」ものの、社員のモラールアップ(士気向上)や業績向上に関しては「思うような効果は上がっていない」と厳しい評価を下しました。
そして、「予想していなかった問題点」として、(1)賃金などの処遇に対する納得感の低下(2)個人競争激化による協働意識の低下(3)人材育成機能の低下(4)現場の疲弊とプロセス(目標達成までの過程)管理の弱体化―の四点をあげました。
「チーム内のメンバーでさえもライバルと見なして仕事」をしなければならず、「個人間の競争意識は高まるものの、意欲が高まらない」と指摘。管理職同士も「個人間競争」に追われ、「優秀な部下の疲弊、他の多くの部下に対する育成面での軽視」につながっていると分析しました。