弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

現実のイギリスのハイコートジャッジのエピソード

2011年04月26日 | 海外事情

昨日紹介した法の聖域のディード判事は、ドラマ上のハイコートジャジですが、
今日は本物のハイコートジャジのお話です。

イースターの時期は日本のゴールデンウィークのようなもので、
イースターホリディを楽しむ人も多いです。

裁判所も休日は休みですが、刑事事件の逮捕など緊急を要する手続きが
必要な場合があります。
ローテンションを組んで当番裁判官を決めることになります。

さて、イギリスの場合、家事部でもこの当番が必要なことが多いようです。
法の聖域の第4話の「出生の秘密」でも取り上げましたが、
子供の監護に関する命令など緊急を要する手続きは休日でも休むことはありません。
また離婚を巡ってドメスティック・バイオレンスなどもありますので、
日本の接近禁止命令のような保護命令も休みがありません。
これらの制度は日本よりも頻繁に利用されているようです。
(なお、カウンシルの翻訳について誤りを指摘しましたが、
今回の記事でははっきりとlocal authorities と書いてありましたので、
私の指摘は正しかったようです)

ということで、家事部のハイコートジャジ、ディード判事のような立場の人です、が
このイースターホリデイ中20日から26日まで、当番に指定されました。
ところが、この判事さん、イースターホリデイをパートナーの女性バリスターと
3000キロ離れたスペイン領のカナリー諸島のひとつテネリフェ島で過ごすことに
したのです。

もし何かあったらどうするか、イーメールや電話でやりとりすることになりますが、
家事部の長の了解もとっており、なんら問題がないというのが当局の見解ですが、
関係者が心配しているのは、もし、直接関係者から事情を聴かなければいけない
ようなケースが発生した時、どうなるのかということです。

最悪の場合は、家事部部長が代わりを務めるから実害はないということです。
それにもともと、移動に2時間かかるときは、電話会議で済ませているということ
なので、それほど気にすることではないのかもしれません。

ですが、やはり無責任な気がしますが、いかがでしょうか。

これが記事になったのは、この判事さんは、ダイアナさんの弟の離婚なども扱った
著名な離婚弁護士だったからです。
去年任命されたばかりの新人判事さんですが、休日を一緒に過ごすことにした
バリスターの女性のために、30年連れ添った奥さんを捨てた人だったのです。
なお、この女性の夫は警察の銃の発射で2008年に死んだのですが、
彼との関係が夫の死亡の前からだったのかどうかは不明とされています。
ただ、彼と離婚事件を一緒に担当するなど親しい関係にあったことは事実のようです。

捨てた奥さんのことですが、離婚が成立していないのかどうかは不明です。
left というだけでdivorce とは書いてないので、別居中という可能性もあります。
籍が入っていないのはそういう事情かもしれませんね。

それにしてもこの判事さんの両親は離婚後、それぞれが3回目となる結婚生活を
送っているということです。

この判事さん、目立つ人でしたから、タブロイド紙に格好のネタを提供することになった
だけということのようです。

それにしても、ハイコートジャジというような高い地位の判事には、もっと真面目に
仕事をしてほしいという気がしますが、
メールや電話を使えば距離など関係ないインターネットの時代になったとすると
仕事の仕方も変わってもいいのかもしれませんが・・・

ディード判事はドラマの中の判事でしたが、ディードとジョーの関係が二重写しに
なり、ドラマのような関係は現実社会でも結構あるということではないか
と急にイギリスの現実の司法の世界が身近に感じられるようになりました。


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