哲学的な何か、あと心の病とか

『人生とは何か、考えるほどにわからない。というのは実は正確ではない。わからないということが、わかるのである。』池田晶子

「他人の目」は犯罪を抑止する?

2013年12月24日 | 哲学・心の病
ファーストフード店や学校のカフェテリアの多くではセルフサービス方式を取っているため、食べ終わった後に食器を自分で片付けなければいけない。
お店の人にとって、食器類を片付けてくれないのは困る。
それではどうしたら、利用者に食器類を片付けてもらえるのだろうか?

レジでの会計の際に片付けてもらうようにお願いする?
それとも時々店内を見回って、片付けない人がいたら注意する?
どちらも、効果が見込めない、あるいはお店の人の負担が増えてしまうため、あまり良い案ではなさそうだ。

イギリスのニューキャッスル大学のマックス・E・ジョーンズ氏たちは、「他人の目」に注目してこの問題を考えた。
言うまでも無く、人は他人の目を気にする存在。
ごみをポイ捨てする回数は、人に見られている時より見らてれいない時の方が圧倒的に多いだろう。
そこでジョーンズ氏たちの研究グループは、人の目があればカフェテリアの食器置き去り率は低くなるだろうと考えた。
しかも、本当の生身の人間の目でなく、単に目の写真をポスターにして壁に貼るだけでも効果があるという仮説を立てた。
これまでの実験室の中での研究で、目の形状をしたものが視界に入ると、人は他人に対して協力的に振舞うようになることが明らかにされていたからだ。

また、ジョーンズ氏たちは目の効果だけでなく、「食べ終わったら食器を片付けてください」という片付けについての注意文の効果や、一緒に食事やお茶をする人数の影響についても同時に検証した。

実験会場は大学のカフェテリアで、ポスターは以下の4種類。

(1)目有り・注意文有り
(2)目無し(代わりに花)・注意文有り
(3)目有り・注意文無し
(4)目無し(代わりに花)・注意文無し

その結果はどうなったのだろうか?

まず、目の効果は、やはり目がないよりもあるほうが、食器の置き去り率は低くなった。
目がないと35%位の人が食器を置き去りにしたのに対し、目があるとその比率が20%程度と大幅に減少した。
一方で、注意文があってもなくても、置き去りにされる比率は変わらなかった。
また、グループのサイズが大きくなるほど、置き去り率は高まるという結果になった。

これらの結果は、

①人はたとえ本物でなくても、他人の目があることで、食器を片付けるようになる
②片付けの注意文は食器の片付け率向上にほとんど効果を持たない
③グループの人数が大きくなると、気が大きくなるのか、はたまた個人が特定されにくくなるためか、片付け率が低下する

ということを示し、注意文より目の写真の方が効果があるという結果だった。

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