エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 最近、ご朱印集めがマイブーム

渡辺淳一氏のこと

2014-05-06 07:48:30 | Weblog
渡辺淳一が(あえて呼称なしで)亡くなった。

彼の小説はずいぶん読んだ。
一時はファンだと思っていたぐらい読んだ。

衝撃的だった札幌医大での心臓移植をテーマにした『ダブルハート』『阿寒に果つ』『北都物語』『リラ冷えの街』等々、
『遠き落日』なんか感動しちゃったんだけどね。
思い出してみれば昔の作品。

晩年の作品はほとんど読まなかった。
特に、失楽園や愛ルケは世間で話題になればなるほど嫌いに思った作品だ。

別にいいかっこするわけじゃないけれど、途中からエロス専門で、なんか読むのもしんどいって感じになっていたから。
いや、お好きな方はどんどん読みなはれ、って思うけれど、私はもういいわ、って思って彼の作品からは卒業した。
渡辺淳一に限らず、読み漁った挙句もういいや、って思ったのは、女性でも、、、いる。
森瑤子がそうだな。 最初、とても新鮮に感じたのに、ああ、この流れはもういいですって、本も嗜好品だね、こっちの好みが変わると手を伸ばそうと思わなくなる。

そうそう、渡辺淳一がダメになったのは、一時、蹴上にあるホテルでの会員?みたいなのに入っていて、お茶、もしくはランチの後、作家の講演を聞く、というのに足しげく通っていた時期があって、、、その頃まだ渡辺淳一の本が好きだったのでとても楽しみにして行って、ものすごくがっかりしたのも要因のひとつ。

というのも、あのかた、京都がすごく好きでしょ、だから、春とか秋のいい季節になると京都でのお仕事を入れるのよね。
だから、観光半分、お仕事半分になるのかなぁ。

その日も、講演時間に遅れて会場にやってきた。
一応、講演内容というか、テーマも決まっていたのに「テーマとは違う話をします」ってことで、違う話をし始めた。
しかも、壇上の机に置いてある水差しからいきなり水をがぶがぶ飲んで、椅子に座ったんだよね。

立ったままできちんと講演されるかたがほとんどなのに、渡辺淳一は座って水を飲んで、、、
ああ、夕べ、祇園で遊び過ぎたんじゃない?って思った。
講演内容を変えただけにとどまらず、時間もずいぶん短くて、「ここから先は質疑応答にしましょう」と、時間合わせのためにぐだぐだな場所になっていった。

いっぺんに興ざめ。
タダで講演聞いてるんじゃないんだよね。
それなりのお金も払って時間の都合もつけて行ったというのに、テーマは替えるし話の中身も大したことなくて、ああ、この人、舐めとんな!!って思ってしまった。

あの当時、本当にいろんな作家さんの話を聞いたけれど、彼ほどがっかりした人はいない。

ま、亡くなった方を悪く言うのもあまり良い趣味とは言えないけれど、文壇ですごい人扱いされているのを見聞きするたび、あの時の残念な講演を思い出さずにいられない。

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17 コメント

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おはようございます (もも)
2014-05-06 08:31:47
確かに楽母さんががっかりする要素満載の講演だったのですね。
“慢心”という言葉が浮かびました。
読書家であるからこそ、作風の流れも把握されていてさすがです!
私は名前を知っているだけで・・こうして題名を聞いて「あ!そうなの?」って・・恥ずかしい。
「愛ルケ」だけはどこぞの方が面白おかしく解説されているサイトを読んで爆笑した程度。
そのときの印象が強くて・・エロ作家さんというイメージが強かったです。
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おはようございます~! (Yellow)
2014-05-06 09:35:51
今朝新聞によって、渡辺淳一(80歳)がなくなったということです。馴染みの名前とぼんやり覚えてるけど、名作は失楽園って言ったらすぐにわかりました。小学校の頃、失楽園って、エロっぽいものだと印象が強いです。話し出しだけで恥ずかしさも気がします。台湾で大人の映画としてめちゃ有名です。

自慢過ぎるではないか、こんな様子をして、芸術家ぶりしてるかいと人を舐めた態度をして誰も腹が立つでしょうね。
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こんにちは (楽母)
2014-05-06 12:28:41
ももさん
医療ものを書いていた時はそれなりに医学知識もあるし、
骨格のしっかりした小説だと思えたんですが、段々、性愛ものにシフトしすぎて、ちょっと引きました。
官能小説の類ですよ、失楽園も愛ルケも。
愛ルケと言えば、お隣の奥さんが一緒に映画に行ってほしい、というので二人で見ました。
もうね、一緒に行くもんじゃないですよ、あの手の映画をご近所奥さんとは(笑)

Yellowちゃん
失楽園がベストセラーになったのも、経済新聞かなにかの連載小説で、普段あまり渡辺作品を読まないような男性が面白いと言って読んだからだ、というような事を聞いたことがあります。
まぁ、それだけ刺激的な小説だったんでしょう。
映画化、ドラマ化されたようですが、全く興味はなかったです。
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同感 (花②)
2014-05-06 12:33:22
私も、若いころの作品は大好きで、おそらく全部読んだのではないかと・・・
ところが、ある時、図書館で借りた本が、余りにも 
返却する時、顔を赤らめるほど・・・
それ以降、渡辺離れ。。。。。。。

作風が変わって、読まなくなった作家・・・私も、何人もいます
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渡辺さん (おひつじ)
2014-05-06 12:38:23
私は、失楽園の読者、当時日経を読んでたので
男性目線の小説ストーリーでしたね、
我々のように持てない男子の憧れ??のシーンだったかな?
楽母さんのように日々、愛情に満たされている淑女には嫌悪感を感じるかもですね。
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こんにちは (楽母)
2014-05-06 12:40:45
花②さん
渡辺淳一ほど、作風ががらっと変わった人も珍しいですよね。 週刊誌でエッセイのようなものを書いていた時期も,
何かの折の対談でも、みんなそっち方面で(笑)エロオヤジって思いましたもん(笑)
講演会で一番感動したのは五木寛之さん、若いころのかたい小説はそれほど読まなかったけれど、エッセイや洒脱なものが好きだった晩年の遠藤周作さん、遠藤さんが亡くなった時はとても残念でした。
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おっと (楽母)
2014-05-06 12:43:56
おひつじさん
多分、あれは男の人の願望なんでしょうね。
少なくとも私の周りの女性陣には不評でした。
さして若くもない男女のしょうもない不倫小説、ぐらいにしか感じませんでしたわ。
晩年に人生の先輩、達人として胸を打つ言葉を残した人はたくさんいます。 渡辺淳一は晩年になればなるほどイヤ~な気分にさせた作家でした。
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こんにちは (denboo)
2014-05-06 15:38:31
私が渡辺淳一作品を読んでいたのは、多分「雲の階段」まであたり。
官能小説は趣味じゃないし、それ以降は読んでないから、「愛ルケ」「失楽園」はさっぱりで、映画もドラマもスルーです。
新聞では、凄い人物だって誉めちぎってますが、楽母さんの記事から察するに、趣味の合う方には大御所でも、社会人として見るなら、常識に欠けた図々しい方ってことで。
すいません、正直この方には興味ないもんで・・・・。
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光と影 (hiro)
2014-05-06 16:08:15
この方若い時からそっちの方面の匂いがありましたね。
直木賞の頃の作品は良いと思いますが、お医者ものでは「白い巨塔」に水をあけられている?
おっしゃると通り、晩年は~~いい感じではないですね。エロ作家の背番号をつけた金儲け作家として文壇を泳いだ人なのかな。
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こんにちは (楽母)
2014-05-06 16:52:27
denbooさん
私も失楽園や愛ルケは書評とか、世間の話題で見てたぐらいで、読んでません。
とくにすごい話題になって大ベストセラーになった失楽園以降、大御所すぎて??誰もが渡辺淳一の事を悪く言わないような(言えないような)雰囲気が出てきたんじゃないかな?って勘ぐってます。

hiroさん
色っぽいというか、艶っぽい文章を書くことはありましたが、失楽園で開花(笑) 売れに売れたので調子よくそっち方面に走ったんでしょうね。
雑誌の対談でもそんなのばっかり見かけましたし、医学界のことは、多分、当時の知識はあっても後になるとそんなに分かってなかったんじゃないかって思ったりもします。 白い巨塔は名作すぎます、比べたら山崎さんに失礼ですわ(笑)
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