方向音痴はつらいよ

「私、パソコン辞めた。」

「アレマ。パソコン教室に通ってたのねぇ。」

「パソコン教室で使うパソコンと

我が家のパソコンと違うから、わからなくて、先生に来てもらって 　教わったんだけどねぇ…」

「悔しいねぇ…」

『できる人』『できない人』

『わかる人』『わからない人』

何が分けるのだろう?

　私は漢字がダメ。書き取りが苦手だ。

「産業」の「産」が判らず。

ずっと「富士山」の「山」で「山業」に

すれば良いのに　と思ってた。

だから「算数」も「山数」。

　会社員となって「神戸」を「カミド」と読み、「相談」を「想談」と書き。そのたびに落ち込んだ。

　英単語も覚えられず…

もちろん英文法なんて、¯¯(@_@)

　　　　　┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ

方向音痴はつらいよ

　「誰か相談できる人は居ませんか?

他にご兄弟は?」

　「はい、義兄と義妹がいます。

しょっちゅう来てくれるのですが、いつも知らないうちに来て、知らないうちに帰ってしまうんです。」

「連絡もなく、突然来るのですか?」

「はい　ひどいなと思うのは、店屋物を取っても、寿司の宅配を頼んでも、自分たちの分だけで、

　私達に『お母さんの具合いはどう?』と一言聞いてくれたら、良いのですが…

　義兄も義妹も、まさかお母さんが、風呂にはもう何ヶ月入ってない事も、

　頭なんか何年も洗ってない事も、

　日本地図どころか、世界地図が何重にも重なったお布団で寝てる事も、知らないんですよ。

　お尻はクワンクワンだと思うのですが、拒まれてしまって、拭くことができません。

　店屋物の器や、寿司の容器を、片付けようとすると、キット義母が『そのままで良いわよ』と言うのでしょうね、食い散らかして帰った後、お相伴にあずからなかった　私達　次男夫婦が片付けるんです。

　もちろん義母にもう　片付けるとか、ごみ捨てなんてできません。」

　「そうですか、それなら、お母さんの部屋に『ゴミは持ち帰って下さい』って貼り紙しておけば良いわ。」

　「ああ、良く山に貼ってある

『とっていいのは写真だけ

残していいのは思い出だけ

ゴミは持ち帰えりましょう』ってやつですね…そうですか…

　どうもありがとうございました。」

と、市の相談所から帰って来たが、なんか、どこか、違うような気がする…

　　　　　┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ

方向音痴はつらいよ

「これ、皮膚がんかもしれないよ。

隣の皮膚科に診てもらって。」

「ふーむ。次の診察までに　皮膚科医で相談しておきます。」

　Doctorは明るく言ってくれたが、ガンと聞けば、穏やかでは無い。

　帰ってきて、直ぐ、検索。

　「悪性黒色腫」足の裏や爪の下、顔などに好発。皮膚ガンにくらべ予後が悪い。

　わあ、これだ。

足の裏?

　最初に発見してくれた先生は、私の左手のひらにあるホクロを見て、皮膚科に回してくれたのだぞ!?

　足の裏?

　ヒエェェ!

足の裏にも、ホクロが有る!

「先生、足の裏にもホクロが有るのですが」

「どれどれ」

手のひらのホクロを診た時と同じ様に、望遠鏡の様なカメラ(ダーモスコープ)をホクロにくっつける様にして写真を撮った。

　手術は一泊2日。ホクロを取るだけの、局部麻酔。

　摂取したサンプルは、検査に。

「結果はどれくらいでわかりますか？」

「問題が無ければすぐに、1週間でわかります。問題が在ればさらに検査を重ねますから、遅くなります。」

　…1週間では分からなかった。

2週間。

3週間。

1ヶ月たっても結果が出ない。

　「悪性黒色腫です。」

そうか…ホクロも怖いなぁ

　　　　　┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ

　

方向音痴はつらいよ

　なにしろ女子校育ち。

　男子とフォークダンスを踊った事が無い。

　食べられない　給食を男子に食べてもらって　助かった、なんてことも無い。

　男子と肩を並べて登校、下校なんて夢のまた夢。

　胸をときめかす初恋　なんてない。

　同窓会なんて　オバサンばっかり。

　何年ぶりの同窓会で、あの時憧れてた彼に再会!

「や。久しぶり、元気?　オレ、ケメコの事　好きだったんだぜ。」

「え?　私も　与太郎君のこと、スキ。」

「オレたちさぁ、あの日に戻って………」

ナンテことは全く無い。有り得ない。

　普通の男女共学に入学できてたら…

　灰色の青春時代だ　(T_T)

　それがコンプレックスで、

キット　もう一生、恋愛なんか出来ない。

結婚も出来ない。子供も無い。孫も無い。

　手に職を付けよう。

手に職を付けて　一人で生きていこう。

　そうだ『舞妓さん』になろう!

　母に舞妓さんに成りたい。と申し出て、猛反対。

　看護婦さんに成りたい。と言っても駄目。

　美容師さんに成りたいと言っても駄目。

　婦人警察官は親友に、この成績では無理。と言われる。

　本屋も店員もこの成績では無理。

　デパートの店員も成績がねぇ。

　一体　何なら成れる?

高校の担任が「短大なら推薦してやるぞ」と声を掛けてくれた。

　一応　短大生に成っておこう。

また女子校だよ。　┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ

方向音痴はつらいよ

　I石材店に電話。

留守番電話だったので

「他社にお願いする事にしました。見積もりをとってもらったのに、すいません。」と　吹き込む。

　続いてS石材店に電話。つながらない。この時、留守番電話だったら…、誰かに電話に出てもらえたら…

「お宅にお願いする事に決めました。よろしくお願いします。」と　伝えられた。

　…残念だ。

　すぐI石材店より電話。

「決め手は何ですか?値段ですか?」

…

　S石材店は最初から、高級型で見積もりをくれた。高級型と標準型の違いを教えてくれた。

シンプルが良いですよ。何代にもわったって繋いでいくものです。作るなら良い物を。etc.etc.墓石素人にいろいろ教えてくれた。

　値段では無い。…だがそうも言えない。

「もう他所に契約すると言ってしまったので」

「契約した所は、落語のチケットをくれるので」

私の実家は「ウソも方便」と言う家系。

断り様はいっぱいある。

　世の中、ウソをつけない人って…居るのね。ちょっと信じられない気持ちがするが、目の前に居る。

　殿は「正直に生きたほうが楽」と言う人。それを実践して、

その上　継続し貫こうとしている。

　世の中　スゴイお人も居るものだ。

┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ

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