方向音痴はつらいよ

　「誰か相談できる人は居ませんか?

他にご兄弟は?」

　「はい、義兄と義妹がいます。

しょっちゅう来てくれるのですが、いつも知らないうちに来て、知らないうちに帰ってしまうんです。」

「連絡もなく、突然来るのですか?」

「はい　ひどいなと思うのは、店屋物を取っても、寿司の宅配を頼んでも、自分たちの分だけで、

　私達に『お母さんの具合いはどう?』と一言聞いてくれたら、良いのですが…

　義兄も義妹も、まさかお母さんが、風呂にはもう何ヶ月入ってない事も、

　頭なんか何年も洗ってない事も、

　日本地図どころか、世界地図が何重にも重なったお布団で寝てる事も、知らないんですよ。

　お尻はクワンクワンだと思うのですが、拒まれてしまって、拭くことができません。

　店屋物の器や、寿司の容器を、片付けようとすると、キット義母が『そのままで良いわよ』と言うのでしょうね、食い散らかして帰った後、お相伴にあずからなかった　私達　次男夫婦が片付けるんです。

　もちろん義母にもう　片付けるとか、ごみ捨てなんてできません。」

　「そうですか、それなら、お母さんの部屋に『ゴミは持ち帰って下さい』って貼り紙しておけば良いわ。」

　「ああ、良く山に貼ってある

『とっていいのは写真だけ

残していいのは思い出だけ

ゴミは持ち帰えりましょう』ってやつですね…そうですか…

　どうもありがとうございました。」

と、市の相談所から帰って来たが、なんか、どこか、違うような気がする…

　　　　　┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ