却下ですね@goo

旧名「バグですよ!@goo」、これは、日々クライアントの「却下ですね」と戦うデザイナーのブログである。

猿でも分かるグラフィックデザイン-2

2004-04-28 00:42:43 | デザイン
巷で「デザイナー」とか「イラストレーター」として評判になっている人というのは、やはり売れっ子になるだけの理由があるようです。こういった方々は、テレビに出演されたり雑誌に載ったりと、取材を受ける側としても大変お忙しそうです。実際に会うと彼らの感性の鋭さや発想の豊かさを感じられます。

私はそういった方々を批評するような立場の人間ではないので、会ったり一緒に仕事をさせていただいた時、感じたことを率直に書いてみます。こういう観点で書いていると他人のふんどしで相撲をとっているようですが、こういう切り口もアリだと思うので何回か続けるかもしれませんw

何年か前に、古賀 学(PEPPER SHOP)さんのお仕事を間近で拝見する機会がありました。古賀さんは、アートディレクターとしてご活躍されており、広告デザイン・エディトリアルデザインからパッケージデザイン、最近に至っては映画監督までされているようなクリエイターの方です。

彼のデザインは、とても緻密でした。隅々まで計算して、もう0.1mmも動かせない場所にオブジェクトを配置したりするのです。そしてそれが左右対称であったりする場合もあり、全体的な美しさをも引き出していました。

驚いたのは、どうしてこんなにうまくハマるのかということでした。補助線など引いていないのに、素人でもグリッドの存在が見えるぐらいです。まさにグリッドデザインの体現でした。私はその部分をインスパイアされました。(言葉だと説明しにくいですね)

グリッドをうまく引いてデザインすれば、とても完成度の高いものになるのです。例えばこのブログのデザインをグリッドデザインとして考えるなら、上部タイトルに横長のものがあり、左にカレンダーとメニュー、真ん中に記事が入るスペース、右にツールメニューといった具合で、左右のメニューと記事スペースの比率を1:2:1にすると、美しく見えたりするかな? とかそうやって考えるわけです。

さらに上部タイトルの縦幅と左右のメニューと記事スペースの比率を、完全に1:2:4:2にすれば、さらに美しさが増しますかもしれません。ところがこの比率は、実際は1:1.8:4.3:1.8でした。記事部分は想像したグリッドよりも広めに取ってあるわけです。もちろん、記事部分が広い方が読みやすいわけですからこの比率は納得なわけです。しかし、タイトルの縦幅と画面の幅すべてとの比率は、なんと1:8、しっかりとした比率が出ました。

もし古賀さんがブログツールをデザインしたら、基本フォーマットはどのような構成・比率にするのでしょうか。想像しただけで楽しいですね。こんな風に考えると、デザインは次々と生まれていきます。客観的な観点からデザインをすると、煮詰まることがなく、全然止まりませんw 一日中鉛筆を使って机の上がラフの山になることもあります。ほとんどはアホなデザインだから捨てないといけないんですけどね・・・

もし誰々だったら、どんなデザインをするだろうか、というデザインの仕方は、だんだんやらなくなってきます。若いうちだけだと思いますね。まずは先人の良いところを吸収して自分のものにし、引き出しを多くしなければ「自分だけのデザイン」というものは作りにくいものです。私も最近、良い意味で我が出てきた気がしますが、まだまだ修行が足りません。それでもたまに、プロジェクトを引き受ける打ち合わせの時点で、もう完成イメージが鮮明に思い浮かぶという事があります。これは完全に消化された後の自分の引き出しから得られた貴重なデザインのはずです。この部分を大事にしながら膨らませていきたいですね。

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1 コメント

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先ほどはどうもです。 (mookei)
2004-04-28 04:41:25
コメントありがとうございました。

この一連の記事はすごく学ばせていただいてます。

感銘しきり。

なかなかここまでキチッと考えてくれるデザイナーは、残念ながら身近に多く居ないのです。いい仕事をするためには、多くの人と様々な意見を交わして、人脈という財産を殖やさないとですよね。勉強が尽きることはありません。頑張らねば。

また通わせていただきます。よろしくです。
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