アントレ系の参加型授業であるInvention to Application: Health Care Research Commercialization(ITA)の紹介です。
この授業は、デューク内で発明された技術をもとに、1年間 (Fall1~Spring2)かけて、実用化・起業のためのビジネスプランの作成を行う、チームプロジェクト型の授業です。
Biomedical EngineeringなどのPh.Dコース、Master of Engineering Management (MEM)コース及びMBAコースの学生から構成される5~6人のチームがアサインされ、主としてヘルスケア分野の技術を対象にビジネスプランの作成を行います。(授業に登録する際、レジュメとインタビューによる選考プロセスがあります。)
守秘契約を結んだうえで、Office of Licensing & Ventures(デュークの技術移転機関)に登録されている5~7個の発明・技術が各チームに与えられ、まず、実際の発明者やOLVと話をしたり各種文献を調べるなどして技術の特徴についての理解を深め、それぞれの技術のMarket Opportunityを見極めるためのマーケットリサーチを行って、候補を1つに絞り込んだうえで、ビジネスプランの作成を行っていきます。
授業は週1回2時間で、前半は教授又はゲストスピーカーからの講義、後半は、各チームの進捗状況の報告・教授からのフィードバック(Portfolio Review)となり、各Termの終わりには、教授や研究機関、VCなどの専門家から構成される
ITA Boardへのプレゼンテーションを行います。
教授の
Barry Myers(MD,PhD,MBA)は、DukeのCenter for Entrepreneurship and Research Commercialization(CERC)の責任者、バイオメディカルエンジニアリングとメディカルスクールの融合研究を支援するDuke-Coulter Translational Partners Programの審査委員、
Pappas Venturesというライフサイエンス分野を対象としたVCの幹部(Executive in residence)でもあり、数々のビジネスプランを評価してきた経験をもとに、Opportunityの評価や優れたビジネスプランの作成に関する的確なアドバイスをしてくれます。
まだ、1年間の授業の半分が過ぎた途中の段階での感想ですが、この授業を通じ、
-実用化に向けた初期段階の技術・発明の評価方法(目利きのスキル)
-他の授業で習ったマーケティング、ファイナンス、ストラテジーなどの様々な手法の実社会への応用方法
-どのようなビジネスプランがVCに評価されるか
-全米有数の研究機関であるデュークにおける、大学発のイノベーションの実用化を促進する仕組み
等を学ぶことができるメリットがあるように感じています。
1年で6単位のわりには、ワークロードは重めですが、作成したビジネスプランをもとに、Duke Start Up Challengeなどのビジネスプラン コンテストに応募することも可能であるなど、リアルなアントレ体験ができる貴重なコースだと思います。
おまけ:デュークのアントレやイノベーションの実用化促進に関連する取り組みの一部を紹介してみます。(説明は私の理解なので、間違ってたらご容赦を。)
1.
The Entrepreneurship and Venture Capital Club(Fuqua)
Fuquaで最も活動が活発なクラブの1つであり、Entreprenerurship Education Series 、Entrepreneurship Weeks 、Duke Start-Up Challenge などの、デュークとしての起業関連イベントの他、随時近隣の起業家との交流パーティ、投資家を招いた講演会、Start-Up企業やVC訪問旅行(Week-In-Cities trip)などを開催しています。
2.
The Center for Entrepreneurship and Innovation(Fuqua)
アントレ関係の教育・研究を推進しており、Faculty DirectorのWesley Cohenは、Entrepreneurial StrategyとIntellectual Capital and Competitive Strategyの授業、Executive DirectorのJon FjeldはEntrepreneurial Execution/PlanningとDuke New Venture Clinicの授業を担当しています。
また、昨年2月には、知的財産に関する講演会(Duke University's Second Annual
Conference on Intellectual Property)を開催していました。(今年の分は、まだ案内されていないようです。)
3.
Entreprenerurship Education Series
毎週、アントレ関連のいろいろなトピックに関する講演が行われています。
昨年秋学期のトピックの例:Entrepreneurship 101、Planning Your Startup 101、Financing 101、VC 101、VC102、Business Plans 101、Social Entrepreneurship 101、Elevator Pitches 101、Intellectual Property 101
スケジュール・スライド等は
こちら
4.
Entrepreneurship Week at Duke University
Global Entrepreneurship Weekの期間である毎年11月に、デュークにおいても、発明家と起業を考えている学生のマッチングや、各種講演・討論会、近隣のStart-Up企業への見学会、起業家との交流会などのイベントが1週間かけて集中的に開催されています。
5.
Duke Start-Up Challenge
デューク内のビジネスプランコンテストです。
フェーズ1:エレベーターピッチ(短時間でのプレゼンテーション、11月)
フェーズ2:ビジネスプランの審査予選(2月)
フェーズ3:ビジネスプランの審査決勝(4月)
6.
Duke's Center for Entrepreneurship and Research Commercialization(CERC)
CERCは、学部横断的に、人、アイデア、資源のコラボレーションを進めることにより、Duke内の発明の実用化、起業を促進する役割を担っています。責任者のBarry Myersは、Invention to Applicationの教授。
7.
Office of Licensing & Ventures
OLVは、技術移転機関(Technology Licensing Organization、TLO)であり、デューク大学及びデューク大学メディカルセンターの発明・技術の管理、特許取得支援、企業や投資家とのライセンス交渉を行っています。OLVは、大学の発明を商業化することを通じ、社会に利益をもたらし、公衆衛生や生活の質の向上を図ることを目的としています。
8.
Duke-Coulter Translational Partners Program
バイオメディカルエンジニアリングとメディカルスクールの融合研究を支援するプログラムで、デューク大学が、
Wallace H. Coulter FoundationからTranslational Researchのための資金提供を受ける9大学の1つに選ばれ、その資金により運用されています。Fuquaの教授も審査委員になっています。
9.
Duke Translational Medicine Institute
政府(NIH)の
Clinical and Translational Science Awardsという補助金により、2006年に設立されました。Duke Translational Medicine Instituteのもとに、Duke Translational Research Institute(トランスレーショナルリサーチ)、Duke Clinical Reseach Unit(第一相)、Duke Clinical Research Institute(第二相以降)、Duke Center for Community Researchの4機関がおかれ、デューク内で、発明の基礎研究段階からの実用化とそのコミュニティへの普及までを担う一環した体制の構築を目指しています。なお、Fuquaの学生向けに、
Duke Translational Research Institute FellowsとしてIndependent Studyを行う機会も提供されています。
だいぶ、マニアックになってきたので、今日はこの辺で。
by Max