Duke MBA 日本人ブログ

Duke University - Fuqua School of Business(非公式)

Duke・FuquaにおけるEnergy関連プログラム

2020-11-24 04:41:29 | Energy

2年生のKです。今回、受験生の方からも問い合わせの多い、Duke・FuquaにおけるEnergy関連プログラムについてご紹介します。

 

1. MBA学校選定におけるIndustryという軸

その前に、そもそもMBAのスクール選定において、Industryの軸をどのように捉えればよいのか考えてみたいと思います。米国MBAでは、CornelのHotel、Texas AustinのOil & Gasといったように、Industryへの強みを特徴として謳うプログラムがあります。通常は、General Management, Entrepreneurship, Financeと学術分野でプログラムの特徴が語られると思いますが(それに加えてTeam workへの重きの置かれ方も加わると思いますが)、Industryの強みはそもそも謳う学校・謳わない学校があります。Consulting、Banking、TechといったMBA生にとって一般的な業界以外を志す方にとって、このIndustryの軸をどのように学校選定に反映させるべきかは悩ましいところだと思います。Energy業界を自分のキャリアと考えてMBAスクールを選び、その後1年強を過ごした経験を振り返ると、自分としては目指すIndustryへの強みを謳う学校に入って非常に良かったと感じています。それは主にNetwork構築・同級生との繋がりという観点からになります。

Networkという観点では、どの学校にもIndustry別のProfessional Clubが存在し、Energy Clubも殆どの学校にあると思います。Professional Clubが中心となり就活サポート・Networkingの機会提供を行うために、どのスクールでも自分の目指す業界とのNetworkingは可能です。しかし、Industryへの強みを謳う学校においては、学校レベルでのサポートが受けられることに一つ違いがあると考えられます。例えばFuquaにおいては、後述するEDGEというセンターや、Energy InitiativeというDuke全学の機関が業界とのNetworkを維持・発展させています。それら機関が卒業生や業界各社を呼んだイベントを開催したり、もしくは直接それら機関を通じて卒業生にコンタクトできるため、自分のNetworkingが非常にしやすかったと感じています。

次に同級生との繋がりという観点では、自分と同じキャリア志向を持つ人と知り合い、切磋琢磨できる環境は何にも代えがたく、大学がIndustryへの強みを謳ってくれている場合、そのような相手を見つけやすいということがあります。Energy関係のイベントや授業が豊富なために、同級生だけでなく、上下の学年や他の大学院の学生とも知り合う機会が非常に多く、想像以上に多くの同じキャリア志向を持つ人と知り合うことができています。また、純ドメの自分にとっては、自分の知識や経験をよりダイレクトに貢献することができています。

異なるIndustryからキャリアチェンジを目指される方にとっては、当然そのIndustryの知識・経験を得られるということも勿論大きな利点と言え、むしろ同級生の中ではそのようなキャリアチェンジを主な目的としている人が多数派です。いずれも程度問題と思いますので、Industryへの強みを謳う学校に入ることがMustとは思いませんが、もし自分の目指す業界が既に定まっている場合は、そのような学校に入ることが大きなアドバンテージになることは間違いないと思います。

 

2. FuquaにおけるEnergy

ではFuquaですが、まずFuquaはHealth Careが古くから有名であり、Energyは比較的新しく加わったIndustryの軸と言えます。2010年にThe Center for Energy, Development, and the Global Environment (EDGE)が立ち上がり、中心とって年々活動が拡充されています。伝統的にMBA生のEnergy業界における就職先としてはOil & Gasが中心であった中、Sustainabilityへの気運の高まりをうまくとらえ、Duke全学におけるNicholas School of Environmentを中心としたSustainabilityへの強みも活かし、Energy × SustainabilityというEnergy業界における今のメインストリームを捉えた特徴的なプログラムが作られています。以下、具体的な内容をご紹介します。

 

a) Concentration

FuquaではEnergy & SustainabilityとEnergy Financeという二つのConcentrationを取得可能です。ConcentrationはElectiveにおける定められた科目の中から必要単位を取得した場合に付与されるものであり、Concentration別にクラスができたり、特別な一連のプログラムが用意されている、というものではありません。尚、当然同じConcentrationの人とは、履修する授業が被りやすいため、仲良くなりやすいのは間違いありません。例えば、Energy Financeの取得要件は以下の通りです。

 

b) Elective

FuquaにおけるEnergyに特化した授業は主に以下の通りです。尚、下記以外にも他の大学院(Nicholas School of Environment、Law School、Pratts Engineering School、Sanford School of Public Policy)の提供する授業を履修することも可能です。例えば、太陽光発電事業の土地選定から技術スペックの決定・建設・運営まで全てを学ぶことができるNicholas SchoolのIntro to Solar Project DevelopmentやEnergy Managementを数値から理解できるModeling for Energy Systemsは非常に人気の授業です。

1) EDGE Seminar:EDGEが業界のリーダーを招き、Energy・Sustainabilityの様々なトピックを議論する授業です。例えば私が履修した際には、Apple, Virgin Hyperloop One, Bloomberg New Energy Finance, ABBといった企業が参加していました。

2) FCCP (Energy Practicum):Fuquaの名物授業の一つであるFuqua Client Consulting Practicumという実企業に対してコンサルティングを提供する授業であり、エネルギー業界の会社向けプロジェクトが幾つもあります。例えば私はNational Gridという米国北東部のUtilityとのプロジェクトに参加しました。

3) Energy, Markets, and Innovation:エネルギーの各サプライチェーン(上流・中流・下流)におけるビジネスモデルと、技術革新が与えた、又は与えている影響を学ぶ授業です。

4) Project Finance:プロファイの仕組み・特徴とその評価手法を学ぶ授業です。

5) Sustainability Business Strategy:Sustainabilityに関わるリスク・機会の評価とそれを踏まえた戦略の立案について学ぶ授業です。

 

c) Extracurricular

Duke/FuquaでのEnergy関係の最大のイベントとして毎年11月に開かれるEnergy Weekがあります。これは各業界リーダーを招いたEnergy Conference、企業との大規模networkingイベントであるSpark Career Event、Energy in Emerging Market Case Competitionといった様々なイベントが毎日行われるものです。

Fuqua Energy Clubとしては、毎年秋休みに行われるWeek In City(企業訪問)、就活の様々なアドバイスを提供するEnergy Workshops、その他様々な企業を招いたVirtual Coffee Chat等を企画・提供しています。

上記以外にも、EDGEが中心メンバーの一つであるClimate CAPという全米のMBA各校が協賛する、Energyの業界リーダーを招き、脱炭素・クリーンエネルギーという潮流がビジネスに与える影響を議論するイベントも開かれています(EDGEから参加にあたり金銭的支援を受けられる)。

 

3. まとめ

自分の1年強を振り返り、自分がこれほどまでにEnergy業界にどっぷり浸かったMBA生活を送れているのは、間違いなくFuquaのIndustryへの強みがあったからこそと感じています。同じEnergy業界を目指す友人とオフではゴルフに行ったりビールを飲んだり、オンではEnergy Clubの活動を運営したり、Case Competitionに参加したりしながら、将来のキャリアについて議論できるのは何にも代えがたい経験です。その友人達とTuckのRenewable Energy Finance Case Competitionを共に戦い優勝できたことは自分のMBA生活の最高の瞬間の一つです。あまり業界に強いこだわりを持ってMBAに来る方は少ないのかもしれませんが、もしそのような方がいらっしゃれば、私のこの経験が少しでもご参考になれば幸いです。

(Case Competitionを優勝した後の打ち上げにて)