Duke MBA 日本人ブログ

Duke University - Fuqua School of Business(非公式)

Fuquaの2年間で印象に残った授業:Strategy ImplementationとEnergy, Development and Global Environment Seminar Series

2019-05-02 20:24:50 | 授業紹介

2年生のYNです。最終試験を終え卒業が目前に迫っています。受験生の皆さまにお伝えしたいことは山ほどありますが、今回は特に印象に残った授業2つを取り上げたいと思います。

1.Strategy Implementation

必修で学ぶ戦略論がそのデザインを扱うのとは対照的に、このStrategy Implementationでは戦略の実行を取り扱いました。

事業環境の複雑性や変化の速度が増す今日のビジネスにおいては、戦略のデザインと比して戦略の実行に関する知見の重要性が高まっています。この授業では、戦略の実行を担う組織というシステムを、「人材」「組織文化」「組織構造」「意思決定権」「インセンティブ」「業務プロセス」といったパーツに分け、個別に、またそれぞれの相互作用について分析しました。そのうえで、組織改革や、イノベーション、複数の戦略目標の追求など、現代の組織が直面する重大な課題について議論するものでした。

授業の構成も面白く、冒頭で学生の一人がケースの登場人物であるCEO等の議長として指名され(いわゆる「コールドコール」)、ケースのサマリーと自分の意見を述べたうえで他の学生からとの質疑応答を取り仕切ります。また、授業の終わりにも別の学生が指名され、通常のビジネス会議と同じようにラップアップすることが求められます。誰が指名されるかはその時まで分からないため、他の授業と比べてもずば抜けて準備の負荷が高かったですが、その分学生の集中度が高く議論が白熱しました。

印象に残っているケースは何かと問われれば思わず「全部」と答えたくなりますが、最も印象に残っているFBIのケースをご紹介します。9.11後、FBI長官就任直後のムラー氏は重大な組織的問題に直面します。それまでFBIはリソースの殆どを犯罪の事後捜査に費やしていましたが、国際テロ組織の活性化を受けて、犯罪の未然の阻止という任務も遂行しなければなりませんでした。犯罪の未然阻止には、全く異なる「人材」(足を使って犯人を捜す捜査官vs テロ組織の情報を分析する分析官)が必要で、異なる「組織構造」(地域のネットワークを使う捜査体制vs 地域横断的な協力体制)をもって、異なる「意思決定」のコントロール(支局による迅速かつ柔軟な判断vs 中央による統合的な判断)をしなければなりません。非常に難しい課題ですが、授業の冒頭でムラー役として指名された学生の準備は完璧で、事前課題であった研究論文(戦略論ではambidexterityと呼ばれる分野の論文)に基づくフレームワークに沿って組織システムの変革を提案します。しかしながらその提案に対し、他の学生は「インセンティブ」や「業務プロセス」の面での問題点など、多様な視点でチャレンジしていきます。授業の終わりには、このケースのその後が教授から語られ、論文のフレームワークに基づきFBIの組織改革が実施されたもののうまくいかなかったことが明かされ、理論の限界と現実への適用における調整の必要性が強調されました。このambidexterityは、企業も既存事業と新規事業の両立(例:新聞社における紙新聞vs デジタル新聞)などといった形で直面する論点であり、大きな学びを得た授業でした。

この授業が素晴らしかったのは、扱うテーマの良さもさることながら、担当教授のJohn de Figueiredoの能力や姿勢もあったと思います。Strategy Implementationのあらゆる論点に詳しく、最新の理論に精通しその限界も知ったうえで議論を導ける能力に加えて、学生へのフィードバックだけでなく学生からのフィードバックも大切にするその姿勢により、授業の深みが増したように感じました(実際、論点の広さから授業で取り扱うのが難しいため、トップスクールでも4-5校しかこの分野の授業を提供できていないとのことでした。)。私だけでなく周りのアメリカ人も「こんな授業を取りたくてビジネススクールに来た」と言える、素晴らしい授業でした。

2. Energy, Development and Global Environment Seminar Series

もう一つの授業は、エネルギー・環境分野に興味がある学生であるなら必ず取ることをお勧めするセミナーシリーズです。エネルギー・環境の分野で最先端を走るビジネスパーソンから全6回の講演を受けられる貴重な機会でした。

私は石油開発業界で働いているため、特にStatoil(現Equinor)とGeneral Motorsの講演テーマが興味ドンピシャで面白かったです。石油開発業界では、Equinorは再生可能エネルギーのポートフォリオ構築や油価変動に応じた資産整理について高い評価を受けており、前々から興味を持っていました。講演者はCorporate Venture Capitalのヘッドで、成長モデルとしての社内VCという視点からも得るものの大きい講演でした。また、講演者と昼食をとりネットワーキングをする機会もいただき、講演では語られなかった他の投資機会や、バリュエーション体制、社内で受ける圧力についてなど、突っ込んだ話も伺えました。GMは電気自動車や自動運転等の普及による「0事故、0排出、0混雑」ゴールの達成について講演で、トヨタ自動車との戦略の違いを見出すこともでき、これも面白かったです。

他社の戦略について聞ける機会というのは、働き始めるとなかなか得られないものだと思います。その意味で、このセミナーシリーズは、ビジネススクールの学生の特権を使い、自分の興味あるテーマを掘り下げて情報収集できる格別の機会でした。エネルギー・環境分野の強いネットワークを持つFuquaだからこそ提供してもらえる機会であり、改めてFuquaを選んで良かったと思わせられる選択授業となりました。

 

Fuquaは上記のStrategy / General ManagementEnergyに当たる分野の授業以外にも、面白い授業が沢山あります。もし特に興味のある分野があれば、是非現役の学生にお問い合わせください!


ダーラムに住むという事

2018-01-01 20:49:44 | 授業紹介

僕は限界を感じていた。

「このままではダメだ、いつまで経っても筋肥大が期待できない。何の為にゴールドジム(浦安店)に通っているんだ・・・。」

 

僕なりに問題の原因を分析した結果、以下理由が考えられた。

 1.   仕事に時間を取られてしまっている
 2.   筋トレ知識の欠如
 3.   良質且つ低価格なプロテインが不足

緻密なる調査と熟考を重ねた結果、以下が打ち手として固まりつつあった。

 

仕事に時間を取られてしまっている

⇒退職する

 

筋トレ知識の欠如

⇒MBA留学 (Muscle Building Association)

 

良質且つ低価格なプロテインが不足

⇒プロテインの本場アメリカに渡る

 

これら全てを勘案すると、米国でMBAを取得するという一つのゴールが見えてきた。

MBA (Muscle Building Association)で筋肉に関する知識を身につけ、ベンチプレスも更に高重量を挙げられるようになって帰国、その後日本でジムを運営し・・・等と妄想しているうちに気付くとGoogleで「MBA」と検索し、そのまますぐに願書を提出している自分がいた。

 

エッセイに筋肉に関する質問が全くないので若干不安だったが、なんとかDuke Fuquaに合格する事が出来た (面接のWhat’s your weaknessという質問に「上腕三頭筋」と正直に答えたのが評価されたとのだと思う)。

 

期待と不安を胸(大胸筋)に渡米し、すぐにAmazonでプロテインを購入して学校初日に向けて準備を整えた。

 

学校初日、颯爽と投稿し、オリエンテーションで一つおかしい事に気づいた。

 

 

Duke Fuquaまではいい、ただその下にSchool of Businessと書いてある。

 

School of Muscleじゃないのか?どうなってるんだ?君が最近集中的に鍛えている部位はどこなんだ?と周りに聞くも、ここはどうやらMBAでもMuscle Building Associationではなく、Master of Business Administration、即ち経営学修士を取得するコースだったようだ。

 

なんてことだ・・・家族が数か月後に渡米してくる今となっては勘違いだった、なんて絶対言えない。

不安を打ち消すように、大学のジムに行きマッチョに囲まれながらひたすらベンチプレスを挙げる事しか出来なかった・・・・。

 

  

このブログ読者の皆様が斯様な間違いを犯さぬよう、上記を共有させて頂く。

(続かない)

 

――――――

 

冗談はさておき、学校選びで非常に重要視したのが家族の生活環境でした(妻と子供1人)。

治安がいい、寒すぎない(降雪地域じゃない)、自然が多い、の観点でFuquaが在るDurhamは最高な場所だという結論に至りました。

 

最近授業の話等が多いので、「家族」という観点で学校を探されている方向けにその辺のお話をさせて戴きます。

 

①   Preschool

娘をPreschoolに通わせています。以下写真のクラスルームに10人くらいと朝8時から夕方4~5時頃まで共同生活を送っています。

当初は言葉が通じないから大変じゃないか、先ずは週3日x半日のほうがいいのでは、等と懸念していましたが、帰ってくるなり「もっと行きたい!」と娘に言われ、娘も非常に楽しんでいます。

英語も徐々にではありますが単語が少し分かるようになってきているようで、良いPreschoolが他地域と比べて安く済ませられるのは非常に助かります。

 

(クラスルーム)

 

(Thanksgivingのお食事会)

 

②   休日の過ごし方

近くにMuseum of Life and Scienceという博物館/公園があり、お金を払って入場する必要がありますが、色々な施設を使う事が出来ます(年パスが安く買えるのでお得)。

 

同じくFuquaに在籍しているご家族を誘い、子供たちが仲良くアスレチック公園でひたすら身体を動かし、科学博物館エリアで頭を動かし、お腹が空いたら持ってきたお弁当を一緒に食べる。

ああ、Fuquaにしてよかったなと思う時間でもあります。

 

(アスレチック公園)

 

(科学館)

 

 (ランチタイム)

 

公園以外にも様々なイベントが定期的に開催されるので、それらを活用すれば退屈する事もありません。

この間Disney on Iceが開催されたので観に行ってきました。娘以上に妻が興奮し、大満足でした。

 

 

(イベント後)

 

このように家族の住みやすい環境が整っている最高の場所がDurhamにはあります。

また都会と違って誘惑も少ないので、自分のやりたい事に打ち込む事が出来ます(学業、筋トレ・・etc)。

 

よかったらDukeへの出願を検討してみてください!

 

by 一年生のMO


ISBとGI ~2つのPre-program~

2017-10-01 17:01:07 | 授業紹介

はじめまして、FYのYNです。

7月のプログラム開始後3カ月が経とうとしており、Fall 1の授業に加えて、人それぞれの課外活動(リクルーティング、クラブ活動、イベント、ケースコンペティションなど)の負担も増えつつあり、スピード感が増すばかりの毎日を送っています。

振り返れば、Fuquaのプログラムは7月のInternational Student Bootcamp (これまでLanguage Instituteと呼ばれていたもの)と8月のGlobal Instituteで始まりました。この記事では、これら2つのユニークなプログラムについてご紹介したいと思います。

International Student Bootcamp

この授業には、英語が母国語でない、または高等教育を英語で受けていない学生が50名(注:Fuquaの1学年全体は450名弱)ほど集められました。他校でも語学プログラムの位置づけで秋学期授業の開始前に短いプログラムを設けることがあると聞きますが、Fuquaではこのプログラムが慎重にデザインされており、単なる語学力向上効果を超えたユニークさがあったと思います。私は特に次の2点について感心しました。

①                 同級生・ファカルティ間の交流の促進

例えばプログラムの一つとして、「他学生全員の前で同級生1人を紹介する」というものがありました。これだけでは当たり障りのないように聞こえるプログラムですが、最大限の効果が出るよう巧みに運営されています。一義的には同級生全員の人となりを細かく確認でき同級生の交流を促進する良い機会ですが、私が「巧みに」感じたのは、こうしたプログラムでも常にファカルティ(Fall 1の必修科目「Leadership Communication 1」のファカルティを含みます。)が学生を細かに観察・指導している点です。例えば私が同級生を紹介する様子は、3-4人のESL(English as Second Language)やコミュニケーションの専門家から観察され、発音やコンテンツの適切性、デリバリー方法などについて細かなフィードバック(手の動かし方や発言の「閉め方」等)を得ることができました。また、この「他己紹介」を指導くださったのと同じ方がFall 1の「Leadership Communication 1」も指導してくださっているので、自分の成長を継続的に見ていただけている安心感・信頼感があります。加えてESLの専門家については、Fall 1の今現在も個別指導を受けており、今後卒業まで継続して指導を受けられることになっています。ESLの専門家は、このISB期間中のコミュニケーションを通じて私の癖や授業での振る舞い等を熟知しており、今受けている個別指導の効果を大きく高めてくれています。

Fuquaは海外学生比率を高い水準で維持するなどしてDiversityを標榜していますが、これは数字だけの表向きのものではなく、細かなサポート体制で裏打ちしている点はユニークで素晴らしいものと感じました。

②                Fuquaの掲げる「Team Fuqua」の価値観への理解の深化

Fuquaはビジネススクールの中でも特に協調性を重視しており、そうした価値観を「Team Fuqua」と呼んでブランディングしています。このISBでは、「Team Fuqua」を機能させるために必要なフレームワーク、特にチーム員へのフィードバックについて教え込まれました。例えばプログラムの一つとして、20ページほどのケース(架空の事例を元に問題点や解決策を分析する学習方法)を題材とし、チーム(3-4名)で問題点と解決策につきプレゼンをするものがありました。これ自体はどの学校にも共通する一般的なものと思いますが、Fuquaでは一つ工夫を凝らし、山場であったプレゼン終了の翌日に3時間ほどかけてチーム員同士で互いの振る舞いについてフィードバックの練習をしました。セットとなる授業では、フィードバックにおける伝え方、フィードバックを受ける側の姿勢、フィードバックを考えるにあたっての評価項目が教えられます。特に私を含めたアジア人は、フィードバックを与えることを苦手としがちと思いますが、こうしたフレームワークの説明を受けて実践することで習熟が可能だということを学びました。なお、同様のフレームワークは、ネイティブスピーカーが合流した後も再び教示・練習されるなど、その重要性が繰り返し強調されます。「協調性の重視」を掲げる学校は多いですが、Fuquaではそれが決して表面的なものではなく、どの文化圏からの学生であっても共有できる価値観として存在させるべく、プログラムを巧みに構築していると感じました。

Global Institute

7月とは打って変わって、8月にはいよいよアメリカ人や英語を母国語並みに使える国際学生が合流し、一学年約450人が揃いました。オリエンテーションでは、今後苦楽を共にするセクション別に約70人ずつ6つに分かれ、また一年間必修科目で共にチーム課題に取り組むことになる6-7人のチームが発表されました。

Fuquaは、アメリカのトップビジネススクールの中でも特に国際学生の比率を高く維持しています。私のチームは、アメリカ人4人にベトナム人1人、日本人1名の構成です。皆優しくかつ熱心で、とても居心地よく感じています。

また、Global Instituteに先立つオリエンテーションにおけるDeanのスピーチは、熱が込められており鳥肌が立ちました。この分断の時代において、Fuquaは多様性のもたらす創造性の力を信じており、世界中から集まっている君たち学生にはこの価値観を重視する義務があるとおっしゃっており、国際学生の一人として改めて奮起させられました。

オリエンテーションが終わると、GIが始まりました。秋学期開始前とはいえ、GIでは単位の付与される授業が実施されます。名前が少々ややこしいのですが、Global Institute and Environment(「GIE」)、Leadership, Ethics and Organization(「LEO」)およびConsequential Leadership 1(「C-Lead 1」)の3つのコースが並行して行われました。

①                Global Institute and Environment

ビジネススクールの導入的授業にしては珍しいのではないかと思いますが、この科目では、政治と経済の制度(Institute)がどのように経済成長に影響を与えるかが取り扱われました。書籍”Why Nations Fail”(邦題:『国家はなぜ衰退するのか』)を基調とし、個別のトピック(例:インドのSEZ、アフリカにおける製薬会社の役割、中国の経済改革、地球温暖化対策、メキシコの収奪的制度等)についてはケーススタディで掘り下げていく方法がとられました。この科目がなぜ導入的授業に取り入れられているかについては想像するほかありませんが、やはりFuquaの価値観に関連しているのではないかと思います。Fuquaでは、多様性やスチュワードシップを重視しており、ビジネスパーソンこそ社会の一員として国際的な公共意識を持たせることを狙っているのだと理解しました。私は資源開発会社の出身ですが、まさに資源国の政治と経済の制度に無関心ではいられないと考えており、この科目を興味深く学べました。

②                Leadership, Ethics and Organization

タイトルのとおり、リーダーシップ、倫理および組織について、学術的な理論やケーススタディ、チームでの演習を組み合わせて学ぶコースでした(主眼はあくまでリーダーシップにあり、倫理と組織についてはリーダーとして知っておくべきことという切り口からまとめられている印象でした。)。リーダーシップ論は各校の色が出やすい分野だと思います。Fuquaでは、(この場では詳細を割愛しますが)独自のリーダーシップ論(Six Domains Leadership Model)を開発しています。

③                Consequential Leadership 1

Consequential Leadershipとは、Fuquaが重視するLeadershipの在り方です。周囲の人々や社会・環境に対してスチュワードシップを発揮し良い結果をもたらすことを目標にしています。この価値観を定着させるよう、C-Lead 1では様々な活動が用意されています。屋外でのアクティビティを始め、外部の分析会社を使った性格・志向性の診断結果の共有や、チーム・チャーター(今後のチーム課題の遂行方法や、チームとしてのゴール、プライベートの時間の確保方法等に関する決まり事)の作成などを実施しました。また、万が一チーム内で問題が生じた場合には2年生の助けを仰ぐこともシステム化されています。

こうした活動にはとても助けられました。上述のGIEおよびLEOで4つのチーム課題をこなしましたが、このC-Lead 1を通じてチーム内でのコミュニケーションが促進されており、チームの連帯感やモチベーション、生産性が向上しているのを実感しています。

また、チームメンバーとは建設的なフィードバックを定期的に実施できるように、月に二度ほど”Coffee Chat”をすることを合意しました。私もこの機会を利用して、私の振舞いの良かった点や悪かった点を聞き出しています。また、相手に対してフィードバックを与えることは予想以上に不慣れで難しいため、この練習という観点でも有益な機会だと感じています。

 

Fuquaでのこれまでの経験は、入学前の想像を超えていました。プログラムのどの部分を切り取っても、多様性のもたらす創造性の力を信じる理念、という一本の筋が通っています。これからの活動を通じて、自分がどのように変わっていくのか、非常に楽しみにしています。

(写真は国際学生の友人たちとのPotluck Partyでの一枚です。お好み焼きとカリフォルニアロールを持ち込みましたが大人気でした!)

 


Fuquaでファイナンスを学ぶ意義

2016-12-21 22:10:57 | 授業紹介

みなさんこんにちは。2年生のJです。今回はFuquaで学ぶファイナンスについて紹介したいと思います。ファイナンスといえばニューヨークのウォールストリートを思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、ノースカロライナのような森に囲まれた田舎でもファイナンスについて学ぶことは出来ます(笑)。私はMBA前の8年間ずっと投資の仕事をしていましたが、Fuquaのファイナンス教育にとても満足しています。

世界中の企業のCFOへのインタビューにより実世界でのリアリティーを紐解く「CFO Survey」をリードするJohn Graham教授、リスクマネジメント/アセットアロケーションの大家でありながら近年はフィンテック/ブロックチェーンに特化した授業を開講しているCampbell Harvey教授、インパクトインベストメントの研究教育センターであるCASE i3を立ち上げたCathy Clark教授など、これらは一例に過ぎませんが、たくさんの有名教授がいます。

その中でFall 2に履修したFixed Incomeについて少し書きたいと思います。教授のDouglas Breeden氏は数々の理論を提唱した学術者でありながら、資産運用会社を30年以上経営してきた実務家でもあります。Fixed Incomeにかかる理論や、各種アセットクラスの特徴、金利等を用いた経済予測、ヘッジ戦略などももちろん教えてくれるのですが、同授業の1/4位をかけて教えてくれた行動経済学が秀逸でした。LTCMの失敗から始まり、リーマンショック、Breeden教授自身の投資の成功と失敗の事例などを題材に、Duke大学の心理学の教授との共作による教材を用い、いかに人は間違いやすい生き物か、どのように人は間違った意思決定をしてしまうのかを体系的に教えてくれました。こうした教えはファイナンスというよりもマネジメントの本質そのものであり、長く実務をしてきた人からその教えを聞くことのできる機会は極めて貴重でした。

授業では行動経済学について15のまとめが教えられたのですが、そのうちの1つが「人は情報を得れば得るほど確信を増すが、必ずしも成功する確率は上がらない」というものでした。たくさん情報を得れば正しい答えを導くことが出来ると普通は思うかもしれませんが、人は元来Overconfidence(自信過剰)であることから、情報を得て自信が増すほど、自分の“間違った”考えに固執し、自分の考えを正当化するエビデンスだけに目を向けがちになり、結果として正しい答えに近づけないというものでした。

技術の発達によりこれまで以上に多くの情報を得ることが出来るようになりました。答えに近づこうと多くの情報を必死に追いかけているうちに、膨大な短期的情報の渦に飲み込まれて本質を見失いがちになっているかもしれません。良い意味で些末な情報(雑音)が入ってこないノースカロライナという田舎でこそ、ファイナンスや投資の本質に近づけるのかもしれないと感じました(ウォールストリートから遠く離れたオマハで圧倒的なパフォーマンスを誇ってきたウォーレンバフェットのように)。


Biotech and pharmaceutical strategyについて

2016-11-29 15:56:31 | 授業紹介

 みなさんこんにちは。2年生のYです。早くも年内の授業は残すところあと2週となり、学期末のレポートの作成など少々慌ただしい日々が続いています。 このブログをご覧になっている受験生の皆さんの多くは2nd Roundに向けての追い込みでお忙しい事と思いますが、留学で得られる世界の広がりは、今の頑張りを補って余りあるものになる事間違いありませんので、あと少し頑張って頂ければと思います。

さて、今日はヘルスケアに強みを持つFuquaの授業の1つ、Biotech and pharmaceutical strategyについてご紹介致します。この授業は製薬企業に関するケースをひたすら読み続けるというかなり業界Specificな授業です。 一言にヘルスケアと申しましても、当然のことながら製薬会社だけでなく医療機器メーカー、保険者、医療従事者、規制当局、そして患者さんを含めた様々なプレイヤーが存在します。私は留学以前、官庁で医療分野を中心とした社会保障関係予算の策定に携わっていました。その中で感じていた事の1つは、これだけ多くのステークホルダーが存在し、価値観も多様化してきている中で、陳腐な言い方になってしまうかもしれませんが、より良い政策作りのためにはそうした異なるステークホルダーが抱える価値や考え方に想像力をどれだけ働かせて実のある対話をし、合意形成をしていけるかが重要だなという事でした。官庁で働き続けるだけではきっと物事の見方が偏ってしまうのではないか。そうした意味で、私が留学生活、特にFuquaに期待していた事の1つは、特に医療という文脈でより幅広い見方を身につける事でした。そして、まさにこの授業を受講する中でFuquaがamazing place to beだなとしみじみ感じています。

FuquaはHSM(Health Sector Management、注1)というヘルスケアに特化した専攻で有名なのですが、そのコースに登録する学生は、年によってバラツキがありますが、現在1学年のうち30%以上(ちなみに一学年のクラスサイズは400人強です)にものぼっています。この授業は冒頭に述べた通り、製薬会社の戦略に特化するという一般的には相当マニアックと思われる授業なのですが、にもかかわらず授業の登録を希望した学生の数は定員をオーバーするほどの人気です。授業の中では毎回ケースを基に製薬企業の意思決定に関するイシュー(価格差別などを含めたプライシング、特許戦略、保険償還、開発戦略、広告等)について扱います。クラスでは、製薬会社で勤めていた人は当然のことながら、医療機関で勤務していた学生、医師や看護師などの医療従事者、医療保険会社、投資銀行やコンサルティング会社のヘルスケアプラクティスのチームで勤務・インターンしていた学生、グローバルヘルスに関するNGOで勤務していた学生、米国の上院で医療政策の立案に携わっていた学生など多種多様な学生が凄い勢いでディスカッションを行っていて、正直彼らの議論を聞いているだけでもとてもeye-openingな経験です。担当教官はDavid Ridleyという先生で、彼は米国の製薬企業や規制に熟知しています。彼の研究を基にFDA(薬や医療機器の承認を行うアメリカの規制当局)にPriority Review Voucher(注2)という制度が出来ました。また授業にはロシュの元CEOのGeroge Abercrombieが常駐し、Davidや学生の発言に実務的な観点からフィードバックを行うという理論と実践のバランスが取れた素晴らしいクラスになっています。

先進国における高齢化による医療ニーズの増大や医療技術の高度化等によりヘルスケア市場が増加の一途を辿る中、ヘルスケアに特化した専攻を設けている学校も近年増えてきている印象がありますが、この授業を取る中で改めて感じたFuquaの良さは、ヘルスケア関係のバックグランドを持つ学生の多様性と厚みがあることだなと感じています。こうしたヘルスケア分野の中での多様性が担保されている環境は、Fuquaが持つHSMの伝統と、前述の通りその名の下に集まる一定規模以上の学生の数によって成り立っているものであり、ヘルスケアを売りにしている学校の全てが必ずしもこうした学習環境を提供できるものではないと考えています。

先日の授業では、保険収載時の薬価が諸外国の薬価を参照して行われることが多いことに着目して、(1)どの国からどういう順番で、(2)いくらで、新薬を上市していくのが製薬企業によって最適かという上市戦略について、コンサルティング会社が授業に来て講演をしてくれました。折しも日本ではこれまで2年に1回だった薬価の改定を毎年行うべき、諸外国における薬価の参照を速やかに行うべき、と言った薬価制度に関する抜本的な制度改正に関する議論が経済財政諮問会議(注3)などで行われているところで、こうした制度変更は製薬会社の意思決定にも大きな影響を与えそうです。

また、今日のケースでは子宮頸がんワクチンの価格戦略について扱いました。日本ではその副反応の可能性等が指摘されたことで、一般的にはネガティブに捉えられている印象のある子宮頸がんワクチンですが、クラスメイトと話す中でアメリカでは同ワクチンを接種することがある程度一般的になってきているなど、同ワクチンに対する見方が日本とアメリカでかなり異なることなどが分かり、日本とアメリカを含めた諸外国での医療のあり方の違いなどについても気付きがありました。

・・・といった感じで毎回の授業で新しいTakeawayがあり、授業が楽し過ぎて授業の前日の日曜と水曜は毎回夜明けが待ち遠しいといった心境です。言い過ぎかもしれませんが。

ちなみにこのクラスで知り合ったクラスメイト達と来年1月に開催されるヘルスケアビジネスコンテストに出場するべく現在準備を進めています。書類などによる選考が今後行われることになっていますが、見事本選に参加できることになった暁には、その模様をこのブログでお伝えできればと思います。長くなりましたが、ご一読頂きありがとうございます。

(注1)HSMについてはこちらを御覧下さい。https://centers.fuqua.duke.edu/hsm/home/about/

(注2)同制度の詳細についてはこちらを御覧下さい。http://priorityreviewvoucher.org/

(注3)11月25日に開催された同会議に提出された薬価制度の抜本改革案等についてはこちらを御覧下さい。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1125/shiryo_04-1.pdf


Marketing Strategy

2016-04-10 02:18:59 | 授業紹介

こんにちは、一年生のKNです。

今回は、普段の授業から一つケースをご紹介します。と言いますのも、何かとGATEやFCCPなどプロジェクトもののプログラムが関心に登りますが、学校生活の大部分を占めるのはもちろん通常の授業です。充実したGeneral Management科目の一端と、授業の雰囲気を少しでも皆様に感じてほしいと考えたためです。

さて、今回は選択科目であるMarketing Strategy(Spring2, Christine Moorman教授)を取り上げます。

扱う内容は、科目名の通り「戦術的」なマーケティングの手法よりも、企業の置かれている立場をビジネスモデルから俯瞰し、マーケティングを切り口としていかに企業戦略を考えるか、という点に重きが置かれています。

先日は、アメリカにおけるある小売業において、「いかにMillennialの来店、又はウェブサイトへのアクセスを増やすか」というお題が与えられました。Millennialというのは1980~2000年ごろに生まれた、幼い頃からインターネットに親しみのある世代を指します。

このケースでは、以下のようないくつかの特徴がありました。

1. ケースが現在進行形の課題を取り上げている

 通常、ケースというと過去に実際にあった意思決定に焦点を当て、その妥当性の検討を行いながら知識の獲得・運用を行うものが多数です。しかしながら、今回のケースは実際にその企業から最新の情報が提供され、与えられた課題も現在直面しているものです。そのため、明確な答えがないのはもちろんのこと、結果すら明らかではありません。ケースの分析や解説は、ともすると単なる結果論にもなりかねませんが、今回は小売業という身近な企業のon-goingな課題ということで、他のケースよりも「手触り感」を持って取り組むことができました。

2. ケースに対するアプローチの仕方がユニーク

 次なる特徴として、ケースに対するアプローチも今回は変わっていました。通常、ケースでは全員が同じ情報を持っていることを担保するため、与えられた情報以外にアクセスすることは基本的に許されていません。他方で、今回は「ネット検索による情報収集」「実際のMillennialへのインタビュー」「店舗訪問」が許されるどころか奨励され、そういった生の情報を元に課題に取り組むこととなりました。さらには、集めた情報を昇華させ、実際の解決策を編み出す方法を学ぶため、デザイン・コンサルティングのIDEOのディレクターを授業に招聘し、直にそういった課題解決の手法を学びました。

これら、情報収集・IDEOとのセッション・解決策の立案もすべてチームでのディスカッションとして取り組んでいます。最近注目されることの多いデザイン・シンキングについて、その手法を現役のコンサルタントから学べたことは、(もちろん再現できるかということはありますが)貴重な経験でした。

3. 成果物は対象企業へのプレゼンテーション

 最後は、取り組んだ課題に対する解決策をスライドにまとめて提出しますが、指定されたチームは授業でプレゼンテーションを行いました。そこには、題材となった小売業のマネジメントがスカイプで参加をし、実際のプレゼンテーションを聞いた上でフィードバックや質問をしてくれました。和やかな雰囲気ながらも、相手は実際にその課題に取り組んでいる張本人。提案された解決策の実行方法や実効性について、的確な質問が飛ぶ場面もありました。単なる意思決定の後追いだけに留まらない、ダイナミックな経験をこの授業を通じて得られたように思います。

 私自身の学びとしては、正直なところMillennialの中でもどういった層が当該小売業に興味があるか、どんな競合他社がいるのか直観的につかめなかったところがあり、議論でもかなり苦戦しました。他方で、様々なリサーチや分析を通じて、日本とアメリカの違いはあっても、ネットに親しみのある若者の消費行動は両国で似通っていることが見てとれました。今回の議論やアプローチは今後の私自身のキャリアにおいても、振り返って活かすことができるように感じています。


Managerial Accountingについて

2015-09-30 15:35:45 | 授業紹介
皆様こんにちは。Class of 2016(2年生)のForestです。
 
今回の投稿では、Fuquaの名物講義の一つ、Managerial Accountingについてお話させて頂こうと思います。
本講義は卒業生が選ぶ「もう一度聞きたい名講義」に昨年ノミネートされる等、学生から圧倒的な支持を集めており、正直私は少しミーハーな気持ちで受講を決断しました。笑 しかし、9月から実際に講義が始まるとその内容や教授の姿勢に感銘を受け、やはりこの講義を取って本当によかったと考えています。本講義について私が気づいたポイントを3点シェアしたいと思います。
 
1. 実践的な管理会計の講義
本講義は名前の通り管理会計の授業で、会計データをどのように解釈・加工すれば適切な経営判断につなげていくかについての講義だろうと事前に予想はできましたが、講義でカバーする内容は私の予想をいい意味で覆すものでした。管理会計の内容を軸としつつ、どのような組織形態や報酬、インセンティブが当該ケースではベストなのかについての議論が多く、これは本当に会計の授業?という局面が何度もあります。例えば、営業の責任者にとって最適な報酬制度が製造の責任者にとっては弊害となり得るということはよく知られている問題なのですが(営業が売ることにのみ専心して、製造現場に過大な負担を与え機械が壊れやすくなる・残業が多くなる)、どのように全体最適な報酬制度を設計するか定量的・定性的観点から議論します。管理会計を更にCEO/CFO目線で見るというイメージでしょうか? 管理会計の意味合いを理解させることに重きが置かれていますので、その後に管理会計の理論を復習するとより本質的な理解が得られるとも感じました。 
 
2. 教授と学生との距離が近い
教授のShane Dikolliは、Associate DeanでAccountingの教授陣の中でも所謂立場の高い教授なのですが、他のFuquaの教授陣同様、 学生との距離が非常に近いと感じています。例えば、驚くべきことに最初の授業の時から、生徒全員の名前(同じ授業が3コマありますので、受講生徒数は225人です)を覚えており、彼の授業ではName Tent(教授が生徒の名前を確認できるように講義中に座席に立てておくプラカードのようなもの)を立てておく必要がありません。また、講義前や休憩時間も何かと話しかけてきます。笑 これは、Shaneが生徒一人一人を気にかけている一つの証左であり、講義中でも発言が少ないなと思った生徒には積極的にコールドコール(教授から生徒をあて、発言を求める)してきます。良いことではありませんが、私も既に2回コールドコールを受けてしまいました。そのため自然と予習にも気合が入りますし、講義にも緊張感を持って臨めています。教授のフレンドリーさと講義の緊張感がうまく噛み合っている印象です。
 
3. Professionalism
Shaneは講義中、 ケース外の事例も引用しながら全体の議論を活性化するのが上手いと感じていたのですが、一度彼と話をした際「学生に興味を持ってもらうために、毎年最新の事例を含めて面白い事例を交えながら話すことを心がけている」と聞きました。従い、講義の内容は毎年少しずつ変化しているそうです。実際、費用の不適切計上が企業に与える影響についての議論の中で東芝とクライスラーの事例が紹介されていました。常に講義を改善しようとしている点も、学生からの支持を集める理由かもしれません。
 
【写真】Professor Shane Dikolli
 
今回は、Managerial Accountingの紹介でしたが、教授と生徒との距離が近い点等は、Fuquaの講義・教授陣全員に共通する特徴かと思います。
 
この時期、受験生の方はスコアメイク、エッセイ作成等大変かと思いますが、頑張ってくださいね。引き続き、ご質問やお手伝いできることあればfuqua-japan_ANTISPAM_googlegroups.com(_ANTISPAM_を@に変換)宛にご連絡ください。

Language Institute(Class of 2017より)

2015-08-15 09:23:57 | 授業紹介

はじめまして、Class of 2017KNです。

早いもので、渡米して1ヶ月半が経ちました。現在は、Global Institute(通称GI)というサマースクールの真っ最中です。GIの詳細については昨年と次回以降の投稿に譲ることとして、今回はGIより前、7月に参加したLanguage Institute(以下LI)について紹介します。 

LI2週間のプログラムで、対象は英語圏で生活したことがない(少ない)internationalの学生に限られ、今年は日本人6名のうち5名が参加しました。全体では一年生約450名のうち54名が参加し、国籍は南米・中国・韓国が多く、その他ロシア・ウクライナ・スペイン等多岐にわたりました。

カリキュラムもinternationalがスムーズにアメリカ生活、英語での環境に慣れることができるよう、よく配慮されています。私は海外に住んだ経験がなく、ネイティブの友人もいなかったことから、特に英語圏での生活に不安がありました。ですが、international向けのtutorとの面談やセッションを通じて、率直に生活している中での疑問をぶつけたり、アメリカ人の傾向・思考回路を学んだりして、現在のGIでは勉学の方に集中することができています。また、他のLI参加者との交流の機会も多くあり、LIが終わった頃にはほぼ全員の顔と名前が一致するほどに仲良くなりますので、それも相まって生活が楽しくなってきます。GIが始まり、アメリカ人が6割を占める中で、既に50人の友人がいるというのはとても心強いものです。

そういうお手柔らかな面がありながらも、やはりここはビジネススクール、早速ケースを元にしたグループワークが課されました。私のチームはブラジル人(男)・中国人(女)・台湾人(女)・日本人(男)の4名で、バックグラウンドもコンサル、金融、ヘルスケア、会計士とバラバラ。題材はシェアが伸び悩む小売業の打開策をチームで立案し、それをその小売業のboard member向けにpresentationするというもの。ケースでは答えがありませんし、題材が小売業という身近なものである分、自分なりの意見を言いやすいことから、とても議論が盛り上がります。プレゼンまでの準備時間もかなりタイトに設定されていますので、成果物の質を追求しながらも、協力して効率的に進める必要がありました。

こういったグループワークを通じてお互いのことがよく理解できるようになります。「ブラジル人は陽気なだけかと思っていたら、こいつは妙にスライドの作りに細かいな」とか「この子は調整する役が上手いな」とか。プレゼン後にはお互いにフィードバックする時間が与えられ、良かった点・悪かった点について率直に伝えます。フィードバックを伝えることの難しさと、自分がチームの中でどういう風に(まだ会って2週間程度の、違う国籍の)相手に映っているかを知る良い機会となりました。

また、プレゼン自体も私にとっては大きな学びの一つでした。プレゼンの最中にも、少しでも論理の飛躍や不明瞭な点があるとboard member役の学生や教授から鋭い質問が投げかけられ、議論が巻き起こります。ここでいかに質問を上手くさばいて、主導権を失わないかが重要になります。またプレゼンターに対するフィードバックも行われ、Fuquaのフィードバック文化の一端を垣間見ました。私は前職ではクライアント向けにプレゼンをするような機会に乏しかったため、LIでの2回のプレゼンとフィードバックを通じ「練習と少しの工夫があるかないかで、ここまでオーディエンスからの印象が異なるのか」ということが実感として感じられる貴重な経験でした。今後、プレゼンテーションに特化したクラスもあると聞いていますので、タフだとは思いますが成長の機会として楽しみにしています。

最後になりましたが、これから出願を考えられている方で、もし何か我々在校生でお役に立てそうなことがありましたら、お気軽にfuqua-japan_ANTISPAM_googlegroups.com(_ANTISPAM_を@に変換)までご連絡ください!


Corporate Financeでのゲストスピーカー(Sprint CFO)

2015-02-17 01:43:55 | 授業紹介

こんにちは、Class of 2016の三男坊です。

さてFuquaのMBAの醍醐味の一つに、様々な業界のトップランナー達がFuquaに来校し、学生の前で講演をしてくれるイベントがあります。このイベントは学校や各種専門のクラブが主催する大掛かりなものから、授業の一コマの中で教授の個人的な繋がりでゲストスピーカーを連れてくるインフォーマルなものまで、その形式も多岐に亘ります。

この度はFuquaの学生に人気で、現在Fuquaの日本人学生TS、Forest、小生の3名も受講しているCorporate Financeの授業の中で、2013年にソフトバンクが買収したSprint社のCFOであるJoseph Euteneuer氏が講演をしてくれました。同氏は2011年のFuquaのGlobal Executive MBA卒で、会計士としてのキャリアを振出しにComcast、Qwest Communications、Qwest Communications等の要職を歴任し、2011年にSprint社のCFOにスカウトされた人で、その強面の外見とは裏腹に、話も上手く、学生に対してこれまでの経験をざっくばらんに語ってくれました。昨今のSprint社の低迷はウォールストリートジャーナル等のメディアでも度々報道されており、同氏の顔写真は新聞等でもたまに目にします。今回の講演で幾つか印象に残るコメントがありました。


※画像出典:WSJ

1.ビジネスは全てがBlack or Whiteとは限らない

ベンチャー企業から大企業と様々な組織に身を置き、企業再建やファンド相手の身売り交渉など数々のディールを経験してきたEuteneuer氏によれば、企業の意思決定は全てがMBAで学ぶ様な教科書通りのルールには従わず(例えば、Project with NPV>0は投資に資する)、時に白黒付けられないのがビジネスの鉄則との事。卒業後、ビジネスの世界に身を置く我々はそれをきちんと理解し、状況に応じて物事に柔軟に対応する必要がある。MBA を通じてその感覚も学んで欲しいとメッセージをもらいました。

2.自社及び競合相手を冷静に理解する

今回の講演で特に印象的だったのが、Euteneuer氏自身がSprint社の置かれている状況や業界の動向、競合相手について極めて冷静に分析出来ていることでした。現在、米国の携帯電話キャリアはAT&T、Verizon、Sprint、T-Mobileによってマーケットが構成されていますが、その中でのSprintの位置付けや今後の展望、必要な戦略をCFOが細かな点までちゃんと把握していました。一般的に自社の話になると ついつい主観的な話をしてしまいがちですが、同氏の分析はそこにバイアスが無く、限られた時間の中での簡潔且つ明瞭な話し方は大変参考になりました。また冷静な分析には”Take a time and think deeply about what is going on”が必要と述べていました。

3.米国金融マーケットの裾野の広さ

米国の金融危機直後、Sprint社が経営難に陥る危険性があり、同社は当時、苦肉の策として様々な資産を担保に差入れながら、多数の金融機関から借入れを行い、資金を繋いだというエピソードを披露してくれました。ただ最後まで必要資金の目処が立たず、倒産寸前だった同社を救ったのは機関投資家で、当時、土壇場で$600mil超のジャンクボンドを無担保で引受けをしてくれたそうです。この話を聞き改めて米国の投資家の裾野の広さを体感しました。

その他、日本でも連日マスコミを騒がせたソフトバンクのT-Mobile社の買収交渉、ソフトバンクの孫正義社長との出会いの逸話など、臨場感溢れる話が多く、大変意義深い講演となりました。

 

 


Managerial Improvisationについて

2015-01-15 18:25:54 | 授業紹介

Class of 2015CHOPです。

本日は、冬期集中講座であるManagerial Improvisationについて紹介します。

Managerial Improvisationとは、Spring1が始まる前の週に開講される集中講座です。Improvisationをビジネススクールのカリキュラムに取り入れたのは、Fuquaが世界初とも言われています。

 
【写真1…講座最終日での発表の様子】

"Improvisation" とは、即興で何かを行うことを意味します。ジャズでメンバー同士がアイコンタクトでアドリブ演奏をする場面を想像してもらうと分かりやすいかもしれません。客席からお題が投げかけられて、その場でチームメンバーと息を合わせていろいろな演技をします。たとえば、「漁師と宇宙人がデートしている場面!」と突拍子もないお題が出て、相方と掛け合いをしてストーリーを作り上げていきます。普段の授業と違って、全く予想もしないところからボールが飛んでくるので、相当集中していないと英語が聞き取れないし、ましてや話すことは困難です。期間中、若手のお笑い芸人のように、とにかく思考の瞬発力をトレーニングしました。

 
【写真2…5日間、同じメンバーでImprovise, improvise, and improvise!

これまでの留学生活の中で、3本の指に入る充実した経験だったと自信を持って言えます。本日からSpring1が始まりましたが、友人たちと会話が今まで以上に弾みましたし、授業では教授の英語が面白いように聞き取れました(何やら教材の宣伝のようですが(笑))。手前味噌ですが、Speaking力とListening力が飛躍的に上昇したのだと実感しました。このレベルを維持できるように、Improvisation Clubでトレーニングしたり、Fuqua FridayでとにかくImproviseしたりしてみようと思います!

なお、講座の様子は過去のブログ(20072009)で詳細に紹介されていますので、そちらをご一読頂くと雰囲気が掴めると思います。また、Duke MBA Student Blogでも紹介されていますので、そちらも併せてご覧ください。 

それでは!


2年目のFall1について

2014-10-21 23:56:32 | 授業紹介

Class of 2015のCHOPです。

誰ですか、MBAの2年目が楽だと言ったのは?(笑)
9月4日から10月18日にかけてFall1が開講されました。もう慣れましたが、この6週間は正に「怒涛」という表現が相応しく、後ろを振り返る暇もなく一気に駆け抜けました。履修した科目はいずれも期末試験ではなくファイナルプロジェクトだったため、ケースコンペティションの締切とも重なり、最後の1週間は文字通り忙殺されました…。

Fuquaでは2年生の授業は全てElective(選択科目)で構成されます。自分の関心、強み・弱みに合わせてカスタマイズできるので、Core(必修科目)とは違った楽しさがあります。私はGeneral Managementに関心が高く、ハード・ソフト両面のスキルをバランス良く鍛えたいという思いから、以下の3科目を履修しました。

1.Supply Chain Management
2.Data Mining
3.Negotiations

今日はこの中で特に印象に残ったNegotiationsについて紹介します。

1.クラス概要
事前にロールプレイのお題が与えられ、それを頭に叩き込んだ上で、授業当日にランダムにアサインされる相手とのNegotiationに臨みます。1対1から複数対複数まで様々なシチュエーションを想定した交渉の場が用意され、毎回気が抜けません。終了後には教授から心理学をベースにした解説があり、NegotiationのTipsが与えられます。現実世界での交渉では他人と比較することは通常あり得ません(交渉という特性上、できない)が、クラスメートと比べて自分がどういった成果(例:RecruiteeとRecruiterとの交渉で、サラリーをいくら獲得できたか/いくらでHireできたか)を出したのかが分かるのも面白いです。

2.気鋭の若手教授
この科目は秋・春ともに開講されますが、秋は気鋭の若手教授、Gráinne M. Fitzsimonsが担当します。マシンガンかつ毒舌(笑)なトークが強烈で、ディスカッションを巧みにリードしていきます。Gráinneは1年生の夏の必修プログラム(GIの様子はこちらのブログにて!)でもクラスを持っていて、私にとっては1年ぶりの再会となり、英語力という点で自分がどれくらい成長しているのかを測ることもできました。

Fall1とFall2の間には約1週間のBreakがあり、1年生はRecruitingのイベントで全米を飛び回っていますが、2年生は比較的落ち着いてそれぞれの休みを楽しんでいるようです。何だ、やっぱり2年生は楽ですね(笑)

それでは!


【写真1…マシンガン&毒舌トークのGráinne】


【写真2…Data Miningのファイナルプロジェクトからの1コマ。締切1分前に提出!】

 


LI (Language Institute) 報告 Class of 2016

2014-09-10 22:21:53 | 授業紹介

皆様初めまして。Class of 2016(1年生)のForestです。

早いもので7月に渡米してから2か月が経過しました。勉強、各種イベント、生活立ち上げで怒濤の日々でしたが、何とかサバイブできたことは来るFall 1に向けて自信となりました。

さて、今回の投稿では、7月に2週間かけて行われたLanguage Instituteというサマースクールの様子についてお話させて頂こうと思います。出願時期を控え、もっと突っ込んでお知りになりたいこと等あれば在校生宛て(fuqua-japan_ANTISPAM_googlegroups.com, _ANTISPAM_を@に変換)にいつでも連絡くださいね。

1. Language Institute(以下LI)

 LIは、インターナショナルスチューデントがMBAプログラムにスムーズに移行できるように構成された2週間のプログラムです。今年はClass of 2016の426名の学生のうち70名が参加しました。英語が母国語の学生(豪州、インド等)や米国の大学卒業者はLI参加が免除されているため、中国、韓国、日本、台湾等の東アジア、ブラジルをはじめとする南米出身者が多数を占め、これにフランス、ルーマニア、ロシア、グルジアなどの欧州・CIS出身者が加わるというdiversity豊かな構成となりました。

 LIはまずCurtain Up, Curtain Downと呼ばれる他己紹介(2人がペアとなり、70名の生徒を前にステージ上で相手の紹介を2分で行う)から始まりました。私はブラジル人の同級生の紹介をしたのですが、緊張して早口になってしまいました。やはり難しいなと思っていたらその同級生も私の紹介をする際に早口になっていて「しまったー」と言っていました。少しだけほっとしました。笑 

 プログラム前半は、主にプレゼンや即興などアウトプットの訓練が中心、後半に進むにつれ、実際のケース資料を用いたディスカッション形式の授業、4名1組でのケース分析・プレゼンなどMBAに近い内容になっていきます。LIはMBAの本プログラムに向けた助走として、とても効果的なプログラムだったと思います。

 また、LI期間中は何かにつけて、同級生の部屋やレストラン、バーに集まり飲み会が開催されました。Global Institute, MBAの本コースが始まる前に、70人のInternational Studentと仲良くなれ、とても心強かったです。以下はブラジル人同級生の誕生会に皆で行った日本食レストランでの様子です。

2. その他(生活環境)

 私は妻と3歳の娘と共にダーラムに来ていますが、生活環境にはとても満足しています。

 ダーラムは田舎だというのが一般的な認識と思いますし、その通りなのですが(笑)、自然が豊かな一方で、ショッピングセンター・スーパーマーケットやレストランも想像以上に充実しています。ショッピングセンターで言うと大学から車で10分のところにあるSouthPoint Mallで日用品かラブランド品まで購入することが可能ですし、レストランも本格的な寿司が楽しめる日本食レストラン、シーフードレストラン、タイ料理等々全く不自由しません。また、全米トップクラスの設備を誇るDuke HospitalやUNCの病院、その系列病院がいくつもあり医療面でも安心です。

 また、私は大学から車で10分のチャペルヒル市に住んでいるのですが、チャペルヒル市は全米でも教育水準が最も高い街として知られており、子供の教育環境という意味でも満足できる場所だと思います。


コア授業紹介#08(Operations Management)

2014-03-15 09:07:15 | 授業紹介

Class of 2015のCHOPです。

アメリカでは花粉症に悩まされることがないと噂には聞いていたものの、実際にマスクや目薬なしで生活できて驚くとともに、発症以来14年ぶりとなる清々しい春の陽気を楽しんでいる今日この頃です。

こちらでは、1月16日(木)から3月1日(土)にかけて、3ターム目であるSpring1が終わり、1年生はGATEやFCCP(詳細は追い追い…)で南米や南アフリカで新たな知見を得ているところです。

【Operations Management】
Spring1では必修科目(Core)を1科目、選択科目(Elective)を私の場合は2科目履修しました。最後の必修科目がこのOperations Managementです。レストランの回転率、行列の長さや待ち時間、在庫管理、そして日本を代表する自動車会社の生産管理など、職務経験や生活を通じて誰もが一度は直面したことがあるオペレーション上の疑問や問題意識に対して正面から向き合う科目と言えます。

マイアミ空港での入国審査前の行列…

ケーススタディだけでなく、シミュレーションも学びの質を高めるために採り入れられているのがこの科目の特徴です。日本人、というか私は数値を操る(number crunchingと言います…)のがそれなりに好きで、かつ凝り性ということで、ゲーム性が高いシミュレーションではついつい熱が入ってしまいました(笑)一方で、好きなこと・力が入ることであれば、英語での議論であってもネイティブに負けないということにも気付かせてくれ、今後のタームに向けて自信を得ることができました。

私のクラスを担当したKevin Shang 教授は台湾出身で、アメリカでMBA、そしてOperations and Decision Technologiesの分野で博士号を取得した後にFuquaで10年以上の指導歴があるベテランです。学生の「ツボ」を抑える話術は心得たもので、毎度ドッカンドッカンと笑いを誘ってクラスを盛り上げていました。同じアジア出身ということで、話の間合いや感性が合うというのも私がOperationsに違和感なく入り込めた一因だと思います。

Spring2からはすべて選択科目となり、同じSectionのメンバーと過ごす時間が減るのは寂しくもありますが、新しい出会いが待っているということでもあるので、今から楽しみにしています。


コア授業紹介#07(Marketing Management)

2014-01-03 21:43:58 | 授業紹介

Class of 2015のTSです。
今回はFall 2で履修した必修科目の一つであるMarketing Managementについて記載します。

Marketing Managementは所謂マーケティングの基礎で、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングなどの基本的な概念から、プライシングなどの定量的な実務面、近年のトレンドであるソーシャルメディアマーケティングなどを幅広く学びました。どのクラスでも定性的な分析に加えて、定量的な分析も行い、マーケティングに関する意思決定をする訓練をしました。さらに、2つの主要なアサイメントがありました。

  1. (個人)ある会社を扱ったケースのマーケティングに関する分析レポートを作成する
  2. (チーム)任意の会社を学生が選び、マーケティングに関する分析・提案レポートを作成する

毎回のクラスでは、前半部分は課題のケースについて議論をし、後半部分は即興でロールプレーなどをして学んだ知識を活かす授業構成でした。例えば、あるクラスの後半部分では、クラスの約70人を10名づつ、複数社のバイヤー、サプライヤーに分けて、各社へ目標を与え、どうやればバイヤー、サプライヤー間の交渉で自社の利益を最大化出来るか、現場のビジネスさながらに役割(社長、購買部門、営業部門、等)を決めて、実施しました。私はセクションメイトのイスラエル人と購買を担当しましたが、イスラエル海軍出身の彼はリーダーシップがあり、交渉中も冷静沈着でした。結果として、私のチームも良い購買活動ができ、チームとしての利益の最大化も図れました。その後、交渉相手に対してどのようなポジショニングを取ると有利になるかをセクション全体で話し合いました。事業会社の複数部門で働いた経験のある私も、他国の学生の交渉方法を学べてとても有意義な時間になりました。

応用編である選択科目を受講する前に、マーケティングの基本的な知識を学べてとても良かったです。Spring 1以降も、もっと積極的に授業に参加して、多くを学んでいきたいと思います!

 


Experimental Learrningの紹介

2013-12-22 22:09:53 | 授業紹介

こんにちは、Class of 2015のpannです。

Fall2も終わり、少し時間的に余裕がでてきた今日この頃です。
実はFall2の途中からコア授業と並行して、徐々にExperimental Learrningの登録や活動が始まってきましたので、コア授業の紹介と並行して、このブログでも私たち1年生(Class of 2015)が経験しているExperimental Learrning関連の授業・プロジェクトを紹介していきたいと思います。

(Fuquaで体験できるExperimental Learningの一覧については、今後日本の受験生向けサイトでも整備をしていこうと考えておりますが、当面はこちらをご参照ください。)

1年生が登録しているExperimental Learrningは次のとおりです。

  • P4E (Program for Entrepreneurs)
    • チームを組んで、起業家等のアドバイスを受けながら学生が主体となって起業プランを練るプロジェクトです。
    • 1年生では2名(tarezoとpann)が参加しています。
  • FCCP (Fuqua Client Consulting Practicum)
    • チームを組んで企業に対するコンサルティングを行うハンズオン型のプロジェクトです。異なる地域(海外、米国他都市、地元ノースカロライナ)や組織規模(大企業、スタートアップ、NPO)、インダストリの様々なプロジェクトから選ぶことができます。
    • 1年生では3名が参加しています。
      • グローバル(南米)プロジェクト:chop
      • 地元スタートアッププロジェクト:TSとpann
  • GATE (Global Academic Travel Experience)
    • 新興国など、特定の地域(年によって若干対象が変わる)に関してビジネス、文化、政治、経済について6週間ほど学んだのちに、Spring1とSpring2の間の2週間ほどの休暇期間中に現地の企業等を訪問するプログラムです。
    • 1年生では3名が参加しています。
      • 南アフリカ:tarezo と TS
      • 南米(ブラジル・チリ):pann