日常のなかで

　Mr.Childrenの最新作『IU』を聴きました。私は音としては厚みがあって、苦悩した感じの『深海』とか『Discovorly』の頃が一番好きだったので、『Q』以降は自分で買ってません。なんか、滑らかになって心を揺さぶるものがなかったのですね。ですが、何やかんやで、10年以上聴いてます。ラジオで聴いたのですが、今では親子でファンという方もおられるそうです。私の中では、アルフィーとかサザンがベテランでしたが…。

　でも、あの頃の私を今の時代に持ってきたらこのアルバムを好きになってはいなかったんだろうなと思います。いや、流行もん好きだったあの頃なら好きになったかな？でも、退屈なものに見える気がします。今だからリアルに響く音なんだと実感しました。ポカリのCMにもなった『未来』という曲があります。さわやかな疾走感がある曲調です。そのサビの部分がすごくリアルに響いてきたのです。

　生まれたての僕らの前にはただ　果てしない未来があって　それを信じてれば　何も恐れずにいられた　　
　そして今僕の目の前に横たわる　先の知れた未来を信じたくなくて　少しだけあがいてみる　　　　

　学生なら目の前の受験とか、就職とかにも当てはまるなとも思うのですが、これは、年を経る程にリアルに響くなあと思うのです。私の場合、職業として介護に携わってます。今はお元気に過ごされていても、いつ症状が悪くなるかわからない方ばかりです。利用者さんの為に努力をしていこうと思うのですが、自分が同じようになったらと思うと、不安がよぎることもあります。この詩は次のように締められています。

　いつかこの僕の目の前に横たわる　先の知れた未来を　変えてみせると　この胸に刻みつけるよ
　自分を信じたなら　ほら未来が動き出す　ヒッチハイクをしてる　僕を迎えに行こう　　　　MR.CHILDREN　「未来」

　少しだけ、ぽんと背中を押してくれるそんな日常の歌です。このアルバムにはそんな歌が詰まってます。衝動的に訴えるのではなく、さらっと日常の中で溶け込んでいかせるのがすごいことなのかもしれません。