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memo ∞ 「最近の火力発電事情」

2013-03-04 | メモ

電力供給サービス:石炭でもクリーンエネルギー、CO2を回収できる火力発電所の建設が始まる - スマートジャパン

火力発電用の燃料の中で最も安いのは石炭だが、CO2の排出量が多いという難点がある。最近は石炭を使った火力発電でもCO2の排出量を抑える「クリーンコール技術」の開発が進んできた。酸素を使って石炭をガスにする新方式の火力発電所の建設が広島県で始まった。     [石田雅也,スマートジャパン]

図1 大崎発電所の構内に建設する実証試験発電所の完成予想(中央左下のエリア)。出典:大崎クールジェン、中国電力、電源開発osaki_chugoku.jpg

 新しいクリーンコール技術のひとつに「酸素吹石炭ガス化複合発電」という難しい呼び名の発電方式がある。酸素を使って石炭をガスにしてから燃焼させることによって、発電効率が高くなり、さらにCO2の排出量も減らせる“一挙両得”の技術である。

 この新方式による火力発電所の建設が、広島県にある中国電力の大崎発電所の構内で3月1日に始まった(図1)。大崎発電所は2000年に運転を開始した比較的新しい設備で、石炭を使った火力発電で25万kWの発電能力がある。

 新方式が従来の発電設備と違う点は2つある。石炭をガスに変換してから燃焼させることに加えて、燃焼によって発生するガスからCO2を分離して回収することが可能になる(図2)。この設備を開発した日立製作所によると、標準的な石炭火力発電と比べてCO2の排出量が約17%少なくなる。

ocg_hitachi.jpg図2 「酸素吹石炭ガス化複合発電」と「CO2分離回収」の仕組み。出典:日立製作所

 発電所の建設が完了して実証試験を開始できるのは4年後の2017年3月の予定である。発電能力は16.6万kWを見込んでいる。中国電力と電源開発(J-POWER)が2009年に共同で設立した合弁会社の「大崎クールジェン」が建設と実証試験を担当する。事業費が約900億円にのぼる大型プロジェクトで、その成果に注目が集まる。

(参照)

電力供給サービス:新型の火力発電が相次ぎ運転開始、東京電力の供給力が大幅に増加 - スマートジャパン

東京電力の主力電源のひとつである川崎火力発電所の設備更新が順調に進んでいる。合計で6基の火力発電設備のうち4基目が出力50万kWで2月1日に本稼働を開始した。残る2基は2016年から2017年にかけて本稼働する予定で、現在よりも供給力が142万kW増加する。


[石田雅也,スマートジャパン]

 このほど本稼働(電力会社では「営業運転」と呼ぶ)を開始したのは、川崎火力発電所の「2号系列第1軸」である。燃焼温度1500度のガスコンバインドサイクル方式による最新の火力発電設備を導入した。天然ガスを従来よりも高温で燃焼させることによって、少ない燃料で発電することができ、同時にCO2の排出量も少なくなる。東京電力によると、従来の方式と比べて燃料とCO2排出量の両方を約25%も削減できる。

 東京電力は2000年代に入って古い火力発電所の更新を進め、燃焼温度を上げて効率を高めた設備を順次導入している。最新鋭の燃焼温度1500度によるMACC(More Advanced Combined Cycle)方式の設備を2009年に川崎火力発電所に初めて設置した(図1)。現時点で1号系列の3基と今回の2号系列の1基を合わせて、4基で200万kWの電力を供給できる体制になっている。

karyoku.jpg図1 火力発電設備の熱効率の向上。出典:東京電力

 さらに2号系列の残り2基を2016年7月と2017年7月に本稼働させる予定だ。燃焼温度を1600度まで高めたMACCIIにより1基あたりの発電能力を71万kWに高める。この2基だけで原子力発電所の1基分を大幅に上回る供給力になる。

 火力発電所は本稼働にあたる営業運転の9か月ほど前から試運転を始めるのが一般的で、その時点からほぼ100%の出力を発揮できる。計画通りに進めば、川崎火力発電所の供給力は2016年中に142万kWを増強して合計342万kW に達する見込みだ。

 東京電力の供給力は2012年夏のピーク時で5500万kW程度あり、原子力発電所を再稼働させなくても余裕をもって需要をカバーすることができた。川崎火力発電所の増強により、2013年夏以降の供給力にも不安がなくなってきた。

図2 東京電力の川崎火力発電所。出典:東京電力

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関西電力の姫路第二発電所で最新の火力発電設備が試運転を開始した。1基の最大出力は48.65万kWと大きく、今後2年間で合計6基が稼働する予定だ。これにより供給力は従来と比べて127万kWも増加し、原子力発電所の1基分を上回る発電量になる。CO2排出量も30%減少する。


[石田雅也,スマートジャパン] 2012年11月16日

 姫路第二発電所には1号機~6号機まで6基の火力発電設備があるが、従来の設備は1963年~1973年に運転を開始したもので、すでに1号機~3号機は2010年に廃止されている。関西電力は6基すべてを天然ガスによるコンバインドサイクル発電方式に切り替える計画を進めており、まず1号機が11月15日に試運転を開始した(図1)。

kanden_himeji2.jpg図1 姫路第二発電所の設備更新計画。出典:関西電力

 コンバインドサイクル発電はガスを燃焼してタービンで発電した後に、燃焼時の高熱で水を蒸気に変えて別のタービンを回して発電する。2回にわたって電力を作り出すことができるため、ガスから電力への変換効率が従来の42%から60%へ大幅に向上する。

 CO2排出量も電力1kWhあたり30%少なくなり、火力発電で問題視される環境負荷を減らすことができる。旧来方式の設備は蒸気による発電だけが可能で、各電力会社は老朽化した火力発電設備を順次コンバインドサイクル方式に更新している。

 関西電力は11か所の火力発電所を保有しており(図2)、その中で姫路第二は最大の発電能力がある。現在は4号機~6号機で合計165万kWの最大出力だが、2015年10月までに6基すべてをコンバインドサイクル方式で運転開始する予定になっている。6基を合わせると最大出力は292万kWになり、現在よりも127万kWも増加する。原子力による大飯発電所の1基分が118万kWであることから、それを上回る供給力の増加を見込めるわけだ。

kanden_karyoku.jpg図2 関西電力が保有する火力発電所の設備と最大出力(単位:万kW)。出典:関西電力

 新しい姫路第二の1号機は2013年9月まで試運転を続け、10月から正式に「営業運転」を開始する。関西電力によれば、「試運転中は安定した供給力として期待することが困難」であるため、今冬や来夏の需給見通しには含めない方針だ。しかし試運転でも最大出力で発電することが可能で、発電した電力は通常通り供給できる。

 関西電力は2号機以降の運転開始時期を公表していないが、6基をほぼ等間隔で順次運転を始めると想定すれば、2013年春には2号機が試運転に入る。その結果、夏までには2基で97.3万kWの供給力が増加する。

 今夏の関西電力の供給力は大飯発電所の原子力発電設備が2基稼働したことにより、最大需要を310万kWも上回った(図3)。2基が稼働しなかった場合には予備率2.4%という停電リスクを伴う状況になっていたが、姫路第二の1号機と2号機を加えれば、来夏の供給力は3.5%増えることになり、最大需要が今夏と同じレベルだとしても予備率は5%以上に高まる。供給力の点では大飯発電所の稼働を続ける必然性がなくなってきた。

kanden_kyoukyu.jpg図3 関西電力の2012年8月の供給力。出典:関西電力
 

 
 

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