○△□ ∞ 鶴千亀万 人間百年

『鶴は千年、亀は万年、人間は百年へ』

memo ∞「コマツ・坂根正弘相談役インタビュー/日本が少子高齢化を止める唯一の方法とは?」後編

2017-07-31 | 雑記

「誰かが率先して、小さくても成功例をつくって普及させるしかない」と坂根氏は言う。コマツに続く「志のある大企業」は現れるだろうか(撮影:今井康一)

    

コマツが地元回帰したら、田植えが不要になった!

中原前編でも触れましたが、コマツの地元回帰は、少子化対策として見事に機能していますね。30歳以上の既婚の女性社員のケースでは、子どもの数は東京が0.9人に対して石川が1.9人と、はっきりとデータに表れています。そこで今回は、少子化対策という面だけでなく、そのほかにもどのような副次効果があったのかということをおうかがいしたいです。

坂根:当初は、コマツの地元回帰が企業レベルの話でとどまると思っていたのですが、石川の社員の中には兼業農家の人も多いという背景もあり、当社の技術で地元の農業の生産性を向上させる取り組みを社会貢献の一環として始めました。実は、そこで大きな技術革新がありました。コマツの半自動の建設機械で均平に整地し、コメの種をじかにまけば、農家にとって重労働である田植えをしなくて済むということがわかって、2年前からそれをやるようになりました。

コメの苗がいらないとなると、今まで苗を作っていたハウスのような設備も不要となるため、そのスペースも活用し、花を栽培するということになりました。そこで、1年を通して花を作るにはどうすればいいのか、作る花の順番を考えたりして。まあ、とにかくコマツが地方で農業の改善にかかわっただけでも、次から次へとやるべきことが出てきているというのが現状です。

だから、他の大企業も地方にある自社の事業所で自社技術と知恵を生かし地元の課題解決などに取り組めば、地方は相当元気になるはずです。コマツは決して派手でなくとも地元でできることを継続的に行っているし、これからもできることをやり続けるつもりです。幸い、地元の行政や金融機関、学校、JA、森林組合なども呼応して動いてくれています。これこそが、地方創生だと思います。

中原:コメを畑作で作ると、稲作よりも格段に安いコストで済みますからね。畑作でも味はそんなに変わらないわけだから、畑作が一般的になれば、日本のコメは国際競争力を取り戻すことができますね。そのほかにも、すばらしい成果と好循環を生み出していると聞いていますが……。

300人のOB・OGが定年後、地元で「理科教室」を開催

坂根:石川の間接部門は転勤族が多いのですが、一方で製造現場は地元石川の人が非常に多い。コマツは60歳の定年後は、再雇用も選択肢として設けていますが、石川の現場社員は「私はもう60歳で十分です」と言って、再雇用を希望しないケースも結構あります。コマツの賃金体系は東京も石川も同等にしており、相対的に物価の安い石川のほうが、おカネが貯まるため、定年後に金銭面を理由に働かなくてもいいし、働く自分の子どもたちに代わって孫の面倒をしっかり見てあげる余裕もあるので、小松市の親子3世代の同居率は22%にもなっています。

だけど、60歳で定年して何もやらなかったら、健康寿命が短くなってしまいます。だから、定年後のOB、OGにやりがいを提供する場所としてコマツの研修センターを有効利用しようとしたわけです。研修センターは本来はコマツ社員の教育をする場所ですが、地元の子どもたちのために理科教室、モノづくり教室を開催するようにしました。現在、約300人のOB、OGの人たちが、たとえば、電気をどうしたら起こせるか、重いモノを少ない力で運ぶにはどうしたらよいか、といった普段小学校では習わない教材を小学生向けに考えて教えるようにしました。

そうしたら、それが小松市の小学校5年生のカリキュラムになって。5年生は授業として、コマツの研修センターに必ず行くことになりました。OB、OGたちが入れ代わり立ち代わり、子どもたちの相手をするのですが、彼らが言うにはそれが刺激になって、以前よりも健康になったとのことです。そういえば最近、病院に行くことが少なくなったなあと。これって結構副次効果が大きいですよ。今後、これもデータで「見える化」ができたら、と思っています。

中原:まさに、コマツの実践している地方創生が、貴重な教育の場になっていたり、社会保障費の膨張を抑えるヒントを提供してくれているのですね。

私は地方創生のために有望な成長産業となりうるのが、「農業」「観光」「医療」の3つの分野だと思っています。日本経済を復活させるためには、これらの3つの分野を10年くらいの時間をかけて成長産業に育てることが望ましいと考えているんです。

実は、この3つの産業は密接にリンクしています。たとえば、海外の富裕層や中間層に、日本への観光を兼ねて、先端的な医療あるいは人間ドックを受けに来てもらう。そして、湯治などを含めた観光では、ご当地のおいしい日本食を楽しんでもらう。それができれば、帰国した後も、安全で品質の高い日本の農産物を食べてもらえる機会が増えるかもしれない。ひとたび日本のファンになってもらえれば、その後もたびたび日本を訪れてもらうことができるかもしれない。

こういった日本の強みを生かせる産業の組み合わせこそが、農業、観光、医療の高付加価値をさらに高め、日本ブランドを確立することにつながることになります。そうなれば、中国や韓国、台湾などアジアのライバルたちとの価格競争にも巻き込まれることはなく、賃金水準が比較的高い新たな雇用をつくり出すことができるのではないでしょうか。

坂根:日本の林業の実情はもっとひどくて、世界と比べて本当に遅れています。たとえば、スウェーデンの林業は20年以上前からIT化されています。伐採する機械に「こういう木材の値段が上がっているから、それをこの長さ、太さで切ってくれ」という指令が来たら、自動で木をつかんで太さを計測し、枝払いして、切ってパイル化(束にする)します。

それを今度は「どこそこに何本パイルしてあるから取りに来い」という指令を受けたトレーラーが取りに来るのです。そのような自動化された林業がずっと前から海外では実現していて、コマツの子会社のスウェーデンの林業機械メーカーは、世界中で最新のIT技術を組み込んだビジネスをやっています。

ところが、日本だけはビジネスにはならないんですよね。残念なことに現在の日本の林業はまったくそういう次元からかけ離れています。「日本は地形が厳しいから欧米のような林業はできない」なんて言う人がたくさんいるのですが、やろうと思えばできないはずはないのです。

要するに、技術開発やマーケティングが世界的な競争で勝ち残るための必須条件なんですが、過保護にすると、こういった地道な努力をしてもしなくても自分の収入は大差ないと思うようになって、それを自らでしようと思わなくなってしまうのです。そして、最悪なことは、こういった産業に若者が興味をもたなくなることです。

規制緩和で農林業の効率化・大規模化を実現すべき

中原:その意味では、農業や林業は企業がやるべきであり、農林業従事者はサラリーマンがやるべきでしょう。たとえば、規制緩和をして企業が農業法人の50%超の株式を持つことができれば、農林業の効率化・大規模化が進み、担い手不足も解消されるのではないでしょうか。将来の日本のためには、それが正しい方向性だと考えています。

さて、医療についても坂根さんの厳しいご指摘があると思いますが。

坂根:日本の医療というのは、この数十年間でどうなったのでしょうか。確かに、日本の医師は技術レベルについては高いかもしれません。しかし、医療技術というのは、いまや医師の技量よりも医療機器や薬、そして動物由来の感染症研究などで決まってしまいます。1990年代に米国で開発された遠隔医療機器の「ダ・ヴィンチ」だとか、あるいは有名な新薬などは、ほとんど欧米で開発されています。

いまや医学部、薬学部と獣医学部の連携はもちろん、工学と理学、そして情報工学も連携した大学や研究所に変わらないと世界競争には勝てません。今、問題になっている愛媛・今治の獣医学部が52年ぶり、あるいは成田の医学部が40年ぶりに認可と、この国では既得権者が守られてきたのです。

農林業は技術開発とマーケティングでまだまだ伸びる

坂根:全国に共通する地方創生のテーマは、第1次産業と観光なんですよね。水産業はすでに地域により特色があるけど、農林業と観光はまだまだ全国どこでも大きく成長する可能性を持っていると思います。この国の農林業の課題は何かというと、規制や補助金によって守ろうとしてきた結果、本来どの産業でも発展するために必要であるはずの技術開発とマーケティングにあまり力を入れてこなかったということです。

だから、すでに述べたように石川の農業の技術開発ではコマツが協力し、最新鋭の自動運転技術を導入している。また、コマツは石川にある主力工場の中に使用電力9割減の新組立工場を2014年に建てたんだけど、そこで採用している省エネ技術のひとつが、冷暖房の空調に地元白山の豊富な地下水を利用するというもの。それを温室栽培にも使えるんじゃないかと試しているところです。それを見たJAの方たちもそんな優れたやり方があるのなら、自分たちでやってみようと始めるわけです。

規制や財政によって医療業界を守ってきた結果、世界で後れを取るのは必然なんです。

手厚く守られてきた業界はもう一度チャレンジを

国民が知るべき本質的な問題は、農業にしても医療にしても、国によって手厚く守られてきた業界は、国際的な競争力を失ってしまうということです。しかし、農業だって林業だってもう一度チャレンジしたら、日本は相当なところまで力を発揮できるし、医療だってこの国の本質的問題点に国民が気付いて声を上げるようになれば必ず復活できます。

中原:これまでの話を聞いていて、坂根さんが政党をつくって活動したほうがいいんじゃないかと、ある程度の勢力は取れるんじゃないかと。坂根さんが政治家やったほうが日本は変わるんじゃないかと思うのですが……。

坂根:現状を変えるには何をしたらいいかわかっていても、肝心のこの国を引っ張っている政治家や官僚、大手企業などの中に、東京一極集中でいい思いをしている人たちが多いからなのか、地方創生もなかなか国民レベルの話に向かっていかないけど、それでもできることからやらないといけません。コマツも自社の技術を生かし石川の農業の生産性を向上させたように一つひとつ成功事例を増やしていきます。

何事も皆が一斉に動き出すことはありません。誰かが率先して、小さくても成功例をつくり波及させるしかないのです。私の後を引き継いだコマツの野路國夫会長が私以上に全力投球でライフワークとして地方創生のリーダー役を果たしてくれていますので心強いです

インタビューを終えて
「地方で幸せが循環する」。コマツの経営を伺って思ったのは、大企業の経営者はいま一度、地方に目を向けた経営、雇用を考えるべき、ということだ。坂根氏は本社移転の効果について「うちが地方の活性化に失敗したら、追随するところはなくなるだろう」と述べている。コマツはそれほどまでに強い「使命感」をもって経営に当たっている。
私は、収益だけを追い求めて工場の海外移転を進める企業より、国内で踏ん張って雇用を守ろうとするコマツに、一人の日本国民として頑張ってもらいたいと心から思う。これからは「利益の最大化」を追求する企業より「国の利益」「国民の利益」を大事にする会社に多くのファンができる時代が来るはずだ。「コマツ、がんばれ!」と声を大にして応援したい。

 


memo ∞「コマツ・坂根正弘相談役インタビュー/日本が少子高齢化を止める唯一の方法とは?」前編

2017-07-31 | 雑記

◯久しぶりの”背筋のまっすぐになる”インタビュー…「坂根正弘」中原 圭介氏の東洋経済の記事をコピペし、今後の道標としていきます。

   

坂根正弘(さかね まさひろ)/広島市生まれ、島根県育ち。1963年小松製作所(現コマツ)入社。2001年社長、2007年会長を経て2013年から現職。今年2月からは政府の「地方大学の振興および若者雇用等に関する有識者会議」の座長をつとめ、5月には東京23区の大学の定員抑制などを求める中間報告をまとめた。「ダントツ経営――コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」(日本経済新聞出版社)など著書多数(撮影:今井康一)

              

建機最大手でグローバル企業のコマツは、坂根正弘相談役が社長だった時代から石川・小松市に本社機能の一部移転を開始。今や、石川での30歳以上の女性社員の結婚比率は8割、結婚女性の子どもの数は平均1.9人に上る。東京よりも断然暮らしやすいからだ(撮影:今井康一)


日本が少子高齢化を止める唯一の方法とは?

コマツ・坂根正弘相談役インタビュー

今後の日本について懸念すべき最大の問題は、誰もが認めるように「少子高齢化」だ。筆者は2011年、建機の最大手コマツが本社機能を地方へ分散しようとしていることを知ったとき、少子高齢化の緩和や地方衰退を止めるためには、同社の取り組みを多くの大企業が見習う必要があると直感した。だが今現在、本社機能の一部を地方に移すという動きは、トヨタ自動車やアクサ生命など、少数の大企業でしか行われていない。
実際、本社機能の地方への分散は、具体的にどれほどの効果をもたらすことができるのか、筆者自身もずっと気になっていた。そうした矢先、偶然にもコマツの坂根正弘・相談役とお会いし、今回インタビューをする機会を得た。日本の将来を考えるうえでも、ぜひ括目(かつもく)していただきたい。

本社を小松に一部移転、30歳以上女性社員の結婚80%

中原:坂根さんが社長時代から取り組んできた、本社機能の地方への分散について、きっかけとこれまでの経緯からお聞かせください。

坂根:そもそもの出発点は、2001年に私がコマツの社長に就任し、創業以来初の赤字に陥る中で構造改革に着手したときに、製造業としてもう一度、国内に回帰しようと決断したことでした。

会社のコスト分析を徹底的に行ったところ、当時の業績が悪化したのは、いろいろな事業に手を出しすぎて固定費が膨らみ競争力を失っていたのであって、事業の選択と集中を徹底すれば本業のモノづくりでは競争力を失ったわけではないということがわかりました。同時に、国内工場の優秀さや生産性の高さが数字で見て取ることができたのです。1985年のプラザ合意以降、日本では円高が進み、産業界全体としても国内生産への自信が揺らぎ、コマツも海外シフトを進めていましたが、私はその分析結果に自信を持ち、国内回帰に大きく舵を切りました。

では国内のどこに回帰するのかというと、創業地の北陸、石川県でした。どういう部門が石川にあればよいのかという議論から始まり、基本的にできるかぎり工場に近いところに多くの組織がいたほうがいいとの考えで、これだけITが進歩しているのだから部品調達本部は本社ではなく、協力企業も近くに集まる工場にこそあるべきとの結論になり、2002年にまずは部品調達本部を石川の小松市に移しました。

2011年には本社の教育研修組織と各工場の研修施設を統合して、小松市に総合研修センターを開設。これまで、本社などから150人以上の社員が小松に移りました。また生産工場についてはわれわれの商品は物流コストが高いので港湾工場がいいと考え、石川県の金沢と茨城のひたちなかに新設しました。余談ですが、金沢港はこのときの港湾投資で大型船の就航が可能になり、昨年はクルージング大型船の就航が54船と、日本海側で最大となっています。

私が地元回帰を進めた本質的な動機は、この国の深刻な少子化問題にあります。私たちは1950年代に石川から東京に本社を移し、工場も輸出に便利な関東、関西に移しましたが、多くの地方企業がそういう経緯をたどったことによって、東京への過度な一極集中とそれに伴う少子化を加速させてきた一面があります。代表的な地方出身の企業であるコマツが率先して地方へ回帰すれば、いずれは他の企業も回帰の道をたどってくれるのではないかというのが、私の強い思いですね。

現に、うちの女性社員のデータを調べてみたら、少子化対策としてその効果は確実に出てきている。30歳以上の女性社員を例にとれば、東京本社の結婚率が50%であるのに対して石川が80%、結婚した女性社員の子どもの数が東京は0.9人であるのに対して石川は1.9人。掛け合わせるとなんと約3.4倍(0.5×0.8=0.4 vs. 0.9×1.9=1.7)も開きが出ている。石川は物価が東京よりもずっと安いし、子育てもしやすいので、当然の結果だといえますね。

雇用と教育は1セット、成功は首長の「強い思い」にかかる

中原:私は、「大企業の本社機能の分散」は「地方の教育インフラの充実」と組み合わせてこそ、効果が発揮できると考えています。そうはいっても、地方の教育インフラを充実させるために、すべてを地方の財政で賄うのは無理がある。だから、東大でも阪大でも慶応でも早稲田でもどこでもいいから、とにかく地方にひとつ新しい大学キャンパスや付属の高校を創ってほしいと思っています。

結局のところ、たとえ大企業が地方に移転したとしても、子弟を安心して通わせる学校がなかなかないという実情があります。だから、大企業の経営陣も社員たちも地方への移転を積極的に支持することはない。そのようなわけで、地方に良質な雇用の場は生まれないし、人口減少の加速も一向に止めることができないんです。逆に地方に良質な雇用が生まれれば、若い人々が地方に残って働くという選択肢も広がります。

ですから、地方の自治体は企業と学校をセットで誘致するための努力をしてもらいたいですね。私の自宅の近くにも筑波大学という優秀な大学がありますが、卒業する学生で茨城に就職する学生は皆無に近い。ほとんどが東京の企業に就職してしまう。せっかく優秀な大学が地元にあっても、良質な雇用がなければ効果が大きく減ってしまう典型例なんですね。やはり、大企業と大学の誘致はセットであって初めて、相応の効果を発揮するものだと思います。

坂根:私はたまたま今、山本幸三・地方創生担当大臣の下で「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の座長をやっていて、先日、その中間報告を大臣に手渡し、自民党本部でも話してきましたが、地方大学振興の話も結局は先に述べてきたコマツの地方回帰の取り組みと本質は一緒です。

おっしゃるとおり、地方大学振興の問題とは、それだけを議論したらダメなのであって、雇用の問題、もっと大きく言えば地方の活性化の進め方と抱き合わせて考えなければならない。教育問題について言えば、大学以前の段階の塾を含めた教育の問題まで関係しています。その大前提として地方の首長が「私たちのこの地域を、自治体、大学、産業界が一緒になって引っ張っていくんだ」という強い思いを持っていないかぎり、地方大学振興なんて絶対にできるわけがありません。要するに、地方の首長のやる気にかかっているんですね。

坂根:そこで反対の意見の代表として出てくるのは、「そんなこと言ったって、地方の学生や親はみんな、東京の大学に進学したほうが就職に有利だろうと思っているのだから、そういう大きな意識の流れは変えられないでしょう」といったものです。けれども、それを認めていたら、地方はじりじりと悪い方向に進み続けるだけでしょう。反転できないにしても、まずは食い止めようとする努力はしなければなりません。

中原:確かに、坂根さんがおっしゃる一連の改革を推進するためには、地方の首長のリーダーシップが欠かせないと確信しています。つい最近の話ですが、ある自治体の首長選挙に出る候補者から「何か目玉になる政策はないか」と意見を求められたので、「大企業の本社機能の一部を誘致することと、優秀な大学の新しいキャンパスを誘致することの2つが核になる」と申し上げたところ、「そんなこと、できるわけがない」と切って捨てられました。

最初からできないと決めつけてしまう首長は、これからの少子高齢化が進む社会のなかでは、確実にその自治体を「負け組」にしてしまうだろうと考えています。実際に、長野県や富山県をはじめ、複数の自治体の首長は大企業の本社機能の一部を地元へ移してもらおうと、積極的に働きかけているんですから。できない理由を考えるのではなく、できるようにするには何をなすべきかを考えるほうが、これからの行政のトップには求められる資質であると思っていますね。

コマツはいち早く全国各地で枠を決めて採用試験を実施


 

坂根:まったくそのとおりで、地方行政のトップが地元の産業を何とか強くしたい、特色を出したい、そのために大学がどういう存在であってほしい、といったビジョンをしっかりと持つことがとても大事ですね。地方行政のリーダーが大学や地元の企業を巻き込み、その地域の特性を「見える化」して知恵を出し合えば、地方に雇用を生み出すのは可能であるし、だんだん良い方向に向かっていくのではないでしょうか。

しかしそれよりも、いちばん手っ取り早いのは、やはりコマツのような大企業が少しでも本社の機能を地方に戻すようにすることでしょう。地方に雇用を生み出すのは、すぐにでもできることもあります。コマツが地方回帰を決めた理由は少子化問題もありましたが、生活コストの安い地方で多く働いていたほうが将来のコスト競争力も維持できるだろうという現実的考えもあってのことです。

この国の仕組みは日本人にとって東京に居たほうが有利なことが多くなっています。企業の人材採用活動ひとつ取っても、東京に集中している現状があります。指摘された筑波大学の例も確かに東京で就職していますが、実際に配属されている場所は地方も多いのです。コマツは大学卒の採用を東京一括でまとめてすることをやめて、主要工場がある石川や大阪などでも枠を決めて採用試験をすることも2011年から始めました。実際に地方枠で入社した社員に話を聞くと、石川や大阪の大学を出ても地元で採用試験が受けられることが大きな心支えになり地方の大学に行ったという人もいるのです。

地方に良質な雇用がないかぎり、地元の大学に行ってみようかということにはならないのは当然です。そういったことを一つひとつ変えていかねばなりません。さもなければ、地方はみんな公務員や教員になるのがいちばんいい就職口だということになりかねません。それでは、地方の大学も変わりようがないし、少子化を止めることもできません。そして一方で大事なことは、東京は地方からヒト・モノ・カネを集めるのではなく、国際都市として発展する道を選択すべきです。

中原:私は当時の坂根さんの取り組みを知って、地方の衰退を止めると同時に、この国の少子化を止めるには、これしか解決策はないと思いました。大企業の本社機能の分散は、地方の教育インフラの充実とセットで考えれば、きっとうまくいくはずだと直感できたんですね。

しかし、どうしてこんな抜本的な対策があるにもかかわらず、コマツの取り組みがずっとクローズアップされなかったのか、非常に不思議に思っているところです。地方創生とこんなにマッチングする対策は、ほかにはないのではないでしょうか。

坂根:私たちがこれだけ頑張っていても、石川の人口が減っていないかというと、そういうことではありません。たとえば、同じ石川でもエリアによっては人口の減少率に格差があり、能登あたりはどんどん人口が減っています。それはそれで問題が絞られてきたから前向きにとらえて取り組んでいかなければならないんですね。何もせずに放置していたら、もっとひどいことになるのだから、一つひとつできることからやっていくしかないわけです。

われわれは社内でやれることはやってきたので、数年前からは地元の農林業の活性化の支援もしています。また、前述しました教育研修センターでは社員研修だけではなく、コマツのOB・OGの人たちがボランティアで地元の子どもたちに学校では学べないような理科教室を提供しています。このことで高齢者に活力も出ています。

やはり、われわれのような大企業だけでなく、みんなで本質は何かということを見ながら、そこに向かってできることを一歩でもやろうという気概を持たないかぎり、絶対に少子化の問題は解決に向かわないでしょう。ただし、企業もそうなんですが、みんなが一斉に動き出すなんてことはありえませんから、まずは小さくてもよいから成功事例をつくる。そのために、あそこの自治体は本気で取り組んで自分たちでできることはすでに始めているから、そこを手助けしようとかいうことになるのです。

経団連の「温度」は5年前と変わっていない

坂根:私は経団連副会長を務めていたときに、コマツの少子化対策と女性社員の子どもの数について話をしたのですが、私からしたら他の経団連企業の方から「坂根さん、うちもちょっと社内で検討してみますよ」と言ってくださるかと思ったら、いまだに誰一人として言ってこられないんですよ。これだけ中央集権化の弊害が出てきて大変なことになっているのに、なかなか大きな動きに変えていくのは大変ですが、ネバー・ギブ・アップですね。それと、この国は何でも大企業中心に考える傾向がありますが、各地方にある中堅企業がより活性化する方策のほうが効果的かもしれませんね。

中原:先日お会いしたときに、坂根さんが「うちの後に続いてくれるところがない」とぼやいていたのが印象に残っていますが、私自身も少子高齢化や地方の疲弊の行き着く先を想像すると、日本の将来を非常に憂えているところです。仮に20~30代の女性の出生率が2.0にハネ上がったとしても、その年代の女性の人口が少ないので、50年後まで日本の少子高齢化は止まらないのがわかっているからです。地方自治体で破綻するようなところも、きっとたくさん出てくるでしょう。

ただし、たとえ50年後まで少子高齢化が止まらないとしても、私たちはおのおのができることからやっていかなければならないと思っています。坂根さんがおっしゃるとおり、何もしないで放っておいたら、将来の状況はさらに悲惨になってしまうからです。そういった意味では、私がこの問題に対して今できるのは、コマツの取り組みをもっと世の中に知ってもらい、微力ながらも少子化対策の流れに協力していくということだろうと思っています。

 

 中原圭介(なかはら けいすけ)/経営コンサルタント、経済アナリスト。経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。主な著書に『2025年の世界予測』(ダイヤモンド社)、『これから日本で起こること』『これから世界で起こること』(いずれも東洋経済新報社)、『未来予測の超プロが教える 本質を見極める勉強法』(サンマーク出版)など著者多数(撮影:今井康一)


7月30日(日)のつぶやき

2017-07-31 | ねっと・さーふぃん

「いま首相にふさわしい人物」で 石破  茂 氏を20.4% 安倍 晋三総理を19.7% と報道しました この報道は、世論操作の捏造報道です ネット民の調査では、安倍総理が、93% 石破氏は、たった2% で推移している


喫茶去「青山繁晴 On The Road 2017年7月29日」

2017-07-30 | 休憩

  

◯ 3時だよ~ あぁ〜〜ん! 飛行機だ~ スーパー青山繁晴だ~ 作家であり、近畿大学と東京大学の先生・前衛画家・音楽評論家・・・そして参議院議員なのです~

 Yoshiko Nishimoto‏ @DJYossyCooking 今日も午後3時~5時 cross fm「青山繁晴OnTheRoad~」放送です♪

博多 78.7MHz、北九州 77.0MHz、久留米 86.5MHz、大牟田 87.8MHz、行橋 87.2MHz。radikoプレミアムなら全国から。放送後、1週間聴けます👂

Yoshiko Nishimoto 

青山繁晴 On The Road 2017年7月29日

2017/07/29 に公開

【On-Air Musics】
★Wham - Freedom
https://www.youtube.com/watch?v=BFwOs...


★Paul Young -Everytime You Go Away
https://www.youtube.com/watch?v=nfk6s...


★Michael Jackson - Heal The World
https://www.youtube.com/watch?v=BWf-e...


★クレイジー・ケン・バンド - 本牧仕様のサーファーガール
https://www.youtube.com/watch?v=HtPu2...


★Himeka - さよならソリティア
https://www.youtube.com/watch?v=J2iCx...


★葉加瀬太郎 - エトピリカ
https://www.youtube.com/watch?v=oFUeD...

葉加瀬太郎 エトピリカ【OFFICIAL】

2014/08/08 に公開

アコースティックサウンドの魅力を
どこまでも追求した全曲、新録音による必聴盤!

葉加瀬太郎『エトピリカ-Best Acoustic-』

★PAT METHENY GROUP - Last Train Home
https://www.youtube.com/watch?v=Ac9x6...


★Barry Manilow - Can't Smile Without You (涙色の微笑み)
https://www.youtube.com/watch?v=-MbGT...

Hellboy II - "Can't Smile Without You"
★Sade - Kiss of Life
https://www.youtube.com/watch?v=MmOau...


★中孝介 - 夏夕空
https://www.youtube.com/watch?v=eF4Bi...

中 孝介 「ベストカバーズ~夏目友人帳~」全曲ダイジェスト映像

2015/07/17 に公開

http://www.atarikousuke.jp/
“地上で、もっとも優しい歌声”中 孝介による、大人気アニメ『夏目友人帳』の歴代テーマソング、夏目貴志キャラクターソングのカバーアルバム『ベストカバーズ~夏目友人帳~』誕生!アニメ『夏目友人帳』で描かれる美しい風景のロケ地として知られる熊本県人吉市でオールロケを敢行した全曲ダイジェスト映像を公開!

奄美大島出身・在住、“地上で、もっとも優しい歌声”と称されるヴォーカリスト中 孝介が、シリーズ累計1,000万部を突破する大人気アニメ『夏目友人帳』の歴代オープニングテーマ、エンディングテーマ、そして夏目貴志キャラクターソングをカバーするというスペシャルな作品、中 孝介『ベストカバーズ~夏目友人帳~』、2015年6月17日発売決定を記念し、アニメで描かれる美しい風景のロケ地としても知られる熊本県人吉市でオールロケが敢行された全曲ダイジェスト映像を公開!『夏目友人帳』の世界を彷彿とさせる人吉の美しい風景と中 孝介の優しい歌声が相まって、感動的な映像がそこにひろがっています。

★Mountain - Theme For An Imaginary Western
https://www.youtube.com/watch?v=0l_x0...


★Sarah Brightman - Whiter Shade Of Pale (青い影)
https://www.youtube.com/watch?v=8ToU5...



【Playlists】
★Shigeharu Aoyama
https://goo.gl/GpxtdS


(特記事項)これぞ、青山繁晴先生!

青山繁晴 参議院 予算委員会 2017年7月25日 (1:14:34)

2017/07/25 に公開

本日もいつものとおり「党利党略のためでなく、国益のために質問致します」から。

 

青山繁晴 ザ・ボイス 2017年7月26日 (55:43)

2017/07/27 にアップロード
 

memo ∞「日野原重明さんが関西学院初等部で「いのちの授業」& インタビュー」

2017-07-30 | 学習

◯105歳で天寿を全うされた 日野原重明先生 、ご冥福を祈ります【合掌】

NHK生活・防災‏認証済みアカウント @nhk_seikatsu 【日野原重明さん告別式 4000人が追悼】今月18日に105歳で亡くなった日野原重明さんの告別式が東京都内で営まれ、およそ4000人が日野原さんをしのびました。

Photo published for 日野原重明さん告別式 4000人が追悼 | NHKニュース

いろいろ調べていると、先生が関西学院中等部出身であることがわかり、仰天です。”Mastery for Service" そのものの人生ですね〜 

日野原重明さんが関西学院初等部で「いのちの授業」

2011/06/29 に公開

2011年6月22日(水)、聖路加国際病院理事長で関西学院初等部教育特別顧問を務める日野原重明さんが初等部の5年生向けの特別授業を実施しました。児童90人とその保護者らが耳を傾けました。日野原さんは5年前から各地の小学校を訪れて、児童たちに「いのちの授業」と題した話をしており、4年前に、それらを『10歳のきみへ―95歳の私から』という本にしています。

 小学校の授業では、算数の時間は算数だけ、国語の授業は国語だけ、音楽の授業では音楽だけを担当の先生が教えますが、日野原さんの授業では、算数、国語、社会や体育にも触れ、「いのちとは何か」をテーマに話が展開されました。
 
 日野原さんは児童たちに、「いのちとは君たちが持っている時間をどう使うかということ」と話を締めくくりました。

十歳のきみへ いのちの授業CM.wmv

2011/10/20 に公開

 

今年で100歳になる聖路加国際病院 理事長・名誉院長の日野原重明先生が十歳の子供たちに「いのち」とは何かを考えてもらう「いのちの授業」この授業の様子を記録し、さらに先生の生い立ちをアニメとイラストで表現した作品。

U.N.Limitedが制作した作品のCMです。
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日野原重明・聖路加国際病院理事長(関西学院中学部出身)インタビュー【フルバージョン】

2015/04/03 に公開

 

関西学院中学部(旧制中学)出身で、102歳のいまも現役医師として活躍される日野原重明・聖路加国際病院理事長に、中学部時代の思い出、関西学院への思いなどを語っていただきました。(※2014年2月13日関西学院広報室取材)


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(番外)この関西学院初等部は、宝塚公園跡にできています。初代校長は、なんと同志社大学出身者でした。幹部が自由に発想している学園だと感心したものです。今だから言えると思いますが、大阪市のKGU同窓会会長のお孫さんが、初等部入学で落とされてしまうとうい悲喜劇もありましたね〜 学院の雰囲気がよく伝わるエピソードですね!