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memo ∞「タイム誌の 『2016年ベスト発明品』The Goodyear Eagle-360 concept tire」

2016-12-06 | 雑記

 

タイム誌の 「2016年ベスト発明品」に選ばれた球体タイヤが自動車社会に与えるものとは?【前編】 | FUTURUS(フトゥールス)

d75_0696_mルクセンブルグ グッドイヤー・イノベーション・センター(GIC*L)、先進デザイン・スタジオのシニアインダストリアルデザイナーのSebastien Fontaine氏。

The Goodyear Eagle-360 concept tire

2016/02/29 に公開

The Goodyear Eagle-360 is our vision for a tire for the long-term future that looks radically different from tires today…it’s a sphere! The unique shape means ultimate manoeuvrability, safety and connectivity for autonomous vehicles.

 

Goodyear Eagle-360の衝撃

――球体タイヤEagle-360の研究開発が考えられたきっかけは? 

ッドイヤーイノベーション・センターは、世界有数のタイヤメーカーの地位を維持するために、常に新技術の開発に取り組んでいます。「機動性」、「通信接続性」という従来の考え方、そして運転者の役割においても大きな変化が起きています。

グッドイヤーは革新的な新しいコンセプトタイヤに備わる将来の機動性に道を開き、スマートフィーチャー、機動性、および自律能力によってタイヤが未来の自動車運転をどう変えていくのかを模索しています。

電子機器が接続可能な自動運転車が登場したことにより、ちょうど良いタイミングでグッドイヤーは2016年3月ジュネーブモーターショーで球形のGoodyear Eagle-360コンセプトタイヤを紹介しました。 ご紹介後直ちにTwitterやFacebook、YouTubeなどさまざまなメディアやチャネルを通じてGoodyear Eagle-360に対する非常に好意的な反応を得られたことは、このコンセプトに社会的な意味があり、タイムリーであったことを示すものでした。タイヤ、そして未来のモビリティー・エコシステムにまさに役立つことになるでしょう。

――球体タイヤの磁気浮上の原理について教えてください

Goodyear Eagle-360はリニアモーターカーと同様に、磁気で車体を浮遊させます。導電性セル、または磁気が車両のフェンダー内およびGoodyear Eagle-360内に配置されています(Goodyear Eagle-360のビデオを参照ください)。

トレッド構造の下部に位置する反磁性層がタイヤと車体の間で浮上する磁場をつくります。 自動運転車で乗客は何か仕事をしたり、おしゃべりをしたり、あるいは寝たりする可能性が高いのでタイヤと車体の間に機械的な接触がないのは利点です。機械的な接触がないということは振動が少ないので車内が静かで、機械的摩擦で起こるエネルギーロスを減らすことが可能になります。

Goodyear Eagle-360のコンセプトである磁気浮上は、回転および球状の方向を完全にコントロールすることが可能なのです。 またリム、ステアリング・システム、駆動車軸、エンジン等の主要な車両パーツを他へ移動することが可能になるので、Eagle-360は重量配分や車両総重量の変更にも役立ちます。その結果、車両の重量配分を変更、ハンドリングなどの性能を向上させる可能性があります。 球体であるゆえのメリットとは?

――球体であることの従来のタイヤとの根本的な違い(メリット)は何でしょうか? 

自動運転車では、車両の前進、後退にとどまらず、全方向へ走行する可能性が想定されます。その際に球形のタイヤを使用するのが最善の方法です。 Goodyear Eagle-360は、従来のクルマのように前進、後退するだけでなく、横向きや360度回転することが可能です。回転などの動きがこれまで以上に自由になり、クルマの運転が容易になります。Eagle-360は球形なので、乗客はスムーズな乗り心地を体感できます。ミシガン大学交通研究所の研究では、動きを予測またはコントロールできないため世界各国で6%~12%の人が自動運転車で走行するとき、中程度から強度の乗り物酔いを経験したということです。

しかしEagle-360はクルマが流れるように横方向に移動し、走行している方向をそのまま維持して車体が障害物を回避することが可能です。 また、都市部の利用可能なスペース(例:駐車スペース)を最大限に活用できます。車両に球形のタイヤを装着することで、より狭い空間でも移動が可能になるからです。駐車場の収容能力が向上し、スペースを最大限に活用することができます。

――球体になることで従来のクルマの車体の構造はどう変わるのでしょうか? それとも従来通りで対応できるのでしょうか?

従来のタイヤと同様にGoodyear Eagle-360も路面に接する唯一のパーツですので、グリップ、方向転換、ブレーキおよびハンドリング性能などが大きく変わることはないでしょう。

クルマも磁気浮上システムに順応していかなくてはなりません。そして、ドライブアクセルやステアリングコラムなど従来のパーツは使われなくなり、車内のスペースがさらに広くなります。

未来の輸送コンセプトは用途、機能性や柔軟性を向上させるために現在のものとは見た目も機能も異なることが予想されます。しかし、このような変化はGoodyear Eagle-360のコンセプトや技術には無関係です。Eagle-360の利点は、安全に移動するということに関して社会基盤(交通インフラ)の変更が必要ないところです。

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コンセプトタイヤは新たな構想や新製品の基盤となるもの

――球体タイヤのコンセプト開発で一番難しい点は? 

物の輸送、人の移動およびそれらに関わる技術が将来どのように発展するか、またタイヤに何が必要になるかということを考慮することでした。

――Eagle-360のコンセプトで一番面白かった点は?   

さまざまなメディアからの好意的な反応をモニターすることでした。これはメディア、輸送、運送業界、自動車業界及び技術専門家が将来の“乗り物”について私たちと同じ様に考えているということを示すものです。

――実現するには今後どのくらいの時間がかかりますか?あるいはもう具体的な実現のスケジュールができていますか? 

グッドイヤーが発表した革新的なコンセプトタイヤEagle-360は、実用的な技術革新が起きる兆しが見えてきたということを人々が想像、体験できる純粋な概念開発です。

コンセプトは、画期的な新製品を開発するグッドイヤーのような革新的企業のための基盤となるものです。生み出されたアイデアがそのコンセプトのまま製品化されることは難しいと考えられますが、このコンセプトタイヤは新たな構想や新製品の基盤となるものです。

コンセプトタイヤは展示用として製作したものですので、商品化の予定はありません。現在Goodyear Eagle-360は純粋に概念開発の段階であり、商品化の詳細をお話するのは時期尚早です。 ただし、Eagle-360で紹介した技術には開発中のものもありますので、近未来のコンセプトタイヤGoodyear IntelliGrip(インテリ・グリップ)が示した、さまざまな車両システム機能との通信接続性が間もなく実現することになります。

――球体タイヤのコンセプトはモータリゼーションをどう変えると考えますか?

グッドイヤーに寄せられたEagle-360に対する非常に好意的なフィードバックをもとに、将来の車両設計にこの球形のコンセプトを考慮することが期待されます。磁気浮上システムを機能させるために、自動車メーカーと連携して新しい推進システム(装置)が開発されることが必要になるでしょう。

Goodyear Eagle 360が今後、自動車業界に寄与すること

――球体タイヤは電気自動車や自動走行にも影響がありますか? あるいは電気自動車や自動走行想定していますか? 

Goodyear Eagle 360は、自動運転車およびコネクテッドカー用に設計されたコンセプトです。しかし、Eagle-360の機動性は一部すでに開発中です。ジュネーブモーターショーではIntelliGrip(インテリ・グリップ)を紹介しました。先端センサー技術と特別に設計されたトレッドによりGoodyear IntelliGripコンセプトタイヤは、路面や気象状況などの多くの道路状況を感知することが可能です。

グッドイヤーは、空気圧やタイヤの温度などの環境変化を感知し、タイヤの状況をより正確に判断する独自のアルゴリズムを開発しました。その結果、車両の自動制御システムを最適化します。道路およびタイヤの状況を感知する以外に、IntelliGrip(インテリ・グリップ)のコンセプトは、車両のセントラル・コンピュータ・システムに情報を伝達するよう設計されています。それにより安全性や走行パフォーマンスが向上します。またタイヤが“雨で濡れている”、”滑りやすい“と感知すると、車載システムが状況に合わせてスピードを調整。その結果、制動距離の短縮、確かなコーナリング、操縦安定性の向上、さらには衝突防止機能のサポートも実現します。

――自動車交通にどんな変化をもたらすと考えますか? 

ひきつづき道路輸送が進歩して、社会のニーズに対応していくことが期待されています。今日、数多くの新しい輸送コンセプトと技術を目にすることができますが、今後も増え続けることが予想されます。 未来を予測することは難しいことですが、Eagle-360とIntelliGrip(インテリ・グリップ)コンセプトで、グッドイヤーはインテリジェント・タイヤをお届けできると考えます。機動性を備え、さらなる安全化・効率化・持続可能化を実現したエコシステムを生み出すことができるタイヤです。車体・タイヤ間や車両・交通インフラ間の通信接続性により未来が変わります。さらに効率的な機動性エコシステムの方向に進みます。

――開発者にとって新たな商品開発を進めるとき、一番大切な心がけは何ですか? 

開発作業を通じて、各種ニーズに対応することです。たとえば、お客さまから出される新車装着や補修用の性能要件、タイヤ・ラベル要件、自動車雑誌・テスト基準などです。 グッドイヤーでは「3-15-50」を考慮します。EUのラベル・テストの性能基準では3項目(騒音、転がり抵抗、ウェット・グリップ。)を考慮、タイヤや自動車雑誌のテストではタイヤ性能基準を15項目評価します。しかしグッドイヤーのタイヤとして市場展開するめには50項目の社内性能基準を満たさなければなりません。

どの基準も重要性に差はありません。どれも期日までに満たし、所定のコストにおさめなければいけません。しかしデザイン的には、タイヤのパターンから特定の性能が視覚的に伝わることも重要です。(了)

タイム誌の 「2016年ベスト発明品」の開発者の素顔に迫る!【後編】 | FUTURUS(フトゥールス)

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――プライベートについてお聞かせください。いまの仕事に関わるきっかけは?

私の家族もグッドイヤーのタイヤで走っています。数年前に退職した父は、長い間グッドイヤーのタイヤ開発マネージャでした。 私自身は、若いころ、ルクセンブルグ グッドイヤー・イノベーション・センターの先進デザイン・スタジオで、学生として夏休みに数週間働いたことがあります。

パリでプロダクト・デザインを専攻して工業デザインの単位を取得しながら、グッドイヤーでひき続き学生として働いていましたが、最終的にそのまま正社員として採用されました。 グッドイヤーでは、自分の情熱をそそげる仕事に出会い、やる気あふれる技術者と設計者たちと打ち込める機会に恵まれています。

――どんな子どもでしたか? 

子どもの頃からデザインや新しい発想、技術や未来に魅了されていました。 美術に関するものならデッサン、絵、彫刻など、なんでも得意だった記憶があります。学校のノートにもマンガや自動車をたくさん描いたものです。数学も得意でしたが、数学の先生までもが、授業中に美術系の進路を奨めてくれたほどでした。

――好きな(尊敬する)科学者はいますか? 

私はスティーブ・ジョブスが大好きです。世間はジョブスを科学者として見ていないことは承知しています。しかし、アップル社製品のデザイン性を確立して、同社の柱の一つにしました。アップル社によって、その他多く業界でもデザインの重要性が見直されるようになり、デザイナーへの認知度も高まったのです。アップル社の今日があるのも、私はスティーブ・ジョブスが道をひらいたからだと思っています。

――科学技術でひとつだけ夢が叶うなら?

科学と技術を駆使して、すでに様々な課題が解決されてきたと思います。たとえば、自動車、航空宇宙分野、エネルギー、世界の食料生産、などの分野でいろんな事が可能となり、大変わくわくします。また、今は思いつきもしないことが可能になるようなブレークスルーが、今後も出てくると確信しています。

――次代に残したいことはありますか?

今後の世代の方々に「デザインについて考える」ことを奨励したいと思います。そして、いまにもまして工業デザインを楽しんでもらい、ますます身近になることを願っています。 私は確信しています。「デザイナー」はこれからも、多種多様な分野で多くの専門家と協力する中で、市場が求める製品・サービス・ソリューションを生み出していくことを。

――生きているあいだに仕事で実現したいことはありますか? 

私の目標は「デザイン」の要素すべてを駆使して、プレミアム・タイヤの開発とエンジニアリングにおける新しい考え方を確立することです。 ここ数年、グッドイヤー先進デザイン・チームは、本来は技術色が色濃いこの分野にデザイン文化を定着させました。デザイン文化を定着させるため、デザインを活用して技術的課題を克服したり、性能とデザインが両立することを提示してきました。 グッドイヤー先進デザイン・スタジオが未来の性能と品質へのこだわりの情報発信拠点として、今後も大きな役割を果たし続けられるよう、私は先進的デザイン・チームとともに努力していきます。

――どんな社会になってほしいですか? 

多くの皆さん同様、私も平和で持続可能な社会を願っています。すべての人にチャンスが与えられ、人種、宗教、性別に関わらず、誰もが自己を高め、より良い社会をつくっていける世の中を切望しています。(了)

 


12月5日(月)のつぶやき

2016-12-06 | ねっと・さーふぃん